井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

8/20

にんにく・黒ニンニク・発酵食・疲労回復

井澤由美子・発酵食・黒にんにく・免疫力・黒にんいくの作り方

まだまだ暑いですが、朝夕は少し秋めいてきましたね。季節の変わり目です、油断して体調を崩さないように心がけたいものです。

私の強い味方は黒にんにく。トロリと柔らかく口に入れるだけで衛気が満ちて元気になります。熟成発酵し、プルーンのような甘さがあって美味しい、匂いがたいして気にならないのも良いところ。発酵させることで普通のにんにくにはない、Sーアリルシステインというポリフェノールの一種が生成され、にんにくの何倍もの高い抗酸化パワーが期待できるそうです。

古くなった炊飯器などがあれば手作りも簡単、にんにく臭はするので、物置などで私は作っています。
老化防止、生活習慣病予防の他、体温を上げて血行不良を改善、エイジングケアにも最適です。疲れ気味、風邪かな?と思ったら先手を打っていただくとよいかも知れませんね。

8/18

甘酒・発酵食・疲労回復・食養生・美容

井澤由美子・発酵食・薬膳・漢方・秘湯回復・甘酒・あま酒・あまざけ・発酵食・夏バテ

夏の季語の甘酒。麴甘酒の甘みは、でんぷんが麹菌によって消化しやすいブドウ糖に分解して生まれたもの。体内で素早くエネルギーに変換されるので、疲労回復にぴったり。ブドウ糖とビタミンが豊富に含まれるので滋養強壮に効くのです。ちょうど酢橘が実ってきました、きゅっと絞って爽やかな酸味を加える。香りもよくサッパリとして飲みやすくなります。

甘酒が余るとき、ドレッシングにアレンジします。生姜を皮ごとすりおろし、オリーブオイル、昆布酢、粗塩、甘酒を空き瓶に合わせてシェイクすれば完成。私にとって、ナチュラルな甘みととろみの甘酒は、まるでドレッシングの為にあるような存在、クーラーなどの冷え改善にもお勧めです。

中医学での古代栄養ドリンクは温中補虚、脾胃虚弱によい小健中湯など。芍薬、桂枝、炙甘草、生姜、大棗、飴糖(麦芽を糖化させた水あめ状のもの)の6つの生薬から成り立ち、飴糖が君薬でこちらも美味しそうです。手軽な現代版として、私は甘酒、生姜、シナモン、ナツメを加えたもので簡単養生しますが、こちらも美味です。

8/15

お盆・盆膳・迎料理・一汁五菜・精進料理・伝統行事

日本の伝統行事・お盆・お迎え料理・精進料理・井澤由美子・食養生・食薬ごはん

お盆の迎え方は、各家庭や地方、風習によって様々ですね。私は想い出の中にある祖父母の好きだったお料理をお供えします。そして庭に実る果実の木は、祖父母の代からあるものなので、梨、無花果、青りんご、まだ青いみかんなど奇数の数、お供えします。庭造り、土いじりが好きだった祖父母、いろいろなお作法もあると思いますが、気持ちを供えればご先祖さまは喜んでくれると信じています。

お供えのお献立は通常一汁三菜が基本で、肉や魚は避けて野菜や豆類を主に使用します。ごはん、お味噌汁、煮物、和え物、炒め物が一般的です。私は野菜好きだった祖父母に向けて、一汁五菜にしています、仏さまは丸い形を好むのだそうで、大好きだった祖父母を思い浮かべながら、煮物の野菜などは少し意識して丸めにカットします。それから、五辛(ごしん)臭いのあるにら、にんにく、玉ねぎ、らっきょう、ねぎなどは避け、なるべく五味(辛・甘・酸・苦・塩辛)と五色(緑・黒・赤・黄・白)を意識します。

お供え期間は13日〜16日で、13日の夕方に到着されると言われています。本日のお献立は、器に丸く大盛りによそった白いごはん、汁物は昆布と干し椎茸のキャベツのお味噌汁、煮物はじゃが芋の煮ころがし、炒め物はベランダ菜園のゴーヤ塩麹炒め、和え物は人参と胡瓜の胡麻和え、焼き物は茄子田楽、黒豆甘酢漬け、自家製梅干しと大根のお漬物(漬物は3切れ以外にします、身切れとも読むのでNGだそう)を添えました、それから祖母の好きだった葛練りと緑茶も一緒に。

8/11

トマト・ミニトマト・きょうの料理・ とうがらしトマト醬

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トマトの赤いリコピンは、非常に高い抗酸化作用で知られています。グルタミン酸も多く、野菜の中で最も旨味が強い野菜です。水分が多く、体の余分な熱を取るので暑い日の生食は喉を潤して身体を涼しくします。ですが、夏場はクーラーなどで身体を冷やし過ぎてしまうことも有りますね。足の冷えなどが気になる時は、唐辛子やニンニク、生姜、ネギ類などを合わせて調理しましょう。

トマトをすりつぶしたりペースト状にすると細胞が壊れてリコピンが壊れ出ます、さらに油と一緒に調理すると体に効率よく吸収できます。NHK(きょうの料理)でご紹介させて頂いた「とうがらしトマト醬」は、トマト、とうがらし、ニンニク、塩麹を合わせて攪拌するだけの万能調味料。トマトと麹の旨味、ニンニクととうがらしでパンチをつけています、殺菌作用もあるので冷凍で2ヶ月、冷蔵庫で3週間ほど日持ちがします。暑い日の調理は億劫ですが、冷蔵庫にトマト醬があるととても重宝します。冷奴に、麺類に、魚や肉にかけて蒸し焼き、麻婆豆腐など、さっぱりとした仕上がりで美味しく簡単に調理が出来ますよ。

醬に使用する薬味やトマト、麹には滋養があり、身体を潤して元気にするものばかり。ビタミンbの多い豚肉とこの醬を合わせると疲労回復効果が高くなります。立秋は過ぎましたが猛暑です、どうか皆さま免疫力を落とさぬようご自愛ください。

 

 

8/9

立秋・梨・薬膳・漢方・喉・食養生

梨・薬膳・漢方・井澤由美子・まいにち食薬養生帖・健やかごはん・養生。健康。・薬膳・漢方・栄養学・簡単レシピ

まだまだ暑さが募りますが、暦の上では立秋に入りました。庭の酢橘や梨も大きくなって、ツクツクボウシの鳴き声も、そろそろ聞こえて来そうです。

新生姜と梨が一緒に出回る時期はとても短い。今日は、梨の薬膳ジンジャーシロップのレシピを急いで書きます。新生姜は皮ごと、梨は皮と芯を取ってミキサーやブレンダーにかける。鍋に清潔な布をひいたザルを置き、ブレンダーの中身を注ぐ。ある程度水分が落ちたら、包んでギュッと絞りながら果汁を全部入れる。甜菜糖を加えて半量くらいになるまで煮詰めて、冷めたら冷蔵庫で保存してください。喉の調子が悪い時や消化不良が気になる時、寒さを感じた時などにお勧めのシロップです。漬物やカレーの隠し味などにも、一役買います。

それから、定番の蒸し梨もお勧めですこちらは、まいにち食薬養生帖204ページご覧ください。

梨は喉に良い果物、乾燥を防ぎ空咳を抑えます。果糖の一種、ソルビートが豊富なので整腸作用が有り、便秘解消に有効です。

梨は若いときはザラザラ、完熟すると表面がツルツルになります。保存するときは紙で包んでヘタを下にして冷蔵庫へ。

8/5

発酵の日・発酵食・腸活

漬け物・糠漬け・発酵食・腸活・美容・元気・発酵食・やる気アップ・美容・井澤由美子

本日8月5日はハッコーの日(語呂合わせ)。日本は世界でも有数の発酵食大国、普段使う味噌、醤油、味醂、酒、酢などの調味料を使うだけでも腸活になっています。その他にも、納豆や漬け物など普段の食卓に上がりますが、これらの植物性乳酸菌は特に日本人の体質に合う要素が多く含まれています。味噌やぬか漬けなどの腸へのアプローチは、世界からも注目を集めていますね。

暑い日に冷たく冷えた漬け物を口にすると、疲労がスッと回復しませんか?頃合いよく漬かった漬け物の塩分や酸味、野菜の歯触りが心地よく感じます。そして漬け物には交感神経を落ち着かせるギャバが多く含まれているので、イライラやストレスを和らげ、リラックスする効果が期待できます。安眠効果も期待できるので、お夕飯時に特にお勧め。日々いただくと肌も艶やかになります、心身共に元気にする乳酸菌たっぷりの漬け物は私にとってスーパーフードです。

ヨーグルトもお腹に良いことで有名です。日本の大手メーカーが製造しているヨーグルトの乳酸菌は特定の機能性が認められたものを選択し、培養されたものなので食べ続けると良い腸内環境を保つことが出来ます(1日1カップが目安)。野菜やドライフルーツなどの食物繊維と一緒に摂取すると、更に腸へのアプローチが高まります。

腸内環境を改善する→自律神経のバランスが整う→メンタルが元気になる→様々なことへのやる気アップに繋がる。腸は第2の脳と呼ばれる所以、実は思考をもポジティブにします。

今日は特に、身近にある発酵食を意識した食卓にしてみてはいかがでしょうか。

8/4

桃・桃仁・漢方・薬膳・生理痛

桃・夏の果物・桃仁・食養生・ピーチ・薬膳・漢方

「仙人の果物」とも呼ばれる桃。みずみずしく香りよく、見るからに美味しそうな桃が出回っていますね。果汁が滴るような熟れた完熟桃を2時間ほど冷やして、薄皮をむいてかぶりつくのが一番美味しいと思っていましたが、桃の里ではかたいけれども完熟している桃を皮ごと食べそう、桃の一番甘い箇所は皮と実の間の部分ですから腑に落ちました。購入する時は白い斑点(果物)があると、糖度が上がっているそうなので目安にします。

体を冷やす傾向が多い果物の中で、桃は体を温める性質があります。腸を潤して胃腸の働きを整えるので、お通じを良くしたり食欲不振時にも効果的です。

桃はコンポートなどのデザートに最適ですが、料理にも。白胡麻と豆腐を合わせてまったりと擦った白和えに、茹でたエビを合わせ、品の良い風味の桃を少し忍ばせると極上の一皿に。エビも体を温める食材です、色合いも美しいのでぜひお試し下さい。

漢方での桃仁とは、桃の種「かたい殻の中の種子」のことで、日干しさせた生薬。血行障害で起こる無月経、月経痛に効能があるとされ、血の巡りをよくする血薬として用います。コロコロとした乾燥便秘にも効果的だそう。乾燥させた葉は、汗もなどに良いとされ、昔から浴剤(桃湯)で親しまれています。桃は女性特有の症状によく効くようです

8/3

ヨーグルト・発酵食・ホエー・乳清・美容

ホエー・ヨーグルト・サラダ・井澤由美子・発酵食品。食養生

ヨーグルトは牛乳に含まれる発酵食品。発酵によって、含まれるカルシウムやたんぱく質などが体に吸収されやすくなっています。乳酸菌が善玉菌を活発にし、悪玉菌の活動を押さえるというように、腸内環境のバランスを整える。免疫力が高まり(体の免疫細胞の6、7割は腸に集中している)アレルギーなどの症状も抑えることが期待できます。

水切りヨーグルトは料理やデザートに使いやすく、今ならスイカや桃と合わせたティーサンドイッチなどにもお勧めです。

残ったホエー(乳清)にもヨーグルトの栄養がたっぷり。冷たく冷やして朝食などにいただくと体が活性化する気がします(まるで飲む美容ドリンク)。酸味がマイルドなので、酢の代わりにサラダのドレッシングやつけもの、お浸しに加えるのもお勧めです。動物性乳酸菌と植物性乳酸菌 、どちらもバランスよく日々に取り入れて、美味しくいだだくと効果倍増です。

7/30

梅干し・梅・梅干しの日・食養生

初夏の手仕事・梅仕事・食養生・東京食薬Labo・井澤由美子・三毒を消す・ume・梅干し・梅料理・井澤由美子・食養生・食薬・まいにち食薬養生帖・健康・美容・和食

日本では「梅はその日の何のがれ」と昔からの言い伝えがありますね。梅干しを食べると、その日1日の災難から逃れられると言う意味合いですが、薬のなかった時代に下痢や便秘、疲労回復、生物などの殺菌効果や、旅先での病よけなどの意味合いも含まれていたと思います。子供の頃、高熱が出ると母におでこに梅干しを貼られるのが嫌で逃げ回っていましたが、翌朝目を覚ますと梅干しは私の熱を吸ってカラカラに乾いていたものでした。「食・水・血」の三毒を断つとも言われる梅干し、色々な効果効能があることを昔の人々は感覚的によく知っていたのですね。

7月に地方に行くと、農家さんの庭先にずらっと並んだ梅干しを見かけます。夏の風物詩でもある梅の土用干しの景観はそれは壮観、もっとも日本らしい風景です。7月30日は梅干しの日だそうで、梅で有名な和歌山県みなべ町の東農園さんが設定されました、7(なん)が30(去る)の語呂合わせだと伺いました。

汗で塩分が排出されていくので、暑い日の塩梅の良い梅干しは美味しく感じます。白米や玄米、バターを加えた夏野菜のピラフなどを炊く時に梅干しを、ポトンと一粒落とします。出汁をとる時に加えるのもこの時期の防腐効果や養生になります。

7/29

サマーオレンジ・西瓜・食養生

井澤由美子・NHKカルチャーセンター・西瓜・スイカ・夏の養生・食養生・食薬・利尿作用・リコピン・井澤由美子・薬膳・漢方

サマーオレンジは、柑橘類のような名前ですが実はスイカです。北海道で出逢った感動した食材の一つ。口にしてみたらよくある黄色いスイカとは違い、何となくメロンのような甘さが有ります。舌触りもクリーミーで、いつものサクサクしたスイカとは様子が違います。色はクリームイエロー、種も少ないのが特徴でした。聞けば、生産方法も変わっていて、夕顔に接木して育てているのだとか。サマーオレンジは(夕陽色)の意味合いだそうで、農家さんは、目の前に広がる水平線に沈む夕日を毎日毎日眺めながら味見をするのが日課で、その様子を楽しそうに教えてくださいました。早々に持ち帰って、スイカのクリームティーサンドを作って冷たいアイスティーと合わせたら、眼にも舌にも楽しめる大人のオヤツになりました。

スイカはカリウムが豊富、利尿作用があります、赤いスイカはトマトと同じリコピン、黄色いスカイかはカロテンを含みます。シャリシャリと冷んやり冷えたスイカを食べると、糖分やミネラルを含むので体を潤していくのが判ります。塩をふって食べると甘さが引き立つだけではなく、スポーツドリンクと似た内容になります、熱中症対策にも最適ですね。