井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

3/14

コラーゲン・牛すじ・ゼラチン・美肌

フカヒレやうなぎなどにも多いコラーゲン。私は肌の乾燥が気になる時、牛すじに根菜類と生姜をたっぷり入れてコトコト煮たものを食します。牛すじを買ってきたら2度ほど下茹でし、水と酒(焼酎)、赤唐辛子1、2本、ゴロゴロに切った根野菜、ぶつ切りにした長ネギ、薄切り生姜(皮付き)などを入れてフタをし、牛すじが柔らかくなるまで煮込みます。きび砂糖、醤油を加えて好みの味に仕上げれば出来上がり、気分で味噌やオイスターソース、生薬(スパイス)を加えることもあります。牛すじをコトコト煮込む人が中人は、水で溶いたゼラチンをさっと煮物やスープなどの料理に加えると手軽に摂取できますよ。コラーゲンの合成に必要なたんぱく質やビタミンCと一緒に摂取することも大事。また、コラーゲンは夜にいただくと良いとも言われています。

3/12

味醂・みりん・伝統調味料・発酵調味料

FullSizeRender 106

疲れたなぁと思った時に、みりんをいただく事があります。甘酒も良いですが、甘露なみりんがスッと心地よく喉を通るので、寝酒に少し。
もち米を9割、うるち米を1割の割合で作った、熟成した味醂はそのまま飲んでもとても美味しいものです。
みりんは、甘酒と同様に、飲む点滴とも言われるほど滋養が高いのです。みりんは昔は砂糖より入手しやすく甘口の高価なお酒として飲まれていました。実は、お正月にいただくお屠蘇(おとそ)は、みりんや日本酒に数種の薬草をブレンドした屠蘇散(とそさん)を漬けたものです。
「密醂」「美醂」とも書かれるみりんは、時代を経ていつしかコクのある調味料になり、お料理に使われることに。上質なみりんはさっと煮詰めるだけで、品のよいシロップにもなります。手間暇かけて丁寧に作られる日本の伝統調味料は技の巧み、身体にも優しいので使わないのはもったいないですね。卵焼きに加えればふんわり仕上がり、肉や魚にみりんベースのタレを煮からめれば、つやつやの照りが出て、なんとも食をそそります。

3/10

セロリ・アンチョビセロリ

セロリ食べ方で私のお気に入りは、アンチョビセロリ。
作り方は簡単! セロリの根元をポキッと折り、ゆっくり引っ張り、スジを取ります。5、6cm長さに切り、更にアンチョビを乗せやすい大きさに縦に切り分け、砕いた氷の上にのせて冷やしておきます。後はアンチョビフィレをのせ、たっぷりのレモン果汁をしぼり、挽きたての黒こしょうをふる。ケイパー入りのアンチョビもありますが、その場合は刻んで一緒にのせるとよいですね。このフィンガーサラダを出しておけば、次のお料理が出てくるまでに多少時間がかかっても皆さんおとなしく待っていてくれますよ。もともと薬草だったセロリには、春先は環境が変わることでストレスを感じたり、寒暖の差で自律神経が乱れやすい時期。もともと薬草だったセロリにはトレスを軽減する効果が期待できます。葉も栄養価が高いので刻んで調理してくださいね。

3/3

玄米(げんまい)・お粥

胃腸を休ませる為に週末はお粥にすることが多いのですが、今日は玄米のお粥にします。まず、ホウロウなどで玄米を焦がさないように炒ります(私は多めに炒って密封保存し、毎日お茶などに少し加えて香ばしさを堪能しています)。その後、たっぷりの水でゆっくりと中弱火でコトコト2〜3時間ほどかけて煮ますが、塩加減で美味しさが左右されますから、味をみながら最後に整えます。玄米は白米より滋養が高いので、疲れた時に時に良いものです。病気の方や玄米を食べなれない方は、玄米は消化しにくいのでお勧めしませんが、お粥ならいいでしょう。お粥なら胃への負担が軽いですよ。

2/26

蕎麦(そば)・春蕎麦  動脈硬化予防

海外から帰った後はお蕎麦屋さんに直行です。コシのあるキリッと〆た蕎麦を多めのわさびで食す。秋の新蕎麦は香りが高くて人気、収穫後の蕎麦の実は低温保管されます。数ヶ月間おいて熟成された春の蕎麦の旨味と香りはまた違って、奥行きがあります。

身体の上部に気や熱が上がりやすくなるこの季節、高血圧や動脈硬化予防に有効なお蕎麦はお勧めです。(栄養が溶け出た蕎麦湯も忘れず栄養価が含まれる蕎麦湯もしっかりいただいてください)。
春の陽気に誘われてお散歩などに出かけたら、チョイとお蕎麦をたぐってみてはいかがでしょうか。

2/24

薬膳・スパイス・ネパールカレー

DSC06334

カレーに使われるスパイスは薬膳における生薬と共通するものが多いです。
その複雑な香りと辛さや効能を、脳や身体が記憶しているのでしょう、疲れた時に特に口にしたくなります。今日は巣鴨にあるネパール料理「プルジャ ダイニング」さんでネパールカレーをいただきました、粗いそばがきのような食べ応えのあるもっちりとしたものが添えてあり(そば粉にもち米を加えて練ったものだそう)カレーにくぐらせて食します。カレーにはナンやライスの他に、そうめんや稲庭うどん(特にタイカレー系と相性良し)、クスクス、ポレンタなどもよく合いますね。カレーに入るクミン、ターメリック、シナモン、ナツメグ、クローブなどは消化を助け、胃の痛みやお腹の張りを和らげて血液をキレイにする効能があります。
心も元気にするスパイス達がキッチンに眠っていたら、休日にゆっくり煮込んで香りを引き出しカレーを作ってみては。

2/18

黒糖・黒砂糖

サトウキビの絞り汁を時間をかけて煮詰めたものが黒糖(黒砂糖)。奄美大島と加計呂麻島に行って、旅をしながら気に入りのお店を巡っては、手造りの黒糖を購入し味比べして楽しんでいます。まだぬくもりのあるカケラを口に入れると天然由来の嫌味ではない微かな酸味や苦味が奥の方に感じられて美味しい。黒糖はカルシウムも多く、鉄分、ミネラルが豊富です。様々な種類の砂糖の中でも薬膳では黒糖は、体を温める効能がとりわけ高いと言われています。
サトウキビは刈り取ったら、すぐに汁を搾り手作業で加工されます。黒糖作りはサトウキビの収穫期と一緒でなければできません、12月から3月終わり頃までが旬。ハブにも挑みながら大変な労力が必要な黒糖作り、貴重な甘味です。

2/16

生ハム

生ハムは良質なタンパク質の宝庫で、しかも低カロリー。他の肉・加工品に比べて脂質も低めでヘルシーです。たんパク質の代謝をサポートするビタミンcが多いフルーツと一緒にいただきましょう。ビタミンCは、美肌、疲労回復にも効果があります。
生ハムが熟成される行程ではアミノ酸などの栄養素が数十倍増えることがわかっています。世界3大ハムと呼ばれるイタリア産のプロシュート・ディ・パルマ、スペイン産のハモン・イベリコ(セラーノ)、中国産の金華火腿はいずれも熟成が進み旨味がたっぷり。塩分が気になる方は、塩分を排出する働きがあるカリウムを含む、じゃが芋やバケットなどと合わせていただくと良いですよ

2/15

苺・いちご・ストロベリー

写真 2

寒い冬は腎機能が衰える季節。ケアする食材は黒いもの(海藻、黒ごま、黒豆など)とお伝えしておりますが、苺にも腎機能を高める効能が期待できます、生薬でもあるゴショイチゴは滋養強壮にもよいそうですよ。苺は冬に出回るイメージですが、美味しくなるのはこれから。毎年苺畑に行くのですが、食すと言うより一面のコントラストを愛でる感じ。暖かいビニールハウスの中は陽だまりのようで、真っ赤な苺のいい香りが充満していてとてもリラックスします。熱々のジャムは美味しいですよ、小鍋に苺、レモン果汁、グラニュー糖を合わせてしばらくおく。火にかけてグラニュー糖がとけ、苺の水分がで出てくる(約5分ほど)。食パンにバターを塗って焼く。まだかすかな酸味が残る熱々のシロップをすくい、バターがしみこんだきつね色のトーストにたっぷり塗る、熱々のミルクティーとどうぞ、いちごは月経不順にもよいそうです

2/14

梅干し・梅しょう番茶・民間療法

梅干し・民間療法・梅しょう番茶

子供の頃、風邪をひいて熱を出すとペタペタとおデコに梅干しを貼られた記憶があります。冷たくグニャッとして子供心には嫌なのですが、起きると梅干しはパリパリになってはがれ落ちていきました。高熱を取り、頭痛を抑える解毒作用があるからかも知れませんね。昔人の知恵民間療法です。頭痛がする時、こめかみに貼るのは丁度血行の流れを良くするツボがあるからで、とても理にかなっています。毎年趣向を凝らして梅干しを作り3年以上寝かせてから食しますが、同じ味にはなりません、そこも手作りの愛しさです。
塩分をしっかり効かせた長期熟成できる梅干しは味噌と同じで効能が高くなるそうです。疲れた時は梅しょう番茶(湯飲みに梅干し1個、醤油少々、熱い番茶を注いだもの)をいただくと、胃腸の調子も整い元気になりますよ。