井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材を日替わりでご紹介します。

2022年 5月の記事

5/31

黒きくらげ・老化防止・薬膳

まいにち食薬養生帖・井澤由美子・黒きくらげ・キクラゲ・木耳・薬膳・食養生

八百屋さんで柔らかそうな生きくらげを見つけました。最近では国産の生きくらげをあちこちで見かけるようになり、嬉しい限り。

きくらげはキノコの一種で黒、白の2種類があります。生きくらげはぷるぷるとした食感、乾燥させたものはコリコリとした独特の食感が楽しい。生の黒きくらげの下処理として、あれば固めの石づきを取り、熱湯で(表示通り)茹でて食べやすく切ります。生姜醤油や酢の物、春雨中華サラダに入れる、炒め物に加えるなどシンプルに楽しみます。その他、お噌汁やスープ、鍋物に入れる(私はおでんに加えるのが好き)など。加熱調理するものは、下ゆでなしでもOK、食感を生かして調理します。

薬膳では足腰の弱りや白髪など、老化が気になる時は率先して黒いものを食すとされています。黒ごまや黒ごま油を足すのも良いですね。鉄分も多く、食物繊維も豊富です。タンパク質やビタミンCと一緒に摂取すると、効率よく体に吸収できます。

5/30

青梅・梅仕事・疲労回復

梅・青梅・食養生・食薬ごはん・井澤由美子・疲労回復

庭にポトリポトリと落ちる青梅。今年も梅仕事の始まり、手始めの一つに、すぐにいただける甘露煮があります。傷がついてない梅を選んでよく洗い、竹串の先でヘタを取って、できるだけ小さく数箇所穴をあける。ホーロー鍋に梅を入れてかぶるくらいの水を加えて5〜10分ほど煮ます。この時、火加減は必ず極弱火で(強いと皮が弾けてしまう)。水をかえて氷砂糖を加え、厚手のキッチンペーパーをかぶせ、弱火でさらに10〜15分ほど煮て冷まします。梅を取り出して清潔な保存容器に入れ、煮汁を半量まで煮詰めて注ぐ。甘酸っぱい香りがキッチンに広がって、梅仕事の幸福なひと時が今年もまた始まりました。毎年もたらされる自然の恵みに感謝しながら過ごすひと時です。

薬膳では氷砂糖は肺を潤す効果が期待でき、梅は唾液の分泌を活発にしたり疲労回復を助ける働きがあります。甘露煮のシロップは炭酸や冷水で割っていただくと汗がひき、心身が癒されます。

後少ししたら南高梅が色付きそうです。こちらは黄色くなってから虫あみでそっと手繰り寄せて追熟させてから梅干しにします。

5/29

ヤングコーン・ベビーコーン・若もろこし

井澤由美子・まいにち食薬養生帖・野菜・トウモロコシ・わかもろこし・コーン・食薬・薬膳・食養生

今日は暑いですね、気温が高いのでこまめに水分補給をして充分にご自愛下さい。今日はヤングコーンが山梨から届きました。5月から6月くらいの短い期間に楽しめるフレッシュな若もろこしです。

美味しい調理法は、外側の皮だけを剥いて内側の皮に水をさっとかけて熱したグリルで焼く。蒸し焼き状態になって、ほっくり。香りと共に粗塩やマヨネーズでシンプルにいただくのですが、一人5本は余裕です。天ぷらや、フライも最高、お子さんには剥き身にして、バター醤油味でソテーしても喜ばれます。

韓国にはトウモロコシのひげ茶がどこにでも売っていますが、利尿作用や美容に良いなどの効能があるからですね。漢方でも生薬です、ほんのり甘くてノンカフェインで飲みやすい。

フレッシュなヤングコーンのひげ根なら、甘くて柔らかいので、さっと下茹でしてお浸しにしたり、カラリと揚げても。そら豆もそうですが、トウモロコシは手元に届いたら、直ぐに調理することが美味しさのポイントです。食物繊維が豊富、整腸作用にもお勧めです。

5/25

行者にんにく・アイヌネギ・キトピロ・ヤマビル・ウシビル

まいにち食薬用養生帖・食薬・免疫力・行者にんにく・山菜・アイヌネギ・キトビロ・ヤマビル・醤油漬け・天麩羅

別名が可愛らしい行者にんにくは山菜です。種ができるまでに7年、花が咲いて食べ頃になるまで更に5〜7年ほどの長い期間がかかるそう。にんにく、ニラ、玉ねぎと同じユリ科のネギ属多年草で、北海道の天然ものは3月〜6月頃が旬となり、希少な特産品です。
アイヌの人達は春に採集し、乾燥させて保存もしていました。北海度で食べたアイヌ料理店の「オハウ」(鮭や鹿、野菜と煮たスープ)にも入っていて、滋養をつけながら魚の生臭さを緩和する効果もあるようです。
これまでの私の調理方は、さっと茹でて食べやすく切って醤油に漬けていましたが、茹でずにそのままザクザク切って漬けるだけの手法に切り替えました、山菜名人仕込みです。これを炊きたてのごはんに卵黄とのせてご馳走になったのですがとても美味しく病みつきになりました。それ以来私は、醤油に刻んだ行者にんにくと卵黄、昆布のはし切れを一緒に漬けて、炊きたてごはんのお供や、和え物に使っています。
行者にんにくは、抗菌作用が高くアリシンを多く含み、免疫力をあげますね、香りからしてとても元気が出ます。

5/25

山菜・うど・うるい・よもぎ・デトックス

デトックス・蓬・ヨモギ・山菜・春の息吹・デトックス

かんぞう、うど菜、うるい、行者にんにくなどの柔らかい山菜を昆布ダシでしゃぶしゃぶにしていただくのが毎年の楽しみ。山菜は、香りが豊かで繊維が豊富(食べ慣れない方は、ほどほどの量で楽しみます)。苦味のあるものは、虫から身を守るためのアルカノイドに由来する成分で、デトックス効果が高いそうです。こごみ、たけのこ、うどなど独特の香りと風味、食感を楽しめる時期はとても短いので何かしら毎日口にします。香りは気の巡りもよくするので、ストレス緩和にも良く、リフレッシュできます。汗ばむ日も出て来ました、緑茶に柔らかな蓬を浮かべると、穏やかな良い香りと成分で頭がスッキりします。

5/23

そら豆・天豆・疲労回復

井澤由美子・食養生・食養生・そら豆・空豆・天豆・おたふく豆・蚕豆

千葉に畑を借りていろいろな野菜を栽培しています。5月からはそら豆が最盛期。見ためはお店で販売されているような美しさはないのですが、剥くと青々としてぷっくりとした大きな実が飛び出して、豆の香りがフン鼻をかすめます。採りたてのそら豆を熱湯に入れ、塩梅よく茹でますが、皮が柔らかいのでそのまま食べた方が美味しい。下ごしらえの皮の切り込みさえ入れなくていい程です。

そら豆ってこんなに美味しいものだったのかとつくづく思いながら、皮ごとの酒蒸しや、グリル焼きもシンプルに楽しんでいます。新にんにくも出回っているので、合わせた炊き込みおこわもお進めですよ。

そら豆にはビタミン、たんぱく質、カリウムが豊富で、豆の中でも栄養価が高く、疲労回復効果があります。
フジTVの「四季彩キッチン」でもご紹介したそら豆の素揚げは、皮に切り込みを入れて、中温から揚げるのがポイント。温度が適切だと、油の中で皮から実が勝手に取れるので手間いらず。鮮やかになって浮いてきた実から先に取り出し、皮は茶色く揚がったら引き上げます、、全体に軽く粗塩をふってどうぞ。皮もカリカリして実に良いつまみになります。お酒を提供するお店ではそら豆を(天豆)と書いてある事があります。心意気も粋なようで嬉しくなり、ついつい注文してしまいます。

5/19

小梅・梅仕事・5月の暮らし・12ヶ月の手仕事

青梅・うめ・梅・食養生・12ヶ月の手仕事・季節の手仕事・井澤由美子・二十四節気・食薬・まいにち食薬養生帖・小梅

関東も、もう過ぐ梅雨入り。雨が降ると、庭の青々とした梅が小雨を受けて気持ちよさそうです。ちょうど500円玉弱くらいの大きさに育っています。

昨日、熊本から可愛らしい小梅が大量に届きました。去年は青梅のシロップ漬けが手始めの梅仕事でしたが、今年は小梅のカリカリ漬けにします。まず梅を洗って2、3時間水に浸してアクを抜く。その間に2、3時間卵を天日に干します(卵を割って、水で洗い殻の内側の薄い膜を剥がしてザルに広げて干し、乾いたら出汁袋やお茶パックに入れ砕く)。小梅の水気をしっかり拭いて傷があるものは避け、凹み部分のなり口を竹串で取る。小梅が1kgほどならアルコール度数の高い無臭の焼酎やホワイトリカー大さじ3〜4を梅にからめ、120〜130gの粗塩を全体に馴染ませます。清潔な容器に卵の殻と小梅を入れて重石をし、たまに返しながら2、3日間冷蔵庫で保存する。梅酢が上がり、1週間ほどしたら出来上がりです。卵の殻と冷温で梅がカリカリに仕上がりますよ。小梅の食べ方ですが、粗く刻んで揚げ焼きした桜海老やゆかりと混ぜたおこわは絶品です。

旅先に必ず持参する小梅。整腸作用を促したり、下痢や胃腸を整え、食中毒を予防する作用が期待出来ます。疲労回復に役立つクエン酸や塩分補給で元気になり、体をアルカリ性に傾ける作用もあるなど言いことずくめ。昔から「梅はその日の何逃れ」と言うことわざもあるほどです。

5/16

肝・レバー・レバームース・貧血

新鮮なレバーは艶があって弾力があり、ハリがあります。鮮度の良いレバーはシンプルな下処理で充分。塩をして一晩おき、ザルでざっと洗えば臭みや余分な水分が抜けて美味しさはそのまま残ります。黄脂、心臓、血の塊などは除き、鍋に入れて少々の塩とかぶるくらいの日本酒を入れ、厚手のキッチンペーパーを被せて15〜20ほど弱火で蒸し煮にし、そのまま3時間冷まします。このまま食べても美味しいですが、今日はレバーのムースを簡単に作ります。

玉ねぎとにんにくを刻んで多目のバターでソテーし、ブランデーやラム酒を加えアルコールを飛ばす。ボウルに入れ、酒蒸ししたレバー、生クリームを加えて攪拌。ナツメグをたっぷり加えると美味。甘い香りとスパイシーなコントラストがなんとも素敵、削りたてだと最高です。ティーサンドいっちや、軽くトーストしたパンやピクルス、好みでコンポートなどとお皿に盛ります。お好みで、粗く刻んだ粒こしょうを添えてパンチをきかせても。

言わずと知れたレバーは、貧血予防や疲労回復に良い鉄分が豊富です。ビタミンAも多く、眼精疲労や眼の粘膜を健康に保ちます。妊婦さんに特に必要な葉酸も多い、油分と一緒に調理すると効率よく体に摂取出来ます。中医学では以蔵保蔵と行って、弱った臓器と似た部分を食べると良いとされています。例えばお酒の飲み過ぎなど、肝臓がお疲れの方にもお勧めです。

5/13

新にんにく・生薬・免疫力

井澤由美子・食養生・健やかな食卓・発酵食・まいにち食薬養生帖・にんにく・新にんにく・薬味・たいさん・薬膳

五臓を活性化させるほど、高い効能のあるにんにくは生薬でもあります。過酷なピラミッド建設の労働者が滋養強壮のあるにんにくを食べて疲労回復に役立てていた話は有名ですね、薬として感染症治療薬でもありました。

スーパーに新にんにくが出回っています、5月〜6月終わり頃が旬。収穫後すぐに出回る新にんにくは、生にんにくとも呼ばれ、真っ白でみずみずしくフレッシュです。

この季節でしか味わえない新にんにくの楽しみ方がありますよ。醬油漬けや味噌漬け、ピクルスにするとそのまま食べても美味しく、調味料としても活躍します。新にんにくを皮ごとゆっくりと油で揚げると甘みが引き立ち、後を引く美味しさ。一緒に唐揚げやポテトを揚げれば、にんにく風味がうつります。にんにくは柔らかくなるのでペーストにしてマヨネーズなどと合わせても。その他、お米にコロンコロンと加えて炊いたにんにくご飯はほくほくとして美味、ソラマメやグリンピースを加えてもいいですね。すりおろしてタレやドレッシングにたっぷり加えるのも◎。にんにくに含まれるアリシンはウイルスを撃退します、こちらは生のままでいただくことがポイントで、細かく刻んだりおろしたりするとその威力を発揮します。

新にんにくは、いつものにんにくと違います。フレッシュな野菜として扱うと判れば、購入してから早めにいただくことになりますね。ぜひ短い旬を存分に楽しんで下さい。

 

5/12

海藻類・美と健康

海藻・かいそう・食養生・青海苔・食欲

今朝の6時半からのJ-wave 東京モーニングでは、美と健康に纏わる5月の食養生のお話をさせて頂きました(聞き逃しはradikoで、来週は19日です)。寒暖の差によって心身には色々な影響が生まれます、食からケア出来ることも沢山あります。

さて本日は海藻のお話し。わかめ、あおさ、こんぶ、えごのり、とさかのり、海ぶどう、天草、めかぶ、青海苔、ひじきなどの海藻類は健康によいとされ、日本ではメジャーですね。実は、あまり知られていませんが海藻には約1500もの種類があり、これらの海藻類は大体が食べれるそうです。量が取れないので、地元だけで消費されるものも多いと伺いました。

免疫力を高め、アンチエイジングなどに良いことは昔から知られるところ。世界からみても、日本人が長寿であったり、病気の発症率が少ないのはミネラルや繊維が豊富な海藻を食べる文化があったからかも知れません。昔ながらの郷土食も、おきゅうと、海藻寄せ、佃煮など多様にありますね。

先日、とても自由度の高い海藻料理や海藻発酵ドリンクをいただく機会がありました。手法や合わせる食材が楽しく、ドリンクも柑橘などを合わせてすっきとりとし、絶妙でした。

上質な海藻パウダーなどが出来れば、お抹茶や青汁粉、モリンガパウダーのように飲み物やお菓子など気楽に使えそうですね。香りや特徴を生かしたスムージーなども面白そうです。

韓国では産後にわかめのたっぷり入った熱々のスープを1ヶ月間毎日食べる風習があり、お誕生にもいただく様です。豊富なミネラルが血液を浄化し、体を元気にします