井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材を日替わりでご紹介します。

2020年 9月の記事

9/29

きな粉・大豆・みたき園

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きな粉を見かけると買わずにはいられません。和三盆かきび砂糖、塩を少し混ぜて、茹でたてのお団子や練りたてのわらび餅、揚げパンなどに山盛りにかけます。

きな粉は、もとが大豆ですからイソフラボンがたっぷり。女性ホルモンと似た働きをする効能があるので、更年期障害から来る不調の緩和にもお勧めです。大豆は良質な植物性たんぱく質を含み、免疫力を上げる手伝いをします。豊富な食物繊維は腸内環境を良くます。ハチミツときな粉、豆乳かミルクを少量を加えてゆるく練ったきな「粉クリーム」は子供にも人気です、明日のお月見団子にかけてもいいですね。
忘れられない私の中でのナンバー1きな粉は、鳥取県智頭町の山里にある山菜料理屋「みたき園」で出会ったきな粉。音と感触をたよりに、それはそれは大きなうすで手作業で丁寧にひかれ、少し粒が残っている。しっとりとした香ばしい風味がとても豊かで印象的です。冬は雪に閉ざされてしまうのですが、水質が良く広大な古き良き庭園の中におしゃれカフェも隣接されています。

地産の食材で作られる郷土料理はもとより、ゆっくりと流れる時間、随所に見れられる真心も素晴らしいご馳走でした。

9/28

棗(なつめ)・大棗(たいそう)・ナツメ・薬膳・漢方

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ナツメは9月〜10月頃に実る小粒の実で、色づく前は青りんごのようなかたさと風味がし、赤く完熟すればしっとりした食感に代わり甘くなります。
中国ではナツメを日常的に食べるそうで、1日3個のなつめを食べれば元気でいられると言われることから、秋に実るナツメをポプュラーに楽しむそうです。
ナツメは昔から珍重される五果の一つ(季・杏・栗・桃・棗)で、乾燥させたものは、大棗(たいそう)と呼ばれ、中医学では頻繁に使われる生薬です。気を補い、血流を増やし、精神を安定させる効能があると言われています。効能が高いので葛根湯にも配合されています。

ナツメ茶を作る時にはそのまま加えるより、半分にちぎって煮出しましょう。クコと合わせると効果も高まりふんわり甘みでます。紅茶と合わせても美味です。その他には、スープ(参鶏湯にも入っていますね)や煮物、ナツメ酒、ジャムなど使い道が色々あるので、私は薄切りにしてカラカラに干して、ストックしています。
毎年里山に出向き、ちょうどよい熟し加減のナツメを見極めて手摘みし、蒸して乾燥させ保存するまでの工程を楽しんでいましたが、今年はいつもご一緒してくださる農家さんに送って頂きました。

9/26

大豆・テンペ・発酵食

インドネシアが発祥の大豆製品のテンペは、大豆にテンペ菌をつけて発酵させた食品です。大豆以外に落花生バージョンもあるそうです。テンペ菌は、クモノスカビの一種で、発酵したテンペは白い菌糸に覆われています。大豆を茹でて、バナナの葉などに包んで発酵させたものが市場で売られています。現地では食べやすい大きさに切って、味を含ませて揚げ物にしたり、煮物や炒め物に使用。ベジタリアンに人気の食材で、欧米ではお肉の代わりに調理されることが多いようです。
テンペはクセがなくどんな料理にも使いやすいので、大豆のように気軽に使って下さい。煮物や炒め物も美味しいですし、から揚げのように醤油とおろし生姜、にんにくで下味をつけ、片栗粉をまぶして揚げ焼きしたお惣菜はお弁当にもお勧めです。サラダに加えると食べ応えがでて、便秘解消にも。キュウリ、トマト、ゴーヤーなど好みの野菜をざく切りにして、塩麹ベースのドレッシングと合え、手でくずしたテンペを加えるだけ。

大豆製品は女性に特にお勧めの健康食。日本の味噌と納豆、そしてテンペは世界中で注目されている発酵食品です

9/24

きのこ・椎茸(しいたけ)・免疫力

薬膳・まいにち食薬養生帖・きのこ・椎茸・しいたけ・免疫力

これから益々美味しくなるきのこ類。それぞれに異なる効能がありますが、共通して含まれる成分には食物繊維の一種、βーグルカンが有ります。このβーグルカンは、免疫力をアップさせる作用が知られています。

しいたけは、干すと骨を強化するビタミンDの含有量が増えます(日光にあたるとエルゴステリンがビタミンDに変わる)。お天気の良い時に1時間ほど干すだけなので手軽にできますね。コリコリとして旨味が凝縮、多めに作って冷凍保存しておくと便利です(旨味もuP)。

ちなみに椎茸は水で洗わなくて大丈夫です、石づきだけを落として、汚れがあったら優しく拭き取るだけで充分です。生の椎茸を炭火やグリルでシンプルに焼く時は、軸を上にして焼くと旨味を逃しません。塩を振って焼き、笠の中に水分が出てきたら、焼けてきた合図です。
きのこは数種類合わせるとそれぞれの旨味や食感が重なりあって、美味しさが増します。香りや歯ごたえを損なわない為に、なるべく短時間で調理して香りや歯ごたえも楽しんで下さい。

9/21

バナナ・栄養補給

バナナ・栄養俸給

日常のクイック栄養補給食としても人気のバナナ。ビタミン類やカリウム、エネルギーに利用されやすい糖類を含むので、スポーツする前後や疲れている時にお勧め。部活やジム、ゴルフなどの運動時に携帯する人も多いようです。
バナナは水溶性の食物繊維が豊富なので、便秘改善に効果があります。自律神経を整え、精神の安定に関わるセロトニンを作る材料のトリプトファンも含みます。牛乳や卵にも含まれるのでバナナミルクセーキを朝にいただくのもお勧め。夜質の良い睡眠をとれますよ。

バナナを購入する時は、色が濃い目で皮に傷が少ないものを選びます。食べごろはシュガースポット(黒い斑点)が出てきた時です。熟したバナナを少し温めて食べると、さらに甘みが立って美味しく感じますよ。

 

9/19

杏仁(きょうにん・あんにん)・杏仁豆腐・台湾・薬膳

台湾・杏仁豆腐・薬膳・杏仁

乾燥が気になる季節になってきました、喉の不調も多くなります。
薬膳では、喉の調子を整え、咳をしずめる効能が期待できるのが杏仁。杏子の種の中にある仁が杏仁です。温かいドリンクにすると香りも良くホッとします。
豆乳に氷砂糖と市販の杏仁粉を加えまぜて温めます。戻した薏苡仁(ヨクイニン・はと麦)や柔らかく煮た小豆を合わせてもいいですね。

体の余分な湿をとり毒素を排出する効果も期待できます。私の好きな台湾の杏仁豆腐屋さんは、手作りのやわらかなお豆腐を薄くすくって器に入れ、温かい杏仁風味の豆乳を注いでくれる。細めの揚げパンを浸していただくのですが、甘味はほんのりで朝食にもぴったり。地元の人ばかりで賑わう小さな市場(永楽市場)前の杏仁豆腐屋さん。台湾に行くと、必ず立ち寄るお店です。

 

9/18

落花生・ピーナッツ・ジーマミー豆腐作り方

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落花生・ピーナッツは南米原産の豆科の植物です。千葉の農家さんから立派な掘り立てをいただきました。洗って土を落とし、40分ほど茹でた後、皮を剥くと雪のように真っ白でした。土の香りがほんのり漂います。
口にするとコクがあってミルキー感が出ますが、後味はすっきりしています。沖縄の秘密のレストランで食べたジーマミー(地豆)豆腐を思い出しました。あまりに美味しくて作り方を教わりましたよ。まず水1カップとピーナッツ200gをミキサーに入れ滑らかにし、ザルに布やキッチンペーパーを敷いて濾す(豆乳と絞りかすができる。絞りかすはクッキーや卯の花などに)。小鍋に水1カップ、くず70〜80g、きび砂糖小さじ1〜2、粗塩小さじ半を入れて混ぜる。こした豆乳を加えて中火にかけ、木べらで混ぜながらプルンとなるまでしっかり練ります。出来立てを器に入れ、わさびと生醤油でいただく、もっちりして滋味深いお味です。生姜を加えたポン酢やみたらしあんでも美味。

落花生は生薬では血を止める、肺を補うとされています。たんぱく質、ビタミン、ミネラルが豊富、バランスの良い油分は血管を強くするそうです。カロリーがやや高めなので1日15〜20粒までにすると良いですね。

9/14

たまり醤油・醤油・発酵調味料

たまり醤油・醤油・発酵調味料

凝縮された旨味のたまり醤油は、とても魅力的です。普段のお惣菜では、使いやすく香ばしい香りの濃口醤油を使いますが、ここぞという時にはたまり醤油が登場します。旨味が凝縮されていて、色が濃いのに醤油の中でも比較的塩分が低いのもいいですね
濃口醤油の原型はたまり醤油で、主原料が違います。濃口醤油は小麦と大豆、たまりは旨味の元となる大豆がほとんどです。水に浸した大豆を、蒸してつぶし味噌玉を作ります。表面に麹菌をまぶしてムロに入れると、数日で麹菌が成長して発熱するので、室内の温度調節をし、熱を逃がすように手でほぐすなどの工程があります。ここまでの管理によって良品になるかが決まるそうです。この後、木桶に入れ食塩水を加えて重石をのせる。底のたまった液体(たまり)を下から上に循環させる工程を繰り返した後、3年間熟成させます。もろみを布に入れ、圧搾してやっと完成です。愛知県武豊町には昔ながらの木桶で作る志し高い蔵が密集していて、蔵に入るとそれぞれ違う香りがします(写真は桶に乗せた重石)。
地元ではお刺身や照り焼き、お煎餅になくてはならない調味料。霜降りしたマグロの漬けタレに、麻婆豆腐や焼き飯、デミグラスソースにもひとたらしするとグーンと美味しさが増します。
醤油の油という字ですが、油は使っていませんね。醤から出るとろみの意味合いから使われるようになったそうです。

9/13

米油・こめ油・クレープの作り方

米油・こめ油・クレープの作り方・クレープ

米油は100%お米を原料にした植物性の油で、ビタミンEが豊富です。酸化しにくく揚げ物がカラリと揚がります。加熱時に油特有の匂いが発生しにくく油酔いしないのも嬉しい利点です。米油は鶏肉の唐揚げや春巻きなど普段の揚げ物にお勧めです。

米油はクセがなく、サラリと軽い性質なのでお菓子作りにも大活躍します。今日は、思い立ったらすぐに作れるクレープを焼きました、とても簡単です。ボウルに卵1個を溶き混ぜ、小麦粉と牛乳を各1カップ、塩ひとつまみ、甜菜糖(砂糖)大盛り大さじ1、米油大さじ1を加えてよく混ぜます。後は、米油を馴染ませたフライパンを熱して、一度濡れ布巾の上で冷まします。再び中弱火にかけて、クレープ生地を薄く広げて焼くだけです。上記の分量で大体4枚分作れます(この生地は30分〜1晩冷蔵庫で寝かせると、また美味しくなります。好みで米粉を加えても)。
湯煎にかけたチョコレート、シュガーバター、ジャムやコンポートの甘い系はもちろん、生地がしっかりしているのでハムや卵、チーズを包んでブリトー風にしても美味しくいただけます。

 

9/9

アールグレイ・ベルガモット・紅茶

紅茶・アールグレイ・お茶

圧倒的な紅茶派です。ニルギリ、アッサム、ダージリン、高尾紅茶(台湾)など、気分によっていろいろいただきますが、とりわけ心を落ち着かせてくれるアールグレイが好きしす。
香り成分のベルガモットはイタリアで多く生産されるダイダイのような果実(マンダリンとの交雑種)で、苦味が強いので食用には向かず、主に果皮を使用します。アールグレイはこのベルガモットの精油で香りをつけた紅茶です。主成分の酢酸リナリルやリナロールはラベンダーにも含まれる成分で、気持ちを落ち着かせる効果が高いのです。高貴とも言えるその香りが、気の巡りを良くし、神経を落ち着かせてリラックスさせてくれます。
少し古くなって香りが飛んでしまった紅茶に、乾燥させたベルガモットの皮を一緒に入れて、数日保存すると香りが移ります。私は国産ベルガモットを入手した際に、皮を乾燥させて保存してあったものを使いました。