井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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海藻・めかぶ・免疫力

春先だけに出回る生の和布蕪(めかぶ)はわかめの茎部分。めかぶに含まれるフコイダンという成分は免疫機能を上げ胃の粘膜を保護し、豊富なヨウドは発がん抑制効果があるそうです。旬が短いので毎日のように買って調理しています、食感の粘りとコリコリ感が楽しいですね、熱湯で茹でると鮮やかな緑になります。色好く茹でて叩いて納豆と和えたり、薄くスライスしてヨーグルトとマヨネーズのソースで柑橘と和えてサラダにしたりと発酵食と合わせると腸内環境を抜群に良くするので、花粉症予防にも効果が期待できますね。繊維が豊富でヘルシーな海藻は、焚きもの、炒め物、和えもの、椀ものなど幅広く楽しみます。

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胡桃(くるみ)•クルミ

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以蔵補蔵、又は似類補類と言って体の臓器に似ているものを補うと良いと言う考え方が中医学にはあります。胡桃は脳の形に似ていますね。脳を活性化させボケ防止にもよく、現代医学からみても良質なビタミンやタンパク質が豊富なことからその効能はあきらかです。老化防止や美容にも良いですよ、脂肪分が肌を潤し、お通じもよくします。カロリーは割と高めですので、ほどほどにいただきましょう。私は普段のおやつにも持ち歩いていますが、乾煎りしてすり鉢で醤油麹と合わせて擦ったペーストを料理に使うのが好きです、とろみがでて滋養効果が高くなりコクが出て何とも美味しくなります。

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カカオ・カカオ二ブ・スーパーフード

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甘いチョコレートやココアになる前のカカオ。鉄分やマグネシュウム、マンガン、食物繊維などが豊富、抗酸化作用も高いので美容にも◎。カカオに含まれる幸福感をもたらす「アナンドミド」と言う神経伝達物質には、リラックスする効能があるそう。よく携帯するカカオニブは、甘さはほとんどなく、心地よい苦味が大人っぽいカカオのチップス。疲れた時などクコの実やクランベリーのドライフルーツと一緒に口に入れて楽しんでいます。甘酸っぱいドライフルーツとほんのり苦いカカオ二ブスの食感が絶妙、栄養価の相乗効果と共に美味しさも上がります。いろいろな風味のナッツと合わせて携帯おやつに持ち歩くことも、カレーに入れる時もありますよ。

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オリーブオイル・天然オイル

オリーブオイルは抗酸化作用が高くコレストロールの低下作用、調整作用、美肌作用があります。私はオリーブオイル、胡麻油、紅花、亜麻仁オイルなど天然のオイルが好きですが、中でもオリーブオイルは色々な種類を楽しんでいます。例えばトスカーナの無農薬栽培ビオのオリーブオイルは、スパシーで後味がピリットして余韻が長い、何だかワインのようでとても風味がよいもの。圧搾はもちろんオリーブオイルの風味を保つ為に熱を加えず行っています。オリーブ農園の農家さんはオイルを少しだけ温めて肌にすりこみ健やかに保つのだそう、ヨーロッパでは薬でもあります。オリーブオイル+食物繊維+発酵食品は腸の蠕動運動を最高に促します。

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蜆(しじみ)

しじみの微妙な色の違いは取れる場所によって変わるそう。冷凍すると細胞が壊れて、オルニチンが増え旨みが出やすくなります。普段は赤だしや潮汁がお馴染みですが、朝いただくとコハク酸による旨み成分が体のすみずみまでに染み渡り目覚めていく感じが心地よい。肝機能を向上させるので、お酒の後のアルコールは退散して行きます、ビタミンB12,鉄分も豊富。大きめのしじみを見つけたら中華風のしじみの紹興酒漬けもいいし、旅先のベトナムで出会ったスープのアレンジもコクの中の爽やかさにやみつき。しじみから充分旨みを引き出し、庭のレモングラス、唐辛子、生姜を薄切りにしたものを加えてコトコト煮るだけ。

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チョコレート

今日はバレンタインが近いのでチョコレートのお話しを少し。チョコレートは抗酸化作用やポリフェノール、ミネラルがたっぷり。チョコレートやココアを食べると、尖った神経が安らいでいく感覚を経験したことはありませんか?神経を鎮静させる効能があり、集中力も高めます。かつて18世紀頃のフランスではルイ16世やマリーアントワネットの不調時に(カカオが医薬品として珍重されていた)胃薬としてチョコレートを処方していたとか。今年は家族にガトー・オ・ショコラを作ろうと思います。それぞれの家庭に伝わるレシピで作られる素朴であたたかいフランスのチョコレートケーキです。

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浅利(あさり)・あさりのお吸い物・肝機能

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身がぷっくりした旬のアサリは旨みと栄養価がたっぷり。殻にはカリウムなどのミネラルが豊富なので、ぜひ殻付きを調理するようにし下さい。砂抜き(海の中の状態と似せるために海水程度の塩水をボールではなく、バットなどにあさりを入れて広げ新聞紙などをかぶせて暗くする)した後は、ポリ袋に入れ酒少々を加えて上から揉むと汚れも取れ、身離れが良くなります。鍋に昆布とアサリを入れゆっくり煮出し、アクと昆布を取りのぞいたら、酒、薄口醤油、粗塩で味を整える。

アサリのタウリンは肝機能を高めることが知られていますが、春は肝機能をケアすることが大切なので理にかなっていますね、お味噌汁にすれば味噌の沢山の機能性成分、メラノイジンと合わさり疲労回復効果や健康効果が倍増します。しみじみ美味しいあさりの椀物、たっぷり堪能してください・

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立春の朝搾り・日本酒・恵方巻き

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旧暦のお正月にあたる立春は春の始まりとされる日。雪やみぞれが降ったりと一年でもっとも寒い頃ですが、早咲きの梅は既に満開です。寒さ厳しい中にも日射しものびて、春の訪れを感じるこの頃。立春搾りを知ったのは最近なのですが、節分の夜からもろみを一晩中搾り続ける生原酒のことで、言葉の響きも美しくて素敵。搾り上がりが2月4日と決まっているので、微妙な調整、完璧な管理が必要だそう。また、搾り上がったらすぐに瓶詰め出荷しなければならならず、蔵人さん始め、酒屋さんは夜中から徹夜での作業をされるようです。日本酒は従来お供え物として始まったもの、江戸川橋酢飯屋さんの素晴らしすぎる恵方巻きと共にお供えし、邪気を払い無病息災を祈ります。
今年は東北東ですよ

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ラム・羊

北海道など寒い地方で羊肉をよく食べますね。体を温める作用があり、疲れやすい方にもお勧めです。よく言われるLカルニチンはアミノ酸の一種で、身体の脂肪を燃焼させる効果が期待でき、ダイエットに最適です。含まれるビタミン、ミネラル、亜鉛、鉄分は肌を潤し身体を元気にし、アンチエイジングにも有効。ビタミンCやカロテンを含む野菜といただくと吸収率が高まります。簡単レシピです・フライパンにキャベツ、もやし、ピーマン、ニラ、せり、にんじんなど食べやすく切った野菜を置き、タレをもみ込んだラムをおいてオリーブオイル少々をふってフタをし、中火で蒸し焼きにします。野菜でお肉が蒸されて柔らかく、肉の旨みが野菜にからまるのでヘルシーに美味しくいただけますよ。高タンパクで低カロリー、臭みもなく柔らかいのでお子さんやご年配の方にもお勧めです。薬膳的には補腎助温です

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花びら餅・和菓子・手土産

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新年最初にいただく花びら餅。甘く煮たふくさごぼうと白味噌を合わせた和菓子です。新年に御所へお納めしている「菱葩」(ひしはなびら)を原形とし、もとは宮中のおせち料理で、平安時代に長寿を願う歯固めの風習から伝承されているそうです。茶道の初釜でも用いられる気品ある洗練された和菓子です。清く潔いフカフカの真っ白な表面と、うっすら透ける中身の紅がよい年の幕開けを暗示するよう。贔屓にするお店に訪問する時、幼少の頃から親しんでいる近所の和菓子屋さん(一幸庵)の花びら餅をいそいそと買い込み、ご挨拶兼ねて毎年の手土産にしています。