井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

7/1

鰯(いわし)

DHAがたっぷりのいわしは世界中で親しまれている青魚。刺身、塩焼き、煮物など和食にもよく登場しますね。いわしに軽く塩、胡椒、ミックスハーブのブレンドをふり、香ばしく焼いて骨を抜く。ミニバケットには、美味しいオリーブオイルが滴るくらいかけてある。具はいわしだけでも、摘みたての香りが鮮烈な柔らかいディルを一緒にはさんであるだけで、とても贅沢な味した。畑でいただくランチは、野菜や土のパワーもからまって、とても素敵なご馳走でした。贅沢とはこういうコトですね。

6/25

私の朝活おいしいスタイル・夏のあさごはん

DSC03960

昨年放送されたNHK「趣味どきっ!」夏のあさごはんバージョンをNHKライフ(NHkのウエブサイト)で、パンやスープなど手軽に作れるラインナップのご紹介、クリームチーズ&パクチーの楽しい相性、ベイクドトマトをソース代わりにのせたパンのワンプレート、カリカリジャコの和風クレソンサラダ、乳酸キャベツなどなど。乳酸キャベツは作ると、とても便利。加えるスパイスのお勧めは実山椒の塩漬け。胃腸を整える効能もあり、お味噌汁や納豆に加えても相性が良い。植物性の乳酸菌は腸に届きやすく、繊維も豊富。オリーブオイルをひと垂らしすると、さらに美肌の相乗効果が期待できます。いろいろなダイエットにトライされている作家の林真理子さんも気にいってくださっているご様子。材料も少なく作り方も簡単な体がよろこぶ発酵保存食です。パンやスープ、和え物などにさっとアレンジできる作り置は、朝ごはんにとても向いていますよ。

6/20

とうもろこし・玉蜀黍・モロコシ・とうもろこしごはん

井澤由美子・玉蜀黍・もろこし・とうもろこしごはん・美しい人・健康ごはん・_食養生・旬の味

メロンより糖度の高いトウモロコシが宮崎県から毎年届きます。店頭でも鮮やかな黄色や、白いトウモロコシが並んでいて美味しそうです。完熟しているトウモロコシはヒゲが茶色くなっていて沢山生えているものが最高です。そして何より大切なのは、スピード感。手元に来たら、急いで茹でたり蒸したりして堪能する事です。置きっぱなしにすると糖度やフェレッシュ感が減少していきます。今日は撮影の賄いにトウモロコシご飯を作りました。カレーがお題でしたので、数種類のカレーと玄米とトウモロコシごはん!お好みでチョイスできるランチタイムに。

バター醤油のとうもろこしごはんの作り方です。トウモロコシは半分に切って、芯からそぎ切りにする。20分浸水させたお米にトウモロコシの芯と粗塩と昆布を入れ普通に炊きます(昆布の代わりに鶏ガラスープの素でも大丈夫です・炊き上がったら芯を取り除く)。たっぷりのバターと生コーンを炒めて、フライパンの鍋肌から醤油を加えからめ、少し強火で炒めて香ばしく焼きあげます。炊きたてのごはんに煮汁ごと混ぜ込んで器に盛る、潰したての黒胡椒やちぎったバジルを散らしても。

6/15

梅じゃむ

写真

梅ジャムのjamはカタカナでも英語でもなく、なぜか「梅じゃむ」とひらがなで書きたくなります、日本のイメージが強いからでしょうか。梅干し用の完熟梅が余ったら(キズがついたものでもOK)ジャムにします。1時間くらい水につけ、竹串でヘタを取ってホウロウなどの鍋に入れる。グラニュー糖を適宜加えまぜて弱火で煮て、水分が出てきたら、厚手のキッチンペーパーをかぶせてゆっくり煮る。梅が煮えてきたら、味をみてグラニュー糖を足す。ツヤがでて香りが立ち、甘さを好みに決めたら火を止める。この後、消毒したビンに詰めるワケですが、私は種ごと入れる。種の回りが美味しいから甘いものが食べたいときにポンと口に入れたり、煮物に使ったり。誰かが言った、脳天直撃の美味しさの「梅のじゃむ」は手作りならでは。

6/12

パッションフルーツ・果物時計草・奄美大島

パッションフルーツの別名はクダモノトケイソウ。βカロテン、ビタミンCやB6などのビタミン類が多く、貧血予防にも有効。完熟すると皮にシワがよってきて、酸味がやわらぎ甘みが立ってきます。奄美大島で海から上がったばかりの新鮮なもずくと出会いました。パッションフルーツの甘酸っぱい香りと爽やかな酸味と甘みを調味料代わりに使って、もずく酢を作ってみました。少し醤油を加えたらドンピシャの美味しさ。暑い日差しの中の出会いもの、キリッと器ごと冷やしていただきます。地元の方はこんな食べ方はしないようですが、もずくの食感とパッションフルーツの甘酸っぱさが何とも美味。カラダも脳もリフレッシュします。奄美大島の永村農園さんに遊びに行ったら、パッションフルーツの花に一つ一つ手作業での受粉体験もさせていただきました、大切に育てられた無農薬パッションフルーツはひと味もふた味も違います。

6/7

赤紫蘇(あかしそ)

写真

梅の頃にちょうど出回る赤しそは、鮮やかな赤い梅干し作りに欠かせませんね。梅干し作り(1kg分)の途中、白梅酢が上がってきたら、大きめで赤紫色の赤しそを用意(100g)します。よく洗って水気をきり(サラダスピナーなどを使っても)、ザルに広げて乾かし、硬い茎は取る。ポリ袋に入れ粗塩10gをくわえ、袋の上から全体をもんでしんなりさせ、汁気を捨てる。さらに粗塩10gを加えて馴染ませ、ギュッと汁気を絞り、白梅酢を大さじ4ほど加えて色が出たら塩漬けした梅干しに加える。広げてカラカラになるまで干して砕くとゆかりが作れますよ。お酒をいただく時は、千切りにした大根とゆかりを和えたサラダなどをおつまみにするといいですね。肝機能を助けるクエン酸豊富なゆかり、大根の酵素(アミラーゼ)とビタミンCが、二日酔いの原因物質であるアセトアルデヒドの分解を早めます。

6/2

蛸・たこ・タコ・蛸飯

大好きな本があります。高田郁さんの『みおつくし料理帖』心許りの「蛸飯」は、江戸時代の小料理屋のお話です。物語が自宅周辺なので地理がよく判って特別面白い。粋な言葉や料理が沢山ちりばめられ、スルスルと読めてしまいます。最終巻末付録にのっていた蛸飯は干し蛸を使っていました。読んでいて食べたくなったので、私なりのアレンジで作って見ましたよ。作り方です①米2カップを洗って水に30分つけ、ザルに上げて鍋か炊飯器に入れる。②生タコの足150g(茹でタコでも)を塩揉みして滑りを取り、薄いそぎ切りにして小鍋に入れ、酒、みりん、薄口醤油各大さじ2とさっと煮てそのまま冷ます。③②の煮汁と水を合わせて2カップにし、①のお米に山椒の実の塩漬けや細切り生姜大さじ1を入れて一混ぜする。焼き上がりにタコをさっくりあえて5分蒸らしたら出来上がりです。
愛媛県、香川県、岡山県など瀬戸内海岸地域ではタコ漁が多く、タコ飯が郷土料理にもなっています。東京駅などの駅弁屋さんを覗くと、タコ壺モチーフの陶器に入ったベストセラー「ひっぱりダコ飯」なども見かけ、その遊び心にワクっとします

5/26

冷やし中華

日中が暑くなり、もうすぐ「冷やし中華始めました」の文字がお店でも見かけるようになるでしょう。ラーメンのイメージがある北海道では「冷やしラーメンあります」を見かけ、関西地方一部では「冷麺」(韓国の冷麺ではなく、単純に冷たい麺の略だそう)と壁のメニューにのっており、東海地方では必ず冷やし中華(マヨネーズが必ず添えて販売されている)が出始め、それぞれ特色があってちょっと楽しい。どれも野菜がたっぷり、食欲増進と疲れをとるために酢を効かせたさっぱりダレのスタイルで、暑い季節を乗り越える為に考案されたのだと思う。
冷やし中華のタレの作り方=醤油大さじ4、酢大さじ3、きび砂糖大さじ2、ごま油大さじ1半〜2(あればカシューナッツをすったものか練りゴマを少し加えるとコクがでる)を混ぜて麺にかけ、柔らかめの辛子を多めに添える。ごまは乾煎りすると香りが立つ(手でつぶしても)、最後にギュッと柑橘類をしぼると爽やかですよ。

5/17

ミント・ハーブ・モヒート

写真

そのモヒートに出会ったのは、ベトナムREXホテル屋上のBAR。たくさんのミントを使い、酸味が少ないベトナムレモンを絞って、甘みはほんのり。クラッシュタイプの氷でなければあの感じは出ないし、気温や湿度もおいしさを手伝うだろうけど、とにかく何かが一つ違えば、間違いなく美味しさが半減してしまう。REXのモヒートはベトナムにしてはとても高いけれど、フレッシュな清涼感は疲れた身体に心地よくしみわたる。今も昔もそれ以上のモヒートにはまだ出会えていません。いつかラ・ボデギータでヘミングウエイが愛したモヒートも飲んでみたい。ミントは消化促進効果や緊張を和らげるので旅先でもお勧めのカクテルです。

5/16

SALT(塩)・塩遊び

写真 1

塩は世界中にあるもっともシンプルで重要な調味料です。日本では精神性も高く、料理以外に相撲やお葬式後の清めの塩、邪気を払う盛り塩などに使われますね。この上なく食材を引き立てる塩が私は大好き、旅するたびに出会ういろいろな塩達を集めています。余った木材で作った塩棚もいつしかいっぱいになってしまいました。漁師さんが沖に出て海水を汲んで作る売り物ではない海塩や、島の職人が何日間も煮詰めて造る塩はとっておきで宝物です。三重のこだわり食材店で出会った岩戸の塩、シャリシャリのフレーク感がアクセントになるイギリスの塩、藻塩やゆかり、山椒塩、レモン塩など、季節に合わせて香りや旨みを含む塩を手作りするのが楽しみです。好きな塩はどれも自然なもので甘みが奥底にあり、ミネラルもたっぷり。私にとって塩はただの調味料ではありません、一生のテーマです。