井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

11/7

菊花(きくか・きっか)・眼精疲労・ドライアイ

薬膳で眼精疲労に効くのは菊花。目のかすみ、ドライアイなど主に目のトラブルの解消に使用され、クコの実を加えたお茶は飲む目薬と言われる漢方薬の「紀菊治黄丸」。私はいつものお茶に菊花茶を加えてブレンドしています。酒毒緩和作用が期待できるので、中国では強いお酒をいただく時にも飲まれています。店頭で見かけ始めた日本の食養菊はまた少し効能が異なりますが、独特の風味がよいものですね。アクとエグミをとり、色を保つ為に熱湯に酢を加えてさっと茹で、冷水にとってギュッと絞って調理します。貝と甘酢と和えたり、お浸しや椀もの、お刺身のツマなど。いずれにしてもたっぷりいただいて効能を高めます。山形で食べた紫菊は「もってのほか」と言う名前、由来は御紋の花を食べるとはもってのほかだからだそうです、本名は「延命役」素敵な香りと食感です。

11/5

ドライカレー・キーマカレー

キーマカレーのキーマはひき肉の意味。インドでは宗教上の理由から豚や牛ではなく、マトンや鶏が主流。水分が多少多目で、日本のドライカレーの原型とされています。ドライカレーは明治時代に日本人のコックさんがヨーロッパ航路の客船で考案したそうです。炒め煮なのでルーは使わず、カレー粉と家にあるスパイスで短時間で調理できますね。玉ねぎをラップに包んで600wで約5分加熱し、ざっくり刻んでフライパンに入れる。ここにカレースパイス類を入れて馴染ませるように炒める。脂溶性のスパイスは油で炒めると良い香りが立って食材にからみます。後はひき肉や刻んだ旬野菜を加えて炒めるだけ。
スパイスの調合はお好みですが、クミン、チリパウダー、コリアンダー、ターメリック、シナモン等はおすすめです。スパイスは胃腸の調子を整え、代謝をよくして免疫力を高めます。上手に食卓に取り入れて風邪予防になどに役立て下さい。

11/3

蜜柑・ミカン・陳皮(ちんぴ)・風邪予防

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寒くなると乾燥も手伝い、風邪などひきやすくなります。手洗いうがいを見直し、日頃からみかんなどビタミンCをこまめに補給しましょう。体調を悪くすると消化器や呼吸器の機能が低下し、体内バランスが崩れます。胃腸が弱ると疲れやすく、手足も冷たくなって胃が冷えやすくなることも。気になる方は、干し生姜、ナツメ、茶色いお茶の発酵茶、黒豆などを日頃から煮出してお茶にすると良いでしょう。私はここに陳皮(みかんの皮をほしたもの、七味に入っています)を足して効能を上げつつ香りも楽しんでいます。大変良い香りなので、ネットなどに包んでお風呂にも入れてリラックス。陳皮は漢方薬局やデパートなどでも売っていますが、手作りはグンと香リます、無農薬みかんの皮を洗って日当たりの良い場所でカラカラに乾かすだけ、洗濯バサミでつまんでも良いですね。
今日は文化の日ですが、農林水産省が語呂合わせから11(いい)3(み)みかんの日に制定しています。

11/1

ししゃも・柳葉魚・骨粗症予防

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「柳の葉っぱ」からくる「ししゃも」の名前は「シュシュ・ハム」からきており、アイヌ伝説に由来しています。
シシャモは北海道の珍味、日本の固有種は本ししゃもですが、輸入物はカラフトししゃもで通年多く出回っているものです。国産は美しい白目の銀色と繊細な形なので見分けがつきやすい。生干しで売られている事が多いので、軽く炙るだけで頭から骨まで食べられ、カルシュウムを多く摂取できます、フリットや天婦羅など美味しいですね、酢に漬けるとカルシウムが摂取しやすくなるので南蛮漬けなども勧めです。ししゃもにはマグネシュウムや亜鉛も多く、高血圧や骨粗症予防に最適。お腹がパンとはっているものは卵がしっかり入っていますよ。私はメスが好きですが、漁師のお父さんは味が濃いオスしか食べないそう。購入する時はツヤがあり、身がしまっているものを選びます。国産の旬のししゃもは、良い香りで焼いてもふんわり。北海道白糠付の、目の前の海からそよぐ潮風で丁寧に天火干しされたししゃもはピカピカ、塩加減も素晴らしいのでした。

10/30

白木耳(シロキクラゲ)・銀耳・美肌食・美容食

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白キクラゲは肌を潤す効果が高いので薬膳では貴婦人の美容食と呼ばれています。滋養強壮作用も高く、食物繊維もとても豊富です。日本では乾燥ものが一般的ですが、生白キクラゲや耳を大きくしたような形の「銀耳」と呼ばれる形(こちらは少し高級品)の白キクラゲも栽培されていて、ネットなどで入所できます。スーパーで見かける白キクラゲはカサがあるタイプが多いですが、購入する時は、出来れば大ぶりで肉厚、色が白めのもので根元が硬くなさそうなものを選びましょう。一般的にはさっと茹でて中華のデザートなどに多く見られる白キクラゲですが、サラダや酢の物にも良いものです。しっかり滋養を摂取したい時は、たっぷりの水で1時間半くらいコトコトゆっくり煮て充分なとろみが出るまで下茹でします。肌を潤したい時は、手羽先、セロリ、生姜薄切り、黒胡椒を加えて更に煮込んだ美肌スープに。白キクラゲは肺を潤す効能も期待出来るので、杏仁粉と氷砂糖、ミルク(好みで生クリームを加える)と煮て美味しい咳止デザートにしても良いでしょう。写真は杏仁豆腐とフルフルの白キクラゲです。

10/28

白菜サラダ・ジャム・スープ

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冬野菜の白菜は大根・豆腐と並んで「養生三宝・ようじょうさんぽう」の一つ、冬の風邪予防や免疫力向上に効果的なので特に食べたい野菜です。95%以上が水分ですが、バランスよくビタミンやミネラル類を含み食物繊維が豊富。疲れた胃をケアし、美肌効果もあります。
本日「NHKあさイチ」さんでご紹介した我が家の「ジャムで作る、みずみずしい白菜の浅漬けサラダ」。ジャムは甘みをつけるのではなく、旨味とまるみをつける為です、フルーツのフレーバーもほんのり香る。ジャムは柑橘系がよく合います、番組では手に入りやすいマーマレードでしたが、日向夏のマーマレードもよく合いますし、白菜が美味しい季節に実るりんご、みかん、柚子はお勧めです。私は季節のジャムやコンポートを作るので、組み合わせが特に楽しく、手作りされている方はぜひ。春のキャベツとグレープフルーツ、夏のキュウリとレモンなど季節のメドレーでサラダをたっぷりいただきます。寒い頃にはスープがお勧めです、漬け汁は旨味があるのでスープに加えるとグッと美味しくなります。朝のスープは目覚めをよくし、昼のスープはリラックスし、夜のスープは滋養がとれると良いことづくめ。汁物は簡単で、栄養素を効率よく吸収できます。

10/27

栗(くり)・栗ごはん・薬膳

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腎の機能を助ける栗は、美容食でもあります。お米と栗を合わせると脾の働きを助けるので元気になる相乗効果が生まれますよ、米2合に好みでもち米をひとつかみ加えるとさらに良いですね。毎年旬の頃は頑張って皮をむいて作る栗ご飯。調味料は酒大さじ2と塩小さじ半、薄口醤油小さじ半にほんの少しの米油を加えただけのシンプルなものですが(その方が栗の香りと甘みが引き立つ)、皮むき苦労のかいあって、栗パワーで本当に美味しく炊きあがってくれます(栗を剥いたあと、栗が浸るくらいの水、塩と砂糖少々を加えてうっすら下味をつけてから加えると和食屋さんのお味に)。渋皮に含まれるタンニンには抗酸化作用があるので、皮を少しつけて炊いてもよいでしょう。1年に1度くらいはと血糖値が気になる父に皮付きの栗料理をせっせとつくる、栗は下焦(糖尿病)にもよいそうです。

10/26

メヒカリ・目光

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初めて食べたのは港近くの定食屋さん、近所の市場でも沢山売られていました。フライで頂きましたが、身が柔らかで骨まで食べられる白身が美味。傷みやすいという事で、当時は東京ではあまり見かけませんでしたが、今ではスーパーでも見かけるようになりましたね。サイズも小ぶりで10〜15CMくらい、下処理もあまり無いので調理もしやすい。先日も、市場でふくよかなメヒカリを見つけたからと、わざわざ一夜干しにし、天麩羅にしてくれた友人がいました。庭でもいだ酢橘を少し絞り、粗塩で熱々をいただくと美味、柔らかな身がホロリとほどけます。脂がのっているので干物にして炙っても美味しい、カルシウムたっぷりです。アオメエソあだ名の由来は、緑いろの目がキラリと光るから目光。

10/25

じゃが芋・ポテト

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じゃが芋は、とても生命力が強いので世界中で栽培されている野菜です。じゃが芋の豊富なビタミンCはデンプンに守られているので熱に強いのが特徴、料理に向いています。胃腸を活性化し便秘改善などの薬効もあり、ドイツではじゃが芋をすりおろした汁やスープは胃腸症に良いとされる民間療法です。余分な水分や塩分を排出してくれるカリウムが多く、尿の出をよくしてむくみ改善にも有効。じゃが芋の芽を見つけたら取り除きます、ソラニンと言う有害物質なのでそこだけ気をつけて。茹でる時は2つまみの塩を加え、皮ごと水からフツフツとゆっくり火を入れると美味しい。北海道で始めてインカのめざめを口にした時は、その栗のような色とほっこりした甘みにじゃが芋の観念が変わったのでした。固めに下茹でし、皮ごと太めのくし切りにして片栗粉をまぶしてカラリと揚げる、最高です。栄養もあり、お腹を満たすアレンジ自在なじゃが芋、フランスでは「大地のりんご」と呼ばれます。

10/24

柿・かき

柿には豊富なビタミンCやBクリプトキサンチンがあり、免疫力を向上させる作用が期待できます。漢方では、葉やヘタは生薬ですし、柿のタンニンはアルコールを分解するなどの作用があります。干し柿になるとビタミンAは倍増し、甘みが凝縮します。好きな食べ方に、完熟柿にスダチやカボス果汁をたっぷり振りかけて一晩冷蔵庫でマリネする一皿があります。柿のカロチンに柑橘果汁のビタミンCを足すとさらに風邪予防もアップし、酸味がよく合います。酒粕でほんのりマリネした生ハムで巻くとお酒に合わせる前菜にもピッタリ。柿の中身をくりぬいて器とし、中身はいくらと和えて柚子を散らし、美しく盛りつけた柿といくらの合わせ小鉢も粋ですよ、一瞬の出会いものを楽しみます。