井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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岩牡蠣・いわがき・夏牡蠣

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岩牡蠣は亜鉛を多く含み、味覚に正常に保つ働きがあります。タウリン、カルシウム、ビタミンA,ビタミンB群が豊富、夏バテ予防にも良いものです。私は一口で食べられるサイズが好み。口の中で一体化し、濃厚なクリーミーさとみずみずしさをバランスがよく堪能できるから。後から貝柱の美味しさと磯の香りがジワっと広がります。
写真は。隠岐の岩牡蠣「隠岐ひかる」です。島根県隠岐郡西ノ島町の中上養殖場は、日本で初めて岩牡蠣の種苗生産に成功し、その美味しさを広めたそう。岩牡蠣はそれはそれは絶品です。

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朝活・朝ごはん・卵(たまご)

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朝起きたら常温のお水をコップ半〜1杯ほどゆっくり飲みましょう。そして朝ごはんには温かいお味噌汁やスープなどを添える。胃を温めると、身体が喜ぶように気持ち良く目覚めていくので、1日のスタートを快適に過ごすことが出来ます。ぜひ、そこにほぼ完全栄養食の卵を合わせて下さい。調理もクイックで出来るし、繊維とビタミンCを補えばバランスの良い朝食になります。ゆで卵なら、消化の良い半熟茹がお勧め、作り置きしておくと何かと重宝します。卵のおしりの方に画びょうでちょんと刺して一箇所穴をあけます。沸騰したお湯に塩と酢を少し加えて卵を入れ、4〜6分ほど茹でて好みの硬さにし、冷水にとるとツルリとむけます。

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新にんにく・にんにく・ガーリックスパゲティー

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野菜が美味しくて有名な産直(島根県邑南町)で、大きくてピカピカな真っ白な新にんにくがで出回っていたので、たくさん購入しました。
フレッシュで柔らかいので、薄くスライスしてそのままで食べられますよ。生で食すのは、この時期だけの楽しみ方です。炊き込みごはんや素揚げにしてもホクホクで美味しい!皮を剥いて醤油やみそに漬けたり、オリーブオイルに漬けるなど、保存食もたくさん仕込みました。
にんにくは古代エジプトでピラミッドを作る現場でも配られていたくらい、滋養の高い食材。
今日は娘のリクエストに答えて貝の旨みをたっぷり含ませたにんにく風味のパスタを作りました、ゴロゴロと大きく切った方が美味しい。
ちなみに、アメリカの都市名のシカゴはネイティブ・アメリカンの言葉で「にんにく」と言う意味、野生にんにくがいっぱい生える場所だったのですね。

6/29

梅干し・赤しそ・便秘・下痢

梅・梅仕事・梅干し・うめ・民間療法

お天気がいいですね、日中は暑くなりそうです。晴れが続く予報だから今日は梅干し日和。天日干し作業にいつでも入れるように、ここ二十日ほど寝かせてある梅があります。毎年、赤しそを入れた赤梅バージョンと白梅バージョンを20日を用意。
ザルいっぱいに広げて天日干しにする作業が楽しいのです。日に数回返して皮をつまんで干し加減をみながら天候や梅の大きさによって2〜5日間干します。天日干しが終わったら、梅酢の瓶に戻して漬けます。ふっくらとして香り良く仕上がった梅干しは、料理にも大活躍します。
具は入れず、梅干しだけを加えたシンプルな茶碗蒸しは温かくても冷やしても美味しい。卵液に塩気が広がって、梅干しのクエン酸がゆっくりと疲れをほぐしてくれます。病中病後にもおすすめですね。
日本のおかゆに梅干しが添えられているのは、味付けだけが目的ではありません。梅干しを食べると唾液の分泌が良くなり、消化を促進するからです。便秘や下痢などにもよく、昔ながらの梅干しは薬としても重宝されてきたのです

6/25

夏の薬膳・ズッキーニ

ごく身近な食材からでも、薬膳の効能を得ることが出来ます。今日は相須(そうす・同じ薬効をもつ食材の組み合わせで効果を上げる)の一皿、茄子とズッキーニのあぶら味噌炒めをご紹介。なすは輪切りにして軽く塩もみする(こうすると油を吸いすぎない)、ズッキーニも輪切りにする。フライパンを中火にかけ、ごま油を馴染ませたら豚こま肉を色が変わるまで炒め、切った野菜を加える。しんなりしたら野菜がきび砂糖、油味噌、酒を混ぜて加え、全体にからめながら炒める。刻んだしそやすりごまで風味をつける、日持ちもするので常備菜にも◎。健康の為には食品添加物を多く使う食品、漂白や精製してある穀類できるだけ避けることが大事です。食物繊維が豊富な旬の野菜や果物、海藻、玄米、豆類などを食すようにしましょう。

6/24

さや大根・大根の実

さや大根・大根の実

さや大根は、花が終わった後に出来る実の部分で、今時期だけのお楽しみ。
ルッコラなどのアブラナ科系のものは同じようにさやに種ができます、口にするとルッコラのような風味がします。畑でポンと口に入れたさや大根は、柔らかくて少し辛味があって大根の味がほんのり。さやはそのまま生でつまんだり、サラダなどにして堪能できます。スープに浮かべたり、さっと茹でたり炒めてもいいですね。気の巡りがよくなるパクチーやフェンネルも小さな花をつけている6月、さや大根をあしらうとふんわりとお皿の上が華やぎます。

6/16

鮎・小鮎(こあゆ)

魚の中で鮎が一番好きです。
先日、お土産にいただいた琵琶湖の小鮎の串刺しは、4、5㎝の小さな鮎をを調理したもの。炙ってあり、辛子酢味噌が添えられていました。
生きているうちなら鮎はお刺身でもいただきます。氷をはった器に青紅葉をあしらい、美しく盛られた鮎は涼やかで風流、初夏を感じます。
赤味噌に甘みを加えて滑らかに練ったものに内蔵(うるか)を加えた「うるか味噌」は、ほんのりとした苦味が生きて、揚げなすとの相性は天下逸品。ご飯が何杯でも食べたくなります。これらは新橋「鮎正」さんで毎年楽しみにいただくスペシャリテです。
津和野にある本店の丸々太った子持ち鮎も、初夏の鮎とはまた一味違い美味。
鮎は川によって、香りや苦味が違うように思います。ビタミンEを多く含むあゆは、老化予防に効果があるそうです。

6/15

薏苡仁(よくいにん)・ハトムギ・薬膳

昔からイボを取る生薬として有名な薏苡仁。薏苡仁はハトムギで、体にある余分なもの老(老廃物)を排出すしたり、美白効果も期待できるそうで、化粧品などの原料にもなっています。
薏苡仁は、飯と炊き込んだり、煮物に入れたり様々な料理に使えます。粒感や味が気になる方は、薏苡仁の粉末を購入するとよいでしょう。白玉団子に混ぜて団子を作り、スープやぜんざいに入れると食べやすくなって美味しいものです。

6/14

アスパラ・クミン・肌荒れ

アスパラには疲労回復を助けるアスパラギン酸やビタミンB群が豊富。ビタミンC,E、βカロテンを含み、高い抗酸化作用でお肌を守る効能も期待できます。βカロテンは油と一緒に摂取すると身体に吸収されやすくなるので、炒め物やドレッシングを使うサラダがお勧め。アスパラとオクラの豚バラ炒めのクミン風味は少し暑くなってきたこの季節にぴったりの一皿。クミンは防腐効果があり、古代エジプトではミイラにする時に使われていたそう。また、漢方では胃腸薬としても知られ、腸内ガスの排出などを促します。アスパラ、オクラの繊維は便通作用を促すので、胃腸を整える相乗効果のある組み合わせです。食感のコントラストも楽しめますよ。

6/9

梅仕事・ホット梅ジャムvol・3

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まだ青い梅でも、置いてあるだけで部屋中良い香りが漂います。追熟させる時はベッドサイドに置くと、素敵な梅アロマで良い夢がみられそうな気がします。梅酒や梅干しを作る時に傷があるものをはじき、それらを集めてジャムにします。
完熟梅を30分水に浸し、竹串でヘタを取る。ほうろう鍋(あれば)に水と梅を弱火にかけ、手を入れて熱すぎない温度でゆで、これをもう一度繰り返す。梅を鍋に戻し、梅と同量の砂糖を加えてこまめにアクを取りながら弱火で煮るだけ。厚手のキッチンペーパーをかぶせて煮ると、ペーパーがアクを吸着してくれるので、便利ですよ。煮崩れて現れた種は、ぜひ捨てないで保存して。まだ温かい内に口に放り込めるのは作り手の特権。甘酸っぱくて何とも美味。果肉が少し残る種を煮物に入れると、風味が立って粋な一皿になります。私の好きな梅ジャムの食べ方は、ジャムがまだ熱いうちに、カリッとトースしたパンにバターと一緒にたっぷりのせる!梅の甘酸っぱさと香り、バターの芳醇な塩気とコクがベストマリアージュです