井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材を日替わりでご紹介します。

2022年 1月の記事

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春菊・菊菜・風邪予防

春菊・菊菜・風邪予防・薬膳・食養生・ひじき

春菊が美味しい季節ですね。薬膳では漢方薬としても用いられるほど、薬効のある野菜です。野菜の中でもカロテン、ビタミンC、A、K、ミネラル、食物繊維が豊富で食べる風邪薬とも呼ばれています。

すき焼きや鍋などに春菊がよく入っていますが、その独特の香りと風味が胃をすっきりさせてくれる感覚を持ちます。実際に、胃腸の働きを促し、胃もたれを改善させる効果が期待できます。香成分のペリルアルデヒドは、イライラを鎮める作用もあります。その他に、のぼせなどを覚える、なかなか痰が切れない方にも良いそうです。

春菊の栄養を効率的に体に摂取できる簡単なサラダをご紹介します。フライパンに4cmに切った春菊の茎の部分を入れ、あればひじきやワカメ、好みで戻した干し椎茸などを入れます。オイルと塩を全体に適宜ふり、蒸し煮にしてボウルに移す。葉の部分とさっくりあえて、旬の柑橘をたっぷり絞ります。油を使うことでカロテンの吸収を良くし、硬い茎も食べやすくなります。水溶性の栄養は生食が一番、茎以外はそのままいただきます。

その他に、春菊のクルミ和えもお勧めです。春菊は硬い部分を落とし、熱湯で茎の方から塩茹でしてさっと冷水にとってザルに上げます。軽く絞って醤油適宜を全体にふり(醤油洗い)、ぎゅっと絞って3cm幅に切ります。半すりにしたクルミやごま、蜂蜜、醤油少々を混ぜたペーストと、醤油洗いした春菊を和えます。下ゆでした野菜を醤油洗いするとグンと美味しくなりますよ、和食の調理法です。美味しい上に美肌効果も上がり、便秘解消にも良い和え物です。ついでに、薬膳での胡桃はボケ防止に良いとされています、美肌にも有効なオメガ3などを含みます。

 

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苺・strawberry

井澤由美子・薬膳:漢方・喉の渇き・苺・いちご・イチゴ・肌養生・風邪予防

冬から出回りますが、春先は香り豊かで美味しいですね。いちごはビタミンCが豊富で肌養生や風邪予防にも良く、コラーゲンの生成にも役立ちます。いちごは喉の渇きを和らげ、体にこもった余分な熱を下げたい時にもお勧めの果物です。5粒程度食べると1日分のビタミンが得られるそうです。

できるだけヘタが緑でピンと張り、実に傷がないものを購入します。ヘタを落とすと切り口からビタミンCが流出するので、洗う時はヘタつきのままでさっと洗うようにしましょう。
毎年作るいちごのビネガーシロップは姪っ子達にも大人気。ミルクを加えると少し固まって、ヨーグルトのような食感になります。
いちごに含まれるアントシアニンは、乳製品の脂質と結び付くと吸収率が高まります。子供の頃にはお砂糖と牛乳が私の中でも名コンビでした、昔ながらの組み合わせには意味があるんですね。

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金柑・ドライキンカン・風邪予防

・風邪予防・食養生・きんかん・金柑・喉の痛み・キンカン・柑橘類・薬膳・

柑橘類が豊富に出回っていますが、中でも金柑属の個別分類になる(皮ごと食せる)金柑がとても美味しく感じます。ヘタが緑で艶がよく、より赤みの強いものを購入し、よく洗ったら皮ごと存分に楽しみます。喉にもよい金柑は甘露煮にしたり、コンポートにして保存。きんかんを2、3分下茹でしてアクを抜きます。蜂蜜に漬けるだけでも良いですが、鍋に移してきんかん分量の半量くらいのきび砂糖とかぶるくらいの水と、少々の酢か白ワインを加えトロミが出るまで煮詰めます。煮物や酢豚などに入れると味に奥行きがでて、鶏肉や鴨肉などともよく合います。お菓子には、タルトやソルベになどにすると爽やかです。
金柑の皮に含まれるヘスペリジンやビタミンCは風邪予防やアレルギー対策に有効、香りには気の巡りをよくする効能があり、ストレスを緩和し心を落ち着かせます。
写真はセミドライ金柑、皮ごと薄切りにして3日間干すだけ。セミドライなら、サラダに散らす、ケーキの飾りにすると可愛い仕上がりに。しっかり乾燥させたものは、長期保存ができ、お茶や飲み物に加えるとフレーバーティーになり、甘みがほんのり移ります。

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サトウキビ・黒糖・食養生

食養生・蒸しパン・黒糖・きび砂糖・サトウキビ・黒糖蒸しパン・薬膳

サトウキビの絞り汁を時間をかけて煮詰めたものが黒糖(黒砂糖)。奄美大島と加計呂麻島に行って、旅をしながら気に入りのお店を巡っては、手造りの黒糖を購入し味比べして楽しんでいたのがこの時期。まだぬくもりのあるカケラを口に入れると天然由来の嫌味ではない微かな酸味や苦味が奥の方に感じられて、美味しいものでした。

黒糖はカルシウムも多く、鉄分、ミネラルが豊富です。様々な種類の砂糖の中でも薬膳での黒糖は、体を温める効能がとりわけ高いと言われています。黒糖のソイラテは相乗効果で女性に嬉しい効果がありますし、黒糖と干し生姜の入った蒸しパンやパンケーキも滋養があってお勧めです。

サトウキビは刈り取ったら、すぐに汁を搾り手作業で加工されます。黒糖作りはサトウキビの収穫期と一緒でなければできません、12月から3月終わり頃までが旬。ハブにも挑みながら大変な労力が必要な黒糖作り、貴重な甘味です。

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ニラ・滋養強壮

ニラ・ニラ玉・薬膳・食養生・漢方・ニラの効能・ニラレシピ

食欲増進、疲労回復に良いとされるニラは、最も調理しやすい野菜ですね。ニラレバやニラと豚肉炒めなどはシンプルですが、ニラのアリシン、カロテン、肉のビタミンB1などが合わさって相乗効果のある組み合わせです。ニラの効能を使った昔ながらの民間療法も沢山あります、嘔吐やゲップにお困りの方は、ニラをさっと茹でて絞ったものと、生姜をおろして絞ったものを牛乳で溶いて飲む。腰痛や肩こりには、熱燗を呑みながらニラのお浸しなどをお酒のお供にいただくなど。

薬膳では、ニラには止血効果もあり、鼻血、不正出血などに良いとされています。ですが作用が強いので胃腸の弱い方、小さなお子さんは少し控えめになさって下さい、ニラはお腹のホウキと呼ばれるほど便通効果が高いので便秘気味の方には良いもの。それからお腹が弱い方は蜂蜜と併用すると下すこともあるようなので気をつけます。

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白菜・クリームシチュー・発酵食

井澤由美子・シチュー・白菜・養生三宝・薬膳・畑仕事・冬野菜・ハクサイ

温かくヘルシーで、食べ応えのあるシチューはいかがでしょう。まず3、4枚分の白菜の軸と緑の葉の部分を切り分けざく切りに、にんにく1かけ分はスライス、鶏もも肉1枚分を食べやすく切る。フライパンにオリーブオイルかごま油大さじ1を熱し、にんにくと鶏肉を炒める。色が変わったら白菜の白い部分だけを加えてしんなりするまで炒め、塩、胡椒する。豆乳2カップと白みそ(みそ)大さじ1〜2を入れて煮立て、残りの白菜を加え中弱火で3〜5分ほど煮込む。白菜の軸は炒めると、とろりとして甘みが増すのですが、この一手間でグンとコクがでて美味しくなります。最後に大さじ1の葛粉を少々の水で溶いて加え、とろみをつける。鶏肉の代わりに牡蠣を加えると精神を安定させる効果が高まり、更年期障害のイライラや落ち込みを改善します。その他白菜は胃腸を整え、お酒の解毒効果があるので二日酔いやむくみに有効、朝のお味噌汁などにもいいですね。

ビタミンCや繊維が多く便通も良くしますよ、発酵食品の味噌と同じ大豆の豆乳を合わせると、特に女性の健康維持にかかせないイソフラボン(味噌にも豆乳にも多く含まれている)のダブル効果で、骨量もふやす一皿になります。

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白味噌・酒粕・美肌・ショコラショー

白味噌・酒粕・発酵食・ホットドリンク・食養生

小雪が舞う寒い日。打ち合わせから始まる早朝は、ホットショコラショーで楽しみます。白みそをアクセントにした、酒粕とホワイトチョコレートのホットドリンク。酒粕(練り粕)、牛乳、アーモンドミルクか豆乳を小鍋に合わせて火にかけ、煮立つ直前で火を止める。あとは、白味噌と割ったチョコレートを溶かすだけ。
バニラエッセンス少々とカルダモンを落とすと、奥行きが出て風味豊かになります(カルダモンはレモンに似た香りを持ち、胃腸薬でもあり、口臭予防にも効くスパイス・生薬)。
短時間熟成で甘みがある白みそは塩分濃度が6%前後と低く、乳酸菌が豊富。なめらかでコクがあり、柔らかい塩気がこのドリンクの良いアクセントになります。
酒粕のレジスタントプロテインは食物繊維のような働きをし、腸の老廃物をからめ取って排出します。また米麹は美肌に有効な成分を含むため、米麹の割合が多い白味噌と合わせると、美白・美肌効果も上がります。

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小松菜・鶯菜・冬菜・江戸東京野菜

小松菜・江戸東京伝統野菜

小松菜の原産地は日本。江戸時代から今も続く東京江戸川区特産品です。江戸雑煮には欠かせない野菜で、伝統小松菜の「後関晩生」は、茎も柔らかで美味。よく見かける小松菜は品種改良をした丈夫なもので、食べ応えがありますね。

カルシウム、ビタミン、鉄分、カロテン、食物繊維が豊富で、風邪予防、貧血予防の他、骨を丈夫にする作用があります。中医学では歯周病予防に良いとされていますよ。
小松菜のシンプルな食べ方をご紹介します。鍋に湯を沸かして塩を加え、茎の方から先に入れ茹で、冷水にとって冷まし、水気を絞ります。しょうゆを全体にかけて下味をつけ(しょう油あらい)、再度ギュとしぼって食べやすく切って器に盛り付ける。この一手間でひと味もふた味も違う美味しさが生まれます、お好みでおろし生姜や鰹節を添えたり、白和えにしても。
その他、簡単調理のフライパン蒸しもお勧めです。ザクザク切った小松菜を茎から入れ、オリーブオイルと塩をパラリとふり、フタをして強火で蒸し炒めにします、シンプルな調理が美味しさを引き立て、栄養価を逃しません。ニンニクを入れてナムルにすれ風邪予防にも最適です。

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ブロッコリー・緑黄色野菜・冬野菜

ブロッコリー・緑黄色野菜・冬野菜・食養生・薬膳

ブロッコリーは野生のキャベツを品種改良したもので、さらに改良されたものがカリフラワーです。蕾の部分の緑黄色野菜、購入する時は、かたくしまって緑が濃いものを選びます。通年出回りますが、冬から春にかけてが旬です。
ブロッコリーは、胃腸に優しく、免疫力を高める野菜としてイタリアなどでも古くから栽培され、親しまれてきました。
カロテンやビタミンE、C、繊維が豊富です。甘味がある茎も、皮をむいて食べやすく切って一緒に調理しましょう。ブロッコリーのビタミンCは水に溶けやすいので、損失を補う塩を加えて基本的には短時間の調理にします。簡単にフライパンに入れ、塩、水、オイル各適宜を降って蒸しにすれば、カロテンも効率よく体に吸収できます。

多少色が落ちますが、ブロッコリーを柔らかく蒸すとしっとりして美味しいなぁと思います。まずはそのままいただいて、残ったらスープやピュレなどにしても。疲れている時は豚肉と一緒に調理すると、疲労回復をグンと助けます。

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養生三宝・白菜・白菜のシチュー

井澤由美子・シチュー・白菜・養生三宝・薬膳・畑仕事・冬野菜・ハクサイ

「白菜・大根・豆腐」は、養生三宝と言われるほど滋養がある野菜です。冬ならではの白菜はずっしりと重く、特に軸の甘味が美味しいですね。この軸の部分の旨味をグッと引き出したシチューは冬の醍醐味です。相性のよい白みそでこっくりとした味付けにし、葛でとろみをつけたシチューは体の芯から温まります。作り方は簡単です。白菜は軸と葉の部分に切り分け、それそれ食べやすい大きさに切り分けます。
フライパンにオリーブオイルとにんにく、鶏もも肉を入れ、塩、こしょうして炒め、肉の色が変わったら白菜の軸を透き通るまでじっくり炒めます。かぶるくらいの鳥ガラスープを加えてふたをして蒸し煮にします。しんなりしたら豆乳、白味噌、葛粉各適宜を混ぜたものを加え、まぜながらとろみをつけます。器に盛理、オリーブオイルや挽きこしょうをふっても。肌もキレイになる一皿です。
白菜は食物繊維がたっぷりで低カロリー、ビタミンCはりんごより多く、カリウムやカルシウムなどをバランスよく含みます。白菜の内側は柔らかいので
内側に向かってぜひサラダなどで食してみてください・