井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材を日替わりでご紹介します。

2020年 3月の記事

3/30

蕗・ふき

写真 5

ふきはキク科の多年草。天然物は3月〜5月に、栽培物は秋以降に出荷されます。食物繊維たっぷりで、独特の食感と風味がありますね。鮮度が落ちやすいので、購入したらなるべく早く調理しましょう。太さが1、5㎝前後のものが食べやすく、香りも良い気がします。葉を落とし、まな板にのせて塩をふって上下に転がして板ずりし、沸かした湯に太い部分から入れて1分半ほど茹でて冷水にとります。冷めたら切り口から引くようにして皮を剥きます。出汁で炊いたふき煮にすると、少し汗ばむ日には生姜少々を加えた歯ごたえの良いふきの甘酢漬けなど、清々しくておすすめです。

3/26

人参・春人参・にんじん・眼精疲労

食養生・薬膳・漢方・食薬ごはん・まいにち食薬養生帖・人参・にんじん・キャロットラペ・ドライアイ

花粉が舞うこの時期は、特に目のかゆみや乾燥が気になりますね。にんじんは鼻や喉の粘膜を健康に保つビタミンAが豊富な野菜。
春にんじんはみずみずしく甘さもあって良い香りがします、生でいただくと栄養を丸ごといただけます。キャロットラペ(人参サラダ)の作り方です。皮付きの人参をタワシでこすり洗いし、千切りにします。レモンやオレンジのしぼりたての果汁、オリーブオイル、粗塩をふって馴染ませる。にんじんの酵素、ビタミンC、カロテン、繊維がたっぷりなサラダです。今なら金柑を加えても良いですね、甘み、香り、色が冴えた美しい一品になります。
花粉症が気になる方はヨーグルトと合わせて。薬膳では人参は日々取り入れると血と津液を作る手助けをします。

3/24

シナモン・桂枝(けいし)・肉桂(にっけい)・スパイス

冷え・食養生・スパイス ・spice・冷え・薬膳・漢方・シナモン・スパイス・肉桂

シナモンスティックやシナモンパウダーを適宜お茶に入れるのが日課です。
シナモンはスリランカ、インド南部が原産地。日本でも国産のシナモンが温かい地方で栽培され、春に収穫されます。薬膳の肉桂(桂枝)は根っこ部分、樹木のシナモンとは種類が違うのですが、薬効は似ています。冷えをとり五臓を活性化させるとされており、関節痛などの痛みや、血のめぐりの改善に欠かせない生薬です。
体を温める作用は生姜以上とされ、指先などの毛細血管まで温めるそう。体温が上ると免疫力も高まります。身体はなるだけ冷やさないように日頃から気をつけます(首、手首、足首、腰などは特に)。
香りが良いので、リラックスしたい時のお茶にもピッタリです、シナモンをポキっと折った半本と丁子(クローブ)2個、紅茶などの発酵茶適宜を合わせてブレンドティーに。
シナモンはアップルパイなどのお菓子に欠かせませんが、カレーや、醤油味の煮込みにも意外とお勧めです。
私はワインビネガーやお酢にスティックごと漬けてシナモンビネガーとして素敵な香りと効能を楽しんでいます。ドレッシングに加えたリ、マリネに使うとひと味違います。

3/20

クレソン・クレス・オランダガラシ・薬味

西洋芹・薬味・クレソン・オランダガラシ・抗菌作用・食欲増進

柔らかい摘みたてのクレソンはとても可愛らしく、清らかな感じが伝わります。どんな風にいただきましょうか。
まずは繊細な風味を味わいたいのでそのままサラダにして。
クレソンを口に運ぶと爽やかな辛さを感じるのですが、これは大根やわさびに含まれているのと同じ成分のシニグリンで、消化を助けたり、胃もたれの改善、食欲を増進させる作用があります。
クレソンには抗菌作用があり、老化防止やがん細胞の増殖を抑制します。また、鉄分とその 吸収を助けるビタミンCの両方を含むので、血をきれいにする効能が期待できるそうです。
クレソンはさっと茹で、軽く昆布締めにしても大人風味で良いもの。デトックスジュースや、新じゃが芋と合わせて温かいポタージュスープもいいですね。クレソンは、微かな苦味がさわやか。みずみずしい食感を少し残してたっぷりといただきたい野菜です

3/16

発酵食・納豆(なっとう)

IMG_4373

日本の発酵食品の代表格といっても過言ではない納豆。良質なたんぱく質や食物繊維が豊富な大豆に、納豆菌を吹きかけて発酵させたものが納豆です。納豆菌が大豆に含まれるたんぱく質を分解することで、アミノ酸がうまみの元になります。骨量を増やすイソフラボン、ビタミンB群などが豊富で、さらにはカルシウムを吸収しやするビタミンKも含まれす。また、納豆に含まれるナットウキナーゼという酵素は血圧を下げる効果が期待できます。
免疫力は腸内環境を整える事から。効果が高い納豆は朝食のイメージがありますが、夜に食べるのもお勧め、作用が高まります。1日約50gほどいだきましょう(50gは大体1パックです)。
小腹が空いた時のお勧め軽食です。食パンにスライスチーズをのせます。納豆に辛子と付属のタレ、古漬けのきゅうりやしば漬け、沢庵など、濃い味の漬物を刻んで混ぜたものをのせ、トーストします。だまされたと思ってお試し下さい、お酒のおつまみにもピッタリ。

3/14

グレープフルーツ・ダイエット

グレープフルーツの香りには食欲を抑え、中性脂肪をたまりにくくする作用があるそうです、ダイエットにも向きの果物でもありますね。
何より、豊富なビタミンCがストレス緩和に◎。また、爽やかな香りはうつや心の不安を軽減する効果も期待できます。神経の高ぶりを抑えるカルシウムと合わせるとさ、らに効果的ですね。ヘルシーにヨーグルトやカッテージチーズと合わせてもいいでしょう。
食べやすい切り方は、まず皮ごと上下を落とます。皮とと白いわたを一緒に丸みに沿ってナイフで剥き、わたが残ればキレイに全て剥きます。ボウルの上で皮と実の間にナイフを入れ、果肉を取り出す。残った部分(薄い皮)には果汁が残っているのでぜひ絞って最後まで楽しんで。
(グレープフルーツと併用できないお薬を飲んでらっしゃる方は、気をつけて下さい)

3/12

よもぎ・蓬・デトックス

よもぎ・山菜・ハーブ・野草・デデトックスス

沖縄で、デトック効果が高いと評判のよもぎ(フーチバー)と月桃の蒸し風呂に入ったことがあります。北海道のお気に入りの宿では、薬草風呂として温泉に入っており、アイヌ語でカムイノヤ「神の草」と呼ばれ、さまざまな料理にも使われています。フランスでは、エルブロワイヤル「王の草」、中国では「医草」と呼ばれ(薬膳では血をきれいにするとされる)。世界中でその効能が認められています。
娘が小学生の頃、担任の先生が生徒達を近くの土手に連れて行き、よもぎの見分け方を教えてくれたそう。そして、食べられる分だけを皆で摘み、よもぎ餅を作って食したとのこと。高い薬効の話と手摘みをして食すという根の深いところまで知らしめた授業は、娘にとって心に残る素晴らしい食育だったのは言うまでもありません。

3/11

からし菜・辛子菜・カラシナ・発酵食

IMG_0890

からし菜はアブラナ科の越年草で、青梗菜や白菜などと同じ仲間です。金沢では伝統野菜として知られ、からし菜漬けが有名ですね。からし菜の辛子は種子の意味で、和辛子を指し、独特のほろ苦さや辛味が特徴です。
中医学ではからし菜には食欲不振を改善したり、冷えからくる胃痛によい効能が期待できます。漬物やお浸しなどにされることが多いのですが、今日は葉が元気なからし菜が手に入ったので硬い茎の部分は炒め物に使い、葉の部分でキムチを作りました。写真はでき立てのもので、和えてすぐのフレッシュ感が現れていますね。ごはんと具沢山のスープがあれば立派なお膳になります。1ヶ月後の酸味が出た熟成キムチもまた楽しみ。

3/9

さやえんどう・絹さや(きぬさや)

春らしい優しい色合いのさやえんどう、最盛期は3月〜6月頃。さやえんどうにはカロテンやビタミンB1やCが豊富なので免疫力を高める働きがあります。加熱調理はできるだけ短時間を心がけ、歯切れの良い食感を残し、栄養の損失を防ぎます。彩としてで添えられることの多いさやえんどうですが、副菜で使ってしっかり量を食べたいですね。
さやえんどうは茹でる前に冷水に5分くらい放すとピンと元気になり、熱伝導がよくなります。筋を取って塩茹でしますが、塩だけで なく砂糖少々を加えると彩りよく茹で上がり、かつ青臭さが抜けます。冷水で冷やして色止めする時は、風味を大事にしたいなら冷水に取らず、ザルにおいて仰ぎましょう。オイル蒸し、お浸し、玉子とじなどシンプルに調理して、たっぷりと春の息吹を堪能してください。
中医学では、さやえんどうは春の食養生として、脾胃を健やかに保つ甘みのある野菜とされています。エネルギーを補い、体内の湿気をとり、イライラやストレスを緩和するとされています。

3/8

苺・いちご・strawberry

井澤由美子・薬膳:漢方・喉の渇き・苺・いちご・イチゴ・肌養生・風邪予防

冬から出回りますが、春先は香り豊かで美味しいですね。いちごはビタミンCが豊富で肌養生や風邪予防にも良く、コラーゲンの生成にも役立ちます。いちごは体にこもった余分な熱を下げたい時にもお勧めの果物です。5粒程度食べると1日分のビタミンが得られるそうです。できるだけヘタが緑でピンと張り、実に傷がないものを購入します。ヘタを落とすと切り口からビタミンCが流出するので、洗う時はヘタつきのままでさっと洗うようにしましょう。
毎年作るいちごのビネガーシロップは姪っ子達にも大人気。ミルクを加えると少し固まって、ヨーグルトのような食感になります。
いちごに含まれるアントシアニンは、牛乳の脂質と結び付くと吸収率が高まります。子供の頃にはお砂糖と牛乳が私の中でも名コンビでした、昔ながらの組み合わせには意味があるんですね。