井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材を日替わりでご紹介します。

2021年 10月の記事

10/31

かぼちゃ・ハロウィン・食養生

南瓜・カボチャ・パンプキン・カボチャケーキ・滋養

ハロウィンなので、歩く先々に鮮やかなオレンジ色が眼に飛び込んできますね。元々は秋の収穫を祝う行事でしたがアメリカでは民間行事となっており、いろいろな趣向があって楽しそうです。
写真の可愛らしいかぼちゃは、私が通うカービング教室の先生の作品。野菜や果物をアッと言う間にスルスルと楽しく美しく仕上げます。
かぼちゃは体を温める野菜で、豊富に含まれるカロテンは粘膜や皮膚を健康に保ち、視力回復にも役立ちます。免疫力を高めるビタミンCも含み、風邪などを予防します。かぼちゃのカロテンは油で炒めると体への吸収が良くなります。柔らかく煮たり蒸したものは離乳食や年配の方の滋養食にもピッタリですね。

かぼちゃの種を干したものは、漢方では生薬として使われ、泌尿トラブルに効果的です。手作りするなら種を洗った後、2、3日干すかレンジにかけて乾燥させます。その後、フライパンで乾煎りしたり油で揚げ焼きにして塩少々をふると出来上がり。

10/29

きな粉・大豆

きな粉を見かけると買わずにはいられません。和三盆やきび砂糖と粗塩を少し混ぜてふるふるの練りたて葛餅やわらび餅などに山盛りにかける、考え出された方天才です。葛粉大さじ5(片栗粉)、きび砂糖大さじ1に水大さじ2を馴染ませる。中弱火にかけて水1カップを入れ木べらで混ぜながら透明感が出るまでよく混ぜる。水の代わりに豆乳で練ると、また違う風味を楽しめます。きなこは、もとが大豆ですからイソフラボンがたっぷり。女性ホルモンと似た働きをする効能があり、更年期障害にも良いですね。そしてカルシウムも豊富なのでイライラを抑え、骨粗しょう予防にも。水溶性と不溶性の食物繊維は便通作用を促進するのでお料理、飲みもの、お菓子類に多用しています。最近のナンバー1きなこは、鳥取県は智頭町にある素晴らしく素敵な山里の山菜料理屋「みたき園」で出会ったきなこ。手作業で音と感触をたよりに、丁寧にうすでひかれたきな粉は少し粒が残っています。しっとりした香ばしい風味がとても豊かで印象的、飛び切りのきな粉でした。こんにゃくもお豆腐もすべて手作り、お庭の風情もとても素敵です。

10/26

いくら・いくらの醤油漬け・南樽市場

食養生・いくら・鮭・親子丼・秋の味覚

小樽の秋冬市場は特に珍味が多くあって楽しい。中でも必ず覗くのは、地元の方でいつも賑わう南樽市場。今は秋鮭やいくらが旬、びっしりと陳列されています。向かいの金物屋さんで見かけたいくら専用の2重構造網を購入したことがあります。最初は半信半疑でしたが、市場内のお魚屋さんのいくらの醤油漬けはこの2重構造網のすごく大きいもので作っているのを見かけて即決。ボウルに塩水を入れ、この網を置き、皮を上にして優しく転がし、2、3度洗うとポロポロと面白いようにきれい落ちました。

いくら醤油漬けの作り方です。小鍋にいくらがかぶるくらいの酒を入れて煮切り、りんごたまり醤油(青森の醤油で、これも市場で入手)少々と普通の醤油適宜を煮立てた合わせ醤油を冷ましたものに、昆布1、2切れ(酒に2日間浸したもの)を入れて、いくらを漬ける。消毒した空き瓶や密封容器にたっぷり保存して楽しむ。焼き鮭との親子丼は美容にも良く、フォトジェニックです。

10/25

栗ごはん・栗・くり・食養生

井澤由美子・老化防止・アンチエイジング・・お弁当・栗・栗ご飯・炊き込みご飯

腎の機能を助ける栗は、実は美容食でもあります。もち米をひとつかみ加えたお米と栗を合わせると脾胃の働きを助け、元気になる効果が上がります。毎年、この頃になると頑張って皮をむいて作る栗ご飯。米2号に対し、調味料は酒大さじ2と塩小さじ半、薄口醤油小さじ半にほんの少しの米油を加えただけの極シンプルなもの、その方が栗の香りと甘みが引き立つと思うからです。皮むき苦労のかいあって、本当に美味しく炊きあがってくれます(栗を剥いたあと、栗が浸るくらいの水、塩と砂糖少々を加えてうっすら下味をつけてから加えると和食屋さんのお味に)。渋皮に含まれるタンニンには抗酸化作用があるので、皮を少しつけて炊いてもよいでしょう。1年に1度くらいはと血糖値が気になる父に皮付きの栗料理をせっせとつくります。栗は、密封袋に入れて冷蔵庫で数日間置くとデンプンが糖に変わって甘くなるそうです。

10/22

シナモン・肉桂・温活

冷え・食養生・スパイス ・spice・冷え・薬膳・漢方・シナモン・スパイス・肉桂

シナモンはスリランカ、インド南部が原産地。日本でも国産のシナモンが温かい地方で栽培され、春に収穫されます。薬膳の肉桂(桂枝)は根っこ部分、樹木のシナモンとは種類が違うのですが、薬効は似ています。冷えをとり五臓を活性化させるとされており、関節痛などの痛みや、血のめぐりの改善に欠かせない生薬です。
体を温める作用は生姜以上とされ、指先などの毛細血管まで温めるそう。体温が上ると免疫力も高まります。身体はなるだけ冷やさないように日頃から気をつけましょう(特に首・足首・腰など)。
香りが良いので、リラックスしたい時のお茶にもピッタリです、シナモンをポキっと折った半本と丁子(クローブ)2個、紅茶などの発酵茶と合わせてブレンドティーに。
シナモンはアップルパイなどのお菓子に欠かせませんが、カレーや、醤油味の煮込みにも意外とお勧めです。
私はワインビネガーやお酢にスティックごと漬けてシナモンビネガーにしたり、シュガーポットにも入れて楽しんでいます

10/21

目光・メヒカリ・旬魚

すだち・酢橘・柑橘類・秋の味覚・果物

秋に美味しいメヒカリ。

水深200〜300mにいる深海魚で底引き網漁です。本名はアオメエソ。あだ名の由来は、緑色の目がキラリと光るから目光。

初めて食べたのは港近くの定食屋さん、近所の市場でも沢山売られていました。フライで頂きましたが、身が柔らかで骨まで食べられる白身が美味。傷みやすいという事で、当時は東京ではあまり見かけませんでしたが、今では都内のスーパーでも見かけるようになりました。サイズも小ぶりで10cm前後、下処理もあまり無いので調理もしやすい。先日も、市場でふくよかなメヒカリを見つけたからと、わざわざ一夜干しにして届けてくれた友人がいました。炙りも美味しいですが、良い塩梅の干し加減なので天麩羅も楽しみました。庭から酢橘をもいできてさっと絞り、粗塩で熱々をいただく。白身の香りが立ち、柔らかな身がホロリとほどけます。骨ごと頂けるのでカルシウムもたっぷり。ちなみにカルシウムはビタミンCと一緒に摂取すると効率よく体に吸収できます。

10/18

べったら漬け・べったら市・大根漬け・漬物

肌寒さが増すこの時期になると、賑やかな「べったら市」が頭を過ぎります。毎年日本橋で開催され、賑わいを見せていました。このべったら市は、江戸中期に宝田恵比寿神社の門前で野菜などを売る市があり、中でもべったらの売れ行きが良かったのでべったら市と名ずけられたそう。べったらは塩漬けした大根を麹と砂糖で漬ける東京の伝統的な漬物で、そのベタベタした風防からこの名がついたようです。

ツウは贔屓の店があり、毎年同じ店で購入するとか。太めに切ってパリパリとした食感を楽しむのが江戸っ子流の食べ方だと伺いました。風流な魅せ方の市が好きで、私も何度か寄らせて頂きました。小耳に挟んだ美味しいべったら漬けをさ迷いながら買い求め、後はお店の方の笑顔だったり、直感だったりで数種類購入して食べ比べを楽しむ。

もう少し寒くなって沢庵用の皮付き大根が出回り始めたら、自家製甘酒を作って本味醂、切り昆布、赤唐辛子で好みのべったら漬けを仕込みます。お茶うけにも最適なべったら漬けは、野菜嫌いなお子さんにも食べやすく、麹パワーで元気も出ます。

10/15

じゃが芋・ジャガイモ・ポテト・肉じゃが

じゃが芋・ポテト・肉じゃが・食養生・煮物・秋の味覚

肌寒さを感じるようになると、ほっこりした甘辛い肉じゃがが脳裏をよぎります。じゃが芋4個は4、5等分に切って水に5分放してザルに上げる。玉ねぎ1個は1㎝幅のくし切り、生姜半かけは細切り、鍋を中火にかけごま油大さじ1で生姜と牛細肉250gを炒めて取り出す。同じ鍋で切った野菜をよく炒め、水1カップ、きび砂糖大さじ2、醤油大さじ1を入れて厚手のキッチンペーパーをかぶせフタをして10分煮る。煮汁が半量になったら醤油大さじ2、肉を戻し入れまぜ、時々鍋を揺すりながら10分煮て出来上がり。
じゃが芋のビタミンCはデンプンに守られているので、熱に強く調理に向いています。カリウムの王様とも飛ばれていますよ、塩分を排出するので気になる方におすすめです。薬膳では、胃腸の調子が悪い時や気力を養いたい時にもよいとされる、頼もしい野菜です。

10/14

胡桃・くるみ・ナッツ・滋養

脳を活性化させるくるみは、ボケ防止に良いと薬膳では昔から言われています。ナッツの中でも必須脂肪酸のオメガ3を多く含み、手軽に摂取できるのも嬉しいですね。私はいつも小さめのフィグ(イチジク)や手製のナツメなどのドライフルーツと小袋に入れて持ち歩き、小腹が空いた時に口にしています。
鯛茶漬けのタレにもくるみが必需品です。砕いたくるみ、カシューナッツ、ゴマを、順に加えて焦げないように小鍋で乾煎りしてすり鉢でよくすります。濃いめの麺つゆで好みの味に伸ばし、新鮮なお刺身をくぐらせる。後は、熱々ご飯にのせ、おろしわさびや海苔を好みで添えれば贅沢なお茶漬けの出来上がりです。
くるみは血流の改善を促したり、コレストロール値を下げるなどの他、良質な脂分が腸を潤し便秘改善にもお勧めのナッツ。1日に口にするだいたいの分量は、7、8粒くらいが目安のようです

10/12

卵・玉子料理・たまご・滋養

卵・卵料理・卵豆腐・茶碗蒸し・滋養

豊富な栄養バランスを含む卵。食物繊維とビタミンCを添えれば、ほぼ完全な栄養食です。昔から滋養があるとされ、薬膳では血液を補い、体を潤す効果があるといわれています。体調不良や滋養をつけたい時、季節の変わり目には特に摂取したい食材です。
本日あさイチさんでご紹介した卵料理は、簡単に作れてホッとする味わいの2品です。一つは熱々の卵豆腐をフライパンで簡単に作り、季節のきのこを加えたべっ甲あんをかけたもの。味がしっかりしているので、ご飯のおかずにもお勧めです。加えたきのこはザルに広げて30分ほど干したお日様きのこ、ビタミンDがアップするので、骨を強くします。この食べ合わせは免疫力を高める手伝いをします。
もう一つはお手軽フレンチトーストで、浸さないタイプ。時間をかけずに、どんなかたいパンでもふんわりする手法。朝ごはんや休日ブランチにもお勧めの和風と洋風です。
卵には、幸せホルモンを作るトリプトファンも含まれています。バナナやミルク、豆乳などにも含まれるので、合わせると効果が増しますね。肌寒くなってきます、滋養をつけて体を冷やさぬようにすることが冬の養生に繋がります。