井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材を日替わりでご紹介します。

2018年 11月の記事

11/30

小松菜(こまつな)・江戸野菜

小松菜の原産地は日本で、江戸時代から今も続く東京江戸川区の特産品です。カルシウム、ビタミン、鉄分、カロテン、食物繊維が豊富で、風邪予防、貧血予防の他、骨を丈夫にする作用があります。中医学では歯周病予防に良いとされていますよ。
小松菜のシンプルな食べ方をご紹介します。鍋に湯を沸かして塩を加え、茎の方から先に入れて茹で、冷水にとって冷まし、水気を絞ります。しょうゆを全体にかけて下味をつけ(地あらい)、再度ギュとしぼって食べやすく切って器に盛り付ける。この一手間でひと味もふた味も違う美味しさが生まれます、お好みでおろし生姜や鰹節を添えて下さい。
その他、栄養が逃げないとっておきの作り方をご紹介します。フライパンにザクザク切った小松菜を入れ、オリーブオイルと塩をパラリとふり、フタをして強火で蒸し炒めに。シンプルが美味しい。
小松菜はアクが少ないので生でも食せます。りんごやレモン、はちみつなどを加えてミキサーでジュースにしても栄養バランスよく、かつ美味しくいただけます。

11/24

チーズソース・フレンチトースト・フランスカフェ

本日はスタンダードなフレンチトーストのご紹介です。
バットに卵1個、牛乳半カップ、きび砂糖少しを混ぜて食パン1枚を20分浸す。フライパンにバター大さじ1を溶かし、浸した食パンを両面焼く。チーズをたっぷりのせてフタをし、弱火で3〜5分蒸し焼きにすれば完成。カフェオレなどと合わせると休日などにピッタリです。フランスに行った時に、とろりとして美味しいなぁと思ったソースの作り方を自分なりに再現してみました。牛乳2カップを弱火で温めておきます。小さなフライパンかソースパンにバター大さじ2を溶かし、小麦粉大さじ2を加え、混ぜながら1分半くらい炒める。そこへ温めた牛乳を加えて、木べらでとろみがつくまで混ぜながら弱火で加熱し、白ワイン大さじ1、好みのチーズ約1カップ分を加え数分煮る。好みでナツメグ、おろしにんにく、マスタード、タバスコ(チリペッパーなど)、しょうゆ、わさびなどを加えても美味。現地では茹で野菜のソースとしてかかっていましたが、パンやオムレツにもピッタリ。気が向いたら直ぐに作れるソースです。チーズは良質なタンパク質、カルシウム、レチノール(ビタミンA)、ビタミンEが豊富。生野菜のサラダや果物を添えるとバランスが良いですね。

11/23

山査子(さんざし)・ダイエット・薬膳茶・美肌

さんざし茶は薬膳ではなかった事になる(食べなかったことになる)と言われるくらい、余分な体内脂肪を流す効果があるとされています。寒くなるにつれて、体に栄養や脂肪を溜め込もうとするこの時期は、ダイエットがちょっぴり難しくなる季節です。新米を始め、様々な美味しいものもどんどん出回ってくるのでついつい食べすぎることも。そんな時はプーアール茶やウーロン茶もいいけれど、さんざし茶を是非お試しください。酸味が強いので、バラの紅茶などと合わせると飲みやすくなり、血の巡りが良くなる上に、美肌効果もアップします。

11/21

きのこ・甘辛きのこの牛丼

今日のお夕飯は、パパッと作れるきのこを入れた牛丼などいかがでしょうか? きのこの中でも抗がん作用が高い舞茸と、食感の楽しいえのき、大粒のなめこ、細ぎりの生姜を加えて甘辛く煮つけます。鍋にごま油少々、スライスした玉ねぎ半個分と生姜の細切り適宜をさっと炒め、出汁2カップ、しょうゆ大さじ2半〜3、きび砂糖大さじ2、みりん大さじ1、ほぐしたまいたけとえのき各1パック分を加えて全体が馴染むまで煮る。なめこと牛肉150gを加えて煮て、ご飯の上にかける。ぬか漬けとおみそ汁を添えれば、さらに腸が喜ぶ献立になります。

11/18

山芋・やまいも・滋養強壮

食欲がない時や病中病後にもよい山芋。薬膳は山の薬と書いて山薬(さんやく)といいます。山芋は胃腸の調子が悪い時やストレスから食欲が落ちた時に特にお勧めの食材。脾胃に優しいのに、滋養強壮効果に優れています。山芋は色々な種類がありますが、特に自然薯は薬効が高い。お鍋や揚げ物など熱を入れた山芋料理も美味しいですが、山芋はぜひおろしたてを生でいただいて下さい。
すりおろしたとろろは滑りが出て美味しく食べやすい上、消化酵素も上がる食べ方です。お鍋や揚げ物など熱を入れた山芋料理も美味しいですが、すりおろすと消化酵素が増えます。そのすりおろした山芋におろした生姜かわさび、それから醤油麹を数滴落とす食べ方が私のお気に入りです。黒ごまペーストや黒すりごまを加えるとさらに腎機能が上がり、元気になりますよ。

11/11

青いレモン・みかん・ゆず・すだち・陳皮(ちんぴ)

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我には小さな裏庭には、みかん、ゆず、黄色いすだち、青いレモンが鈴なりになるので、毎年とても楽しみです。その年によって実がつく量がそれぞれ違っていて、昨年はレモンが立派に育ち、今年はいままでにない大きな大きなみかんがなりました。もぎたての香りは素晴らしく、気分をリフレッシュしてくれます。撮影時に葉付きのすだちやリンゴなどを添えると、写真がイキイキ! 黄色く実る前のみかんは外側が緑だけれど、カットすると鮮やかな蜜柑色でコントラストもきれいです。ほどよい酸味なのでポン酢に加えたり、秋刀魚にかけても良いものです。柑橘類は胃の働きを良くし、豊富なビタミンCが疲れをとり、風邪予防などにも有効です。コラーゲンを摂取したい時もビタミンCと一緒に摂取することが大事(吸収がよくなる)。薬膳ではみかんの皮を干したものを陳皮(ちんぴ)と言い、気血の巡りをよくする生薬とされ珍重されていますよ。私はザルいっぱいに皮を広げて干保存します。大根おろしに陳皮と唐辛子と和えると、彩りや香りがよくなり、効能も高まるのでお勧めです。

11/10

烏賊(いか)・鳥賊骨

薬膳ではいかの甲は(鳥賊骨・うぞくこつ)と言い、主に月経異常、胃腸症に使用されます。タウリンが多いいかは血中コレストロールの増加を抑え、動脈硬化の予防も期待できます。肝機能を改善するのでお酒のあてにもよいものです。昔よく見かけたいか徳利は、味だけではなくちゃんと体によい理由があったのですね。
日本人は世界でも有数のいか好き、さまざまな料理に使われていますが、低エネルギーでタンパク質が豊富、昔から血を養うと言われ貧血にも良いとされてきました。もしもいかの足が余ったら、細かく刻んでつくねやハンバーグに加えると食感に変化がついて美味しくなります。

11/3

薬膳の知恵・薬膳料理・マガジンハウスDr .クロワッサン

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マガジンハウスのDr.クロワッサンシリーズの新刊が発売になりました。
普段の野菜や薬味で健康を整える「薬膳の知恵」。薬膳とは小難しく聞こえるかも知れませんが、身近にある食材で無理なく美味しく健康を手に入れられる食事の事。食材の組み合わせを最大限に生かした「食べ合わせ」を考えることで、日々の体調をケアし、巡る季節を楽に過ごす手助けをします。
伝統的な日本の和食のほとんどは薬膳です。この本は昔ながらの民間療法、現代栄養学、発酵食を交えながら考案したレシピを判りやすくご紹介しています。例えば「風邪のひき始めに効く」「アンチエイジング髪の悩み」「シミそばかす肌荒れに効く」「冷え低血圧」「便秘下痢お腹に効く」「花粉症・鼻炎」「高血圧動脈効果予防に効く」など11の章で構成しています。
「食薬ごはん」とは食べ物の性質や効能を知り、身体に取り入れ不足を補う料理。皆さんが健やかに美しく過ごせる手助けになれば本当に幸いです。

11/1

お粥(かゆ)・朝粥のすすめ

寒くなってきました、朝粥のすすめです。胃が温まり消化がよく、負担がかからないお粥は、デンプンの糖質が頭や体のエネルギーになるので1日のスタートにぴったりな食事です。私は普段からお粥を食べることが多いのですが、旅先でもチョイスします。だいたい食べすぎや呑みすぎになるので、胃に優しいお粥と梅干し、おみそ汁、大根おろし、生姜など胃腸を整えるものと合わせて。なんてことない食材や料理ですが、どれも調子を整えてくれるので、普段の食生活に取り入れると体の調子が良くなります。
台湾やタイではお粥に肉や魚、香味野菜を加えてとろりと煮込み、栄養満点の朝食として食すのが習慣になっていますね。禅の教えに(粥有十利・しゅうじゅうり)という言葉があります、10個の効能の意、まさに医食同源です。