井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材を日替わりでご紹介します。

2020年 1月の記事

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養生三宝・白菜・白菜のホワイトシチュー

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「白菜・大根・豆腐」は、養生三宝と言われるほど滋養がある野菜です。冬ならではの白菜はずっしりと重く、特に軸の甘味が美味しいですね。この軸の部分の旨味をグッと引き出したシチューは冬の醍醐味です。相性のよい白みそでこっくりとした味付けにし、葛でとろみをつけたシチューは体の芯から温まります。作り方は簡単です。白菜は軸と葉の部分に切り分け、それそれ食べやすい大きさに切り分けます。
フライパンにオリーブオイルとにんにく、鶏もも肉を入れ、塩、こしょうして炒め、肉の色が変わったら白菜の軸を透き通るまでじっくり炒めます。かぶるくらいの鳥ガラスープを加えてふたをして蒸し煮にします。しんなりしたら豆乳、白味噌、葛粉各適宜を混ぜたものを加え、まぜながらとろみをつけます。器に盛理、オリーブオイルや挽きこしょうをふっても。肌もキレイになる一皿です。
白菜は食物繊維がたっぷりで低カロリー、ビタミンCはりんごより多く、カリウムやカルシウムなどをバランスよく含みます。白菜の内側は柔らかいので
内側に向かってぜひサラダなどで食してみてください・

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高野豆腐(こうやどうふ)・豆乳鍋

風邪が流行っていますね、体調管理が大切です。必須アミノ酸がとても豊富な高野豆腐は、使い勝手の良い乾物。悪玉コレステロールを減少させ、脂肪の代謝を促します。たんぱく質が豊富で疲れにくいカラダを作るなど、嬉しい利点が沢山あります。
体調の悪い時は、高野豆腐をすりおろしておかゆに加えると栄養価が上がり、ふんわりして食べやすく離乳食や介護食などにもお勧め。また、すりおろした高野豆腐は、パン粉の代わりに使うとヘルシーです。高野豆腐は豆乳鍋に加えても美味しいですよ。鍋で高野豆腐やきのこを出汁で煮て、後から豆乳を加えるだけです。好みで豚薄切り肉などを加えてもいいですね。高野豆腐はポン酢などをつけても美味しくいただけます。体調がすぐれない時などにもお勧めの高野豆腐、滋養がつきます。

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百合根・ゆりね・百合

少し厚めの花びらのような形のゆり根の食感は、甘くホクホクとしています。繊細な風味とビロードのような舌触りから、お菓子やポタージュスープにも適しています。ゆり根の効能は素晴らしく、漢方では百合(ひゃくごう)といって、不安感や不眠、動悸、更年期障害などを軽減し、自律神経を整える生薬です。ナーバスになりやすい子供の受験期に、ゆり根入りの茶碗蒸しやミルク煮をよく作りました。北海道などの産地では贅沢にも、チーズのグラタンやミルクスープにたっぷりつかっていました。良質なたんぱく質やカルシウムを合わせてとれ、心身ともに元気になる組み合わせです。美味しさが凝縮するかき揚げも大変美味。下処理としては、ゆり根を1枚ずつ剥いで砂などの汚れを除きます。後は、茹でる、蒸す、揚げるなどして調理しますが、火が入りやすい事も考慮して加熱時間は短めに。
百合根には、咳を止める効能もあるので、抗菌作用が高いはちみつと合わせて煮るとさらなる効果が期待できます。

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COMTE・コンテチーズ・チーズ  ・発酵食

熟成コンテが好きで、いつも冷蔵庫に入っています。
コンテは、フラン人にとても人気のチーズ。生産量はフランスでNo.1。AOPに認定されたチーズの20%以上をしめています(AOPは原産地呼称保護/フランスの品質保証制度)。
スイスとの国境近く、アルプスにほど近いジュラ山脈一帯のフランシュ・コンテ地方は冬は寒さが厳しく、しいて言えば北海道のような環境です。熟成士によって丹精込めて作られており、添加物は一切使わず、水分を抜いて作るハードタイプのチーズなので旨味が凝縮しています。45種あるフランス産AOPチーズの1つです。
ワインの勉強を少しかじると、テロワール(土壌・その土地の気候)について学びますが、チーズもその土地土地土壌の豊かさを個々に醸し出すもの。牛が食べる草や干し草など、時期によっても風味や色が変わる。これはバターも同じですね。若いコンテは調理に向いていますが、私は結晶化したシャリシャリ感や、芳醇で凝縮した風味が好きなので、熟成期間が長いコンテを選び、そのまま果物などを添えて楽しんでいます。
合わせるワインは同郷のサバニャンで作られる黄ワイン「ヴァン・ジョーヌ」とのマリアージュを1度お試しいただきたいです。ナッツやハニーの華やかな香りのワインや、樽が効いたシャルドネ、濃密な香りの貴腐ワインもいい。もちろんシャンパーニュもお勧めです。

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牡蠣・かき・カキフライ・滋養強壮

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身がプクプクのカキは美味しいですよね。食べると元気が出ます。写真は漁師さんの手の上で剥き立て、厚岸産のカキです。カキには亜鉛、マグネシウム、タウリン等が多く含まれ、味覚を正常に保ち、貧血や慢性的な疲れを改善します。ビネガーに刻んだエシャロットを混ぜ、カキと合わせていただくと
酢の殺菌作用に食えわえてカキの独特の匂いが和らぎます。レモン果汁やにタバスコをふるのもお勧めです。加熱したカキも外せませんね。サクサクのカキフライを香りの爽やかなレモンマヨネーズで食べたくなります。サクッと揚がる衣の作り方をご紹介。小麦粉大さじ1、卵1個、水大さじ1を混ぜて卵液を作る。かきの水分をふき取り、粗塩とこしょうをふって小麦粉をはたき、卵液にくぐらせ、たっぷりの生パン粉をギュッと押し付けて180度でカラリと揚げる。パン粉をつけたあと、油が温まるまで冷凍庫で冷やしておきましょう。中医学でかきの殻は「ぼれい」と呼ばれる生薬で、主に真カキの膨らんでいる左殻を指すそうで、高温で焼いて粉末にしたもの。虚弱体質、不眠、めまい、精神安定、利尿薬などに使用されます。

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わかめ・海藻・ワカメ・若布

わかめは「若女」と書かれることもあるほど、美容によく若返りの食材とされてきた海藻です。わかめの茎の部分がめかぶで、そろそろ旬を迎え市場に出回ってきますね。カルシウムやカリウムなどのミネラルも多く、骨を丈夫にします。海藻に含まれる独特のぬめりは食物繊維の一種のフコイダンとアルギン酸によるもので、血中コレストロールを下げる働きがあります。わかめは繊維やヨウ素が豊富で、便通作用に加え、髪も綺麗にしてくれるので日々食したいものですね。お勧めの料理は定番の酢の物やお味噌汁。わかめのカルシウムは酢とわせてとると吸収がよくなります。みそとわかめは共にデトックス効果があります。わかめは
加熱時間はできるだけ短めにします。新鮮なわかめは、柔らかくなめらかでとても美味しいので、ぜひわかめのしゃぶしゃぶで楽しんで下さい。

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酒粕・発酵食・干しイカ・烏賊・いか

毎月出張している鳥取県で、酒粕といかを合わせた白菜の漬物をご馳走になりました。いかはスルメイカを干したものを戻して使っており、白菜と酒粕に干しいかの絶妙な旨味が加わったオツな保存食。酒粕は漬け込み調理に使うと食材を柔らかくする効果があります。熟成期間の長い練り酒粕は芳醇な香りがし、甘みがあって使いやすいですね。この香りの元の酵母菌はいろいろなビタミンを含み、菌そのものに美容効果が期待されます。
今年の酒粕をいただいたので、みそをみりんを溶いて干しいか(するめいか)を漬けてみました、熱燗が進んで困る感じです(笑)。酒粕で漬けたスルメイカを少し大きめに切り、衣をつけて天婦羅やフライにしたら楽しい一皿に。酒粕はもとより、干したスルメイカを見直した日になりました。酒粕は体を温める効能の他、肌のコラーゲン量をUPする働きが期待できるので日常的に食べたいですね。

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中国山椒・麻婆豆腐・冷え

真っ茶色の本格的な四川麻婆豆腐が出てくると嬉しくなります。中国山椒(花椒・赤い山椒・ホワジャオ)がたっぷりと入って、辛いと言うより舌がビリビリ痺れるくらいの容赦ない大人の麻婆豆腐。150年前ほど前に、四川省に住む陳さんという料理上手な女性が材料があまりない中で、山椒、豆豉、辣油、豆腐、牛肉などで
が作ったのが始まりだとか。日本には昭和25年頃に、日本人向けの味付けにして広めたのが陳健民さん。これは有名な話しですね。牛肉は体力を回復させて抵抗力を上げ、豆腐は身体を潤し、にんにく、生姜、ねぎ、唐辛子は血行を促進させるので、寒い季節に良いですね。豆腐の下処理ですが、2cmくらいに食べやすく切り、塩少々を加えた湯でゆらりとするくらいの火加減で下茹でします。厚手のキッチンペーパーに包んで600Wのレンジに2、3分かけるだけでも良いでしょう。中国山椒の青山椒(タンジャオ)は赤くなる前のもので、爽やかな香りと辛味が特徴的です。熟した赤い山椒(ホワジャオ)は痺れるような辛さがあります。私はブレンドして使うこともあります

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うどん・卵とじうどん

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寒い日には特に美味しく感じる熱々の麺類。今日はことのほか冷えるので、おろし生姜をたっぷり添えて卵とじのおうどんに。鰹と昆布出汁を温めて、醤油やみりんで濃いめに味付けし、水で溶いた葛(片栗粉でも)で強めのとろみをつけます。これをべっ甲あんといいます。うどんの主成分はデンプンの炭水化物で、胃に止まる時間が短く、消化されやすいのが特徴です。出汁や具材の栄養を丸ごと摂取できるので、バランンスの良い食事になります。
卵は溶いてそのまま加えるのが定番ですが、別の小鍋に少々の出汁を温めて、溶いた卵を流す入れ、器に盛ったうどんにのせる方法もお勧め。卵がふんわりして美しい仕上がりになります。あんで閉じると料理が冷めにくくなる利点もありますね。卵は体に吸収されやすいたんぱく質を含みます。また、生姜と葛は生薬でもあります、血行を良くし体を温めます。

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にしん漬け・漬けもの・発酵食品

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北海道の知人宅でいただいたにしん漬けは麹が多め。おみそ汁と同じようにそれぞれの家庭の味付けがあるそうです。市場で見かけたものすごく大きなキャベツは「札幌大球」といって、普通のキャベツより5倍くらい大きい。収穫までに半年かかるそうで、歯ごたえはあるけれど甘くて柔らかいのが特徴です。にしん漬けは、このキャベツとかぶや大根、人参、みがきにしん、麹、唐辛子、塩を使って作られる郷土料理で、寝かせるだけ味が馴染んで美味しくなります。大人になって初めて食しましたが、奥深い味わいでしみじみ美味しい贅沢な発酵食品です。塩麹は近年商品化もされていますが、昔はなかったはず。麹と塩と地産地消の食材で手間隙かけた味が脈々と受け継がれた鰊漬けは、その土地の文化を感じさせてくれる素晴らしい発酵保存食です。