井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

10/7

美肌酒(びはだしゅ)・薬膳酒(やくぜんしゅ)

薬膳酒は簡単に作れますよ。梅酒を仕込む手間と同じです。適量のお酒は血行をよくし、リラックス効果がります。
薬膳種なら、生薬の効能が貧血や疲れを暖和し、滋養強壮に役立ちます。体の余分なものを排出する効果も期待できます。少し元気を出したい時は高麗人参を加えてもいいですね。密封できる瓶(消毒済み)などに、くこの実、なつめ、陳皮(ちんぴ・無農薬みかんの皮を乾燥させたもの)、乾煎りしたはと麦(薏苡仁・よくいにん)、ホワイトリカー、米焼酎などを注ぎ、2週間ほどおいて馴染ませる(たまにビンごと揺らす)。いただく時は好みで蜂蜜を加え、温かいお湯割りでいただくと寝酒にピッタリです。お酒を適量いただくと、胃があたたまり、体の緊張をゆるめてよい眠りに導いてくれます。

10/6

青魚・鰯(いわし)・オイルサーディン

寒くなると心不全や心筋梗塞などの、心血管系の病気を発症しやすいので、気になりますね。
予防効果が高い青魚は薬膳では、息切れなどにも良いとされています。丸みを帯びてピカピカのイワシが手に入ったら、おすすめなのがオイル漬け。頭と内臓を取り除き、洗ってお腹の中をきれいにして水気をふく(ここまでは魚屋さんにお任せしても)。塩を全体にふり、30分おいたらざっと洗って水気をふく。直火にかけられるほうろうの容器など(または小鍋)に入れ、いわしが浸かるくらいのオリーブオイルとサラダ油半々くらいを注ぎ、ローリエ1枚、つぶしたにんにく1かけ、鷹の爪1本を加え、弱火で20〜30分煮てそのまま冷ます

10/3

舞茸(まいたけ)・きのこ

まいたけは、きのこの中でも抗がん作用が群をぬいて高いと言われており、免疫力を上げるビタミンDやβ-グルカンが豊富です。
また、血圧や血糖値を正常にする効能もあるので、生活習慣病予防にもおすすめです。まいたけはこれから益々美味しくなり、出番も増えてきますね。肉厚のものを天婦羅にすると香り高く最高です。
購入する時は、かさがピンと張り、軸がかたくしまっているものを選んで下さい。金気を嫌うので、下ごしらえする時は、包丁で切らず、手でほぐしましょう。汁物や煮物に入れると、黒っぽくなるので、注意しましょう。ちなみに、舞茸にはお肉が柔らかくする効果があるので、肉と一緒に調理するのもお勧めです

10/2

秋の柑橘マヨネーズ・マヨネーズ・ポテトサラダ

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ボウルに卵黄1個、粒マスタード小さじ1、酢小さじ1〜2、きび砂糖とこしょう各少々、粗塩小さじ半を合わせて、泡立て器でよく混ぜる。オリーブオイル(菜種油、ピーナッツオイルなどでも)60ccを少しずつ垂らしながら混ぜ続けるとマヨネーズができます。粒マスタードは練りからしやホースラディッシュ(西洋わさび)でもOK。
今日は酢の代わりに、庭で実る酢橘とまだ青いみかん果汁をミックスして絞って入れてみました。爽やかな酸味と香り、ナチュラルな甘みで、マヨネーズが素晴らしく美味しくなります。皮もほんの少し削って加えるのもいい。柑橘の香りには気の巡りを良くする効能や美肌効果が見込めます。
この自家製マヨネーズは、蒸したり茹でたりしたじゃがいもやさつまいもにからめると最高ですよ。充分美味しいですが、コクをもう少し足したい時は、クリームチーズを加えても。

9/27

お酢・チリソース・冷え・疲労回復

朝夕涼しくなりましたね。今日はフライパンで混ぜるだけ、ヘルシーで体温め効果のありチリソーソースのご紹介です。
フライパンにみじん切りにした長ねぎ半本分、おろし生姜、きび砂糖、顆粒スープ各大さじ1、水1カップ、片栗粉大さじ1半、酢、酒、ケチャップ各大さじ2、豆板醤小さじ1弱を入れ、中火で混ぜながら加熱する。2〜3分してとろみがついたら下処理したエビや豆腐を入れ、具材が温まったら出来上がり(鶏や豚の揚げ物などを加えてからめても)。好みで香菜など添えて、酢をさらにかけてどうぞ。酢は殺菌効果が高く、血をきれいにして血行不良や肌荒れの改善に有効です。肉のタンパク質、ビタミンB1と一緒に食すと疲労回復効果が上がりますよ。さらにパプリカなどビタミンCが多い野菜と合わせると、お肉のコラーゲンを体に摂取しやすくなります。

9/21

ナシゴレン・(焼き飯)・発酵調味料

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nasi(ナシ)は米、goreng(ゴレン)は炒める、揚げるの意味。冷蔵庫に何にもない日は、残りごはんで少し辛くしてバリ風焼き飯などいかがですか? 
作り方です(2人分)=長ねぎ3分の1本、にんにく半かけ、赤唐辛子半本分、豚バラ肉100g(シーフード、ソーセージ、ひき肉などなんでもよい)。それぞれ粗いみじん切にする。フライパンを中火で熱し、油大さじ1をなじませてにんにくと肉を炒める。ネギとごはん2杯分を加えて炒め合わせ、脂がまわったらナンプラー大さじ半、ガラムマサラ(またはカレー粉)、しょうゆ各小さじ半、塩3つまみ、ケチャップ大さじ半をなじませて味をととのえ、お皿に盛る。
地元人で賑わう本場インドネシアのワルン(食堂)ナシゴレンはものすごくシンプル。とても強い火力で、かつ大きい中華鍋で炒めているから油っこくなくパラパラ。調味料は4、5回にわけて加え、味をととのえています。地元で長く愛されるお店はどこの国に行っても、美味しく食してもらいたい意気込みから真面目に作られていることが多いですね。インドネシアに行ったらじゃらんじゃらん(お散歩)しながら、良さげなワルンを見つけて、ぜひナシゴレンを食して下さい。

9/20

てんさい糖・天然甘味料

食材の天然の甘みを生かすように日々の調理を意識すると、体や脳が慣れてあまり甘いお菓子をとらなくなってきます。糖を取りすぎると糖毒性と言って、健康と美容を害することも(何でもとりすぎはよくありません)。
自然の甘みに慣れると、食材そのものの味を脳がことさら心地よく感じるようになります。
甘みがどうしても欲しい時は、てんさい糖を使います。原料は北海道で多く栽培されているてんさいで、血糖値が緩やかに上が理、ミネラルもたっぷり。オリゴ糖や水溶性食物繊維イヌリンを含み、腸内環境の改善が期待できます

9/15

富山県・鱒寿し(ますずし)・押し寿司

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昆布の取材で富山県に出張しました。着いて早々、富山の宝石と呼ばれる白エビの採れたてをいただきました。透き通るような薄い紅色が本当にキレイで繊細な甘さも絶妙です。富山はキトキト(新鮮な)の食材が豊富。美味しいお菓子も沢山あって、普段甘いものをあまり口にしない私でも、駅中デパートでついつい味見をしていくつも購入するという事態に。お茶文化もあるからでしょう。上質な材料で口どけよく作るらたお菓子たちは見目麗しく素晴らしいです。地元の方が「丸龍庵」さんの特選鱒鮨をお土産に下さったのですが、これまたとてもバランスのよいものでした。押し寿司屋さんは沢山あって、各家庭にそれぞれ贔屓(ひいき)のお店があるのだそうです。
東京から新幹線で2時間はあっと言う間、影絵のように美しい立山連山、澄んだ空気と美味しいものと温泉を大満喫し、帰り際には噂のブラックラーメンもいただきました!

9/10

ペルー料理

ペルーは美食の国として知られています。代表的な料理はセビーチェ(パクチー、唐辛子、柑橘果汁、シーフードをマリネしたもの)やコルデロ(仔羊の煮込み料理)。他にもスパイスたっぷりの肉料理、やさしいお味の芋料理、トマト料理など本当に多様。ペルーはスペインの植民地だったこともあり、アフリカやアジア移民の文化が織り交ざり、沢山の国の食文化が取り入れられています。
主食は日本と同じお米ですが、トウモロコシやじゃが芋、トマト、唐辛子などの原産地でもあるので、伝統食に多く取り入れられています。日本とも結びつきがあるのでお醤油を使う料理もあるそう、日本人の味覚に合うわけですね。そのうち、トウモロコシで作られる発酵酒「チチャ」やブドウで作られる「ピスコ」にトライしたいと思っています(いつかマチュピチュにも行ってみたい)。

9/8

酢橘・蜜柑(すだち・みかん)・秋の食養生・潤肺

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今日は先手を打って秋の食養生のお話です。
秋は肺に通じる気道の潤いが不足しやすく鼻、気管支のトラブル、のどの痛みやかすれ、皮膚の湿疹、アレルギー、ドライアイ、ドライマウスなどのトラブルが起こりがち。免疫力も低下して風邪がなかなか治らす、苦しい喘息のような、から咳などが出ます。
そんな時は粘膜を保護して丈夫にする食材がお勧め。れんこん、山芋、みかん、すだち、りんご、柿、バナナ、ぶどう、梨、いちじく、ゆり根、ピーナッツ、松の実、ぎんなん、豆乳、白米、杏仁、ハチミツ、チーズ、白きくらげ、氷砂糖、生薬ではクコの実、玉竹、麦門冬、冬虫夏草などなど。これから美味しくなるものばかりですね。