井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材を日替わりでご紹介します。

2021年 8月の記事

8/30

黒きくらげ・木耳・キクラゲ・薬膳

まいにち食薬養生帖・井澤由美子・黒きくらげ・キクラゲ・木耳・薬膳・食養生

きくらげはキノコの一種で黒、白の2種があります。薬膳で黒きくらげは老化防止、エイジングケアに良しとされ、昔から不老長寿の食材とされてきました。最近では国産の生黒きくらげもよく出回るようになりました。生きくらげはぷるぷるとした食感、乾燥したものはコリコリとした独特の食感がなんとも楽しい。
下処理として、あれば固めの石づきを取り、熱湯で(表示通り)茹でて食べやすく切ります。茹で黒キクラゲは生姜醤油や酢の物、春雨中華サラダに入れる、炒め物に加えるなどシンプルに楽しみます。その他、お噌汁やスープ、鍋物に入れる(私はおでんに加えるのが好き)など。加熱調理するものは、下ゆでなしでも大丈夫です。
きくらげには繊維も豊富なので便秘解消にも良いものです。鉄分なども多く、タンパク質やビタミンCと摂取すると、効率よく体に吸収できます。

8/28

無花果・いちじく・イチジク・蒸しいちじく・薬膳

いちじく・イチジク・無花果・薬膳・食養生・蒸し無花果

古代ローマでは「不老不死の果実」とされていたいちじく。いちじくは和食でも繊細な白和えなどいろんな食べ方がありますが、是非一度お試しいただきたい一品をご紹介します。
完熟いちじくが手に入ったら皮をむいて器に入れて蒸し、粗熱をとって冷蔵庫で(蒸し汁ごと)冷やしておきます。次にタレを作ります、指で砕いたカシューナッツ3、4個を乾煎りし、香りが出たら胡麻大さじ1を一緒に炒ります。熱いうちにすり鉢ですって、メイプルシロップ、醤油各同量、酢少々で伸ばしながら好みの味に整えて、さらによくすり混ぜます、これを冷やしたいちじくに適宜かけます。香ばしい香りとトロリとした甘みがいちじくに絡まってなんとも美味、冷たいことも美味しいポイントです。ビールよりスパークリングか白ワイン、日本酒がよく合います。デザートにしたい時は、シンプルにレモンを絞って蒸せば、美しい天然の赤色が引き出されます。
繊維が豊富ないちじくと胡麻を合わせるとグンと便通効果が上がりますね。いちじくは体の余分な熱をとり、喉の腫れをおさえます。更年期の女性によい効能もたくん、母乳の出もよくすると言われています。

8/25

プルーン・プルーンのバルサミコ煮

プルーン・西洋スモモ・プルーンソース

すももの一種のプルーン。ヨーロッパでは「命の果実」と呼ばれ、朝食に食べる習慣がありました。
ちょうど今最盛期で、毎年長野から送られてくるプルーンが楽しみです。甘みも強いのでセミドライフルーツも作ります。今日は、酸味と風味の調和が楽しいプルーンのバルサミコ煮のご紹介です。プルーン1パック(13個)は洗って水気をふき、縦に切り目をいれてひねって2つにわり、種を取り出します。ほうろうなどの厚手の鍋にプルーンと、バルサミコ酢半カップ〜1カップ、はちみつかメープルシロップ大さじ2〜3を入れてとろみがつくまで煮ます(上質なバルサミコ酢の場合は甘みやとろみがあるので量を加減する)。そのままでも美味しいし、酢豚や煮物に加えても。肉料理のソースに最適。奥深くコクのある香りと酸味は、疲れをとって疲労も回復します。
プルーンはペクチンが豊富で、便秘解消にもよく血糖値を緩やかに上昇させます。カリウムも多いので高血圧が気になる方にお勧めの果物です。

8/23

にんにく・黒にんにく・疲労回復

井澤由美子・発酵食・黒にんにく・免疫力・黒にんいくの作り方

まだまだ暑いですが、朝夕は少し秋めいてきましたね。季節の変わり目です、油断して体調を崩さないように心がけたいものです。私の強い味方は黒にんにく。トロリと柔らかく口に入れるだけで衛気が満ちて元気になります。熟成発酵し、フルーツのような甘さがあり、匂いがたいして気にならないのも良いところ。発酵させることで普通のにんにくにはない、Sーアリルシステインというポリフェノールの一種が生成され、にんにくの何倍もの高い抗酸化パワーが期待できるそうです。
古くなった炊飯器などがあれば手作りも簡単、にんにく臭はするので、物置などで私は作っています。
老化防止、生活習慣病予防の他、体温を上げて血行不良を改善、エイジングケアにも最適です。疲れ気味、風邪かな?と思ったら先手を打っていただくとよいかも知れませんね。

8/20

葡萄・ぶどう・ブドウ

葡萄・ぶどう・ブドウ・眼精疲労・貧血・井澤由美子

スーパーに行くと、桃やプラム、スイカも有りますが梨や葡萄を見かけるようになりました。残暑の中、秋の気配を感じます。
葡萄は、世界中でみると約80%の生産量がワイン原料。日本で栽培される葡萄は、約90%が食用です。ざっくり大きく分けると黒、赤、緑の3種で、形や大きさ、色など様々です。
最近では種無しで皮ごと食べられる葡萄の品種改良が年々進んでとても人気です。葡萄の皮には栄養があり、強い甘みは皮と実の間にあるので丸ごと口に出来るのは嬉しい限りですね。よく洗って冷やした葡萄のみずみずしさはパソコン作業の合間のおやつにもピッタリ、疲労を回復します。
薬膳では、赤い皮の葡萄に貧血改善の効果があると言われていますよ。ポリフェノールの一種、アントシアニンには活性酵素を除去し、眼精疲労を改善するなど様々な効能が期待できます。

8/18

ウニ・うに・雲丹・天売島・北海道・旅

うに・ウニ・雲丹・天売島・北海道

お鮨屋さんに行くと必ず食べたいウニ。
ウニの種類はムラサキウニ、アカウニ、バフンウニなどがあり、約2500年前から食べられているそうです。葉酸がたっぷりで鉄分も豊富、肌も潤す効果が期待できます。
ある年に旅した北海道の手売島。着いた早々、まずはとりたてのウニ丼をいただきました。夜は、殻から贅沢にスプーンですくっていただく。みっちり詰まっているウニは美しいオレンジ色です。このコクのある甘い生ウニをいただいた後は、宿のお父さん(栄丸の漁師さん)おすすめの焼きウニ。合わせるのは、炭火の上のツブ貝に日本酒を入れた熱燗。貝を食べた後に入れるので、出汁がほんのりときいて悪友とニヤニヤが止まりませんでした。
天売島は珍しい鳥たちが多く住み、緑豊かなそれは美しい島。アニメのラピュタのような草花が風に揺れ、コバルトブルーの透き通った海が眼に焼きついています。もしも行かれたら、ぜひサイクリングで島を楽しんでください。
ウニの話に戻りますが、好きな食べ方があります。おろしたての山葵と醤油を混ぜ、ウニの粒をつぶし過ぎないように混ぜる。これを、炊きたてのもち米にのせると、もっちりとしたご飯とねっとりした雲丹がよく絡んで美味この上ない。蕎麦つゆに鶉の卵と山葵、海苔とたっぷりの雲丹で溶いた「ウニツユ」でいただく冷たい蕎麦も、夏の大人の醍醐味なのです。

8/16

谷中生姜・しょうが・葉付き生姜

井澤由美子・中医学・料理教室・生姜・葉生姜・新生姜・旬野菜

北海道の生姜畑にお邪魔したことがあります。葉付き生姜の葉を土から抜く時、辛みを含むいい香りがパーンと下から立ち昇ってきます。
葉付き生姜は、若い芽を葉ごと収穫したもので、関東でよく聞く谷中生姜は東京の台東区で多く作られていたものです。地名が由来で、もともとは愛知県三洲で栽培された品種です。
生姜には気の巡りを良くし、消化促進、発汗作用があります。そのまま味噌をつけて食べたり、甘酢漬けにして保存したり、天婦羅などに調理されます。スッキリとした辛味と柔らかさが、肉巻きなどにも最適です。
暑い季節にお勧めのふりかけのご紹介です。葉生姜を細かく刻んで、ごま、一味唐辛子、焼いた塩鮭をほぐして混ぜて常備菜に。鮭がさっぱりして、殺菌効果も高くなるので、お弁当やおにぎりにお勧めです。

8/13

豆味噌・八丁味噌・みそ

今日は豆みそのお話です。出張などで名古屋に行くと、コクのある重めの赤黒いみそでコシの強い煮込みうどん(山本煮込み)や、甘めの煮込み料理(土手煮込み)をいただくこのですが、これが楽しみ。おでんなども真っ黒で見ているだけで楽しくなります。
豆みそは他のみそと違い、煮込むほど美味しくなります。どっしりとしたこのみそは、蒸した大豆をみそ玉にして発酵熟成させたもので、水分が抜けて色が濃くなっています。愛知県、三重県、岐阜県の東海地方の三つの県で主に作られており、三河地方沿岸の吉良の塩と、矢作大豆が手に入りやすかった事と、風土の影響で独特の作り方が生まれて豆みそが作られるようになりました。名物のみそカツやこんにゃくおでんの甘だれは、三河味醂やザラメ・八丁みそで調理されています。かすかな苦味と酸味が感じられるのも特徴。暑いこの季節には、特に美味しく感じられるので辛子をチョンとのせた夏野菜たっぷのお味噌汁が朝ごはんの定番です。
皮膚の再生力も高い豆みそ、酢とメープルシロップでなめらかに伸ばしてタレに。茗荷や紫蘇、ごまなどの薬味と冷たいそうめんや中華麺をいただくのもお勧めです。

8/10

きゅうり・胡瓜・糠漬け

食養生・井澤由美子・まいにち食薬養生帖・糠漬け・胡瓜・きゅうり・キュウリ・食養生・薬膳・夏野菜

昨日花が咲いたと思ったら、直ぐに大きくなっている胡瓜。成分は約80%以上が水分、カロリーが低く、夏にふさわしい薬効を持っています。身体の予防な熱を冷まし、喉の渇きを止め、利尿作用が高い。鎮静作用や美白効果もあるので、日焼けや火傷などの時に、きゅうりでパックをしてほてりを鎮める民間療法も伝わっていますね。
この時期の胡瓜でせっせと作るのは、まずはぬか漬け。2日半漬けてから水で洗って横半分に切り、冷蔵庫で冷やして置く。ポリポリとかじると適度な塩気と酸味で疲れがスッと抜けて行きます。
長野県の農家のおばあちゃんに教わったポリパリ食感のきゅうり漬けは、醤油、酢、みりんか砂糖、赤唐辛子を火にかけて漬け汁を作ってきゅうりを入れて煮るのですが、食感も美味しさのひとつです。
長野県での漬物は、お茶請けに登場させるもの、もちろんごはんのお供やお酒のアテにも最適で、暑い日には特に美味しく感じます。もしも詳しい作り方がお知りになりたい方は「体がよろこぶお漬け物」に掲載していますので、宜しかったらご覧ください。

8/9

糠漬け・ぬか漬け・乳酸菌・発酵食・漬物

ぬか漬け・発酵食・冷やしスープ・夏野菜・ギャバ・漬物・糠漬け

立秋を過ぎましたが、まだまだ残暑が残ります。疲労を感じやすいこんな時こそ、ぬか漬けがお勧め。
汗をかくので、ぬか漬けの塩分が美味しく感じます。酸味も心地よく、よく冷えた茗荷やキュウリの漬物などは格別ですね。
腸内の免疫力(体の6、7割は腸が作る)をupする食材として日本の伝統食のぬか漬けは素晴らしく、胃酸にも強いと言われている植物性乳酸菌がたっぷり。
含まれるギャバには脳の興奮を抑える効果が期待でき、夕食時にいただくと安眠出来ると言われています。ギャバは発芽玄米、納豆、トマト、きのこなどにも多く含まれています、合わせて相乗効果を担ってもよいですね。
発酵が進んで塩気や酸味が出た漬物は、旨味も増しています。冷たい昆布だしと調味料少々で味を足して整えると、涼を呼ぶ美味しい汁物になり、元気が回復します。
腸内の健康状態は体の軸です。ヒポクラテス(古代ギリシャの医師)も「すべての病気は腸から始まる」と言っています。アトピーや湿疹などのアレルギー、自己免疫力、感染症、うつ、認知症にも関連すると言われる腸、第2の脳とも言われる所以です。