井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

12/12

味噌漬け・粕漬け・発酵食

脂がのったぶりやたらなどの魚が出回っていますね。そのまま加熱しても美味ですが、酒粕やみりんを混ぜたみそに漬けると、魚の脂の旨味が溶け込んで、ご飯やお酒が止まらない美味しさになります。酒粕やみそには、ビタミン、ミネラル、繊維、アミノ酸、乳酸菌などが多く含まれるので、生活習慣病予防や腸によい働きが期待できます。日本の伝統調味料は本当に良くできており、味を染み込ませるだけでなく、巧みに水分や臭みを抜き、旨味を凝縮させ、保存効果も兼ねるなど多様な効果があります。焼く時は、焦げやすいのでみそや酒粕を拭いましょう。しっかり熱したグリルに入れ、焦がし過ぎないように焼きます(厚さがある場合はほどほど焼いたら弱火で)大根おろしを添えていただくとよいですね。

12/9

味噌・発酵食・健康おみそ汁・日本テレビ・所さんの目がテン!

日本テレビ「所さんの目がテン!」のおみそ汁を科学するテーマで監修をしました。疲労回復みそ汁について、ご質問が多かったのでレシピを書きますね。
疲労回復おみそ汁(2人分・小鍋に出汁300ccを温め、おろしにんにく半かけ分、下茹でした生黒きくらげ70g、豚バラこま切れ肉70gを入れ、みそ大さじ1を溶き入れる)黒きくらげのビタミンDと繊維、疲れが取れる豚肉のビタミンB1、これらを合わせると健康効果が高まるおみそ汁になります。元気が出るにんにくのアリシンはおろして加熱すると効率よく摂取できます。
おみそ汁が色々な具材と合うのは、みそが湯の中で細かい粒子のコロイド状態となり、強い風味の具材でも、包み込んで味をまとめてくれるからだそう。
温めた食材の栄養は煮汁に流出します。野菜を煮るとたっぷりの量をかんたんに、食べられるのも嬉しいですね。朝の目覚めにいただくと交感神経もONになって1日をスムーズにスタートできますよ。夜は疲れをとって、体を温めてくれます。昔からおみそ汁は毒消しと言われるほどで、健康効果は折り紙つき、温かいお味噌汁を毎日いただきましょう。

12/4

蜆(しじみ)・しじみの醤油漬け・二日酔い・酒解毒

昔から呑みすぎ、二日酔いにはしじみと言われていますね。しじみは肝をケアします。多量に含まれるビタミンB12、タウリンが肝機能を高めてアルコールの分解、解毒を促進します。潮汁にする場合、シジミを冷凍して使うと旨味が増します。水と酒を煮立て、凍ったまままのシジミを入れ15〜20ほどコトコト弱火で煮ると白濁して旨味が強いシジミ汁になります。宍道湖の漁師さんに教わりました
牡蠣にもシジミと同じような効能があります。薬膳では酸味のものと合わせるとさらに肝機能をケアする効能が上がるとされ、柚子を絞った酢の物なども二日酔いによく効きますよ。
柚子には気の巡りを良くする香りの作用、消化を促進し、酒毒を消す効果があるので、ダブルパワーです。肝機能がフル回転する時期到来。内臓のケアも忘れずに。

12/3

塩あそび・レモン塩(レモンソルト)のペッパーステーキ

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日本のレモンの旬は冬です。果汁たっぷりの完熟レモンを使って、香りの調味料「レモン塩」を作りおくと便利(作りやすい分量は、レモン1個に粗塩大さじ3。レモンを輪切りにして粗塩を揉み込むだけ(長期保存の場合は、塩を多めにします)。肉や魚にレモン塩を馴染ませると健康効果も上がってメリットがたくさん!  皮にはダイエット効果があり、爽やかな香りでリフレッシュします。
簡単で美味しいレモン塩風味の牛ステーキ用肉をご紹介します(ボリ袋に牛肉ステーキ肉2枚、レモン塩スライス1枚、オリーブオイルと酢少々(好みでポン酢でも)加えて半日以上マリネする。フライパンを中火で熱し、肉をこんがり焼く。お家にある野菜と一緒に焼いて下さい。好みでつぶしたてのブラックペッパーを仕上げにふっても。マリネにするとレモンや酢の効果でかたいお肉も柔らかくなり、さっぱりした仕上がりになります。もちろん豚肉や鶏肉にしても美味しいのでお好みで、防腐効果も高く、お酒にも合うので、野外やイベントに持ち寄っても。私はレモン塩以外にもいかの塩辛、桜の花の塩漬け、梅干し等と四季折々の塩遊びを楽しんでいます。

12/1

菌の力・発酵食・味噌・麹・ヨーグルト

発酵食には美味しく、体に嬉しい効能があります。発酵食の複雑な甘みや旨み、香りは何処からくるのでしょう?  例えば麹から仕込む甘酒は砂糖を加えず作りますが、微生物の働きによって10種類ほどの甘み成分(オリゴ糖)を生み出し、奥深い甘さがでます。
腸には免疫細胞の約6、7割が集中しています。発酵食はその腸の免疫細胞を活性化し、アレルギー症状などを緩和すると言われています。また、腸には神経細胞も存在し、幸福ホルモンと呼ばれるセロトニンやドーパミンといった神経伝達物質を合成することがわかっています。腸が健康になれば思考もポジティブになるのです。
本日も発酵食と薬膳の知恵を合わせた講義をさせていただきます。これから益々乾燥する季節、発酵食と旬の食材で免疫力を育てましょう。

11/30

小松菜(こまつな)・江戸野菜

小松菜の原産地は日本で、江戸時代から今も続く東京江戸川区の特産品です。カルシウム、ビタミン、鉄分、カロテン、食物繊維が豊富で、風邪予防、貧血予防の他、骨を丈夫にする作用があります。中医学では歯周病予防に良いとされていますよ。
小松菜のシンプルな食べ方をご紹介します。鍋に湯を沸かして塩を加え、茎の方から先に入れて茹で、冷水にとって冷まし、水気を絞ります。しょうゆを全体にかけて下味をつけ(地あらい)、再度ギュとしぼって食べやすく切って器に盛り付ける。この一手間でひと味もふた味も違う美味しさが生まれます、お好みでおろし生姜や鰹節を添えて下さい。
その他、栄養が逃げないとっておきの作り方をご紹介します。フライパンにザクザク切った小松菜を入れ、オリーブオイルと塩をパラリとふり、フタをして強火で蒸し炒めに。シンプルが美味しい。
小松菜はアクが少ないので生でも食せます。りんごやレモン、はちみつなどを加えてミキサーでジュースにしても栄養バランスよく、かつ美味しくいただけます。

11/24

チーズソース・フレンチトースト・フランスカフェ

本日はスタンダードなフレンチトーストのご紹介です。
バットに卵1個、牛乳半カップ、きび砂糖少しを混ぜて食パン1枚を20分浸す。フライパンにバター大さじ1を溶かし、浸した食パンを両面焼く。チーズをたっぷりのせてフタをし、弱火で3〜5分蒸し焼きにすれば完成。カフェオレなどと合わせると休日などにピッタリです。フランスに行った時に、とろりとして美味しいなぁと思ったソースの作り方を自分なりに再現してみました。牛乳2カップを弱火で温めておきます。小さなフライパンかソースパンにバター大さじ2を溶かし、小麦粉大さじ2を加え、混ぜながら1分半くらい炒める。そこへ温めた牛乳を加えて、木べらでとろみがつくまで混ぜながら弱火で加熱し、白ワイン大さじ1、好みのチーズ約1カップ分を加え数分煮る。好みでナツメグ、おろしにんにく、マスタード、タバスコ(チリペッパーなど)、しょうゆ、わさびなどを加えても美味。現地では茹で野菜のソースとしてかかっていましたが、パンやオムレツにもピッタリ。気が向いたら直ぐに作れるソースです。チーズは良質なタンパク質、カルシウム、レチノール(ビタミンA)、ビタミンEが豊富。生野菜のサラダや果物を添えるとバランスが良いですね。

11/23

山査子(さんざし)・ダイエット・薬膳茶・美肌

さんざし茶は薬膳ではなかった事になる(食べなかったことになる)と言われるくらい、余分な体内脂肪を流す効果があるとされています。寒くなるにつれて、体に栄養や脂肪を溜め込もうとするこの時期は、ダイエットがちょっぴり難しくなる季節です。新米を始め、様々な美味しいものもどんどん出回ってくるのでついつい食べすぎることも。そんな時はプーアール茶やウーロン茶もいいけれど、さんざし茶を是非お試しください。酸味が強いので、バラの紅茶などと合わせると飲みやすくなり、血の巡りが良くなる上に、美肌効果もアップします。

11/21

きのこ・甘辛きのこの牛丼

今日のお夕飯は、パパッと作れるきのこを入れた牛丼などいかがでしょうか? きのこの中でも抗がん作用が高い舞茸と、食感の楽しいえのき、大粒のなめこ、細ぎりの生姜を加えて甘辛く煮つけます。鍋にごま油少々、スライスした玉ねぎ半個分と生姜の細切り適宜をさっと炒め、出汁2カップ、しょうゆ大さじ2半〜3、きび砂糖大さじ2、みりん大さじ1、ほぐしたまいたけとえのき各1パック分を加えて全体が馴染むまで煮る。なめこと牛肉150gを加えて煮て、ご飯の上にかける。ぬか漬けとおみそ汁を添えれば、さらに腸が喜ぶ献立になります。

11/18

山芋・やまいも・滋養強壮

食欲がない時や病中病後にもよい山芋。薬膳は山の薬と書いて山薬(さんやく)といいます。山芋は胃腸の調子が悪い時やストレスから食欲が落ちた時に特にお勧めの食材。脾胃に優しいのに、滋養強壮効果に優れています。山芋は色々な種類がありますが、特に自然薯は薬効が高い。お鍋や揚げ物など熱を入れた山芋料理も美味しいですが、山芋はぜひおろしたてを生でいただいて下さい。
すりおろしたとろろは滑りが出て美味しく食べやすい上、消化酵素も上がる食べ方です。お鍋や揚げ物など熱を入れた山芋料理も美味しいですが、すりおろすと消化酵素が増えます。そのすりおろした山芋におろした生姜かわさび、それから醤油麹を数滴落とす食べ方が私のお気に入りです。黒ごまペーストや黒すりごまを加えるとさらに腎機能が上がり、元気になりますよ。