井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材を日替わりでご紹介します。

2020年 9月の記事

9/8

葛・くず・薬膳

DSC04899

つるんとした喉越しのよい葛きりは涼しげ。まだまだ暑いので、甘味も良いですが、みょうがやしそ、ごまなどとお素麺のようにいただいても美味しいものです。

葛きり、葛餅など独特の食感が楽しい葛は、マメ科のつる植物で、根から採取されるデンプンが本葛粉となります。数年前に奈良県の本葛造りを見学してきました。本葛のお値段が少しよいのは、葛だけを材料にしているから(もちろん、効能も高い)。

極寒の頃に掘り起こして下処理し、何度も何度も水にさらし乾燥させるなど、とても手間がかかっています。くずの根といえば葛根湯ですね。風邪による症状で後頭部から首にかけての痛みを軽減する効能があるそうです。その他、葛はお腹の張りや胃腸の症状にも優しく作用します。

 

9/6

もやし・青森県大鰐温泉もやし

もやし・青森特産品・温泉もやし

飯田橋にある青森県のアンテナショップで見つけた特別長い豆もやしは「大鰐温泉もやし」。見るからに美味しそうです。聞けば根の部分も食べられるそうで、豆の部分を平貝の貝柱と一緒に、シンプルに塩味で炒め物にしてみました。旨味のあるシャッキリとした根と、柔らかい豆の風味が香る。芹の根の部分を食べますが、またそれとは違う風味で、他の野菜にはない旨味と食感があります。真ん中の繊細そうな白い部分はさっと茹でて揃えて切り、煎り酒でお浸しに。仕上げに庭の青ゆずの皮を少し削って香らせてみましたが、もやしとは思えない上品さです。

このもやしは、青森県中南地域に位置する大鰐町(おおわにまち)で作られる津軽伝統の冬野菜。約350年前から栽培され、温泉水のみで大事に育てられています。出荷される時は昔ながらの手作業の藁(わら)で束ねられるなど、伝統を受け継いでいます。
大鰐温泉の豆もやしは、門外不出の在来種「小八豆(こはちまめ)」の大豆から作られています。温泉水に含まれるミネラルやビタミン類、発芽させることで大豆の約2倍の栄養価があります。この美しいもやしに最近はまっています、蕎麦で育てられた蕎麦もやしもあるそうでこちらも興味をそそられます。

9/5

落葉きのこ・ハナイグチ・イクチ

落葉きのこ・きのこ

東京ではあまり見かけない落葉きのこは、落葉松(カラマツ)の木の下でよく見かけます。写真は数年前、北海道の美瑛で出会ったものです。表面はぬめりがあって、裏を見ると鮮やかな黄色で水分が多い感じがします。地元の方々に大変人気のある美味しいきのこで、見つけると皆さん楽しそうに採集していました。下処理として、汚れや虫を取る為に濃いめの塩水にしばらく漬けて除きます。

お味噌汁や鍋に入れたり、さっと湯がいて大根おろしでみぞれ和えにしたり、醤油漬けなどにして楽しむそう。肉厚なきのこなので、炒め物や揚げ物にしても美味しいです。採集して日にちが立つとなんと溶けてくる為、早めに調理します。
きのこはカロリーが低く、食物繊維が豊富、秋にたっぷり堪能したい味覚ですね。

 

9/4

モロヘイヤ・スパイス・夏バテ防止・薬膳カレー

モロヘイヤカレー・スパイスカレー・薬膳カレー・モロヘイヤ・王様の野菜・夏バテ防止

エジプト原産のモロヘイヤは、古代モロへーヤのスープを飲んで王様が病気から回復したとされ、その栄養価の高さから「王様の野菜」と呼ばれています。抗酸化作用が高く、豊富なビタミン類は葉野菜の中でもトップクラス。美肌効果もあるのでエイジングケアにもお勧め。かのクレオパトラも愛食していたそうです。
薬膳では、体内の水分を調節する(津液)を補う野菜とされています。今日のような猛暑日は特に消耗するので、疲労回復を助けるモロヘイヤはお薦めです。酢の物は夏バテ防止にぴったり。酢に含まれるクエン酸はエネルギー代謝を助け、疲れの元となる乳酸を分解します。同じく疲労回復効果のあるモロヘイヤと合わせると、さらに効果的。私はモロヘイヤの酢浸しをたっぷり作って冷蔵庫にストック。作り方は、簡単。モロヘイヤを茹でて水気をよく絞り、叩くように細かく刻んで粘りを出し、酢浸しにしてタッパーにたっぷり冷やしておきます。いただく時におろし生姜を添えます。心地よい辛味と香り、ひんやりした喉越で生き返ります。

もうひとつは名づけて「王様のモロヘイヤスパイスカレー」。唐辛子、にんにく、香りスパイス(カルダモンやコリアンダーシード、クミンなど)を40〜80度の間で油でゆっくり炒めて香りに華を咲かせます。スパイスは脂溶性のもが多いので油と合わせると良いのです。後はチキン、水、モロヘイヤを加え、好みの味に整えて煮込めば出来上がりです。

栄養価の高さと語源により陽が盛んで疲労する日には特にお勧めの野菜となります。

9/1

枝豆・えだまめ・山椒・お浸し・おつまみ

枝豆・お浸し・えだまめ・おつまみ

江戸料理に枝豆の東煮という料理があります。枝豆をさやごと醤油やみりん、唐辛子などと甘辛く煮て冷たく冷やしたもの、がなんとも粋。中身をだして出汁に漬けた出汁漬けは、透明な冷やし鉢に入れるとさらに涼しげで涼を呼ぶ。東北地方の郷土料理のずんだ餅も枝豆で作りますね、砂糖やもち米と合わさって滋養にもとてもよいものです。

枝豆は肝機能の働きを助けアルコールを分解するので、ビールの相棒的な存在。理にかなっていますね。ビタミンB1、B2を含む大豆にはないビタミンCとカロテンンも豊富。

ご存知の方も多いと思いますが、枝豆は大豆が未成熟の内に収穫したもの。私は菜園を借りていて、豆の種まきから味噌作りを毎年楽しんでます。

枝豆時期は枝豆おつまみをほとんど毎日作ります。今日は昆布だしと山椒の実の枝豆お浸しをキンと冷やして!