井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

11/23

「昆布酢」「薬膳昆布酢」酢・vinegar・ダイエット

私たちの食卓の中心にはいつも「ごはん」があります。ただ、加齢と共に太りやすくなったり、体型を意識したりして、エネルギー源である炭水化物(ごはん)を抜いた経験はありませんか? 食べたら太る!! イメージ意識の強いごはんをダイエットに適したものに変えるポイントは「ごはんを冷えた状態でいただくこと」「内臓脂肪を軽減させる酢を加えること」。
冷めたご飯は消化のスピードが遅くなるため「難消化性澱粉」、食後の血糖値の上昇が緩やかになります。ご飯に酢を混ぜた酢飯はダイエットに最適と言うわけです。加えて酢と昆布を合わせると出来る、酢酸カルシウムという成分は骨粗しょう予防に、また昆布のフコイダンや食物繊維は免疫力を高めるので、これから辛い花粉症などの改善にも効果が期待できます。
本日発売の「昆布酢ごはんダイエット」(宝島社)では、難消化性でんぷんで太らない、相乗効果があって気軽に作れるレシピ60品をご紹介しています。

11/14

蟹・カニ・越前蟹・松葉蟹

カニ・蟹・松葉蟹・かに

美味しいカニの季節が到来。カニ食いの私にとっては待ちにまった本当に嬉しい季節。解禁になって、今シーズン初めていただいた蟹は、カニのお風呂(現地の浜ゆでの湯)で茹でられたずっしり重みのある立派なカニ。甲羅をパカリと割って、そのみそに付けて身をいただくそれはそれは見事に美味で、冷たい日本酒もスルスルと喉元を通りすぎて至福の時。いろんな事を頑張った自分へのご褒美は、大人ならではの醍醐味。
カニは低カロリー高タンパクでヘルシー。加熱すると赤くなるのはアスタキサンチンと言う色素で、強い抗酸化作用があり、体内で過剰に発生した活性酸素を除去する効能がある。
豊富なタウリンはアミノ酸の一種で、血中のコレステロールを抑え、肝機能を上げて眼精疲労にも効果が期待できます。缶詰めの場合は汁の部分にこれらの栄養分が溶け出していますので、捨てずに調理しましょう。美味しく栄養価も高いカニですが、カラダを冷やすので、いただく時はおろし生姜や酢をつける、カラダを冷やす柿や梨などと一緒には食べないなど考慮して楽しんで下さい。

11/10

黒砂糖(くろさとう)・冷え

今夜は寒さが増すそうですね。
薬膳での黒砂糖は体を温めて血を補うので、貧血の方や異常出血、月経痛、月経不調、冷えから来る下痢など、特に女性に効果的とされています。黒砂糖は砂糖キビのしぼり汁を加熱して水分を蒸発させたものです、ミネラルやビタミン類などがとても豊富ですよ。手軽な方法として発酵茶(紅茶など)に入れたり、なつめと煮詰めたものなどは更に体を温める事が期待できます。桂皮(シナモン系)や橘皮(きっぴ)・陳皮(ちんぴ・みかんの皮を干したもの)など、香りのよい身近にある生薬を加えると効果倍増です。

11/9

ホルモン・内臓(ないぞう)・モツ

ホルモンはコラーゲンが豊富。部位によって鉄分や亜鉛、ビタミンB2やB12など、様々な栄養があって、美容にも最適なんですよ。内臓肉は大人になってから好きになりました。お酒をのめるようになった事もきっと影響していますね。ハチの巣、ハツ、レバー、センマイ、血管部分などいろいろあります。
臭いの気になる部位は新鮮なものを何度も茹でこぼし時間をかけて臭みを抜くなど、手間を惜しまず下ごしらえします。
イタリアではホルモン専門の飲食店を「トリッペリア」と言い、マリネやフリット、煮込みなど、とっても美味しいのです。トリッパなど、普段店頭に並んでいないものでもお肉屋さんに一声かけてみる価値はありますよ。

10/26

小松菜(こまつな)・高血圧

薬膳で小松菜は、熱を伴うほてりなどの症状に良いとされています。胃の働きを促進する効果があります。ビタミンCやカルシウムも豊富で骨を丈夫にし、貧血予防に役立つ鉄分も多いのが特徴。血圧の下げる作用もあるカリウムを含むので、血圧の高い人にもお勧め。
また、漢方では歯や歯茎にとても有効な野菜とされています。歯周病が気になる方は積極的に口にしても。青汁にしたり、レモンやりんご、にんじんなどと合わせたジュースに、お料理に随時使用してみると良いでしょう。
食感の残る小松菜の煮浸しのご紹介です、小松菜半束(茎の部分に砂があるので水で浸して落とす)を4㎝幅に切って、茎の硬い部分からフライパンに入れる(じゃこ、ささみ、揚げげなど加えても)。ごま油小さじ2〜3、粗塩3つまみを回しかけフタをして中強火にかける。しんなりして色鮮やかになったら出来上がりです。下茹でしないので栄養が逃げません、煮汁もぜひいただいて下さいね。ごま油の効果でカロテンの吸収も良くなります。

10/14

当帰(とうき)・月経不順

女性にとって心強い生薬が当帰。当帰は芳香性の多年生で、11月頃に根を掘り、水で洗って天火干しした薬草です。その効能は血液の質を良くし、量も増やす優れもの。血行不良や貧血、めまい、動悸、月経不順、生理痛、顔色の悪さを改善しますよ。また血液の不足による頭痛や身体の痺れ、脇胸の痛みなどにも有効。血圧を下げ、鎮痛、腹痛、強壮薬としても使用されます。
晩秋に向けて寒さが増してきますね。頭寒足熱を意識し、足首、手首、首などを冷やさない様にすることも大事ですよ。

9/12

ヨーグルト・乳酸菌

腸内のバランスを整えるヨーグルトは乳酸菌発酵食の代表格ですね。その歴史はとても古くて驚くのですが、約7千年前から食されていたそう。免疫力を高め、腸の蠕動運動を促進させるので便通もよくします。
また、牛乳を発酵させて作るヨーグルトは、牛乳よりもカルシウムやたんぱく質が体に吸収されやすい状態になっています。
近年「生きたまま腸に届く〇〇菌」と言うフレーズで売り出されている健康効果の高いヨーグルト。これは、通常、胃を通る時に、胃酸で死滅する乳酸菌やビフィズス菌が多い中で、胃酸に強い菌を発見し、製品にしたもの。トクホのマークは、しっかりお腹の調子が整う事が認められた証なので、購入するときの目安に。
みかんが出回り始めましたが、無糖ヨーグルトに果汁を絞り、塩、胡椒、オリーブオイルを空き瓶などに入れてシェイクする。サラダにはもちろんですが、ハンバーグなどにも好相性、ぜひお試し下さい。

9/9

月餅(げっぺい)・ユエピン・ムーンケーキ

月餅・ゲッペイ・中秋節・ムーンケーキ

月餅は中華圏の秋の中秋節(ちゅうしゅうせつ)の伝統行事にいただくお菓子。まん丸の月を家庭円満や完璧ととらえ、見立てています。アヒルの卵の塩漬けが入っている塩味のものありますよ。塩卵いりの月餅を東京で買える店の中では、恵比寿にウエスティンホテルの龍天文
のものが私は好きです。控えめな甘みの中に、塩卵や薬膳でもある蓮の実、木の実、ごまなど滋養のあるものが詰まっています。刺繍がほどこしてある美しい箱に入っているものも出回っていますよ。1年に1度の愉しみ。
そうそう月餅は包丁でケーキの様にカットして食べると、スパッと切れた切り口が美味しさを倍にします、お試し下さい。

8/29

スーパーフード・アーモンド

アーモンドは低糖質でダイエット中のおやつにする方も多いですね。抗酸化作用が高く、アンチエイジング効果があり、デトックス作用もあるスーパーフード。
薬膳では血行を促進させ、神経を活性化させる若返りの食材とされていますよ。良質なオレイン酸、ビタミンE、ビタミンB2などが豊富で、悪玉コレストロールを抑制する美容食としても有名。食物繊維がたっぷりなので便通をうながし、腸や肌をきれいにする。
輸入品が多いイメージですが、日本で栽培されているアーモンドもありますよ、花は櫻(さくら)に似ています。

8/23

煎酒(いりざけ)・江戸調味料

ある時、煎酒で白身魚のお刺身をいただきました。それからというもの、お醤油をつける気になれない。食材を素晴らしく引き立てる江戸の伝統的な調味料「煎酒」。醤油が普及する前は、各家庭で手作りしていたそう。
作り方は簡単。小鍋に日本酒2カップ半、大粒の梅干しの果肉3個分を入れて、煮立ったら弱火で半量近くになるまで煮詰める(好みで昆布を入れても)。薄口しょうゆ小さじ1と鰹節適宜を加えて火を止め、冷めたらキッチンペーパーを敷いたザルでこす。日本酒は料理酒ではなく、お手頃価格の日本酒で作ってください。冷蔵庫で日持ちもします、サラダや麺類にもお勧めの万能調味料です。