井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材を日替わりでご紹介します。

2022年 2月の記事

2/28

レモン塩・lemonsalt・レモンの塩水漬け・柑橘類

レモン・lemon salt・柑橘類・旬の果物・檸檬・レモン塩・塩レモン・塩水漬け

日本のレモンの旬は冬から春先。果汁たっぷりの完熟レモンを使って、香りの調味料として「レモン塩」を初めてご紹介したのは2010年のきょうの料理とあさイチさんでした。

作りおくと便利なレモン塩ですが、少量や直ぐにお使いになりたい場合は、大きめレモン1個分のスライスと粗塩大さじ2半〜3をポリ袋にいれ、袋の上から馴染ませた(クイックレモン塩)がお勧めです。

従来の作り方は、清潔な保存瓶や容器に塩とレモンの輪切りや乱切りを交互に入れて1週間ほど寝かせたもので、玉に容器ごと振って全体をなじませる。レモンエッセンス(レモン塩果汁)がたっぷり欲しければ、追いレモン果汁をすればOKです。

レモンの皮にはダイエット効果がありますし、爽やかな香りのリモネンには神経の興奮を抑えるなどのリフレッシュ効果があり、肉や魚はしっとりします。お料理に使うといいことずくめなのです。レモンの皮は、塩蔵するとやわらくなって苦味も軽減。ポンとお鍋やスープにおとしたり、魚と一緒に蒸したりと気軽に使えます。もちろん豚肉や鶏肉とマリネし、ソテーするだけでも美味。お弁当などにも防腐効果が高いのでお勧めです。

その他、桜の塩漬けの発色、林檎やアボカドの色止めと味つけ、塩辛類の生臭消しなど、四季折々のあらゆる食材ともレモン塩は楽しめます。

塩分濃度やレモンの保存状態でも調理は変わります。何よりプカプカと浮く塩水漬けを見ていると心が浮き立つ。料理がシンプルになり、疲労回復など体への効能が高いのも魔法の調味料と呼ばれる所以です。

2/25

海藻・昆布・わかめ・美髪

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大きなめかぶを目にします。腎の働きを良くする海藻類は、女性特有のトラブルにも良いものです。中医学では(髪は血の余りである)とされており、髪がきれいな人は十分に血液がまわっている証拠と考えます。食から髪にツヤを与えるには海藻類、果物、野菜などのヨードやビタミン類が豊富なものを積極的にとり、卵や牛乳、豆類、魚、肉などの良質なタンパク質で毛髪の成長をうながすことが大事。

海苔とひじきの佃煮などを作りおくとごはんのお供にも最適です。わかめやひじき、海苔(湿気ってしまったものでもok)などを出汁、醤油、みりんで煮詰めるだけ、お弁当や和え物にも重宝します。

ケアとしては頭皮をマッサージしたり、ブラッシングして巡りがよくなるようにし、足の内くるぶしのくぼみにある(大けい)をマッサージすると、効能が上がり、疲れもとれます。

写真は小樽で食べた「細め昆布」3月までしか漁ができないそう。うすくなめらかで美しい、お刺身やしゃぶしゃぶなどでいただきます

2/23

白菜・白菜とチキンの和風シチュー

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梅の香りが漂う頃ですが、まだまだ冷えが気になります。こんな日には温かくヘルシーで、食べ応えのあるシチューはいかがでしょう。まず3、4枚分の白菜の軸と緑の葉の部分を切り分けてざく切りにし、にんにくはひとかけ分を潰し、鶏もも肉1枚分は食べやすく切る。フライパンにオリーブオイルかごま油大さじ1を熱し、にんにくと鶏肉を炒める。色が変わったら白菜の白い部分だけを加えてしんなりするまで炒め、塩、胡椒する。豆乳2カップと白みそ(みそ)大さじ1〜2を入れて煮立て、残りの白菜を加え中弱火で3〜5分ほど煮込む。白菜の軸は炒めると、とろりとして甘みが増すのですが、この一手間でグンとコクがでて美味しくなります。最後に大さじ1の葛粉を少々の水で溶いて加え、とろみをつけても。鶏肉の代わりに牡蠣を加えると精神を安定させる効果が高まり、更年期障害のイライラや落ち込みを改善します。豆乳を合わせると、女性の健康維持にかかせないイソフラボン(味噌にも豆乳にも多く含まれている)のダブル効果で、骨量もふやす一皿になります。

白菜は養生三宝の一つ。胃腸を整えたりお酒の解毒効果もあるそうなので、二日酔いやむくみにも有効。朝はデトックスタイム、朝食のお味噌汁に入れて繊維と塩分を効率よく効かせましょう。

 

2/23

牡蠣・牡蠣の炊き込みごはん

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ぷっくりとした膨よかな牡蠣が美味しい季節ですね。まずは、ほのかな塩気をまとった生牡蠣をそのまま口に放り込み堪能する、2個目は搾りたてのレモンで、3個めからはレモン&タバスコでいただきます。解毒作用もありますし、酢や生姜を使うのもお勧めです。

旨味の凝縮した蒸し牡蠣もいいですね、フライパンに牡蠣を入れてお酒をふったら、フタをして加熱します。貝の口がほんのり開いたらすかさず取り出して開けるのがポイント、火を入れすぎないように気をつけます。蒸し立てはふっくらとして艶やか、磯の香りが鼻を抜けます。
お弁当でも人気の牡蠣ごはんの作りかたです。牡蠣を殻ごとサッと酒蒸しにした後、身を取り出す。小鍋に酒、みりん、醤油を同量煮立て牡蠣を入れたらひと混ぜし、直ぐに火を止めます。冷めたらその煮汁でお米を炊き、炊き上がりに牡蠣をもどして少し蒸らす。ぷっくりとした仕上がりに、食卓で歓声が上がります。あれば山椒の葉や三つ葉を散らして下さい。

牡蠣は亜鉛、鉄分、ヨードが豊富、髪や肌も美しくするエイジングケアも期待できます。これから新しい事が沢山始まる季節、何かとストレスも溜まりがちですね。そんな時にも滋養があって安心効果をもたらす牡蠣はお勧めです。

2/21

根菜・巻繊汁・けんちん汁・乾燥

けんちん汁・巻繊汁・豚汁・煮物・芋煮

乾燥するこの季節は喉や体を潤す金柑や柑橘類梨などの果物が多く出回りますね。根菜の大根、蓮根、蕪、ごぼうなども喉に良い野菜達です。大根の蜂蜜漬け、おろしごぼう汁、蓮根の葛湯などは喉や咳のケアに良い民間療法として様々あり、昔から親しまれています。

今日はこれらの滋養がある根菜をたっぷり入れたけんちん汁の簡単な作り方です。鍋にごま油をなじませたら、食べやすく刻んだ根菜類を炒め、油が回ったら豆腐を崩し入れて炒め合わせて塩少々をふる。後は、昆布や干し椎茸の出汁を使い煮込んで醤油風味で仕上げまます。ネギや揚げを入れて風味やコクを加えてもいいですね。寒い日の汁ものは殊の外美味しく感じますし、運動不足に心当たりがある方は、繊維たっぷりの根菜類を沢山いただいて腸活しましょう。皮部分近くに香りや栄養があります、たわしで擦り洗いして出来るだけ丸ごといただくと、大地のパワーと共に血行を良くするビタミンC、E、鉄や食物繊維などを丸っと頂けます。

ちなみにけんちん汁は精進料理のすまし汁のこと。約750年ほど前に鎌倉の(建長寺)で崩れてしまった豆腐と野菜を煮込んだのが始まりと言われ、お坊さんが作った(建長寺汁)がなまったそうです。その他に、刻んだ野菜と豆腐を炒めて油揚げを使う料理から関連付けされている説もあるようです。

2/18

キムチ・発酵食品・漬物・免疫力

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白菜が美味しい季節なので、キムチをたっぷり漬けています。昼間は温かい日も増えてきたので発酵もスムース、2月は漬物や保存食作りにお勧めの季節です。

発酵食は腸内環境を整えるので、花粉症などアレルギー緩和の手助けにも最適。糠漬け、乳酸キャベツ、あさ漬けなど常に食卓に上げるようにすると健康維持に役立ちますね。中でもキムチは生姜、ニンニク、ニラ、りんご、玉ねぎなどの香味野菜をたっぷり混ぜた(薬念・ヤンニョム)と一緒に発酵させるので、それぞれの栄養と体が温まる作用が加わって免疫力を高めます。何かとストレスも多く感じる春先には、アミノ酸の一種のギャバをたっぷり生み出す漬物を食べて心身共に養生して下ださい。お夕飯時にいただくと不眠にも良い効果をもたらすようです。

キムチの詳しい作り方は新書の「食薬養生帖」の314ページや、「体がよろこぶお漬け物」の著書本でもご紹介させていただいておりますが、本場韓国のキムチ作りの達人達は香りの良い梅シロップをほんの少し加えるのが常、果物の甘みと香りでグンと旨味が増します。私はこの時期、梅シロップの代わりに旬の金柑シロップを加えて美味しさを底上げしています。

2/18

うどん・焼うどん・伊勢うどん

うどん・焼うどん・伊勢うどん。食養生・薬膳・漢方

「一生に一度は伊勢参り」「おかげ参り」と言われますね。伊勢からのお土産でおうどんをいただきました、何だか縁起がよくなる気がします。伊勢うどんは、江戸時代以前から農民がたまり醤油をかけて食していたのが始まりとか。とても柔らかく食べやすいおうどんで、強いこしやツルツルした喉ごしを楽しむものとはまた違った美味しさがあります。うどん屋さんでは、次から次へと来る参拝客に直ぐに提供できるように常にうどんを茹で続けていたそうです。あたたかく柔らかいので消化もよく、長旅で疲れた旅人にも適していたはずですね。

庭の梅がほころび始めていますが、日々の気温は低く寒さが募ります。こんな時は、胃腸にも優しい食で体調をケアしましょう。今日は伊勢うどんで地元風の焼うどんを作りました。作り方に特徴がありますよ。最初に付属のタレをフライパンに入れて煮立てる。そこへ麺を加えタレをしっかり絡めてから、好きな具材をトッピングします。野菜炒めや牛肉の時雨煮、刻み葱を添えたり、卵と絡めるのもお勧めです。太めの市販のうどんを長めに茹でると伊勢うどんに似た感じになります。濃く甘めのタレは、たまり醤油か醤油大さじ2、みりん、出汁各大さじ2、きび砂糖小さじ1を煮立たせてトロリとさせます。

2/17

大根・大根のあさり鍋・養生三宝

大根・大根なべ・咳・痰・食養生・

大根は免疫力を高めると言われている「養生三宝の一つ。ずっしり重い大根を厚めに切って皮をむき、隠し包丁を入れ下茹でする。鍋にたっぷりの水と昆布、白菜、茹でた大根、酒を入れゆっくりじっくり昆布出汁で柔らかくなるまで煮る。あさりは皮ごと調理することが大事、旨味と栄養を丸ごと全部いただきましょう。大きめのあさりを2、3個ずつ加え、煮えばなのぷっくりした開きたてをすぐさま堪能する、何回も何回も繰り返す作業、その美味さにはいつまでも飽きることがないのです。

その後のスープにはあさりの旨みと大根、白菜の甘みが広がっています。この出汁を熱々に温めてつるんとした稲庭うどんに少なめにはる(あればおろし生姜やかんずりなどを用意しておく)。ゆずの香る少し濃いめの葛あんをたっぷりかけていただいてもいいものです。
大根には、痰をきり咳を鎮める効果があります、蜂蜜に漬けた民間療法の相乗効果は有名ですね。旬の金柑を加えればさらなるビタミンCも加わって鬼に金棒です。

2/17

冬の蜂蜜・ハチミツレモン・風邪予防

井澤由美子・喉の痛み・薬膳・美容・便秘・食養生・ハチミツ・はちみつ・蜂蜜・咳止め・養生

深いオレンジ色が美しい濃厚なはちみつを鳥取の農家さんに頂きました。熊に蜂箱が襲われる年もあるそうで、貴重なはちみつを大事に口にしています。
古代から美容と健康によく、その高い殺菌効果から薬としても活用されてきたはちみつ。自然治癒力を高める天然の食材です。保湿効果もあるので唇に塗るなど食べる以外の肌ケアにも◎、腸を潤すので便通も促します。今の時期は喉の痛みや咳止めとしての出番も多いですね。

効果を期待するならば、天然のはちみつがお勧め、非加熱や低温で加熱したものを選びます。天然物は温度が低いと固まる事があります、50〜60度の湯煎にかけて優しく溶かして下さい。専門店に出向くと色や香りの違い、産地や花の種類等を教えてくれます。中でもそばの蜂蜜は効能が高いと伺ったことがありますし、少しだけクセがありますがマヌカハニーも大変優れた抗菌作用を含みます。

ビタミンCたっぷりの国産レモンをはちみつで漬けた(はちみつレモン)の組み合わせは、滋養が高まる相乗効果が抜群。月並みですが、お湯で割ると今の季節にぴったりな甘酸っぱいホットドリンクになります。香りもよく温かい飲み物はストレス緩和にも繋がりますし、レモンの酸味には疲労回復効果があり、皮にはデトックス効果もあります。風邪予防も含めて、夜のくつろぎタイムにぜひどうぞ。(蜂蜜は、1歳未満のお子さんには与えないように注意します)

2/16

金柑・キンカン・金橘・食養生

井澤由美子・保存食・金柑・キンカン・喉の痛み・漢方・健やか・健康・きょうの料理・薬膳・食養生・風邪予防

柑橘類が豊富に出回っています。中でも金柑属の個別分類になる(皮ごと食せる)金柑は正に旬。ヘタが緑で艶がよく、より赤みの強いものを購入し、よく洗ったら皮ごと生で存分に楽しみます。

喉に良い金柑ですが、金柑を2、3分下茹でしてアクを抜き、蜂蜜に漬けるとイガイガ対策に更に効果的です。その他に、干し金柑、塩水漬け、甘露煮、コンポートなどにして保存食も楽しみます。甘く煮たものは、ソースに加えたり煮物や酢豚などに入れると味に奥行きがでます、鴨肉や豚肉などと最もよく合いますが、金柑のビタミンCと合わせるとコラーゲンを生成し肌養生にもなります。ドリンクとしては金柑甘煮にホットミルクを加えれば寝つきをよくし、緑茶と合わせれば疲労回復に加え頭をスッキリさせます。紅茶に加えれば体を温め、甘酒に加えると風邪予防を強化します。中国が原産の金柑、生薬名は金橘(キンキツ)、喉の痛みや風邪対策に昔から用いられています。

金柑の皮に含まれるヘスペリジンやビタミンCは風邪予防やアレルギー対策に有効、香りには気の巡りをよくする効能があり、ストレスを緩和し心を落ち着かせます。
セミドライ金柑は皮ごと薄切りにして3日間干すだけ、冷蔵庫保存です。しっかり乾燥させたものは、空瓶などに乾燥剤と入れておけば常温で長期間保存できます。

きょうの料理「手仕事12ヶ月」金柑特集の放送は本日11時からEテレより