井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

9/15

もやし・青森県大鰐温泉もやし

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青森で見つけた特別長い豆もやし。見るからに美味しそうです、聞けば根の部分も食べられるのだそうで、豆の部分と平貝の貝柱と一緒にシンプルに塩味で炒め物にしてみました。旨味のあるシャッキリとした根と、柔らかい豆の風味が香る。芹も根部分を食べますが、またそれとは違う風味、他野菜には無い旨味と食感があります。真ん中の繊細そうな白部分はさっと茹でて、揃えて切り、煎り酒でお浸しに。仕上げに庭の青ゆずを少し香らせてみましたが、もやしとは思えない上品さです。このもやしは、青森県中南地域に位置する大鰐町(おおわにまち)で作られる津軽伝統の冬野菜。約350年前から栽培され、温泉水のみで大事に育てられています。出荷される時は昔ながらの手作業の藁(わら)で束ねられ、伝統を受け継ぐ素晴らしさ。
豆もやしは門外不出の小八豆(こはちまめ)の大豆から作られています。温泉水に含まれるミネラルや、ビタミン類、発芽させることで大豆の2倍の栄養価があります。この美しいもやしに最近はまっています、蕎麦で育てられた蕎麦もやしもあるそうでこちらも興味をそそられます。

9/14

蓮根(れんこん)・蓮(はす)・貧血

蓮根は調理の仕方によって、いくらでも表情を変えることが出来る魅力的な野菜。蓮根に含まれるポリフェノールには抗酸化作用や殺菌作用があると言われていますが、この成分はわずかながら皮の方に多いのです。なので、剥いてしまうのはもったいない。私はたわしでこすって調理します、香ばしさも感じて美味しいなぁと思うのですが、皮の硬さが気になる方は包丁の背でこそげたり、薄く剥いて下さい。すって加熱すると自然なとろみがつきます、椀ものなどに入れると喉の痛みや咳が鎮まる。スッと糸引く縦切りもお勧め、切り方や厚さによって食感が変わります。散らし寿司やお稲荷さんには薄切りでさっと茹で甘酢漬けにして胡麻と合わせると美味。蓮根は薬膳では止血類になり、養血効果もあるので貧血気味の方は、レバーやひじきと合わせた煮物や炒めものなど相乗効果がありお勧めです。コロンと丸い小さめの先方部分はシャキシャキした食感、掘り立ては生でも食べれ、梨のような風味で美味。長方形の部分はデンプンが多いのでとろみが多い、料理によって使い分けて下さい。

9/13

秋刀魚(さんま)・肩こり

ピッカピカの銀色に輝く立派な秋刀魚が出回っています。秋刀魚の美味しさを倍増させる酢橘や辛味大根を添え、塩焼きで思いっきり食べたくなります。大根おろしですが、先の方に酵素が有ります、おろし立ての薬効があるうちにいただきましょう。酢を少し垂らすとビタミンCの損失も少なくなります。骨まで柔らかい梅煮や薬味を効かせた秋刀魚のつみれも美味しいですね。新鮮なものは鉄分やビタミン類なども豊富なので、内臓もぜひいただいて下さい。オレイン酸やEPA、DHAなどは脳細胞を活性化させる効能も期待できます。滋養強壮作用があり、血管を傍聴して血行などが良くなる事から、肩こりや更年期障害、冷え性などを暖和するので瘀血(おけつ)を改善できます。「さんまが出るとあんまが引っ込む」と江戸時代には、言われていたとか。

9/12

お月見だんご・十五夜

毎年変わる中秋の名月、今年のお月見は9月13日です。お団子の作り方です、ボウルに上新粉(うるち米)300g、湯1カップ強を入れて箸で混ぜ、手で耳たぶくらいのなめらかさになり、ツヤがでるまでよくこねる。棒状にのばし、食べやすい大きさに切って丸めます。白玉粉(もち米)100gに絹ごし豆腐100gを混ぜて作ったお団子はとても滑らかです。どちらも沸騰した湯に入れ、団子が浮いてきたら取り出して冷水でしめ、水気をとって好みの味付けにします。みたらしあんも簡単です、小鍋に「本みりん」適宜を注ぎ、色つく程度の醤油を加え、とろみが出るまで煮きるように煮詰めるだけ。
色々な場所でお祭りやほろ酔いシンポジウムなどが楽しそうに開催されています。今年はお月見だんごとお酒をいただきながら愛でてみてはいかがでしょう?親しくなりたい人と円満にいく事を願って。

9/11

蜂蜜(はちみつ)・honey・ハニー・咳止め 

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薬膳で蜂蜜は呼器器を潤し、咳を止めて痰をとる効能や、乾燥タイプの便通をよくし、腹痛、滋養強壮に良いものとされています。苦い生薬と一緒に、丸剤(薬を一緒に練ってまとめる役目)にも用いられます。ヨーロッパでは約1万年前から栄養源とされており、殺菌効果、お腹の調子を整えるなどの薬としても用いられてきました。蜂蜜は良質なビタミン、ミネラル、カルシュウム、ポリフェノール、酵素、オリゴ糖、鉄分が含まれているバランスのよい栄養食。できれば、加熱処理のされていない天然の蜂蜜を選んで下さい。咳が止まらない時の自然食ケアとして、小さく切った大根を混ぜた「大根蜂蜜」、蓮根をすりおろして、絞り汁と混ぜた「蓮根はちみつ」、刻んだみかん(無農薬皮つき)と合わせる。これらは喉によく効く民間療法です。免疫力も高めるので、季節の変わり目におすすめの甘味料でもあります。私の密かな楽しみに、ブルーチーズと旬フルーツに蜂蜜をかけ、相性の良いフレーバーを探がす遊びがあります、加熱しても美味。

9/10

酢橘・すだち・スダチ

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庭の酢橘がたわわです。青いみかん、青りんご、無花果、オリーブの実も大きくなり、実りものが生ると嬉しくなります。葉付きの野菜や果物は、飾るだけでもとてもいい雰囲気を演出してくれますし、酢橘の姿形を見るだけで、よい香りと爽やかな酸味を脳が想像するのでリフレッシュします。酢橘の名の由来は、食酢として使われていたことから。キリリとしまるその酸味と香りは、実りの秋食材にさっと絞るだけで格別な料理となります。まだまだ暑い9月、今朝の朝ごはんは炊きたてのごはんに塩をパラリとふりかけ、もぎたての酢橘をギュッと絞った「酢橘飯」にしました、朝から爽快です。しらすやたらこ、すりごま、しそ、海苔をのせたさっぱりのっけ小丼り、添えた椀ものにもひとたらし、皮も削って散らします。小粒の酢橘は、柑橘の中でもビタミンCの富有量が多い。クエン酸が疲れをとり、リモネンの香りがストレスを軽減します。私は秋刀魚の塩焼き、白身のお刺身、土瓶蒸し、蕎麦、うどんの他、梨や柿に沢山搾ります、美味しくなるし体に良い効果も高まりますね。皮に有効成分があります、ぜひ楽しんで活用してください

9/9

ラペソー・発酵食・ミャンマー

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ラペソーは約半年から1年ほどかけて茶葉を発酵させたミャンマーの郷土食、漬物のようなイメージです。ミャンマーはイギリスの植民地でしたので、お茶を飲む文化も盛んな土地柄、飲むだけでなく、料理にも展開されています。ラペは「茶」、ソーは「湿った」の意味を持ちます。確かにしっとり湿っており、ほのかな酸味があって、後味に少し苦味が残ります。ミャンマーのお母さんが作るお惣菜は、苦味のある野菜がクタクタに煮てあったり、辛味とたっぷりのオイルで煮た魚、スパイスでじっくり煮込んだ肉など保存性も高めた料理が多い。私は乳酸キャベツと混ぜてカレーの付け合わせにしたり、唐辛子入りの酢をかけたりして楽しんでいます。現地では(ラペットウ)と言うサラダにもされます。ラペソーと刻み野菜に、レモン果汁、にんにく、青唐辛子、すりごまなどで味付けし、アジョゾンと言われる素揚げした豆やナッツがたっぷり混ぜてあります。旨味のある干しえびも入って、食感のコントラストが楽しいのです。タイの北部や中国雲南省でも食べられるラペソー、興味深い発酵食です。

9/8

葡萄(ぶどう)

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ぶどうの歴史はとても古く、世界で最も多く栽培されている果物です。日本へは中国を経て渡来し、12世紀頃に甲州(山梨)で栽培され始めました。実は8月〜10月頃熟し、食用の他、ジュースやジャム、ワインなどになります。日本では生食が圧倒的に多いでのすが、世界的にみるとワイン用葡萄が多く占ます。主成分のブドウ糖や果糖は、素早くエネルギーになって体力を回復させ疲れを癒やします。薬膳では血と気を補い、赤い皮の葡萄は貧血防止に良いとされています。
日本の中で、日照時間が長いと言われる山梨のワイン用ぶどう畑にお手伝いに行くことがあります。盆地なので夏は当然暑く、冬は寒くて八ヶ岳おろしと呼ばれる冷たい風を受けながら、体に毛布を巻いて剪定します。そうやって見事に育ったぶどうをつまみながら、数年前に同じ畑のぶどうから作られたワインをゆっくり口にし、ふくよかな液体が喉もとを通りすがる時は、まさに至福の時間です。

9/7

生ハム・ハム

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前菜や料理に欠かせない旨味の強いハム、ワインに合う至福のつまみです。世界3大ハムには、プロシュート、ハモンセラーノ、金華ハムがあります。
イタリアパルマ地方で生産される柔らかく食べやすい生ハムのプロシュートは、パルマ公爵の刻印が押されます。
スペイン産のハモンセラーノは白豚の後ろ足が原料、塩だけで熟成させたもの、ハモンはハム、セラーノは山地の意味を持ちます。ちなみにハモンイベリコは黒豚、さらに長期熟成される高級品で、その中でもランクが3つに分けられています。
そして中国が誇る金華ハム、脂肪が少ない良質な赤身の金華豚が使われ、その熟成された塩気や旨味は頂湯(スープ)には欠かせません。
日本では塩漬けにした豚肉を菌の力で丁寧に長期熟成さたものもありますが、一般的には調味料で味付けしたハムが多く出回っており、気軽に楽しめます。写真は、スペインの生ハム専門店でつまんだ切りたてのハム。暑い昼さがりに冷えたビールやカヴァと堪能しました。ふんわりした口あたりと、程よい脂みと塩気が絶妙、常温なのも美味しさのポイントでした。イタリアワインにはイタリアのハム、スペインハムにはスペインワインで楽しむ。慣れたら、熟成期間や産地を知って食べ分け、合うお酒をチョイスできたらステキです。

9/6

青魚・青背魚

新鮮な青魚や脂の乗っている白身魚を1日1回食べるようにしたいですね。脳への血流を良くし、機能を高める働きがあると言われている、DHA、IPAを効率よく摂取することが出来ます。魚の脂を逃さず食べるには、お刺身、蒸し煮、ムニエルなどがおすすめの調理方、鍋物や煮魚にするなら薄味に仕立てて汁ごといただきます。脂の酸化を防ぐビタミンが多い抗酸化作用たっぷりの野菜を一緒に摂取するとさらに脳の老化防止に効果的です。一食につき、野菜は100g強食べるといですね(1日にとりたい野菜は約350g)。直ぐに作れる一品です、水にさらした薄切り玉ねぎ、胡瓜、大根、人参、しそなどの細切り、ちぎりレタスなどを器に盛り、タレで和えた刺身を乗せて一緒にいただきます。タレは、おろしたニンニクとショウガ各小さじ半、すりごま、醤油各大さじ2、ごま油小さじ2、砂糖と酢を少し加えた味噌小さじ1を混ぜたもの、元気になる合わせダレです。