井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材を日替わりでご紹介します。

2019年 8月の記事

8/31

セイボリー・ハーブ・インゲン

いんげんを茹でる時に加えると美味しくなるハーブで、豆のハーブとも呼ばれています。サマーセイボリーと少し香りの強いウインターセイボリーの2種があり、エンドウやいんげんを茹でる時に加えると味が引き立ち、キャベツや蕪を茹でる時に加えると独特の臭みが抜けます。地中海沿岸が原産地で、ミツバチに刺された時などは葉をこすりつけると腫れや痛みが引くそう。ラッキーにもセイボリーをゲットできたら、加えて茹でてみて下さい。作り方は、いんげんを洗って塩を全体にまぶすようにこすりつける。たっぷりの熱湯にオリーブオイルをほんの少したらし、塩が付いたままのいんげんとセイボリーを加えると、香りよくあざやかないんげんがふっくら香りよく茹だる。

8/24

酢・にぼ酢・にぼし

体と心を癒す酢。旨味とカルシウムを含む酢は疲れをとり、料理も美味しくします。朝食に、酢を加えた納豆を食べると頭と胃がスッキリします。nhkあさイチさんでも5年以上前にご紹介したことがありますが、適宜の酢を加えると、納豆の粘りがサラサラとした白い泡になってふわりと食べやすくなります。今なら刻んだトマトやおろしたきゅうりを加え体の余分な熱をとり、じゃこ、しらすなを気分で合わせて夏の暑さを乗り切ります。ごま油を少し加えると吸収も良くなります。酢にたっぷりの煮干しを入れた「にぼ酢」は、米酢やりんご酢に漬けるだけですが、30分で柔らかくなり、酢には旨味がまわります。酸味が押さえられて食べやすく、酢に旨味をつけると言うより、煮干しを美味しく食べられるところがいい。小さなお子様や年配の方まで難なくいただける柔らかさになっています。酢の酢酸菌と昆布のカルシウムが合わさると、「酢酸カルシュウム」になります、単体で食べるよりグンと吸収率がアップするので、骨粗しょう症予防にもなりますね。煮干し自体が料理にも使いやすくなり、たとえばすり胡麻と合わせて胡麻和えに、片栗粉をはたいて揚げたフリットや南蛮漬けなど、幅広く応用できます

8/20

海胆・雲丹(うに)・天売島(てうりとう)

うに・ウニ・雲丹・天売島・北海道

ウニの種類はムラサキウニ、アカウニ、バフンウニなどがあり、約2500年前から食べられているそう。葉酸がたっぷりで鉄分も豊富、乾燥肌も潤す効果があります。アリストテレス(古代ギリシャの哲学者)はウニの口器を見てランタンのようだと言ったので、アリストテレスのランタンと伝われており、このランタンが日本の提灯に変わったとか。とりたてのウニの殻を半分に割ってスプーンですくう。コクのある甘いウニをいただいた後は、宿のお父さん(栄丸の漁師さん)おすすめの焼きウニにする。合わせるのは、日本酒をツブ貝に入れた出汁の効いた熱燗。青くて広い空と通り道に広がるラピュタのような草花、コバルトブルーの透き通った海など感動ばかりの天売島。
好きな食べ方に、おろしたての山葵と醤油を混ぜ、雲丹の粒をつぶし過ぎないように混ぜる。温かいご飯に乗せると最高ですが、もち米にすると、もっちりとしたご飯とねっとりした雲丹がよく絡んで美味しさこの上ない。蕎麦つゆに鶉の卵と山葵、たっぷりの雲丹で溶いた「ウニツユ」でいただく冷たい蕎麦も、夏の大人の醍醐味です。

8/18

湧き水(わきみず)

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湧き水は、雪どけ水が何十年、何百年の長い長い時を経て、ナチュラルミネラル天然水(ろ過、加熱処理、沈殿を行っていない地下源水)になります。理想的な湧き水のカルシュウムとマグシュウムのミネラル比率は2対1が望ましいとされています。年間を通して約7度の湧き水は、夏でも冷んやりして無色透明。いただくと体の細胞すみずみに行き渡り、活性化していくのを感じます。宿の壁に大雪山旭岳は父、雪どけ水が流れる雄大な石狩川(北海道)は母と書してありました。旅館の夕食にでた(湧き水ゼリー)は、私にとって何より嬉しいデザート、ネーミングもステキですね。

8/14

サマーオレンジ・スイカ・西瓜・食養生

サマーオレンジは、柑橘類のような名前ですが実はスイカです。北海道で出逢った感動した食材の一つ。口にしてみたらよくある黄色いスイカとは違い、何となくメロンのような甘さが有ります。舌触りもクリーミーで、いつものサクサクしたスイカとは様子が違いました。色はクリームイエローで、種も少ないのが特徴です。聞けば、生産方法も変わっていて、夕顔に接木して育てているのだとか。サマーオレンジは(夕陽色)の意味合いだそうで、農家さんは、目の前に広がる水平線に沈む夕日を毎日毎日眺めながら味見をするのが日課で、その様子を楽しそうに教えてくださいました。早々持ち帰って、スイカのクリームティーサンドを作って冷たいアイスティーと合わせました、眼にも舌にも楽しめる大人のオヤツになりました。

スイカはカリウムが豊富、利尿作用があります、赤いスイカはトマトと同じリコピン、黄色いスカイかはカロテンを含みます。シャリシャリと冷んやり冷えたスイカを食べると、糖分やミネラルを含むので体を潤していくのが判ります。塩をふって食べると甘さが引き立つだけではなく、スポーツドリンクと似た内容になります、熱中症対策にも最適ですね。

8/11

生マッコリ・乳酸菌

酵素も酵母も行きている生マッコリ。熱処理をされておらす、乳酸菌がとても豊富で腸内環境にも優しい韓国のお酒です。昔は農作業をしながら水がわりに飲まれていたそう。アミノ酸が多く麹も感じられます、疲労回復を手伝い美肌効果も上げますね、疲れやすい猛暑にピッタリのお酒です。発砲しているので、優しくふった後にフタを数回叩くとよいそうです。少しのとろみと爽やかな酸味が美味しく、ついつい杯が進みますが、アルコアール度数はビールより少し高めの6〜8度。ストレートがお薦めですが、キーンと冷えたビールで割ったり、飲むタイプのヨーグルトと割る、ジュースで割る、炭酸で割るなど楽しみ方は色々。ごま油で香ばしく焼けたチジミや、辛味の効いた韓国料理にはマッコリは欠かせません。長期保存ができる加熱処理されたものはマッコリ、非加熱のものが生マッコリとして販売されており、最近では国産の生マッコリも入所出来るようになりました。

8/10

牛肉(ぎゅうにく)・慢性疲労

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日々積み重なる疲労に暑くるしさが足され、体力がみるみる消耗して疲れやすくなるこの季節。内臓機能も低下して、脳が慢性疲労を感じやすくなってしまいます。病院にいってもこれといって悪いところはないのですが、疲れると気落ちもしてしまう。中医学ではこれを気虚(ききょ)と言い、漢方薬や食で養生し、身体の機能を回復させます。食材の中で特に「気」を補う食材は牛肉。必須アミノ酸が豊富な牛肉は、良質なタンパク質やミネラルで身体の機能を改善させ、筋骨を丈夫にします。生薬の黄耆(おうぎ)に匹敵できるくらい効能が高いそう。ニンニク、ショウガ、山芋、カロテンやビタミンの多い緑黄色野菜など元気になる効能が高い食材と、胃腸を整え消化を促進する発酵食と合わせて相乗効果を上げ、また来週頑張れる気力体力を復活させましょう。夏野菜は体の余分な熱を取ります、気虚には大豆製品もお薦め。

8/8

冬瓜(とうがん)

夏に収穫しても冬まで保存できる冬瓜、名前の由来です。ほとんどが水分で、低カロリー、カリウムが豊富なのでむくみやダイエットに効果的、瓜科夏野菜なので身体の余分な熱も冷まします。薬膳でも優れた生薬として昔から珍重されて来ました。皮を薄くむけばキレイな翡翠(ひすい)色が冴えます、ピーラーでも良いですね。海老そぼろなどと合わせるとコントラストが美しい。私はいつも大ぶりに切った冬瓜を下茹でし、たっぷりの出汁を含ませ、葛でとろみをつけて冷蔵庫で冷やしておきます。スープや椀もの、たんぱく質を加えるとボリュームも出て美味しいものです。台湾では冬瓜をザクザクと切って黒砂糖と生姜でゆっくり煮詰め、水やミルクで割る飲みのがあります、解熱作用がある筈ですが、生姜と黒糖で冷やし過ぎ防止の配慮がありますね。冬瓜を購入する時は少し小ぶりで、表面に白っぽい粉が吹いているものを選んで下さい。

8/4

エゴマ・えごま・荏胡麻

シソの葉に似ているエゴマはシソ科、エゴマ油は近年特に人気です。大変な作業に加え、デリケートな油なので値段は少々しますが、それだけ良い効能があります。豊富に含まれるオメガ3脂肪酸、aリノレン酸が体や脳、肌を健康に保ちます。上質なものを購入し、かけるあえるなどの調理法でシンプルにカラダに摂取しましょう。余談ですが、エゴマ油は乾性油なので防水性、油髪や番傘に使われていたとか。小さな丸い粒は香ばしく、ゴマのように色々な調理に使えます。乾煎りしてすり鉢ですって、和えごろもに加えたり、焼き物の表面につけてカリカリとしたコントラストをつけても美味しいもの。
エゴマが採取される産地では、昔から郷土料理や民間療法などにも多様されて来ました。
葉は醤油漬けにしたり、キムチにして炊きたてのごはんにくるりと包んでほうばると最高ですね。

8/4

蓮の実(はすのみ)・蓮子(れんし)・蓮肉(れんにく)

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キッチンにいらした方に、この瓶に入った丸いものはなんですか?と、よく問われます。レンコンの地上に咲いたハスの花の実ですとお答えします。はすの実は生でも食べられますが、日本ではだいたい乾燥したものが多い。薬膳ではイライラを抑えて精神を安定させ、安眠できる生薬とされています。ハスが国花のベトナムではお馴染みです、お茶やスープ、お菓子、甘納豆に入っています。台湾、中国ではちまきや月餅などに。私はよくお肉と合わせて煮こみ、じゃがいもやお豆の代わりにします。
インドから伝わったハスは仏教とのつながりも深く、お釈迦さまの台座にもなっていますね。子供の頃からなぜか好きだった蓮の花が美しく咲き誇る8月。その神秘的な美しい花をみるだけでも、心に静けさが満ちてきます。