井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材を日替わりでご紹介します。

2018年 3月の記事

3/31

生薬・桃仁(とうにん)・桃

桃は、3〜4月に花を咲かせて、果実は6〜7月に実ります。
桃仁は桃の種子(硬い殻の中にある)。種子を天日干ししたもので、血の流れが悪くて生じる「瘀血・おけつ」による月経痛や無月経、生理不順、うっ血、子宮筋腫などを改善させる効能があるとされます。乾燥性の便秘、下腹部の膨満感、肩こりなどにも有効とされています。
桃には古くから邪気を払うとされ、桃の花を飾って女子の健やかな成長を祈る風習があります。中国では長寿に効果があるとされ、絵や陶器のモチーフとしてもよく見かけます。桃にはそれだけパワーがあると考えられているのですね。ちなみにつぼみを乾燥させた白桃花(はくとうか)は葉はあせも、しもやけ、ただれ、湿疹などに効能が期待できます。桃は美味しい果実でもあり、素晴らしい効能を持った生薬でもあります。

3/30

ブラッドオレンジ

DSC00245 (1)

2018年の皆既月食は31日の作夜でした。深いオレンジ色に輝くブラットムーンが東京でもよく見えてとても神秘的でしたね。ブラットムーンをみていたら単純にイタリア地中海が原産のブラッドオレンジを思いだしたのでご紹介。普通のオレンジより赤が濃く甘い、日本でもジュースで馴染みがありますね。ブラットオレンジは通常のオレンジより、色素が濃い分、栄養価も高く、ビタミンCは約1、5倍ほどあり、抗酸化作用のアントシアニンも豊富に含まれています。
アントシアニンはフラボノイドの一種で、ナスやブルーベリー等に含まれているポリフェノール。最近では愛媛県などでも栽培され市場にお目見えしています、旬は3月下旬から5月上旬まで。

3/29

菜の花・なばな・視力回復

菜の花・なばな・視力回復・カロテン

アブラナ科の菜の花は、キャベツやブロッッコーリーの仲間です。カロテンやビタミンが豊富、葉酸や鉄分も多いです。
今日は、栄養を最大限に生かす調理法をご紹介します。茎や筋のかたい部分を落としてボウルに入れ、たっぷりの水に10分ほど浸して汚れを落としてシャキッとさせる(これ大事)。フライパンに2、3等分に切った菜の花、オリーブオイル、菜種油やごま油など好みのオイルをふりかけます。粗塩を全体にふってフタをし、強火にパッとかけるだけ。しんなりしたら出来上がりです。菜の花の蒸し煮は美味しさや香りが逃げず、凝縮した春の味を堪能できますよ。調理はパパッと!が菜の花の栄養分を逃さない大切なポイントです。先ほど届いた、満開の菜の花畑の写真。本日の海と菜の花畑のコントラストがものすごくキレイで素敵です。

3/28

卵・たまご・玉子・オムレツ

securedownload

オムレツと聞くとバターの溶けるいい匂いが漂って、シンプルで幸せな食卓のイメージがあります。今も昔も万人に愛される人気のオムレツ。名前の由来には、ユニークな一説があるのです。昔、スペインの王様がお腹がすき、通りすがりの家の男性に食べ物を作るように命じました。その男性の素早い動きを見た王様が「ケム・オ・ム・レスト」(なんとすばしっこい男だ)と呟いたことから、オムレツになったとか。
私のオムレツは生リーム、チーズ、マヨネーズのいずれかを気分で加えてコクを出し、フォークで泡立ててふんわりときめ細かく焼きます。シンプルに卵に塩、胡椒だけをして、焦がしバターで焼くのも美味しです。卵は食物繊維とビタミンC以外の全ての栄養を含む、バランスの良い食品です。野菜を添えると最強の一皿になりますよ。

3/26

雪の下・ユキノシタ・虎耳草

FullSizeRender 108

雪の下は湿った半日陰地になる岩場などに通年自生する植物で、多年草の山菜です。
初めて出会ったのは天婦羅屋さん、サクッと揚がった緑と赤の葉色が美しく、形も丸くて可愛らしいのでとても印象的でした。 雪が積もった下でも枯れずに生息しているので「雪ノ下」と言われるそうですが、諸説あるようです。 食べるなら、春先の葉が柔らかい時期がお勧めです。解毒作用があるとされ、お造りの添え物などにしたり、お椀、お浸し、和え物などに。
生薬では虎耳草(コジソウ)といい、煎じて熱冷ましに飲んだり、葉を炙ってはれものに貼るなど、民間治療薬として使われていました。

3/25

分葱・わけぎ

わけぎは、ねぎと玉ねぎの交配種でねぎとタマネギの雑種で球根性多年草です。広島県や島根県などの産直市場や道の駅に行くと柔らかそうなわけぎがずらりと並んでいます。この季節は肝機能が低下するので、酸味を加えた酢味噌和えなどの料理がおすすめ。脾を補う為に、少しの甘みを上手に加えて摂取します。タウリン豊富なイカやあさり、おろし生姜を組み合わせると美味しくなる上に栄養価がアップしますよ。
わけぎには皮膚や粘膜を健やかに保つ働きがるので、アレルギー症状などが気になる方はたっぷりいただいて下さい。

3/21

おから・おからのサクサクグラノーラ

畑のお肉と言われる大豆。おからは大豆を茹でて豆腐を作る時に豆乳を絞った後に残るもので、大豆由来の栄養価(タンパク質、ビタミン、カルシウム、イソフラボン、レシチン、サポニン)を多く含んでいます。何より繊維が豊富、近所のお豆腐屋さんの豆乳はトロリ濃厚で、お豆腐が美味しいんですね。必然的におからも美味しいので、卯の花やきらずはもちろん、ポテトサラダやコロッケ、ハンバーグを作る時に混ぜたりましす。乾煎りにしてサクサクにし、グラタンなどお勧めです。クッキー、ドーナッツ、パウンドケーキなどお菓子の粉の一部をおからに変えるとカロリーダウンになり、食物繊維量もアップします。私のお気に入りはおからを天板に広げ、メープルを回しかけてオーブンでカラカラになるまで焼き、刻んだナッツやドライフルーツと合わせると(おからグラノーラ)美肌効果も高まります。
便通効果が改善し、美肌効果が高まります。

3/19

せり・芹・白根草・せりごはん

IMG_3381

桜が咲く季節には、せりを沢山入れたせりご飯を作ります。せりの半量をごま油で炒めて(アクを取る意味もあります)ご飯と混ぜる。油とよく合うので、お揚げや牛肉を加えてもいいものです。残り半量は刻んで加え全体をサックリと混ぜ、仕上げにゆかりとすりごまをふる。お花見で桜を見上げながらいただく毎年楽しみなお弁当。
せりは多年草で、きれいな小川や水辺、田んぼなどに生える香りがよい春の七草の一つ、古来から食養生にも使われてきました。 病気を防ぐ という意味合いで、七草粥にも入っていますね。せりには血流を正常に保ち、貧血の予防効果があり、特有のよい香りがストレス緩和に役立ちます。

3/16

さより・針魚・細魚・春告魚

0407_sayori

さっぱりした白身で淡白な美味しさのさより。室町時代に書かれた「大草家庭料理」に生さよりは吉とありますが、鮮度が良い旬のさよりはお刺身でいただくのが一番です。
皮に独特の風味があるので塩焼き、干物などもお勧め。
それからそれからステキな料理がありますよ、ピカピカのさよりを酢でしめ、少し甘い細かいおぼろをのせると何とも美しい! 食べると口の中が春の嵐のようで、心がザワザワします。
淡白なのに、かみしめると味が濃厚なさよりですが、白ワインとも合わせたくて、控えめな甘さで、セミドライのみりん干しを作ってみたら大正解でした。
その土地土地によって収穫時期も呼び名も多様ですが、細身で銀色に光る美しいさよりが瀬戸内の海面に跳ね始めるのは3月〜5月、春の訪れを告げる魚でもあります。さよりが稚魚の頃は(えんぴつ)と、可愛らしい名で呼ばれていますよ。
購入するときは、全体に張りがあって銀色に輝き、あごの先が鮮やかな朱色をしているものが鮮度のよい証です。

3/14

コラーゲン・牛すじ・ゼラチン・美肌

フカヒレやうなぎなどにも多いコラーゲン。私は肌の乾燥が気になる時、牛すじに根菜類と生姜をたっぷり入れてコトコト煮たものを食します。牛すじを買ってきたら2度ほど下茹でし、水と酒(焼酎)、赤唐辛子1、2本、ゴロゴロに切った根野菜、ぶつ切りにした長ネギ、薄切り生姜(皮付き)などを入れてフタをし、牛すじが柔らかくなるまで煮込みます。きび砂糖、醤油を加えて好みの味に仕上げれば出来上がり、気分で味噌やオイスターソース、生薬(スパイス)を加えることもあります。牛すじをコトコト煮込む人が中人は、水で溶いたゼラチンをさっと煮物やスープなどの料理に加えると手軽に摂取できますよ。コラーゲンの合成に必要なたんぱく質やビタミンCと一緒に摂取することも大事。また、コラーゲンは夜にいただくと良いとも言われています。