井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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スパイス・生薬・食養生

薬味・スパイス・生薬・マガジンハウス・クロワッサン

大概のスパイスは、木の根っこや樹皮、花、種、果実などの植物から採取されています。料理やお茶などに、複雑な風味や辛味、色合いをつけたり、肉や魚の臭みなども消臭します。生薬・スパイスなど、国や地域で呼び名は変わりますが、古来より世界中の人々のカラダや心の不調を治してきた薬です。食欲増進・消化促進効果が高いもの、食品を傷みから守る抗菌作用や防腐効果にも優れたものなど多様です。

料理以外の用途では、例えば中国の楊貴妃は口臭予防に噛んでいましたし、ネパールでは歯痛止めに、ヨーロッパではオレンジに刺してポプリに、日本ではタンスに入れて虫除け剤として活躍していました。身近なスパイスや生薬の薬効を感じながら日常的に見直してみると楽しくなります。

スパイスはお茶やデザートにも欠かせません。桃の美味しい時期ですが、桃のコンポートにほんの少しカルダモンを忍ばせると、桃との好相性に驚かされます。マガジンハウス「クロワッサン」の薬味とスパイスの特集では、沢山のスパイスレシピをご紹介しています

7/10

濁り酢・酢・スイッチビネガー・フルーツビネガー

濁り酢・スイッチビネガー・井澤由美子・健康美容・食養生・食薬・酢・フルーツビネガー・腸活・温活・あさイチ・きょうの料理・

暑中お見舞い申し上げます。

お酢の効果は偉大です。酢には様々な健康効果がありますが、中でも濾過されていない「濁り酢」を私は愛用しています。暑さと湿気などが重なりて疲労が気になるこの頃には特にお勧めです。酢にはもともと腸活や体を温める効果もありますが、普通の酢にはないナチュラルで強い効能が濾過が無い分、濁り酢には残っているそうです。免疫力を上げるスイッチを押してくれるお話を伺いましたので、私は「スイッチビネガー」と呼んで親しんでいます。日常にちょこちょこ取り入れて疲労と肝ケアを。納豆には、塩と濁り酢を混ぜてあわあわ納豆に、チョコレートケーキの仕上げに、いちじくの蒸し煮にほんの少し加えるなど、日常で自然に摂取していますよ。

その日の体調に合わせた果物や野菜を選ぶ。これらは、全般的にビタミンやカリウム、食物繊維を多く含み、疲れやむくみ、便秘などの改善にも有効なので、合わせると相乗効果が生まれます。

フルーツ酢の作り置きもいざと言う時に助かります。バテ予防におすすめの理由が3つあり、1、フルーツのビタミンCと酢のクエン酸で疲労回復を促進させる。2、酢とフルーツの腸活パワーと酢の血流を促す効果で冷え知らず。3、フルーツと食物繊維と酢の消化吸収を高める効果で食欲不振を改善などです。

実は夏が一番体を冷やす時期、エアコンや冷たい飲み物で体内外を冷やしがちです。結果、血流が悪くなり胃腸の機能が低下すなど、冷えは様々な不調を呼び込みます。胃が活発に動く温度は体温より2度ほど上です、消化吸収を促す為に冷たすぎるものは避けましょう。出来るだけ常温でいただき、血流を促して養生して下さい。体を温める酢を多用しながら、頭寒足熱(足は冷やさず頭は涼しく)で健やかに乗り切って下さい。

6/28

鶏肉・美肌・AGE・コラーゲン・あさイチ

・コラーゲン・美肌・美容・AGE・ザンギ・唐揚げ・北海道・鶏肉・疲労回復・井澤由美子・煮込み・食養生・手羽元・薬膳・漢方・食薬ごはん・疲労回復

体のあらゆる組織を作るタンパク質、近年特に話題になっていますね。鶏肉にはバランスよくタンパク質を構成する必須アミノ酸が豊富、部位によって栄養成分が異なります。疲労を感じたり、お酒のお供には胸肉、ダイエットや美肌にはささみ、旨味の多いもも肉はエネルギーを作り活力を産みます。皮にもコラーゲンが多く、髪や肌を艶やかにします。ビタミンCと一緒に摂取すると体への吸収が高まるので、レモンをしぼったり野菜などを添えて一緒にいただきましょう。

レモンや酢などを料理に使うと糖化によって出来る体内のサビも作りにくくします。体に優しい調理法は蒸す、煮る、炒める、揚げるの順。唐揚げやステーキは焦げ目が美味しいですよね、せめて柑橘を搾ったり、酢やキノコを一緒に取ると良いですね、胃もたれも防ぎます。

中医薬膳での鶏肉は「気」を補う力が強く、寝てもなかなか疲れが取れない慢性的なエネルギー不足に良しとされています。肉類の中では消化がよく、脾胃の働きを高めます。鶏肉は免疫力を高める発酵食の塩麹とも名コンビ、柔らかくなり2、3日長めにつけると奥深い香りもでてきます。少し不調を感じていたら、参鶏湯風も滋養がありお勧めです。夏バテ防止にも良い鶏肉と、発酵食の組み合わせをぜひお試し下さい。

写真の「新玉ねぎと手羽元のレモン煮込み」は、NHKあさイチさんで「鶏肉と新玉ねぎのほったらかし煮」としてご紹介させて頂いた簡単レシピです。

 

6/21

山椒・山椒と青梅のシロップ・初夏の手仕事・きょうの料理

きょうの料理・初夏の手仕事・保存食・井澤由美子・山椒・旬の味・季節の手仕事・美容・健康・保存食・日本の味・食養生・薬膳

店先に山椒の実、小梅、青梅、らっきょうが並びワクワクしています。うかうかしていると、時期を逃してしまうので早起きして保存食作りに勤しみます。山椒醤油、山椒の実の塩漬け、山椒オイルを作りますが、この時期だけの淀みのない鮮烈な青い香りと辛味を逃さず、ギュッと詰める為に毎年試行錯誤を楽しみながら繰り返しています。

一つは、枝ごと一晩水に漬けてアク抜きをする。青梅と氷砂糖とこの実山椒を一緒に保存して寝かせると甘いだけではない清清しい美味しさの梅シロップになります。きょうの料理6月号にも気に入りとしてご紹介させて頂いています。

山椒醤油や山椒オイルは、沸騰させた湯に塩少々を入れ3分ほど山椒の実を茹でて、氷水に1時間ほどさらす。この後、枝から実をとって水気をしっかりふき(ここで冷凍しても)、清潔な密封容器に山椒をいれ、醤油をかぶるくらいに注ぐ。山椒オイルは下処理した山椒に米油、ごま油、オリーブオイルなど好みのものをそそぐ(冷暗所か冷蔵庫で保存)。

シンプルで思いもよらぬ食べ方を発見できた時は特に嬉しい。青々した山椒のチリソースを作って、エビやホタテに絡めると眼にも舌にも鮮烈です。山椒は消化不良や胃腸の調子を整え、身体の冷えに効果があります。何よりその高貴な香りに胸がスッとします

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梅シロップ・コチュジャン

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韓国伝統調味料のコチュジャン。人気のヤンニョムチキンやタッカンジョン、タッカルビ、スープ・炒め物・トッポッキ、あるいはあえものやビビンバなど、韓国料理には欠かせない発酵調味料です。辛さの中にも旨味とコクのあるこの唐辛子味噌の材料は、主に餅米、唐辛子、大豆麹です。伝統的な作り方をし、美味しさで有名な(淳昌)スンチャンなどの地方では、唐辛子一つをとってもこだわりがあり、奥深い。今回ご縁あって、このスンチャンにいらっしゃる名人に作り方を教えて頂きました。他店舗のコチュジャンも試食、お酒もご飯も進むお味に変わりはないのですが、作り手によって同じコチュジャンでも表情が全く違います。

韓国料理だけでなく、コチュジャンをベースに酢をまぜれば、日本のそうめんなどにもよく合うタレに。コチュジャンを酒で伸ばして肉や魚を煮たり、マヨネーズと混ぜて野菜のディップソースなどにしたりとコチュジャンは応用が効きます。ヨーグルトメーカーがあれば、手作りも簡単。容器に米麹、韓国唐辛子、粗塩を加え混ぜて一晩発酵させるだけです。私はここに初夏に作った梅シロップを加えて梅コチュジャンを作ります。青梅のカリカリ漬けを馴染ませるとご飯のお供にもなります。ほんのり甘酸っぱく辛味のある風味が疲労を回復、夏には赤い食材が養生になります。

5/29

カリカリ梅・梅シロップ・梅干し・初夏の手仕事

梅・梅干し・きょうの料理・井澤由美子・手仕事・健康・美容

青梅に切り込みを入れて花割りにする。勝手につけたネーミングですが、バランスよく体重をかけて上手に割った後は花のようになります。「きょうの料理6月号」では、青梅と完熟梅のシロップやその料理展開をご紹しています。今日も青梅を木によじ登って収穫しました、青々とした実と若葉に気持ちがスッとします。

梅はその日の難逃れということわざがありますが、私は梅干しを出張先などや旅行にも必ず持参しています。疲労が伴うので、クエン酸や塩分が元気を回復してくれますし、お腹の調子が悪いと時にも最適です。古来からの先人の知恵に、現代の幅広い作り方を交えて楽しんでいます。旬は短しです、小梅、青梅、完熟梅、らっきょう、山椒と忙しい5、6月です。

手塩にかけた旬の味は特別です、500g(15個前後で紹介しています)で今年は梅干しもつけてみませんか?

 

 

5/27

山椒・初夏の風味・手仕事

きょうの料理・初夏の手仕事・保存食・井澤由美子・山椒・旬の味・季節の手仕事・美容・健康・保存食・日本の味・食養生・薬膳

店先に山椒の実、小梅、青梅、らっきょうが並びワクワクしています。うかうかしていると、時期を逃してしまうので早起きして保存食作りに勤しみます。山椒醤油、山椒の実の塩漬け、山椒オイルを手始めに作りますが、この時期だけの淀みのない鮮烈な青い香りと辛味を逃さず、ギュッと詰める為に毎年試行錯誤を楽しみながら繰り返しています。

山椒の実は沸騰させた湯に塩少々を入れ3分ほど茹で、氷水に1時間ほどさらす。枝から実をとって水気をしっかりふき(ここで冷凍しても)、清潔な密封容器に山椒をいれ、醤油をかぶるくらいに注ぐ。山椒オイルは下処理した山椒に米油、ごま油、オリーブオイルなど好みのものをそそぐ(冷暗所か冷蔵庫で保存)。シンプルで思いもよらぬ食べ方を発見できた時は特に嬉しい。青々した山椒のチリソースを作って、エビやホタテに絡めると眼にも舌にも鮮烈です。

NHk きょうの料理6月号で山椒の味の入り青梅hシロップをご紹介しています、必ず毎年作るお気に入りです。

山椒は消化不良や胃腸の調子を整え、身体の冷えに効果があります。何よりその高貴な香りに胸がスッとします

5/21

青梅・梅シロップ・梅遊び

青梅・井澤由美子・きょうの料理・梅・梅漬け・nhk・梅仕事・青梅シロップ・梅の手仕事

雨が降ると、庭の青々とした梅が小雨を受けて気持ちよさそうです。ちょうど500円玉くらいの大きさに育って、今年も梅仕事の始まりです。

手始めにカリカリとした食感の青梅の梅漬けを作ります。塩味と甘味の両方を仕込みますが、どちらもさっぱりとして心地よい風味、毎年沢山仕作り置きます。それから、糠漬けにも青梅をポンポンと数個忍ばせて殺菌作用を促しています。季節的に山椒の実もなる時期なので、こちらも一緒に加えて、倍の作用と香りを存分に堪能しています。

青梅のシロップを味醂代わりに使用すると、料理によって奥行きが出ます。シロップは、体調を崩した時や熱がある時などにも良いもの。喉の渇きを速やかに押さえ、青々とした爽やかな香りが気の巡りも整えるので養生になります。梅は唾液の分泌を活発にしたり、疲労回復を助ける働きがあります。

作り方はきょうの料理6月号に掲載していますよ、よかったらご覧ください

 

5/9

発酵食・お味噌汁・実の3種は身の薬

井澤由美子・実の3種は身の薬・長寿・健康食・発酵食品・お味噌汁・養生三宝・味噌汁・和食・免疫力・発酵食・味噌・miso

「実の3種は身の薬」

あまり聞き慣れぬ言葉かも知れませんが、お味噌汁に3種以上の具材を入れて食べると身体に良いと言う意味合いです。海藻やきのこ類、旬野菜、豆、肉や魚にはミネラル、ビタミン、ポリフェノールや脂質も豊富なので、日々のお味噌汁にたっぷりと加えて食せば健康に繋がります。鮮度の良い食材だと、細胞の活性化にもつながり、美容や老化防止にも良いはずです。関東では、お味噌汁に2種以上の具材は邪道と唱える説もありますが、朝の忙しい時間やランチなどの具沢山のお味噌汁には、豊富な食物繊維やビタミン類を手早く補給できるお勧めの食べ方です。

味噌に含まれるタンパク質は体を作る三大栄養素の一つであり、動脈硬化を予防するレシチンや、老化を予防するビタミンE、更年期にも良いイソフラボンなどをバランスよく含んでいます。

湯気が上がる具沢山のお味噌汁を見るだけで、1日の活力が生まれます。

 

5/8

山菜・春の息吹・デトックス

井澤由美子・ハーブ・食養生・食薬・デトックス・よもぎ・山菜・ハーブ・野草・デデトックスス

新鮮で柔らかなわかめのしゃぶしゃぶを心ゆくまで楽しんだあとは、山菜に以降します。

かんぞう、うど菜、うるい、行者にんにくなどの山菜をわかめと同じように昆布ダシでしゃぶしゃぶにしていただくのが毎年の楽しみ。山菜は、香りが豊かで繊維が豊富(食べ慣れない方は、ほどほどの量で楽しみます)。苦味のあるものは、虫から身を守るためのアルカノイドに由来する成分で、デトックス効果が高いのです。こごみ、たけのこ、うどなど独特の香りと風味、食感を楽しめる時期はとても短いので何かしら日々口にします。

香りは気の巡りもよくするので、ストレス緩和にも良く、リフレッシュできます。汗ばむ日も出て来ました、緑茶に新芽の蓬を浮かべると、穏やかな良い香りと緑茶の成分も手伝って頭がスッキりとします。