井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材を日替わりでご紹介します。

2023年 6月の記事

6/25

らっきょう・韮白・甘酢漬け

井澤由美子・食養生・まいにち食薬養生帖・疲労回復・らっきょう・ラッキョウ・甘酢漬け・漬物・きび酢

らっきょうは中国原産で中薬学では韮白(がいはく)と言う名の生薬、日本では畑の薬と言われるほど豊かな効能を持っています。行気薬(気の巡りをよくする)でもあり、野菜の中でもトップクラスの水溶性食物繊維を含みます。腸内の便を吸収するので、便秘解消に薬効があります。
ネギ類なので匂いがありますが(硫化アリル)、血行を良くし、血液をサラサラにします。購入時は丸みを帯び、あまり芽が出ていない新しいものを選んで下さい。

甘酢漬けの作り方です。らっきょう1㎏は茎と根元ギリギリの部分を切り、ボールに入れて流水で薄皮を取るようにこすり洗いする(剥きにくい時は、包丁で切った部分から引っ張るようにします、傷んでいるものがあれば除くか、包丁で剥く)塩大さじ2でもんで20分ほど置き、ざっと水で流す。熱湯で8〜10秒茹でてそのままザルに広げて冷まし、消毒した保存容器に入れ、種を取った赤唐辛子2本と昆布一切れを加えます。小鍋に水160cc、グラニュー糖か氷砂糖(ハチミツやきび砂糖でも)250g入れて溶かし、酢350ccをまぜて冷ましてらっきょうの入った瓶に注ぐ、2週間後から食べられます(好みで粗塩少々を加えても)。
大事なのは芽が成長するので購入したらその日に仕込むこと、後は時間が美味しくしてくれます。

6/20

糠漬け・発酵食・腸活

井澤由美子・雨季の食養生・発酵食・漬物・糠つけ・青梅・実山椒・梅雨の食養生・食薬ごはん・井澤由美子・薬膳・漢方

糠漬け作りは発酵しやすいこの季節の気温がおすすめです。梅干しやラッキョウ、山椒仕事で忙しい作業中ではありますが、酸味のあるさっぱりとした胡瓜の糠漬けなどをパリパリと頬張ると、グラつきがちな天候も気にならなくなります。

できれば精米したての生糠(ぬか)500gを用意します。鍋に水2カップ強の水と粗塩60〜70gを入れ溶かし冷ます、ホーローなどの密封容器にぬかを入れ、冷ました塩水を少ずつ柔らかく(ぬかどこらしく)なるまで加えてよく手で馴染ませる。赤唐辛子2本、角切り昆布3㎝角2枚、生姜、粉辛子、干し椎茸などを適宜好みで加え混ぜる。捨て漬け野菜を毎日変えて5、6日して熟れたらきゅうり等、軽く塩もみしてから本漬けします。朝晩かき混ぜるのが理想ですが、最低でも1日1回は混ぜる、容器のフチについたぬかはキレイにふきとり、表面は平らにならして保存するとカビが生えにくくなります。

そして、旬の生実山椒と青梅をポンと加えるのがこの時期ならではの醍醐味。風味が良くなって防腐作用が上がりますよ、ぜひお試し下さい。管理が難しい時は発酵してから冷蔵庫保存します。乳酸菌やギャバがたっぷりの糠漬け、免疫力を上げイライラも防ぐ効果も期待できます。

6/12

荏胡麻・エゴマ・ジュウネン

ジュウネン・健康ごはん・食薬ごはん・井澤由美子・料理家・薬味・健康ごはん・野菜料理・美しい人・初夏の野菜・香味野菜・韓国料理

農家さんから、茎がしっかりとしたエゴマの葉が送られてきました。エゴマはシソの葉が大きくなったような香味野菜、シソ科の一年草。絞ったエゴマ油は近年特に人気ですね、大変な手作業に加え、デリケートな油なので値段は少々しますが、それだけ高い効能があります。

豊富に含まれるオメガ3脂肪酸、aリノレン酸が体や脳、肌を健康に保つ効果が期待できます。上質なものを購入し、かける和えるなどの調理法でシンプルにいただいて下さい、加熱しないのがポイントです。

荏胡麻の簡単麺つゆ漬けの作り方です。荏胡麻の葉30〜40枚は、5分水に離して裏面をよく洗い、重ねる。1分塩茹でし、氷水にさらして水気を絞る。浸るくらいの3倍濃縮麺つゆに、おろしにんにく、ごま油、すりゴマ、唐辛子各少々を混ぜたものに茹でた荏胡麻を馴染ませ、一晩冷蔵庫で寝かせれば、ごはん泥棒の出来上がりです。

荏胡麻は防腐効果もあるので、採取される産地では、昔から郷土料理や民間療法などに多様されて来ました。10年長く生きられる意味合いから、ジュウネンと呼ぶ地域もあるほどです。食以外にも、荏胡麻油は乾性油なので防水性、昔は油髪や番傘に使われていたそうです

6/9

パッションフルーツ・リリコイ・果物時計草・美肌

井澤由美子・与論島・美肌・美容・パッションフルーツ・果物時計草・リリコイ

果物時計草はパッションフルーツの別名。コケティッシュな花が時計草に似ているからだそうで、ハワイではリリコイと呼ばれる定番のフルーツ。台湾では百香果(パイシャンコウ)百の香りの果物といい、素敵な意味の名がついています。爽やかで甘酸っぱく、奥底に魅惑的な香りがひそんでいて、化粧品やアロマテラピーなどにも用いられています。切った時のビジュアルもとてもフォトジェニックです。

農家さんがパッションフルーツの話をしながら、両手で挟むように圧をかけてパンッと器用に割って中を見せてくれました。中身が飛び散らないか少し不安になりますが、私も真似してみたら割と上手くいきました。内側の皮を寄せて引っ張りだすと中身を上手に出すことも出来ます。

パッションフルーツには、肝機能を高める効能の他、美白効果や新陳代謝を活発にする働きが期待できます。ピークは6月〜8月頃、果肉はすっぱいイメージがありますが、皮にしわが寄ってしっかり完熟したものは酸味が抑えられて食べやすい。逆に表面にシワの寄らない若いものは酸味が少し立つように感じ、ソースやドレッシングにするのがお勧めです。生クリームとの相性もよく、他のフルーツでは作れない魅惑的な味わいが生まれます。

写真は与論島のパッションフルーツ農園にて。まだ青く、実垂れ下がる感じがカーテンみたいで可愛い。撮影で、沢山のフルーツティーを作っていますが、リリコイを加えると他の果物より衝撃的に美味しくなりますよ。

6/8

小鮎・鮎

鮎・稚鮎・小鮎・井澤由美子・初夏の味・食薬・養生食・料理家・井澤由美子・老化防止・鮎ずき・健康・美容・

先日、お土産にいただいた琵琶湖の小鮎の串刺しは、小さな鮎を調理したもの。香ばしく炙ってあり、辛子酢味噌が添えられていました。小鮎は世界で唯一、琵琶湖だけで獲れる特別な魚で地元では自慢の味覚。小鮎は鮎の稚魚では無く、小さいですが成魚です。

鮎が成魚になる前の小さい鮎の稚鮎も初夏の醍醐味。骨が柔らかいので、唐揚げやフリットにしたり丸ごと甘露煮にするなど楽しめます。小さいですが、ちゃんと内臓のほろ苦さが有ります。

赤味噌に甘みを加えて滑らかく練ったものに、鮎の新鮮な鮎のウルカ(内臓)を合わせたものは、独特の苦味が生きています。揚げなすとの相性が抜群で、新炊きたてのご飯と合わせると最高ですよ。鮎は生きているうちならお刺身にも出来ます。氷をはった器に青紅葉をあしらい、美しく盛られた鮎は涼やかで風流、初夏の醍醐味です。

鮎は川によって、香りや苦味が違うように思います。ビタミンAやビタミン12を非常に多く含む鮎、老化予防にも効果が期待できそうです。

6/5

ホワイトアスパラガス

井澤由美子・ホワイトアスパラガス・アスパラ・食養生・アスパラの茹で方・フレンチ・シャンパーニュ

口中に広がるほろ苦さと、みずみずしい甘さを兼ね添えたジューシーな野菜はホワイトアスパラガスしか無いように思います。
ヨーロッパには、桜前線ならぬアスパラガス前線があります。まっすぐに伸びた太めのアスパラガスを手に入れたら、剥いた皮と粗塩を入れた70度くらいの湯で、ゆっくりとアスパラを茹でます。晒しやガーゼを伏せてだいたい17〜20分ほどです。氷水にさっと落とし、表面だけの粗熱を取るのですが、口にする時はまだ温かい状態でなければなりません。さっぱりとしたオランデーズソースと削りたての岩塩がお約束です。この茹で方は三田にある私が一番好きなフレンチの名店のシェフに教わったもの、丁度今はフランスから北上してドイツ産になりました。

グリーンアスパラに多く含まれる抗酸化作用のルチンやカロテン、ビタミン類などの含有量には劣りますが、何よりもその食感や旨味、そこはかとなく感じる大人っぽい苦味とジューシーさが美味しい。この風味に熱狂するヨーロッパ人のファン心理に同感します。初夏を感じる爽やかな休日の午後に冷えたシャンパーニュや白ワインをお供に堪能してみて下さい。

 

6/3

すもも・季・酢桃・スモモ

井澤由美子・かき氷・すもも・季・プラム・プルーン

美味しそうなすももが出回っています。
すももは、中国原産の生食用とする日本すもも「プラム」と、ジュースやジャム、ドライフルーツなどの加工用が多いヨーロッパ原産の西洋すもも「プルーン」の2つに分類されることが多いようです。日本すもものもぎたては、酸味が強く、酸っぱい桃と言う意味合いから「すもも」と呼ばれるようになったそうです。

みずみずしいという言葉がぴったりな果肉と程よい甘酸っぱさと溢れる水分を含む果実は、ありそうで他の果物にはなかなかないものです。旬も短いので完熟フレッシュを思いっきり堪能します。保存用には、皮ごと氷砂糖と優しく煮たシロップを仕込みます、ほんのりした淡いピンク色も可愛らしい。私がかき氷屋さんに率先して足を運ぶのは、限定すもものシロップがある時期だけ、氷の温度にこだわったエアリーなかき氷を繊細に引き立てるから、天然氷をちゃんと楽しめます。

すもものクエン酸は肝機能を高め、中医学では血の巡りを良くし精神安定にもよいとされています。あまりに香りが良いので、枕元に置いて楽しむことも。季は体を整える果物として珍重されて来た食養生の五果の内のひとつです。