井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材を日替わりでご紹介します。

2021年 5月の記事

5/31

梅干し・昔ながらの梅干し・白梅酢

梅・梅干し・梅しごと・南高梅

梅干しは防腐作用が高いのでこの季節のお弁当にかかせませんね、お米に入れて炊いても良いもの、疲れをとるクエン酸も頼もしい。梅干しを作ると生まれる白梅酢を手塩の代わりにして握ったお結びは、自分で作った調味料だからか、いつもより心華やぎます。お浸しや、そうめんつゆなどにも重宝します。
ふくよかな香り高い梅は料理にも使いやすいので、私は大きめの完熟梅(緑色や硬さがある時は、真っ黄色になるまで常温で追熟させる)を購入します。
500gで大体10〜13個、30分水に漬け水気をしっかりふき、竹串でヘタを取る。リカーや臭いのないアルコール大さじ1で密封袋の中をさっと消毒し、捨てる(袋中ふかなくてOK)。後は70〜90gの粗塩と梅を入れ、袋の上から馴染ませる。同量の重しをして2日間1日1回上下を返し、20日間そのままおく。冷暗所か冷蔵庫で保存し、梅雨があけたらザルに広げて好みの状態に2〜5日間天日に干す(好みで白梅酢に戻す)。
梅干しを見ると唾液がでますね、消化力を高めるのでおかゆに添えるのです。味だけではない日本の素晴らしい知恵、梅干しは下痢や便秘にも効能があります。

5/28

初鰹・初かつお

春から初夏に出回る初鰹は、黒潮にのって太平洋を北上します。あっさりしているお味ですが、ハシリを珍重する江戸っ子には今も昔も初夏を楽しむ風物詩。昔は高価でも初物に手を出すのが粋の証しでした。いただくと長生きするとの言われも人気の秘密だったかも知れませんね。
レバー並みの鉄分を誇る鰹は、赤血球の生成を助けるので貧血にもよい魚。薬膳でも気血を補う、滋養のある魚とされています。
紫蘇、茗荷、葱などの薬味や、旬が同じ新玉ねぎを薄くスライスしたものとポン酢でいただくのもこの時期ならでは。いつものように生姜をたっぷりおろしてお醤油でいただくのもオツですが、皮を炙った鰹を少し太めに切り、ちょうどよく辛味が立った辛子と醤油でキリッといただくのもいい。
窓から入る新緑の風をまといながら、5月だけは辛子で食したくなります。書かねば気が済まぬ、キンと冷えた日本酒と共に。

5/27

酢・薬膳酢・発酵調味料・vinegar 疲労回復

食養生・薬膳・ビネガー・酢・薬膳酢・発酵調味料・クコ

今日は身体の疲れをとり、心も癒すお酢のお話しです。
酢は世界最古の発酵調味料と言われており、万葉集にも登場します。味噌、醤油と並ぶ日本の食文化を支えてきた伝統的な発酵調味料。いろいろな国で、その土地に根付いたお酒から作られており、名前の由来も判りやすい。例えば日本の酢は酒から作られるので酒編で酢、フランスの vinegar(ビネガー)はvin(ワイン)、イギリスの(malt vinegar)のモルトは麦芽から出来ているというように。
果物や野菜から作られているものには、みかんや玉ねぎ、紅芋など多様にあり、林檎酢は世界中にありますね。
私は米だけで作られている米酢を基本としていますが、黒酢・赤酢・バルサミコ酢なども使い分け、柿酢などは手作りしています。
酢には血液をきれいにし血行をよくする効果や、内臓脂肪を燃焼させるなどダイエットにも効果的です。雨季になると何となくやる気が出ない、疲れやすいなどの症状も出やすくなりますが、酢には疲労を回復させ、体をシャッキリとさせる効果もありますね。
料理にも様々な使い道があり、例えばスクランブルエッグやチョコレートケーキにひと垂らしすると、しっとり仕上がる、肉や魚のカルシウムを摂取しやすいなど。目下のお気に入りは、昆布とスーパーフードの枸杞の実をつけた薬膳酢。酸味が軽減し、旨味もたっぷりです。

5/26

にんにく・ニンニク・大蒜・薬膳・食養生

井澤由美子・食養生・健やかな食卓・発酵食・まいにち食薬養生帖・にんにく・新にんにく・薬味・たいさん・薬膳

新にんにくが出まわる頃は、そら豆の旬でもあります。山椒の実や梅、らっきょう、新生姜も出始めて、手仕事が大忙しの5月の終わり。
新にんにくは丸ごと醤油や味噌、オイルに漬けたり、中国風に酢漬けにしたりと生にんにくの風味を楽しみます。
この時期のにんにくは、香りの薬味や香辛料と言うより、しっかり野菜として調理したくなります。たっぷり薄切りにして、小松菜や空芯菜とごま油でサッとソテーすると、新にんにくのシャッキリした歯触りを堪能出来ます。
中医学でにんにくは、脳と五臓の機能を活性化し、腫れ物や解毒の改善、血の巡りをよくする食材とされています。
身体を温めるので、冷えて白い鼻水が出る時などの風邪のひき始めや、免疫力を高めたい時、体力を取り戻したい時などに効果が期待できます。大蒜の字の蒜(ひる)は食用になるにんにく、ノビル、ネギなどの古名です。ノビルと区別するために、にんにくを(おおひる)と称し、生薬名は(たいさん)。ちなみに無臭にんにくやジャンボにんにくは、本当はポロ葱(リーキ)の仲間だそうです。

5/25

辣韮(らっきょう)・薤白(がいはく)・ラッキョウ・薤

辣韮・ラッキョウ・らっきょう・がいはく

らっきょうは中国原産で中薬学では韮白(がいはく)と言う名の生薬、日本では畑の薬と言われるほど豊かな効能を持っています。行気薬(気の巡りをよくする)であり、野菜の中でもトップクラスの水溶性食物繊維を含みます。腸内の便を吸収するので、便秘解消に薬効があります。
ネギ類なので匂いがありますが(硫化アリル)、血行を良くし、血液をサラサラにします。購入時は丸みを帯び、あまり芽が出ていない新しいものを選んで下さい。
甘酢漬けの作り方です。らっきょう1㎏は茎と根元ギリギリの部分を切り、ボールに入れて流水で薄皮を取るようにこすり洗いする(剥きにくい時は、包丁で切った部分から引っ張るようにします、傷んでいるものがあれば除くか、包丁で剥く)塩大さじ2でもんで20分ほど置き、ざっと水で流す。熱湯で8〜10秒茹でてそのままザルに広げて冷まし、消毒した保存容器に入れ、種を取った赤唐辛子2本と昆布一切れを加えます。小鍋に水160cc、グラニュー糖か氷砂糖(ハチミツやきび砂糖でも)250g入れて溶かし、酢350ccをまぜて冷ましてらっきょうの入った瓶に注ぐ、2週間後から食べられます。
大事なのは芽が成長するので購入したらその日に仕込むこと、後は時間が美味しくしてくれます。

5/24

梅・うめ・梅仕事・梅の甘露煮

青梅・うめ・梅・食養生・12ヶ月の手仕事・季節の手仕事・井澤由美子・二十四節気・食薬・まいにち食薬養生帖・小梅

関東も、もう過ぐ梅雨入り。庭の青々した梅もたわわに実っています。
梅は傷がついてないものを選んでよく洗い、ヘタを竹串の先で取って、できるだけ小さく数箇所穴をあけます。梅仕事の手始めは、すぐにいただける甘露煮を作ります。ホーロー鍋に穴をあけた梅を入れてかぶるくらいの水で5〜10分ほど煮ます、必ず極弱火で(強いと皮が弾けてしまいます)。水を新しくかえて氷砂糖を加え、厚手のキッチンペーパーをかぶせ、弱火でさらに10〜15分ほど煮て冷まします。梅を取り出し清潔な保存容器に入れ、煮汁を半量まで煮詰めて注ぐ。甘酸っぱい香りがキッチンに広がって、梅仕事の幸福感が今年もまた始まりました。毎年繰り返す自然との営みに感謝しながら過ごすひと時です。
氷砂糖は肺を潤す効果が期待でき、梅は唾液の分泌を活発にしたり疲れをとります。シロップを炭酸や冷水で割っていただくと汗がひき、心身を癒します。
後少ししたら南高梅が色付きそうです、こちらは虫あみでそっと手繰り寄せて追熟させて梅干しにします。

5/19

蓬・よもぎ・モチグサ・蓬餅・デトックス

デトックス・蓬・ヨモギ・山菜・春の息吹・デトックス

沖縄で、よもぎ(フーチバー)と月桃の蒸し風呂に入ったことがあります、デトックス効果が高いと伺いました。北海道のお気に入りの宿では、薬草風呂として温泉に入っており、アイヌ語でカムイノヤ「神の草」と呼ばれ、さまざまな料理にも使われています。フランスでは、エルブロワイヤル「王の草」、中国では「医草」と言われ、世界中でその効能が認められています。お灸に使われるもぐさもよもぎから作られていますし、虫刺されにも葉を揉んでつけると痒みや腫れが収まります。よもぎには抜群の洗血力があり、止血薬とした生薬で昔から治療薬として使われて来ました。
いつものお茶に摘み立てのよもぎをポンと加えるだけでも香りが立ち、リラックスします。
毎年、飛騨高山の野村農園さんから届く春のよもぎ餅は、摘みたてをたっぷり加えてお餅にしています。冷凍庫に保存して焼いたり煮たり、夜中のおしのぎのあべかわ餅など、しばらくの間楽しんで元気をチャージしています

5/18

アスパラ・昆布締め・天麩羅

食養生のススメ・薬膳・まいにち食薬養生帳・井澤由美子・アスパラ・昆布締め・グリーンアスパラ

お日様に向かってスクスク育ったアスパラは、太くてみずみずしく美味しそうです!保存する時も、箱などに入れて穂を天に向けて私は保存しています。
いきなりですが、やっぱりアスパラは軽い衣の天婦羅にしたい。揚げたてを口に含むと濃縮した青い香りが鼻を抜け、水分が滴る感じは初夏の醍醐味です。どんな調理法でも美味しいですが、揚げるという調理法以上に旨味を閉じ込める技はないと思います。揚げ物は油で揚げていますが実は蒸し料理。テクニックを食すと言っても過言ではないので、真剣勝負です。油と合わせると、アスパラのカロテンも効率よく摂取できますね。
もう一つ好きな食べ方に、歯ごたえを少し残した塩茹でのアスパラを昆布締めにしたものがあります。昆布のヨードがキーンと冷えたスパークリングや白ワインと季節の風に、とてもよく合うと思うのです。
抗酸化作用のルチンは穂先に多く含まれ、アミノ酸のアスパラギン酸は、疲労回復や美肌効果が期待できるそうです。

5/17

酢・薬膳酢・vinegar・疲労回復   発酵調味料

漢方・薬膳・マガジンハウス・hanako免疫力アップBook・薬膳酢・発酵食・酢

雨季の薬膳・今日は身体の疲れをとり、心も癒すお酢のお話しです。
酢は世界最古の発酵調味料と言われており、万葉集にも登場します。味噌、醤油と並ぶ日本の食文化を支えてきた伝統的な発酵調味料。いろいろな国で、その土地に根付いたお酒から作られており、名前の由来も判りやすい。例えば日本の酢は酒から作られるので酒編で酢、フランスの vinegar(ビネガー)はvin(ワイン)、イギリスの(malt vinegar)のモルトは麦芽から出来ているというように。
果物や野菜から作られているものには、みかんや玉ねぎ、紅芋など多様にあり、林檎酢は世界中にありますね。私は基本的に米だけで作られている米酢を愛用していますが、赤酢やバルサミコ酢など日々料理やドリンクに使い分けて楽しんでいます。
酢には血液をきれいにし血行をよくする効果や、内臓脂肪を燃焼させる、疲労を回復させるなどの効能が期待できます。スクランブルエッグやチョコレートケーキにひと垂らしすると、しっとり仕上がりますよ。昆布にはカルシウムが含まれていますが、酢に漬けると酢酸カルシウムになって体により摂取しやすくなります。この昆布酢にナチュラルな甘みがでる、クコ(コジベリー)を入れた薬膳酢は使いやすいので重宝しています。スーパーフードでもあるクコは目によく、酸味と合わせると肝の働きをよりケアします。

5/13

スパイス・生薬・spice・食養生・食薬・むくみ

免疫力・薬味・スパイス・生薬・香辛料・井澤由美子・美肌・腸活・料理家・ハーブ

疲労、倦怠感が溜まった時。
沖縄・奄美などでは梅雨入りし、湿気を帯びる日が増えています。梅雨に入ると不調が起きやすい方は湿がたまりやすいのかも知れません。こんな時はスパイス類も有効活用しましょう。黒胡椒、ホワジャオやカルダモンなどのスパイスは、胃腸の調子を整え体の余分な水分を取り除く効果が期待できます。
スパイスは、薬味・生薬と呼び名は違えど世界中でその薬効は古くから知られ、人々の薬となって様々なカラダや心の不調を治して来ました。何より食欲増進・消化促進効果が高いのですが、食品を傷みから守る抗菌作用や防腐効果にも優れ、食材以外の用途にも役立っています。植物から採集され(果実、根っこ・樹皮・種)料理やお茶などに複雑な香りや辛味、色味をつけ、臭みなどを取る香辛料。スパイスは、それぞれの国の風土に適して育ち、人々の体調を整える大きな役割もはたしています、旬に出回る身近な薬味やスパイスの薬効を感じながら見直してみると楽しいですね。
雨季や夏の不調を防ぐ薬味とスパイス、香辛料を効かせたお料理をいただくとカラダが活性化するのが判ります、免疫力も上げるので日々の食卓に大いに活用して下さい。
体に溜まった余分な湿を取り除く効果が期待できる旬の空豆、インゲン、ヤングコーンなどにプラス、スパイスやカレー粉などで調理すると、その効能と香りで相乗効果が上がり元気を回復する手伝いをします