井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材を日替わりでご紹介します。

2021年 12月の記事

12/28

黒豆・お正月・美容御節

osechi・おせち料理・御節・美容御節・お正月・黒豆・シナモン・滋養・

御節料理は祝い肴の「黒豆、田作り、なます」この3種を作ればきます!見た目に美しく、簡単で、若い方々の口にも合うレシピがお題の美容薬膳御節を「美ST」(光文社)にてご紹介です。

まず手始めに風味が変わらず、日持ちのする黒豆から。今年は、シナモン蜜煮のサラリとしたタイプ、スプーンですくって煮汁ごといただきます。シナモン、黒糖、赤ワインを加え、めぐりのいい体に。シナモンでスッキリとした仕上がりで、素材の力も体感できます。

作り方です。黒豆250gは洗い、割れているものは除く。大鍋に水1500mlを沸かし、弱火にして混ぜながらシナモン3本・黒糖200g・醤油50ml・赤玉ワイ80ml・重曹小さじ半(少し加えると早く柔らかに)を入れる。黒豆を加え、厚手のキッチンペーパーをかぶせてひと晩おく。キッチンペーパーをかぶせたまま中火にかけ、フタをして温まったらごく弱火にし、3~4時間煮て、そのまま冷ます。

 豆の中でも特に滋養が高い黒豆。薬膳・漢方では腎をケアし、老化防止に役立つ代表食材です。黒豆のポリフェノールは血流を良くし、肝機能もケア。上質な植物性たんぱく質でありながら腸に負担をかけず、体を元気にしてくれます。

 (従来の黒豆の煮方は、HPにもありますが、「簡単なのにきちんと作れる・おせち料理」(成美堂出版)14Pにも掲載。黒豆には、まめに働きまめに(健康に)暮らせるようにと無病息災の意味が込められています。

12/25

リンゴ・林檎・りんご・食薬

林檎・カービング・林檎バター・アップルバター・りんご

子供の頃、体調を崩すと母がよくりんごをすってくれたものです。りんごは85%以上が水分、ビタミンC、カリウム、食物繊維、リンゴ酸、クエン酸、糖分の栄養価が胃腸に優しく作用します。おろす、するという調理法も手伝って、病気改善、疲労回復に役立っていたのですね。
身体の余分な熱もとるので楽になります、黄色い鼻水が出る時は体内に熱がこもっているサインです。逆に白い鼻水が出る時は身体が冷えている証拠です、身体を温める作用がある、にんにく、ねぎ、生姜など温めるものを消化よく調理していただくといいですね。

アップルパイ、ジャム、コンポート色々ありますが、甘酸っぱいりんごのフルーツバターもおすすめです。作り方は、小鍋に乱切りにしたりんご1個分を入れ、レモン果汁を混ぜておく。好みの加減のグラニュー糖を加えて煮ます。あとは室温に戻したバター60gと混ぜるだけです。

12/24

クリスマスチキン・鶏の丸焼き

チキン・クリスマスチキン・丸鶏

急いでチキンの丸鶏を焼く時は(オーブンを220度に温めておく)内臓を水ですすいで、水気を拭き塩も腹中にふる。叩いたにんにくとパキパキ折ったセロリを葉ごとギュウギュウにつめる。鶏全体に、にんにくの切り口をところどころこすりつけ、粗塩を満遍なく少し多いかな?くらいにすり込みます。手羽先の部分が下になるように置き、オリーブオイルを表面に適宜たらしたら、10分焼いて200度にして20〜30分焼く。皮付きのまま食べやすく切ったじゃがいもやごぼう、人参、たまねぎなどを鶏の回りにおく。再度220度にオーブンを温め、鶏からしっかり脂がでて(途中2度ほど、スプーンで脂をすくってかける)こんがりするまでパリッと焼く(庫内の大きさによりますが、焦げそうになる部分があったらホイルをかぶせる)。チキンと野菜を器に盛り、焼いた天板を中火にかけ、脂をこそげるようにワインを注いで馴染ませる。生クリームかミルクを加えて煮詰めてソースを作る、ナツメグの削りたてや胡椒、醤油少々を加えても。鶏肉の部位ごとに栄養価が違います、レバーは貧血、手羽先はコラーゲン、鶏胸肉は疲労回復ですが、食べ合わせを考えるとそれぞれ効果が増します。

12/23

チーズ・カマンベール

カマンベールは伝統的な製法で作られるフランス、ノルマンディーの特産品チーズでカマンベール・ドゥ・ノルマンディ(Camembert de Normandie) が正式な名称です。少し苦味を感じることもありますが、芳醇な香りと柔らかくクリーミーでマイルドなお味は、どなたでも食べやすい白カビのチーズ。そのままいただいても、火を入れてさらにとろりとさせても美味しい。私は洋ナシやリンゴなど、フルーツと合わせてビタミンCと一緒に食し、美味しさと栄養面への相乗効果にアプローチ。フルーツやスパイスとの組み合わせは、クリスマス会などにお出ししても、小洒落れています。

タンパク質やカルシウムの吸収率はミルクよりもよく、粘膜の保護に有効なビタミンB2が豊富。寝る前にチーズをいただくと、含まれるトリプトファンのおかげで安眠できる効果も期待できます。

12/22

黒豆・黒豆茶・食養生

お正月の黒豆蜜煮は欠かせませんが、普段から黒豆を口にしています。黒豆を水に3時間ほど浸して水気をきり、皮が弾けるまで10分ほど気長に弱火で炒ります。そのまま口に入れると香ばしくて美味しいですよ。炒った黒豆を酢につけて酢大豆にしてもよし、水から4、5分煮出してお茶にしても。黒豆のアントシアニンは水に溶けやすく、熱に強いのです。そしてほんのりした甘味、炒った香ばしさにホッと安らぎます。お茶にした後は、柔らかいので料理に展開でき、サラダやスープ、カレーなど煮込み料理にも。

アントシアニンが豊富な黒豆の抗酸化作用は、様々な健康効果を生み出し、老化防止に良いと言われいます。黒豆は白髪防止にも良いようですよ、白髪ができやすい人は、しょっぱいものが好きな傾向にあるそうで、塩気の強いご飯のお供やおやつなども要因の一つとされています。薬膳では、白髪や足腰の弱りは腎機能の低下からおこるものでもあり、ケアとして黒いものを食べるとよいとされています。

黒ごま、黒豆、海藻など日々意識して黒い食材を摂取すると、良い効果が期待できます。

12/20

クロテッドクリーム

クロテッドクリーム・クロスティーニ・パーティー・おつまみ

クロテッドクリームは、英国デポンジャー地方に伝わる伝統的な濃厚なクリーム。脂肪分の高いミルクを煮詰めて、表面の乳脂肪分を集めて作られます。スコーンにつけていただくイメージがありますね、アフタヌーンティーには欠かせません。シチューやグラタンのコクだしなどにも重宝します。チーズよりお手頃価格で購入できますし、年末年始のカジュアルな集まりにもお勧めです。

持ち寄りがあれば、クロテッドクリーム、バケット、アンチョビ、レモンを購入し、現場でお皿1枚だけお借りして盛り付けます。アンチョビ(あればケッパー入り)を包丁で叩いて細かくしたら隠し味にレモン果汁をほんの少し絞ります。バケットにクロテッドクリームをたっぷりと塗って、刻んだアンチョビをのせ、挽きたてか潰したての黒胡椒をふる。ちょっと小洒落ているし、お酒にもよく合うブルスケッタ風です。

シンプルにじゃがいもをゆっくり蒸したものに、クロテットクリーム、刻んだアンチョビ、黒胡椒でも。

12/17

白菜・鍋・ピェンロー・養生三宝

井澤由美子・シチュー・白菜・養生三宝・薬膳・畑仕事・冬野菜・ハクサイ

中国の鍋にピェンローと言う白菜鍋がああります。本当は干し椎茸の出汁と、ごま油と緑豆春雨を使うのですが、少しアレンジしてあっさりした和風をご紹介します。鍋に多めの水と昆布を2切れ入れておく、小袋に手羽中10本と塩麹大さじ1半〜2を揉み込み、別袋にゆずの輪切り4枚を入れて小さじ1ともんでおく。それぞれ30分から一晩置いたら鍋を火にかけ、鶏肉、酒半カップ、発酵が進んだ刻んだ漬物白菜(汁1カップ分)を順に加える。沸騰したら弱火にし、フタをして30分ほどゆっくり煮込む。まずはそのままいただき、好みで、かんずりや柚子胡椒、ごま油などでいただきます。ゆず皮も柔らかく、白菜はとろりと煮えて、コラーゲもたっぷり。発酵した漬物汁がさっぱりといい味を醸し出す、葛切りや春雨で〆ると煮汁の旨味を吸って美味です。体の外も内も乾燥が気になるこの季節、発酵白菜、柚子や塩麹、鶏肉、葛の組み合わせでたっぷり潤います。

白菜は冬の養生三宝のひとつ。ビタミンCが豊富で、胃腸を健やかに保ち、むくみや二日酔いにも有効です。

12/16

シナモン・スパイス・冷え

冷え・食養生・スパイス ・spice・冷え・薬膳・漢方・シナモン・スパイス・肉桂

シナモンスティックやシナモンパウダーを適宜お茶に入れるのが日課です。
シナモンはスリランカ、インド南部が原産地。日本でも国産のシナモンが温かい地方で栽培され、春に収穫されます。薬膳の肉桂(桂枝)は根っこ部分、樹木のシナモンとは種類が違うのですが、薬効は似ています。冷えをとり五臓を活性化させるとされており、関節痛などの痛みや、血のめぐりの改善に欠かせない生薬です。
体を温める作用は生姜以上とされ、指先などの毛細血管まで温めるそう。体温が上ると免疫力も高まります。身体はなるだけ冷やさないように日頃から気をつけます(首、手首、足首、腰などは特に)。
香りが良いので、リラックスしたい時のお茶にもピッタリです、シナモンをポキっと折った半本と丁子(クローブ)2個、紅茶などの発酵茶適宜を合わせてブレンドティーに。
シナモンはアップルパイなどのお菓子に欠かせませんが、カレーや、醤油味の煮込みにも意外とお勧めです。
私はワインビネガーやお酢にスティックごと漬けてシナモンビネガーとして素敵な香りと効能を楽しんでいます。ドレッシングに加えたリ、マリネに使うとひと味違います。

12/15

生姜・しょうがピラフ・炊き込みごはん・冷え

グッと寒くなってきましたね。今日は、NHK(きょうの料理)でもご紹介したこともあるレシピで、フタを開けるとふわ〜っと生姜の香りたつ身体温めピラフ。お米2合は研いで水に30分浸してザルに上げておく。鶏もも肉1枚に塩か塩麹を適宜全体に揉み込んでおく。生姜大さじ3を皮付きでおろす。炊飯器に研いだ米を入れチキンスープの素、醤油、酒各大さじ1、生姜と水をメモリまで注ぎ一混ぜする、塩をした鶏とバター大さじ1をのせて普通に炊だけです。シャモジで鶏肉をほぐすようにしてごはんと混ぜ、茶碗に盛る、あれば三つ葉やゆずなど添えてもいいですね。バターを隠し味に加えるのがポイントです、あればうす切り餅を2枚くらい加えるとおこわ風になりますよ。

薬効の高い生姜は、アーユルベーダーでは「万病を治す」、中医学では「百邪を防衛する」とされるほど。生の生姜は血行を良くし胃腸を整えます。乾燥させたり加熱するとジンゲロンやショウガオールにかわり、芯から体を温めるので炊き込みごはんなどは、主食にもなるのでおすすすめです。

12/14

ゆず・花柚・獅子柚子・風邪予防

風邪予防・薬膳・漢方・柚子・ゆず・ユズ・種無しゆず

ゆずは、奈良時代前後に中国から日本に渡来されたとされ、現在は約5割が高知県で栽培されています。香り高い本柚子はみかん科ですが、鳥取県の朝市で購入した大きなゆずは獅子柚子(鬼柚子)といい、文旦の仲間だそう。
井澤家の庭に鈴なりなっているのは小ぶりの花柚子、使い切りサイズが便利でレモンに近い黄色です。お吸い物や蒸し物に少々、フワッと香る清々しさ、フランス人の友人も目がありません。
ギュッと絞った果汁は旬の柿、林檎、洋梨などにさっとふると、さわやかな香りをまとわせながら果物の甘みを引き立てます。

薬膳では香りで気の巡りを良くし、吐き気やため息、酒解毒などに効果があるとされていますよ。酸味で疲労回復、皮にもビタミンCが豊富なので、余す事なくいただきましょう。
柚子味噌の作り方ですが、細切りにして茹で、氷水で色止めします。小鍋に味噌とみりん、きび砂糖を適宜入れ中火で練って甘味噌を作り、茹でた柚子を加え混ぜます。脂ののった旬魚に塗るなど、芳しい香りで冬の味覚がさらに底上げされます。写真の小ぶりの柚子は島根県邑南町道の駅で購入した種無し品種、下ごしらえに時間がかからず果汁がたっぷりでした。