井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

10/5

栗・栗ご飯の作り方・老化防止・美容食

井澤由美子・老化防止・アンチエイジング・・お弁当・栗・栗ご飯・炊き込みご飯

老化防止のケアを担うなら、腎の機能を元気にする事が大切です。生命力を司る肝腎要の腎の弱りは、足腰のだるさや頻尿、抜け毛など、老化という現象をひき起こします。

腎を助ける食材として、中医学薬膳では栗が知られています。旬の栗は美味しいだけではなく、ビタミン類が非常に豊富。繊維も多く、抗酸化作用のタンニンも含まれているので、栄養学的にもとても美容に良い食べものです。

もち米をひとつかみ加えたお米と栗を合わせると脾胃(ひい)の働きを助け、疲労を回復します。毎年この頃になると作る栗ご飯は、米2号に対し、調味料は酒大さじ2と塩小さじ半、薄口醤油小さじ半にほんの少しの米油を加えただけの極シンプルなもの、栗の香りと甘みが引き立ちます。

栗を剥いたあと、浸るくらいの水に塩と砂糖少々を加えてうっすら下味をつけて炊く。一手間ですが、和食屋さんの味に近づきますよ。渋皮に含まれるタンニンには抗酸化作用があるので、好みで皮を少しつけて炊いてもよいでしょう。

栗は、密封袋に入れて冷蔵庫で数日間置くとデンプンが糖に変わって甘くなるそうです。

10/3

棗の食べ方・生薬・健康食

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日本の棗(ナツメ)は9月〜10月頃に実る小粒の実。若い時は青りんごのような風味で、赤く完熟すると柔らか甘くなります。中国では庭にナツメの木がある家庭が多く、1日3個食べると老化防止に良いとされ、ポピュラーに口にするそうです。台湾のなつめは大きくて食べ応えがあり、日本でもフレッシュなものが手に入ることも。

ナツメは昔から珍重される五果(季・杏・栗・桃・棗)の一つで、乾燥させたものは大棗(たいそう)と呼ばれ、中医学では頻繁に使われる生薬。気を補い、血流を増やし、精神を安定させる効能があります。風邪の引き始めの頭痛や首の根の痛みなどに効く葛根湯(かっこんとう)にも配合されています。

ナツメ茶を作る時には、そのままではななく半分にちぎって煮出して下さい、相性の良いクコや紅茶とブレンドしても。毎年手摘みのナツメを農家さんに送って頂きます。蒸して乾燥させて空き瓶に保存したものはスープ(参鶏湯)やお茶に。茶ザラメとブランデーに漬けるナツメ酒には相性の良いスパイスを足して、完熟なつめはコンポートにしておやつに、煮物にと楽しみます。

9/28

くるみの日・胡桃・ナッツ・食養生

胡桃・食養生・くるみの日・井澤由美子・薬膳・健康・ナッツ

30日はくるみの日だそうです。薬膳では昔から、ボケ防止に良いとされています。実際にくるみは必須脂肪酸のオメガ3を多く含み、脳を活性化させることが現代栄養学でもわかっています。手軽に摂取できるのも嬉しいですね。私はいつも小さめのフィグ(イチジク)や手製のナツメなどのドライフルーツと小袋に入れて持ち歩き、小腹が空いた時に口にしています。

鯛茶漬けのタレにもくるみが必需品です。小鍋に砕いたくるみ、カシューナッツ、ごまを、順に加えて焦げないように乾煎りして、すり鉢でよくすります。濃いめの麺つゆで好みの濃度にのばし、新鮮な鯛のお刺身をくぐらせる。熱々のご飯にのせ、おろしわさびや海苔を好みで添えてまずは、2口いただく。そのあとは、お茶か出汁を注げば贅沢な鯛茶漬けの出来上がりです。

くるみは血流の改善を促したり、コレステロール値を下げるなどの他、良質な脂質が腸を潤し便秘改善にも一役買います。1日にとると良い目安量は、7、8粒くらいのようです。

9/26

桃・桃仁・9月の果物

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新鮮な桃は手か布でうぶ毛をこすり取るように水洗いして、皮ごと食べるのだと山梨の友達から初めて聞いた時はびっくりしました。食べてみて納得、確かにその方が桃の香りも立って美味しい。写真の桃は熟しても実が硬いタイプ、切ると真っ白な果肉に紅色がなんとも艶やかです。

それまでは桃と言えば柔らかく完熟させてこそ美味しい果物と認識していたので、そのシャリシャリとした食感は新感覚でした。かたい桃はフルーツビネガーに漬けてピクルスにしても良いもので、生ハムやチーズに添えたり、魚介類とマリネしても美味。とは言え、芳醇な香りが立つ柔らかな桃を年に一度は思いっきり口にしたいので、少し冷やして薄皮を剥いてかぶりつく。体を冷やす果物が多い中で、温性の桃は胃腸が弱っている時にも安心して食べられる果物です。

以前、イギリスとスペインの市場をハシゴした時に見かけた桃は、身が締まっていて潰れたような楕円形。プラムと共に日本と同じような季節に出回っている様子、安くて美味しいので沢山買い込んではアパートメントで朝食とし、味比べをしていた想い出が有ります。桃はココナッツクリームとの相性が良いので、たっぷり添えたり、アイスにしたりと楽しみました。

桃の葉は薬効があり、日本の民間療法でもあせもや湿疹、神経痛などに効く入浴剤になっていますね。中国では邪気を払い長寿の果物とされ、つぼみや花は白桃花と呼ばれる生薬、むくみや無月経などに使用されます。種は桃仁と呼ばれ、血行を良くし、下腹部痛、更年期障害などに有効、漢方薬の桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)の主成分でもあります。

桃はデリケートな果物です。硬い時は紙袋に入れておくと塾生が早くなります。保存する時は、キッチンペーパーなどで一巻きしておくと持ちが良くなります。

9/25

納豆・発酵食・美容食・食養生

納豆・食養生・美容食・発酵食・井澤由美子・空の旅・ラジオ・まいにち食薬養生帖・

人呼んで「最高の美容食」。美肌効果が高いうえ、骨を強くし腸内を整え、血圧を下げるといい事ずくめの発酵食品。5大栄養素のタンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラルに加え、特に体内で合成できない必須アミノ酸をバランスよく含みます。大豆が納豆になると皮膚の再生を促すビタミンB群は約6倍、シミやシワ、生活習慣病を予防するレシチンは約1、5倍と言われています。

レシチンは寝る前に食すと美肌作りに有効です、睡眠中に肌は作られるのでお夕飯にぜひいただいて下さい。
発酵醬ダレのご紹介=このタレはごはんやお豆腐にのせるだけでも良いですが、これから出番の多いおうどんやパスタのタレとしてもおすすめ(すり鉢に納豆、豆板醤、ごま油、すりごま、卵黄、味噌を入れてすりませる、好みで梅干しや少しの甘み、三つ葉、ねぎなどを加えても)。ごま油がポイントです、香ばしさやコクで美味しくなり、含まれるビタミンK2の吸収がよくなります(まいにち食薬養生帖では9月20日、230ページ)。

丁度今、radikoでも聞けるANA WORLD AIR CURRNTで葉加瀬太郎さんと納豆のお話をしています。納豆は、世界を股にかける葉加瀬さんの元気の源かもしれませんね。皆さんとも心と体を整え、未来をも変える食の大切さを分かち合えたらと思います。10月から食養講座と料理教室が始まります、楽しく美味しい時間を御一緒に如何ですしょう。

9/16

天然舞茸・秋の味覚・免疫力

秋の味覚・きのこ・天麩羅・農家・食養生・免疫力

立派な舞茸が届きました、食べると舌が舞うようなので舞茸です。箱の中の新聞紙の包みを開けただけで、キッチン中に舞茸の香りが広がりました。まずは鮮度が良いうちに、この香りと凝縮した美味しさを一番楽しめる天麩羅で楽しもうと思います。美味しい粗塩をパラリとふって、もいできたばかりの酢橘を一絞り!ビールも必須です。

まいたけは、きのこの中でも抗がん作用が群をぬいて高く、疲労回復や美容にも良いという優れもの。免疫力を上げるビタミンDやβ-グルカンが豊富です。

購入する時は、かさがピンと張り、軸がかたくしまっているものを選んで下さい。金気を嫌うので、下ごしらえする時は、包丁で切らず、手でほぐしましょう。汁物や煮物に入れると、黒っぽくなることを覚えておくといいですね。ちなみに舞茸には、お肉が柔らかくする効果があるので、肉と一緒に調理するのもお勧めです

9/15

免疫力・天然なめこ・食養生

きのこ・なめこ・ナメコ・食養生・天然なめこ・井澤由美子・免疫力

数年前に鳥取県のきのこ名人に天然のなめこ摘みを体験させて頂きました。なめこは菌床栽培とブナ・トチなどの広葉樹の倒れ木などで育てられる原木栽培があります。ゼラチンがまとわりついているようなぬめり感を持ち、一つ一つがプックリとして魅力的。旨味が強いので出汁が充分にでますし、天然物の力強さでしばらく煮てもしぼみません。名人になめことイノシシ肉の炒め物をご馳走になりました。塩、胡椒炒めのとてもシンプルな調理ですが、旨味と滑りが上手に絡まってインパクトが有り、なめこも炒め物に出来るのだとこのとき初めて知りました。私がよく作るなめこ料理に、なめこの卵とじがあります。なめこと卵を甘辛味にふんわりと煮て丼にする、滋養が高いのはもちろんですが、滑らかな舌触りがクセになります。

なめこは胃壁を保護するので二日酔いの朝などのお味噌汁にも最適です。きのこの中でも水溶性植物繊維が豊富なので、便通を促し、腸内環境を整える効果が高いのも利点。Bグルカンも豊富で、免疫力を強化する作用を高めます。

 

9/14

烏賊・朝イカ・函館

井澤由美子・烏賊・イカ・食養生・いか漬・井澤由美子・薬膳・旬食材

お刺身、パスタ、煮物、フライなど幅広く調理出来る食べやすいイカ。日本人は世界でも有数のイカ好きです。漢方では烏賊の甲は鳥賊骨(うぞくこつ)と言う生薬で、月経異常や胃腸薬などにも使用されます。低エネルギーでたんぱく質を多く含み、豊富なタウリンは、中性脂肪や血中コレステロールの増加を抑えます。タウリンを効果的に摂取したい場合は、生食かさっと火を通す程度にします。

先日の函館出張で、イカ刺しを堪能しました。鮮度の良いイカを朝食べる風習があるようで細切りになったイカがホテルの朝食や定食屋さんで気軽に食べる事ができます。夜に行った専門店の「いか漬」さんでは、生きているイカをさばいてお皿に乗せてくれます。コリコリとした身や新鮮な内臓、足などはまだ動いていましたがフライにして下さいました。そのほかにウニや貝類、北海道ならではの魚や珍味はどれも厳選素材、お酒が進む一夜となりました。

イカや白身の刺身には醤油を使わずに美味しい粗塩をパラリとふって、甘みを引き出す食べ方も私は好きです。9月に入り、庭の酢橘がちょうど良い大きさになってきました。キュッと絞って酸味と香りをまとった塩イカは絶品です。もしもイカの足が余ったら刻んでハンバーグに入れてみて下さい、食感よく美味しくなります。

 

9/10

お月見・十五夜・お団子の作り方

井澤由美子・月見だんごの作り方・食養生・日本の伝統・お月見・お団子・団子の作り方・みたらし

毎年変わる中秋の名月、2022は9月10日の今夜です。明日の十六夜(いざよい)でも天候が良ければ余韻を楽しめそうですね。昔のお月見は空を見上げるより、船に乗って詩歌や楽器を風流に奏で、水面に映った月を楽しんでいたそうです。

今日はおだんごの作り方2種類のご紹介です。まずは一般的な作り方です。ボウルにだんご粉か上新粉(うるち米)170g、ぬるま湯150ccを入れて箸で混ぜてから、手で「耳たぶくらい」のなめらかさになるまでよくこねます(水分が足りないようなら様子をみて少しずつ足す)。棒状にのばし、食べやすい大きさに切って丸めます。

もう一つはお豆腐を入れた滑らかなおだんごです。白玉粉(もち米)100gに絹ごし豆腐100gを混ぜてよくこねて、成形は上記と同じです。どちらも沸騰した湯に入れ、だんごが浮いてきたら取り出して冷水でしめ、水気をとって好みの味付けにします。みたらしあんは、小鍋に本みりん適宜を注ぎ、色つく程度の醤油を加え、とろみが出るまで煮詰めるだけ。溶いた葛や片栗粉を少々加えるとからみやすくなります。

中秋の名月には収穫をお供えする風習もあり、月に見立てた里芋の煮物を作る地方もあります。秋の収穫に感謝しながらいただくのでしょうね。今年はご家族で、お月見だんごとお酒などいただきながらゆるりと月を愛でてみてはいかがでしょう。

9/8

白露・菊の節句・菊花茶

食用菊・菊花・眼精疲労・きく

夏の名残がほんの少し残る中、秋の気配がしっかりと感じる頃になりました。この時期の9月8日以降は、白露(はくろ)と呼ばれ、空気が冷え、草葉に白露・白い玉が見受けられるようになる。朝夕は涼しく、夜は鈴虫が鳴き、店先では秋食材が並び始めています。

明日の9日は重陽、五節句の一つ。菊の節句とも呼ばれ縁起がよく、延寿の力があるそうです。食用菊を見かけたら料理に使ってみます。生菊花の下処理をする時は、熱湯に酢を少々加えてサッと湯がき、冷水に入れて色止めします。水気をしっかり絞って、甘酢に漬けると保存がきき、鮮やかな色味が添え物など何かと重宝します。刺身のツマにも添えられる菊は抗菌、解毒作用が期待でき、ビタミンCなども豊富。山形の延命楽は八重の美しい紫色、香り高くシャキシャキとした食感が魅力的ですし、青森で見かけた菊の乾燥シートは海苔のように巻物などに使用でき、美しい仕上がりに。

食用菊とは別のお茶に加える菊花は、生薬であり眼精疲労に効果的です。主に抗菊、甘菊、除菊(白菊)の三種があり、ビタミンAなど眼に良い成分が豊富。クコを加えると甘みもでて飲みやすくなりますし、この組み合わせは飲む目薬と呼ばれるほどの薬膳茶。乾燥も気になる季節、リラックスタイムに華やかな菊茶はいかがでしょう。