井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材を日替わりでご紹介します。

2023年 10月の記事

10/30

蓮根・ハス

蓮根は調理の仕方によって、いくらでも表情を変えることが出来る魅力的な野菜。蓮根に含まれるポリフェノールには抗酸化作用や殺菌作用があると言われていますが、この成分はわずかながら皮の方に多いのです。なので、剥いてしまうのはもったいない。私はたわしでこすって調理します、香ばしさも感じて美味しいなぁと思うのですが、皮の硬さが気になる方は包丁の背でこそげたり、薄く剥いて下さい。すって加熱すると自然なとろみがつきます、椀ものなどや葛湯に入れると喉の痛みや咳が鎮まります。スッと糸引く縦切りもお勧め、切り方や厚さによって食感が変わります。散らし寿司やお稲荷さんには薄切りでさっと茹でて甘酢漬けにし、胡麻と合わせると美味。

蓮根はビタミンCも豊富、レバーなど鉄分が多い食材と合わせた煮物や炒めものなどにすると相乗効果で貧血予防にも良い一皿になります。コロンと丸い小さめの先方部分はシャキシャキした食感、掘り立ては生でも食べれ、梨のような風味です。長方形の部分はデンプンが多いのでとろみが多いようです、料理によって使い分けてみて下さい。

10/11

コチュジャン・淳昌・発酵調味料

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韓国伝統調味料のコチュジャン。人気のヤンニョムチキンやタッカンジョン、タッカルビ、スープ・炒め物・トッポッキ、あるいはあえものやビビンバなど、韓国料理には欠かせない発酵調味料です。辛さの中にも旨味とコクのあるこの唐辛子味噌の材料は、主に餅米、唐辛子、大豆麹です。伝統的な作り方をし、美味しさで有名な(淳昌)スンチャンなどの地方では、唐辛子一つをとってもこだわりがあり、奥深い。今回ご縁あって、このスンチャンにいらっしゃる名人に作り方を教えて頂きました。他店舗のコチュジャンも試食、お酒もご飯も進むお味に変わりはないのですが、作り手によって同じコチュジャンでも表情が全く違います。

韓国料理だけでなく、コチュジャンをベースに酢をまぜれば、日本のそうめんなどにもよく合うタレに。コチュジャンを酒で伸ばして肉や魚を煮たり、マヨネーズと混ぜて野菜のディップソースなどにしたりとコチュジャンは応用が効きます。ヨーグルトメーカーがあれば、手作りも簡単。容器に米麹、韓国唐辛子、粗塩を加え混ぜて一晩発酵させるだけです。私はここに初夏に作った梅シロップを加えて梅コチュジャンを作ります。ほんのり甘酸っぱい風味が疲労を回復、秋には甘酸っぱく少し辛味のある味付けが養生になります。

10/1

棗・大棗・たいそう・生薬・老化防止

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日本の棗(ナツメ)は9月〜10月頃に実る小粒の実。若い時は青りんごのような風味で、赤く完熟すると柔らか甘くなります。中国では庭にナツメの木がある家庭が多く、1日3個食べると老化防止に良いとされ、ポピュラーに口にするそうです。台湾のなつめは大きくて食べ応えがあり、日本でもフレッシュなものが手に入ることも。

ナツメは昔から珍重される五果(季・杏・栗・桃・棗)の一つで、乾燥させたものは大棗(たいそう)と呼ばれ、中医学では頻繁に使われる生薬。気を補い、血流を増やし、精神を安定させる効能があります。風邪の引き始めの頭痛や首の根の痛みなどに効く葛根湯(かっこんとう)にも配合されています。

ナツメ茶を作る時には、そのままではななくぜひ半分にちぎって煮出して下さい、相性の良いクコや紅茶とブレンドしても。毎年手摘みのナツメを農家さんに送って頂きます。蒸して乾燥させて空き瓶に保存したものはスープ(参鶏湯)やお茶に。茶ザラメとブランデーに漬けるナツメ酒には相性の良いスパイスを足して、完熟なつめはコンポートにしておやつに、煮物にと楽しみます。