井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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椎茸・きのこ・免疫力・秋の味覚

井澤由美子・食養生・毎日食薬養生帖・お日様きのこ・干しきのこ・きのこ・キノコ・干し野菜

これから益々美味しくなるきのこ類。それぞれに異なる効能がありますが、共通して含まれる成分には食物繊維の一種、βーグルカンが有ります。このβーグルカンは、免疫力をアップさせる作用が知られています。

しいたけは、干すと骨を強化するビタミンDの含有量が増えます(日光にあたるとエルゴステリンがビタミンDに変わる)。お天気の良い時に30分以上干すだけ。金気を嫌うのと味しみが良くなるので、出来るだけ手でさいて干してください。コリコリとして旨味が凝縮、多めに作って冷凍保存しておくと便利です(旨味もuP)。

ちなみに椎茸は水で洗わなくて大丈夫です、石づきだけを落として、汚れがあったら優しく拭き取るだけで充分です。生の椎茸を炭火やグリルでシンプルに焼く時は、軸を上にして焼くと旨味を逃しません。塩を振って焼き、笠の中に水分が出てきたら、焼けてきた合図です。マッシュルームなどは窪みにたっぷりと水分がたまり、グツグツとして見るからに美味しそうです。中医学では特に一本足の野菜は滋養が高いと言われていますよ、アスパラやブロッコリーなどもそうですね。

きのこは数種類合わせるとそれぞれの旨味や食感が重なりあって、美味しさが増します。香りや歯ごたえを損なわない為に、なるべく短時間で調理して香りや歯ごたえも楽しんで下さい。

9/4

みょうが・茗荷・秋みょうが・天ぷら

みょうが・茗荷・秋茗荷・天ぷら・香野菜

秋みょうが美味しいですね。小ぶりのサイズを目にしたら、早々天つゆや香り塩を仕込みます。薄く衣をつけた揚げたてのみょうがを一口でほうばると、香りが鼻を抜け、しゃきしゃきした食感が何とも心地よい。初秋の醍醐味ですね。暑い日ならそうめんの付け合せにも最適です。

みょうがの香り成分には発汗作用があるので血行を良くし、消化をよくする効能も期待できます。色も美しいので、何かとお料理のアクセントになりますね。3〜4月頃が旬の茗荷竹は若い頃の茎で、天麩羅に美味しいですよ。7月ごろの早(わせ)茗荷は比較的小ぶりで、八月に入ると赤く丸みを帯びて秋茗荷となります。

みょうがをさっと茹で、熱い内に甘酢に漬ければ鮮やかに発色し、日持ちするピクルスになります。これを刻んでご飯に混ぜれば即席のお寿司がすぐに作れます。茗荷をつけた甘酢に焼き鮭やじゃこをくぐらせてご飯に混ぜると、さっぱりとした旨味で、食欲がない日にも箸が進みます。

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アンチエイジング・キレイを作る・抗酸化力

ブロッコリー・抗酸化力・アンチエイジング・エイジングケア・食養生

エイジングケア力を含むものには、高い抗酸化力があります。よく知られているのは、アサイー、ラズベリー、りんご、プラムなどの果物。その他に黒豆、レンズ豆、大豆などの豆類やナッツ類、ブロッコリーや紫玉ねぎ、ほうれん草、さつま芋などの野菜、飲みのもならお茶や赤ワイン、スパイスならクローブ、ウコン、シナモン等です。これらを意識して摂取すると体のサビを止める働きが期待できるようです。

内容を見ると、アントシアニン、イソフラボン、カテキン、スパイスなどが良さそうですね。これらは米国農務省と国立老化研究所より開発された抗酸化力による新しい指標のORAC値、米国では認知度があるそうです。

中医学薬膳や日本の栄養学から見ても、体の錆止めに効く食材として、黒豆や緑黄色野菜、ナッツ類、ポリフェノール類などは同じですし、体に良い影響があるものばかりです。日々の養生にもなりそうです、キレイや若々しい体を目指して取り入れてみても良いかも知れませんね。

9/1

葡萄・ぶどう・食養生

葡萄・ぶどう・ブドウ・眼精疲労・貧血・井澤由美子

スーパーに行くと桃やプラム、スイカも辛うじて有りますが、美味しそうな梨や葡萄を見かけるようになりました。残暑の中、秋の気配を感じます。

葡萄は、世界中でみると約80%の生産量がワイン原料。日本で栽培される葡萄は、約90%が食用です。ざっくり大きく分けると黒、赤、緑の3種で、形や大きさ、色など様々です。

近年、種無しで皮ごと食べられる葡萄の品種改良が年々進んでとても人気です。葡萄の皮には栄養があり、強い甘みは皮と実の間にあるので丸ごと口に出来るのは嬉しい限りですね。よく洗って冷やした葡萄のみずみずしさはパソコン作業の合間のおやつにもピッタリ、疲労を回復します。

薬膳では、赤い皮の葡萄に貧血改善の効果があると言われていますよ。ポリフェノールの一種、アントシアニンには活性酵素を除去し、体のサビ止めや、眼精疲労を改善するなど様々な効能が期待できます。

8/30

鮑・アワビ・食養生

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国産のアワビは主に4種有ります。クロアワビ・エゾアワビ・アカアワビ(メガイアワビ)・マダカアワビ、穴が多く小さめのもはトコブシです(エゾアワビは北で獲れ、旬は冬)。今が旬の大きく柔いマダカアワビは、遠浅だが岩場が入り組んでいる浜の千葉県産のものが多い。やわらかで、甘みがあるので蒸したり焼いたりしても美味、地元の子供達はバター焼きで食べるそう贅沢ですね。

アワビは滋養強壮や老化防止によく、皇帝の食べ物としても珍重されてきました。茹でて干された干しアワビは値が張りますが、旨味や食感が値段に比例します。アワビは海藻を食べて育ちます、上質なミネラルを含みタウリンもあるので眼精疲労や体力低下にも有効です。

アワビの外し方ですが、塩をこすりつけて流水で流しながらタワシでこすり洗いする。アワビの口に塩を多めにのせて3分ほど立てかけておくと外しやすくなります。殻の低い方から貝殻に沿って、貝柱を離すようにスプーンやナイフを入れて外します。肝を傷つけないようにし、ヒダと固い口を除き、汚れやぬめりがあれば中身もタワシでこすります。耐熱容器にたっぷりの酒と大根の切れ端を入れて蒸し器にかけるとやわらか、厚めに切って山葵をつけていただきます。それから、生のアワビをすりおろしたアワビとろろも旬ならではの楽しみ方です

8/29

常陸秋蕎麦・朝そばの勧め・リフレッシュ

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蕎麦好きです。段々と秋の気配を纏った爽やかな朝が増えてきましたね。心地よい目覚の朝にいただく朝蕎麦はいかがですか?とてもお勧めです。体も頭もシャンとしますし、朝食としても胃もたれがない。たっぷりの大根おろしに庭の山椒の葉を合わせたものや、おろしわさび、挽き割り納豆、炙った海苔などを気分で添える。キリッと〆た冷たい秋蕎麦は、濃厚な風味で香りが高く、深い味わいです。

蕎麦に含まれるルチンはポリフェノールの一種。血管を修復して血液の流れをよくすることは周知の通りですね、血圧降下も手伝います。このルチンはビタミンCと一緒にいだくとよりよい効果をもたらすので、例えばビタミンCが豊富なおろしたての大根などを添えると、味と共に栄養面でも相乗効果が高くなります。蕎麦はビタミンやミネラルも豊富、アンチエイジング、生活習慣病対策、ダイエット、疲労回復にも良いものです。

私は蕎麦の方にわさびを少々のせ、ツユにひたす派です。朝からキリッとしたお蕎麦をいただくと背筋が伸びる感じがし、沢山の蕎麦の効能が頭をかすめるので、心身共に食養生。栄養は茹で湯にも流れているので、忘れずにいただきます。

 

8/27

グリーンペッパー・生緑胡椒・スパイス料理

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スパイスの王様「胡椒」カンボジアから若々しいグリーン色の生胡椒が届きました。花が咲き終わった若い果実を収穫し、房から外してきれいに洗って生のままパッキング。クール便で空輸されてきます(ちなみに緑胡椒を天日干したのが黒胡椒です)。

溌剌とした緑色と香り、風味を残したくて、封を開けたらすぐさま調味料漬けに。塩や塩水、レモン塩エッセンスに漬ける塩遊びの他に、オイル、ホワイトバルサミコなど。ザラザラとしたきび糖、本みりん漬けも面白く、柚子胡椒ならぬ緑胡椒もいいし、白醤油も使い勝手が良さそう、少し旨味が強いので絶妙な加減の塩水で割るなど、好みの塩梅で楽しむ。

カンボジアの名物料理ではイカと緑胡椒を合わせる料理が多いようなので、今日はイカのカルパッチョ風に。白ワインが進んで困りますが、挽きたての胡椒をかけたクラフトビールもテンションが上がります。この胡椒とビールの鮮烈なマリアージュは、無農薬胡椒栽培をされている倉田農園のクラッチこと、倉田さんに教わりました。香りや辛味が最上のクラッチ胡椒で楽しむ、私がビールを扱うお店を経営していたら料理に合わせてお客様にご紹介すると思います。

生薬としての胡椒は主に白胡椒、血行促進や消化促進を担う。江戸時代のうどんの薬味は唐辛子ではなく胡椒でした。白飯に挽きたての胡椒を混ぜ、出汁をかけた「胡椒飯」もよく食べられていて、辛味と香りで元気になるので、疲れた時やお酒のシメに最適です。胡椒には怒りやストレスを緩和させる成分が含まれていて、抗菌作用や防腐効果もあります。江戸時代の料理書には、既に見事な香辛料のお料理が沢山掲載されています。

8/20

にんにく・黒ニンニク・発酵食・疲労回復

井澤由美子・発酵食・黒にんにく・免疫力・黒にんいくの作り方

まだまだ暑いですが、朝夕は少し秋めいてきましたね。季節の変わり目です、油断して体調を崩さないように心がけたいものです。

私の強い味方は黒にんにく。トロリと柔らかく口に入れるだけで衛気が満ちて元気になります。熟成発酵し、プルーンのような甘さがあって美味しい、匂いがたいして気にならないのも良いところ。発酵させることで普通のにんにくにはない、Sーアリルシステインというポリフェノールの一種が生成され、にんにくの何倍もの高い抗酸化パワーが期待できるそうです。

古くなった炊飯器などがあれば手作りも簡単、にんにく臭はするので、物置などで私は作っています。
老化防止、生活習慣病予防の他、体温を上げて血行不良を改善、エイジングケアにも最適です。疲れ気味、風邪かな?と思ったら先手を打っていただくとよいかも知れませんね。

8/18

甘酒・発酵食・疲労回復・食養生・美容

井澤由美子・発酵食・薬膳・漢方・秘湯回復・甘酒・あま酒・あまざけ・発酵食・夏バテ

夏の季語の甘酒。麴甘酒の甘みは、でんぷんが麹菌によって消化しやすいブドウ糖に分解して生まれたもの。体内で素早くエネルギーに変換されるので、疲労回復にぴったり。ブドウ糖とビタミンが豊富に含まれるので滋養強壮に効くのです。ちょうど酢橘が実ってきました、きゅっと絞って爽やかな酸味を加える。香りもよくサッパリとして飲みやすくなります。

甘酒が余るとき、ドレッシングにアレンジします。生姜を皮ごとすりおろし、オリーブオイル、昆布酢、粗塩、甘酒を空き瓶に合わせてシェイクすれば完成。私にとって、ナチュラルな甘みととろみの甘酒は、まるでドレッシングの為にあるような存在、クーラーなどの冷え改善にもお勧めです。

中医学での古代栄養ドリンクは温中補虚、脾胃虚弱によい小健中湯など。芍薬、桂枝、炙甘草、生姜、大棗、飴糖(麦芽を糖化させた水あめ状のもの)の6つの生薬から成り立ち、飴糖が君薬でこちらも美味しそうです。手軽な現代版として、私は甘酒、生姜、シナモン、ナツメを加えたもので簡単養生しますが、こちらも美味です。

8/15

お盆・盆膳・迎料理・一汁五菜・精進料理・伝統行事

日本の伝統行事・お盆・お迎え料理・精進料理・井澤由美子・食養生・食薬ごはん

お盆の迎え方は、各家庭や地方、風習によって様々ですね。私は想い出の中にある祖父母の好きだったお料理をお供えします。そして庭に実る果実の木は、祖父母の代からあるものなので、梨、無花果、青りんご、まだ青いみかんなど奇数の数、お供えします。庭造り、土いじりが好きだった祖父母、いろいろなお作法もあると思いますが、気持ちを供えればご先祖さまは喜んでくれると信じています。

お供えのお献立は通常一汁三菜が基本で、肉や魚は避けて野菜や豆類を主に使用します。ごはん、お味噌汁、煮物、和え物、炒め物が一般的です。私は野菜好きだった祖父母に向けて、一汁五菜にしています、仏さまは丸い形を好むのだそうで、大好きだった祖父母を思い浮かべながら、煮物の野菜などは少し意識して丸めにカットします。それから、五辛(ごしん)臭いのあるにら、にんにく、玉ねぎ、らっきょう、ねぎなどは避け、なるべく五味(辛・甘・酸・苦・塩辛)と五色(緑・黒・赤・黄・白)を意識します。

お供え期間は13日〜16日で、13日の夕方に到着されると言われています。本日のお献立は、器に丸く大盛りによそった白いごはん、汁物は昆布と干し椎茸のキャベツのお味噌汁、煮物はじゃが芋の煮ころがし、炒め物はベランダ菜園のゴーヤ塩麹炒め、和え物は人参と胡瓜の胡麻和え、焼き物は茄子田楽、黒豆甘酢漬け、自家製梅干しと大根のお漬物(漬物は3切れ以外にします、身切れとも読むのでNGだそう)を添えました、それから祖母の好きだった葛練りと緑茶も一緒に。