井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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しらす・ちりめんじゃこ

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カルシウムたっぷりのしらす、旬ですね。骨を強くし、脳神経を活発にする効果が期待できます。減塩食の方は、塩気があるしらすや雑魚を上手に料理に取り入れると一石二鳥です。

しらすとは、イカナゴ、ウナギ、アユ、ニシン、マイワシ、ウルメイワシなど、白や透明無色の稚魚。マイワシやウルメイワシも流通していますが、いわゆるしらすのほとんどは、かたくちいわしの稚魚です。
しらすは釜茹でされたもの、しらす干し、それから更に乾燥させたものがちりめんじゃこですが、地方によって呼び名は多少異なるようです。通年出回りますが、春と秋が産卵のピーク。

新鮮な生しらすが手に入ったらぜひ試していただきたいレシピがあります。バケットに、にんにくの切り口をこすりつけて塩とオイルをふってカリカリにトーストする。生しらすをたっぷりのせ、オイルをふってほうばって下さい、ヨーロッパ風の食べ方で、冷えたワインとピッタリです。
しらすや小魚は、酢と合わせるとカルシウムの吸収がよくなるので、酢の物にもぜひ加えて下さい。酢飯にしらすとごまを、刻んだシソを入れたおむすびは運動後や暑い日に元気になりますし、しらすと青のりをたっぷりのせたしらす弁当もお勧め、旬をシンプルに楽しめます。

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キウイ・ルビーレッド・セビーチェ・シーフードサラダ

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4月から5月にかけての期間限定で、女性に絶大な人気を誇る一皿があります。剥き立ての生エビ、ぶつ切りの茹でタコ、サーモン、ホタテ、時には蒸した貝などを添えたセビーチェ風。香り野菜には、刻んだ紫玉ねぎ、ジンジャー、赤唐辛子、コリアンダーなど。味付けにはバージンオリーブオイル、軽く塩胡椒、朝岡さんのナンプラー、コジベリー、主役のゼスプリルビーレッドキウイを合わせて、搾りたてのレモンを多めに加えます(レモンがライムになったり、唐辛子が山椒になったりと30年来お付き合いのある農家さんからの仕入れによって、風味は変わります。あるもので作るのでそれもお楽しみ)。

このフレッシュなシーフードサラダのメニュー名は「ルビーレッドチリサルサのセビーチェ」とそのまんまのネーミング。別名は抗酸化セビーチェです、アントシアニン、ビタミン類が豊富、美肌・美容に最適な他、免疫力UPも担います。

ちなみに通常の緑キウイに含まれるビタミンCは100g中約88mg前後。サンゴールドは152mg、ルビーレッドに至っては、189mgを誇ります。気の巡りを良くするコリアンダー、爽やかな香りの柑橘、少し辛くて甘酸っぱいドレッシングとコラーゲン豊富な魚介類を合わせれば女子力をアップします。

少し汗ばむ日も有り、冷えた白ワインが美味しい頃。新緑の風に乗って漂う香りも泡や白ワインにピッタリです。

 

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ニュージーランド・キウイ・ルビーレッド・美肌

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昨夜ニュージーランド出張から帰国。季節はちょうど落ち葉がきれいな秋、日本の春と逆です。同じような気温なので、体感的に無理がなく過ごしやすい気候でした。

秋なので、どの店先にも様々な産地のりんごや青りんごが並んでいます、日本より少し小振りですよ。その他には洋梨、プラム、蜜柑、アボガト、柿などが並びます。ニュージーランドの代表的な果物のキウイに関しては、グリーン、イエロー、レッドがたわわ、ゼスプリさんの畑にもお邪魔して来ました。中でも私はレッド好き、ちょうど今日本の店頭にも並んでいますが、4月から5月の頭くらいで販売が終わってしまうのでとても貴重です。ベリー類のような香りと甘さの完熟ルビーレッドは、アントシアニンも豊富。美肌効果がもともと高いキウイ達ですが中でもレッドが最高、コラーゲンの多い食材と合わせて料理にも多様して、肌の生成を促します。

 

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筍・竹の子・春の息吹・デトックス

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この時期だけは茹でたての筍を売っているスーパーや八百屋さんなどでもあります。筍を香ばしく醤油風味に焼いて木の芽と合わせるともうたまりませんね。日本では昔からの春の代名詞、旬の味ですからDNAも手伝うのか、この時期は無性に食べたくなります。

筍はなんと言っても繊維が豊富。食物繊維は体の老廃物を排出し、コレステロールの吸収を抑え腸内環境を整えます。茹でた時に断面に現れる白いものはチロシンといい、脳を活性化させる効果が期待できます。竹皮には防腐効果や殺菌作用があるので、昔はおむすびを包んで腐敗を防いでいました。

掘り立ての筍はお刺身もお勧めです。旬の息吹を感じられ、食べてもアクをあまり感じません。収穫から時間が経った筍は、アク抜きが必要になります。購入したら直ぐに下処理しましょう。筍の皮を数枚むき、穂先を斜めに4、5cm落とし、剥きやすいように縦に浅く切り込みを入れます。大きめの鍋に筍とたっぷりの水を入れ、米ぬか1カップ(または重曹大さじ1、あるいは水の代わりに米のとぎ汁を使う)。赤唐辛子2本を加えて、落し蓋や厚手のキッチンペーパーをかぶせて煮立ったら中弱火にして(大きさによる)1〜2時間程下茹でします。火を止めてそのまま冷ます。
成長の早い筍。この時期はそのパワーを色々な調理法で楽しみながらいただきます。

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韓国・全羅南道・チョルラナムド・カンジャンケジャン

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商品開発の為、韓国出張に行ってきました。嬉しい事に、美食で有名な(全羅南道・チョルラナムド)地方。美しい海が点在し、豊かな海鮮が豊富で、街々によって蟹や魚の郷土食がそれぞれにあります。私は無類のケジャン好き、今回初めていし蟹のカンジャンケジャン(醤油漬け)とヤンニョンケジャン(薬念・ヤンニョン漬け)を頂きました。名前の通り、硬い殻の蟹で、旨味が強いのが特徴です。同じく旬の甘みの強いわたり蟹も頂きましたよ、旬の蟹は当然美味。卵がたっぷりの甲羅に、ご飯を詰めて頂くのが韓国流です。酒、醤油、生姜、唐辛子、たまね日、胡椒、にんにくなどの薬効もあるカンジャンベースに漬け、美味しく頂きます。

4月の韓国は日本と同じ時期に桜だなんて以外でした。日本の桜の名所は混んでいるし、ケジャンは美味しいし、毎年韓国に来ても良いかも知れないなぁと思った全羅南道でした。

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春の息吹・山菜(さんさい)・うど・うるい・デトックス

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つくし、かんぞう、うど菜、うるい、行者にんにくなどの柔らかい山菜を、昆布出汁でしゃぶしゃぶにしていただくのが毎年の楽しみ。山菜は春の息吹。香りが豊かで繊維が豊富(食べ慣れない方はほどほどの量で楽しんで下さい)。春野菜の苦味は、虫から身を守るためのアルカノイドに由来する成分で、デトックス効果があります。菜の花やふきのとう、こごみ、たけのこ、うどなどは独特の香りと風味、食感を楽しめる時期がとても短いので、この時期は日々何かしら口にしています。香りは気の巡りもよくするのでストレス緩和にも良く、リフレッシュできます。
少し暖かい日は緑茶に柔らかな蓬を浮かべると、香りと成分で頭がスッキリします。

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安眠・カモミール・カミツレ・マザーハーブ

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ピーターラビットのお母さんは、不調気味なピーターにカモミルーティーを飲ませていました。これは、絵本の中の可愛らしいワンシーン。目覚め時やお休み前のハーブティーとして、昔から愛飲されてきたカモミールは、林檎を思わせる香りや鎮静作用でとてもリラックスするので、安眠を促す作用が期待できます。

だいぶ春めいて来ましたが、寒暖の差や新しい事が始まって、心身の不調が気になる頃。カモミールは別名、マサーハーブ(お母さんのハーブ)と呼ばれるほど安らぎ効果の高い薬草です。ヨーロッパなどでは、古代からその鎮静作用や健脾(食欲不振など、胃に優しく作用する)に効果があるとされ、民間療法でもとてもポピュラーです。

大きく分けるとジャーマンカモミールとローマンカモミールがあり、ハーブティーに向いているジャーマンカモミールは春からが旬(写真はオーガニックカモミール畑)。心身をリラックスさせる効果があることでも有名です、手に入ればぜひフレッシュカモミールティーを楽しんで下さい。

ふんわりと優しいカモミールミルクティーの作り方です。小鍋にお湯をブクブクとしっかり沸かし、紅茶の茶葉とカモミールを入れて煮出します。もしあれば、濃いめのミルクを入れ、沸騰直前で火を止めて茶こしを通してカップに注ぎます。好みで生クリームと甜菜糖や和三盆などで、好きな甘さに調整します。ハチミツやメープルシロップを使っても美味。

電子レンジで作るときは、耐熱カップに紅茶のティーバッグ、カモミールのティーバッグ、吹きこぼれないくらいの水を入れて加熱します。カップごと温まりますし、オフィスなどでも手軽に楽しめます。

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鯛・桜鯛・花見鯛・鯛茶

春を代表する旬魚の鯛。朱色をまとって北上する桜の季節の真鯛を「桜鯛」「花見鯛」と美しい名で呼びます。
鯛は白身の魚ですが、海老を食べるので殻に含まれるアスタキサンチンが身に影響するのだそうです。縁起の良い魚として昔から珍重される鯛は栄養価も高く、タウリンが豊富で低脂肪。高タンパク、低カロリー、消化吸収もよいので胃腸の弱い人やお年寄りにもお勧めです(鯛の骨には充分気をつけて)。

鯛は昆布締めなど、塩分が入ると表面がねっとりとする魚で、それが美味しくてお鮨や散らし寿しにすることもあります。平らな昆布を用意して、表面を酒でふき、刺身を重ならない様に並べて挟みます。ラップできっちり包んで冷蔵庫で3〜5時間ほど寝かせます。鯛は昆布締めや、いり酒などでいただくと味わいがよくわかります。
山葵をたっぷり添えた鯛茶も美味しいですね。いつものゴマダレを極上にしましょう。乾煎りしたクルミやカシューナッツ、松の実などのナッツをごまとすり鉢に入れてめんつゆ程度のタレとすり混ぜます。この濃厚ゴマだれに浅めの昆布締め鯛をくぐらせて炊きたてのごはんで半量をいただき、残りは煎茶をかけて2度楽しむ。毎年の贅沢な楽しみ方です。

3/20

七十二侯・春分の日・お彼岸・いなり寿司

井澤由美子・養生レシピ・発酵食・薬膳・健やか・お彼岸料理・お稲荷さんの作り方・いなりずし・養生ごはん・美しい人・美容・簡単レシピ・ご飯レシピ・季節のごはん・伝統料理・食彩カレンダー七十二節気・二十四節気・

桜が美しく咲いています。春分の日、春のお彼岸ですね。雀初巣(すずめはじめてすくう)雀が巣作りを始める頃の初候。夜が短くなり、昼間が徐々に長くなって、本格的な春を迎える季節の変わり目になりました。

お彼岸にお供えするお料理は、季節の野菜で作る精進料理や天麩羅、お赤飯、おいなりさん、おはぎ、ぼたもちなど。地方によっては彼岸そば、彼岸うどんなど食べる風習があります。基本的に魚や肉、卵、五葷(ごくん・ねぎ、らっきょう、アサツキ、ニラ、にんにくなど匂いのあるもの)などは用いないようにします。

今日はお揚げを炊いて、祖父母の好きだった蓮根とゴマをたっぷり入れたおいなりさんを作ります。お揚げの上手な炊き方です。揚げは出来るだけふっくらしているものを買う。お箸を揚げの上に置き、コロコロと押しながら数回転がして半分に切る。熱茹で数分茹でたら、水でゆすいで水気を絞る(私は半量の揚げを裏返し見た目2種にします)。鍋やフライパンに揚げを出来るだけ平らに並べる。甜菜糖大さじ4〜6、醤油、酒、みりん各大さじ3、出汁300ccを入れ、厚手のキッチンペーパーをかぶせて弱火で15〜20分煮含める。冷めたら汁気をとります。後は薄切り蓮根のシャキシャキ感が心地いい甘酢漬け入りの酢飯を詰めて出来上がり。

酢飯の簡単な覚え方があります(お米1合には酢、砂糖各大さじ2、塩大さじ半が目安。お米を炊く時の水分量は少なめに)。

甘辛のお稲荷さんに柚子やスダチをさっと絞っていただくのも美味ですよ、ぜひお試し下さい。

 

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蓬・デトックス・カムイノヤ・医草・エルブロワイヤル

井澤由美子・デトックス・まいにち食薬養生帖・蓬・よもぎ・春草・薬草・yomogi 山菜・和ハーブ

新芽のよもぎを見かけるとつい手にとってしまいます。やわらかいよもぎは風味も優しく、緑茶に加えていただくとふわりと香り、お茶との効能で脳がシャキりとします。

野草は春の息吹、香りが豊かで繊維が豊富。苦味は、虫から身を守るためのアルカノイドに由来する成分で、デトックス効果が高いそうです。

春ならではの滋養がいっぱいのよもぎ餅は格別です。よもぎはよく洗って汚れを取り除き、硬い部分があれば落とします。大きめの鍋に湯を沸かしてよもぎと重曹少々を入れて茹で、冷水にとる。後は水気をしっかり絞ってハンドミキサーにかけるか包丁で細かく刻めば下ごしらえは完了。もち米と合わせた、つきたての柔らかいよもぎ餅を香ばしく焼く。お醤油はひと垂らし、苦味のような緑香が口いっぱいに広まって元気がでます。

よもぎには炎症作用や止血作用もあるので、傷や虫さされには葉をもんで貼るとよいそう、お風呂に入れる風習も昔からありますね。邪気を払い、神経痛や肌荒れにも効果がありお灸にも使用されています。婦人病にもよいので韓国のよもぎ蒸しなどは有名ですね。

よもぎはアイヌ語でカムイノヤ「神の草」と呼ばれ、さまざまな料理にも使われています。フランスではエルブロワイヤル「王の草」、中国では「医草」と呼ばれ、薬膳では血をきれいにするとされており、世界中でその効能が認められています。