井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

季節の食材を知って、毎日の食生活を豊かに。
食べて元気になれる、栄養豊富な旬の食材を日替わりでご紹介します。

2020年 2月の記事

2/29

金柑・きんかん・のどの痛み・薬膳

・風邪予防・食養生・きんかん・金柑・喉の痛み・キンカン・柑橘類・薬膳・

この季節は柑橘類が種類豊富に出回っていますが、皮ごと食せる金柑がとても美味しいですね。ヘタが緑で艶がよく、より赤みの強いものを購入します。よく洗って皮ごと存分に楽しみます。喉にもよい金柑は甘露煮にしたり、コンポートにして保存しても。きんかんを2、3分下茹でしてアクを抜きます。はちみつに漬けるだけでも良いですが、鍋に移して金柑n分量の半量くらいのきび砂糖とかぶるくらいの水、酢か白ワインを少々加え、とろみが出るまで煮詰めます。煮物や酢豚などに入れると味に奥行きがでます。鶏肉や鴨肉などともよく合いますよ。お菓子は、タルトやソルベになどにすると爽やかです。
金柑はビタミンCが豊富で、風邪予防やアレルギー対策に有効。また皮に含まれるヘスペリジンはポリフェノールの一種で、ビタミンCの吸収を高めます。
香りには気の巡りをよくする効能があり、ストレスを緩和し心を落ち着かせます。
写真はドライ金柑です。皮ごと薄切りにして1〜3日間干すだけ(干し加減はお好みで、個体差や日差しの強さでも変わる)セミドライならサラダに散らす、ケーキの飾りにすると可愛い仕上がりに(セミドライの金柑は冷蔵庫で保存します)。しっかり乾燥させたものは、お茶や飲み物に加えると甘みがほんのり移ります

2/25

マヌカハニー・マヌカの花・ギョリュウバイ

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日本では春が開花のマヌカの花(和名はギョリュウバイ)可愛らしいピンクの小花で、写真よりもも少し白っぽい花もあります。初めてマヌカハニーを食べたのはニュージーランド産のお土産でしたが、少し癖があって独特の味。高い抗菌活性力を持つそ。胃腸を整える効能もあるので古来より薬として扱われています。殺菌力が高く、腸の悪玉菌を減少させて善玉菌を増やし、腸内環境を良くしてくれます。結果的に免疫力も上がりますね、花粉症にもお勧めのマヌカハニーです。この時期は特に発酵食のヨーグルトと合わせたり、ドレッシングに加えたりと日常使いをして、私はアレルギー症状緩和に役立てています。
風邪も流行っていますね。マヌカハニーは、口内炎や喉の痛みにも有効だそう。試してみる価値はありそうです。

2/24

牡蠣・かき・カキ・牡蠣ごはん

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牡蠣は亜鉛と鉄分も多く含むので貧血予防や免疫力を高める手伝いをします。高野豆腐とカキのお鍋や、チーズたっぷりのグラタン、牡蠣のオムレツなどたんぱく質を組み合わせるとお勧めです。
牡蠣は「酒毒を消す」とも言われており、お酒をたしなむ時にもお勧めの食材。剥きたての冷たい牡蠣にレモンをギュッと絞るだけでも最高ですが、タバスコもふって下さい。全体がしまって美味しいのと、殺菌効果や生臭さを消す作用もあります。その他、燻製やオイル漬けなども美味。酒、みりん、醤油を煮立てカキをさっと煮て取り出し、その煮汁でお米と春豆を炊く。炊き上がりに牡蠣をもどして少し蒸らしたら、柚子を削る。カキの旨味と香りを堪能できる炊き込みごはんです。
取材させていただいた厚岸漁師さんの手の上の牡蠣はプックリプリプリ、安心もついてくるから嬉しい。
余談ですがヨーロッパでは、カキには(秘められた恋)という隠れた意味があり絵画によく登場したそうです。

2/22

クロワッサン・発酵バター

クロワッサン

クロワッサンはフランス語で三日月の意味で、その形が名前の由来です。本場フランスでは三日月と菱形の2種類があり、パン屋さんで売ってうるバターで作られたのと、スーパーなどで販売されるマーガリンで作られたものがあります。
私が好きなクロワッサンは外側はさっくりと焼けているけれど、中はふんわりときめ細かくしっとり感がある生地。手で引っ張るとスルスルとほどけるようで、濃厚なバターの香りがフワっと立つもの。ハラハラと落ちる外側の香ばしい部分をなるべく落とさないようにそっと食べます。バターをふんだんに使って贅沢に作られたクロワッサンとたっぷりのカフェオレやミルクティーと合わせると幸福感もいっぱいです。
クロワッサン作り欠かせないバターは、ヨーロッパと日本では製法が違います。ヨーロッパのバターはクリームを乳酸菌によって発酵させたコクのある発酵バターで、日本のバターは発酵させずに作るのが主流です。日本でも発酵バターは手に入りますが、お値段は少々高めです。美味しいパンがある時や特別なお菓子を作る時は発酵バターに手が伸びます。

2/21

ハチノス・トリッパ・もつ煮込み・コラーゲン

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牛にはいくつの胃があるでしょうか ?答えは4つです。では、その順番はわかりますか? 
まず第1の胃は、食物繊維を分解する役割のミノと呼ばれる部分、第2の胃は食べたものを食道まで押し戻す役割のハチの巣、第3の胃は他の胃に食べ物が入る時の量を調節する機能があるセンマイ、第4の胃は胃液の分泌など消化器の役割をするギアラです。どれも焼肉屋さんでホルモンとして耳にする言葉ですが、ハチの巣はイタリアや中国でもよく食されます。
イタリア版のもつ煮込みのトリッパをご紹介します。牛の胃はどの部位でもかまいません。下処理は、表面をよく洗って1度茹でこぼし、黒い部分(血の塊など)があれば取り除く。再度きれいな水から茹でますがこの時、香草やねぎ、生姜などを入れて煮ます。水でしっかり洗ってから本調理すると、臭みがとれて柔らかい。写真は赤みそとザラメ、薬味で煮込んだ煮込みでこんにゃく入りです。残り少なくなったらごはんにのせてプチ丼にし、とろみのついた濃厚なタレを絡めていただきます。トリッパはお酒も進むし、もつのコラーゲンで肌もきれいになります。

2/20

新わかめ・めかぶ・ごま油・便秘改善

海藻・若芽・和布蕪・めかぶ

春先だけに出回る生の和布蕪(めかぶ)はわかめの茎部分。めかぶに含まれるフコイダンという成分は免疫機能を上げ、胃の粘膜を保護します。豊富なヨウ素(ヨウド)は発がん抑制効果があるそうです。
最近、わかめと思いっきりたくさんの針生姜を入れたごま油炒めにはまっています。わかめはしっかり水気をふき、胡麻油とたっぷりの針生姜、赤唐辛子をちぎったものを炒めて、最後にジュっと醤油で味付けするだけ。わかめの食感が滑らかで美味しく、いくらでも食べれます。薬膳では、ごま油には腸の乾燥を改善させ、皮膚を潤す効能があります(繊維たっぷりのわかめと合わせると乾燥便秘に特によく効きます)。
我が家ではさっと茹でるだけの「旬わかめのしゃぶしゃ」も定番で毎年の楽しい行事となっています。

2/19

うど・独活

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山の息吹のようなうどを食べると胸が清々(すがすが)します。高血圧を防ぐカリウムも豊富。
中医学では神経痛や関節炎などを「痺証・ひしょう」と言い、寒邪、湿邪、風邪の3つの邪気(病気の元)から来ると考えられています。うどにはこの3つの邪気を取り去る効能があるとされていますよ。
ホイルで包んで焼くと、皮もスルリとむけて究極に香りが立ち、トロリとした食感が美味。皮を剥いてぶつ切りにし、酢みそでいただくと相性良し。サラダも美味しいですよ、氷水に酢少々を入れた冷水に5分漬けたら水気をきってスライスし、粗塩とオリーブオイル、柑橘の果汁を混ぜたドレッシングをかけます。泡もいいし、白ワインとうどの香りの相性は抜群ですよ。里山のうどは良い香り。購入する時は産毛が濃いものを選びましょう。

2/17

菌・春の椎茸(しいたけ)・薬膳

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きのこは秋のイメージがありますが、春のしいたけも美味。中医学では気や血の流れを良くするとされています。きのこは麹(こうじ)と同じ菌類の仲間で、「子実体」と呼ばれる菌そのもの。効能が高く、旨味が強くて低カロリー、調理しやすいのも嬉しいですね。豊富に含まれるβーグルカンは免疫力を上げ、生活習慣病予防や抗ガン作用が期待できます。丸々太った肉厚のしいたけを道の駅で買いました。ヒダの部分を上向きにおいて粗塩をふってシンプルに焼く。軸の部分からさいて口にほおばると、厚みのある部分はコリコリとして、ちょっとアワビのような食感と風味です。
ザルに広げて風通しのよい場所で1日くらい干すと冷蔵庫で5、6日持ちます。また、数日日光に当ててカラカラに乾くまで干すと、ビタミンDたっぷりの干ししいたけになります。ちなみにきのこを数種類合わせると旨味がグンと上がります。

2/16

氷魚・ひうお・鮎稚魚・鮎

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鮎の稚魚のひうお。生きている時は、透明感があってキラキラと輝きキレイ。氷のように透き通っているのが由来で、氷魚(ひうお)と呼ばれます。2、3月頃にはしらすより大きく育ち、食べ応えがあるのでかき揚げやフリットにも最適。鮎の旨味がちゃんと感じられて最高です。佃煮や卵とじなどにも向いています。潰したにんにくと赤唐辛子、オリーブオイル、塩、こしょうで煮た「ひうおのアヒージョ」も美味。これはバケットを添えて楽しみたい。
琵琶湖周辺の駅の売店でもひうおの釜揚げなどが販売されており、鯉の甘露煮と小エビの佃煮もお土産に購入しました。
漁の解禁日は毎年12月1日で、生きたままの活鮎は養殖用の鮎苗となり、全国の河川に放流されるそうです。
お料理を堪能しながら、ひと口こんなに沢山食べて良いのか?と脳裏をかすめるのですが、余剰分として販売されているので大丈夫なのだそうです。鮎はカルシウムが豊富で、酢の物にすると吸収が良くなります。5月頃になると魚らしくなって小鮎と呼ばれるようになります、新緑の頃が待ちどおしいですね。

2/14

 酒粕・白味噌・ホットショコラ・発酵食

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今日はバレンタイン。ホットショコラショーをスタッフ皆で楽しみます。白みそをアクセントにした、酒粕とホワイトチョコレートのホットドリンクです。仕事中なので、酒粕(練り粕)、牛乳、アーモンドミルク、豆乳を小鍋に合わせて火にかけ、煮立つ直前で火を止める。あとは、白味噌と割ったチョコレートを溶かすだけ。
バニラエッセンス少々とカルダモンを1粒落とすと、奥行きが出て風味豊かになります。
短時間熟成で甘みがある白みそは塩分濃度が6%前後と低く、乳酸菌が豊富。なめらかでコクがあり、柔らかい塩気がこのドリンクの良いアクセントに。
酒粕のレジスタントプロテインは食物繊維のような働きをし、腸の老廃物をからめ取って排出します。また米麹は美肌に有効な成分を含むため、米麹の割合が多い白味噌と合わせると、美白・美肌効果も上がりますね。