井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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蜂蜜・自然治癒力・喉の痛み

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深いオレンジ色が美しい濃厚なはちみつを鳥取の農家さんに頂きました。熊に蜂箱が襲われる年もあるそうで、貴重なはちみつを大事に口にしています。
古代から美容と健康によく、その高い殺菌効果から薬としても活用されてきたはちみつ。自然治癒力を高める天然の食材です。保湿効果もあるので唇に塗るなど食べる以外の肌ケアにも◎、腸を潤すので便通も促します。今の時期は喉の痛みや咳止めとしての出番も多いですね。

効果を期待するならば、天然のはちみつがお勧め、非加熱や低温で加熱したものを選びます。天然物は温度が低いと固まる事があります、50〜60度の湯煎にかけて優しく溶かして下さい。専門店に出向くと色や香りの違い、産地や花の種類等を教えてくれます。中でもそばの蜂蜜は効能が高いと伺ったことがあります。薬膳では気を増し、毒を解し、体内を潤し、百薬を和す生薬と有ります。

ビタミンCたっぷりの国産レモンをはちみつで漬けた(はちみつレモン)の組み合わせは、滋養が高まる相乗効果が抜群。月並みですが、お湯で割ると今の季節にぴったりな甘酸っぱいホットドリンクになります。香りもよく温かい飲み物はストレス緩和にも繋がりますし、レモンの酸味には疲労回復効果があり、皮にはデトックス効果もあります。丁子(クローブ)を一粒加えるとさらに胃腸を温める効果もuP、風邪予防も含めて、夜のくつろぎタイムにぜひどうぞ。(蜂蜜は、1歳未満のお子さんには与えないように注意します)

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キムチ・白菜・漬物・発酵食

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白菜が美味しい季節なので、キムチをたっぷり漬けています。昼間は温かい日も増えてきました、寒さは残るので失敗しにくく、2月は漬物や保存食作りにお勧めの季節です。

発酵食は腸内環境を整えるので、花粉症などアレルギー緩和の手助けにも最適。糠漬け、乳酸キャベツ、あさ漬けなど常に食卓に上げるようにすると健康維持に役立ちますね。中でもキムチは生姜、ニンニク、ニラ、りんご、玉ねぎなどの香味野菜をたっぷり混ぜた(薬念・ヤンニョム)と一緒に発酵させるので、それぞれの栄養と体が温まる作用が加わって免疫力を高める手伝いをします。何かとストレスも多く感じる春先には、アミノ酸の一種のギャバをたっぷり生み出す漬物を食べて心身共に養生して下ださい。お夕飯時にいただくと不眠にも良い効果をもたらすようです。

キムチの詳しい作り方はまいにち食薬養生帖の314ページや、「体がよろこぶお漬け物」の著書本でもご紹介させていただいておりますが、本場韓国のキムチ作りの達人達は香りの良い梅シロップをほんの少し加えるのが常、果物の甘みと香りでグンと旨味が増します。私はこの時期、梅シロップの代わりに旬の金柑で作ったシロップを加えて美味しさを底上げしています。

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立春・東風解凍(はるかぜこおりをとく)

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豆まきをした翌朝の立春は、旧暦のお正月にあたる春の始まりとされる日。暦の上では、この日から春になります。雪やみぞれが降ったりと一年でもっとも寒い頃ですが、庭の梅の蕾はふっくらし、早咲きの梅は既に満開です。寒さ厳しい中にも日射しものびて来ています。

立春搾りを頂きました。この日本酒は、節分の夜からもろみを一晩中搾り続ける生原酒のことで、言葉の響きも美しくて素敵です。搾り上がりが2月4日と決まっているので、微妙な調整、完璧な管理が必要だそうです。また、搾り上がったらすぐに瓶詰め出荷をしなければならならず、蔵人さん始め、酒屋さんは夜中から徹夜での作業です。思いを馳せながら、古来は1年の始まりとも考えられた立春に、除災招福(じょさいしょうふく)を祈ります。適量の日本酒は、いただくと心が清々とします。アミノ酸が含まれているので肌を美しくし、血行の巡りも改善。胃を労るようにお水と一緒に楽しむ。この水を和らぎ水(やわらぎみず)と呼びます。

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菜の花・菜花・春野菜・貧血予防

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店先でチラホラ菜の花を見かけるようになりました。春の訪れを感じさせじる菜の花は、ほんのり苦みがある花野菜です。

抗酸化作用を持ち、ビタミンC、カロテン、葉酸、カルシウムが多く、鉄分も豊富なので、免疫力を上げる手伝いをします。高血圧、貧血、産後の肥立ちが悪い方にも良さそうです。今日から2月に入りますが、薬膳での菜の花は炎症や腫れものを治し、春先に起こりがちな血のトラブルに効能があるとされています。生理不順や血の滞りが気になる方にはお勧めかも知れません。

購入するときは、花が咲き過ぎていない、緑色が濃いものを選び、茎の部分を1cmほど切ってたっぷりの水に短時間、放してあげましょう。背伸びをするようにイキイキしてきますよ。水分をたっぷり吸収すると、火を通した時も熱伝導が良くなりシャキッと美味しく仕上がります。風味を楽しめるおひたしや辛子和えはおすすめ。さらにオリーブオイルやごま油等と合わせると、カロテンの吸収が良くなります。食べやすく切った菜の花をフライパンに入れ、塩昆布とオイルをふって蒸し煮にすれば、手軽な上に栄養価も逃しません。

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ほうれん草・貧血予防・冬野菜・ポパイスープ

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旬のほうれん草は葉が肉厚になり、甘味も増しますね。鉄分が多いので、昔から貧血などに良いとされている冬の代表野菜です。ほうれん草が食べたくなったら実際に血が足りないのかも。積極的にいただいて養生して下さい。ビタミンCやカロテンも多く、風邪や動脈硬化予防にも最適、五臓の働きも助けます。良質の油と一緒にとると、カロテンの体への吸収率が高まりますよ。

茹でるよりレンジ加熱だとビタミンCの損失が少なくすみますが、茎から茹でておかあげ(ザルに上げる)にするのが美味しいですね。おすすめレシピはナムル。加熱したほうれん草の水気を絞り、ピーナッツ油やごま油、塩、こしょう、おろしにんにく各少々で和える。

高齢の父へのスープには、ほうれん草を茹でた後にペーストにしてスープにします。ささみを塩麹漬けにして、一緒にミキサーにかけ、温めたチキンスープに落とすだけ。ふわふわと浮きだしたら出来上がり「ほうれん草とささみのスープ」は豆腐やハンペンよりも柔らかです。

ほうれん草は早めに使いきりたいですが、保存する時は新聞紙などで包んでポリ袋に入れ、立てて野菜室に入れます。

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素麺・煮麺・小豆島・旅先ごはん

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小豆島に来ました。大の素麺好きの私としては、工場見学も生素麺を食すのも楽しみです。素麺の原料は冷麦などと同じ小麦粉で、麺の太さで呼び名が変わります。1、3mm以下が素麺、1、3〜1、7mmまでが冷麦、それを超えるとうどんとなりますが、手作業の手延べ素麺は1、7mm未満なら素麺あるいは冷麦とどちらで呼んでもよいそうです。

手延べ素麺の製造工程に、油返しと呼ばれる作業があります。これは麺の表面に少量の油を振りながら細く細く伸ばしていく作業。麺同士のくっ付きを抑えるだけでなく、コシも風味も品質も保つ役割をします。小豆島には有名なごま油屋さん(かどや製油さん)がありますが、元々はこの素麺作りの為に生まれたもの。ごぼうや玉ねぎを薄切りにし、同じごま油でカラッと香ばしく揚げた揚げ野菜と、甘辛い鶏そぼろをたっぷりと添えた温麺は井澤家定番、トマトベースもよく合います。

クイックですが本格的なそうめんつゆの作り方です。小鍋に水2カップ、昆布1切れ、鰹節一掴みを入れる。沸騰直前で中弱火にし、醤油50cc、本みりん大さじ2半を入れコトコト10分ほど弱火で煮て、茹でた素麺にはります。寒い日の食べやすい煮麺(にゅうめん)は格別、おろし生姜とねぎををたっぷり添えて。小豆島には貴重な木桶醤油屋さんも数件あって、忙しいのです。

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大寒・酒粕・発酵食・二十四節気

一年で一番寒いとされる大寒を迎えました。寒さ厳しいこの季節にいただく粕汁は、体にしみ入るように美味しく感じます。大人になってお酒をたしなむようになり、さらに好きになった発酵食の酒粕ですが、今が旬の大根、かぶ、にんじん、サケやブリのアラなどがとてもよく合います。私は白味噌、山椒、生姜を加えて一緒にグツグツ煮た粕汁が好きですが、風味はお好みです、今だからこそのこっくりした温もりのある旨さがあります。
酒粕はお米、米麹、水で発酵させて漉した液体が日本酒、しぼりかすが酒粕です(発酵が終わったもろみを絞ったものが酒粕ですが、アルコール度数もビールほどあります)。このしぼりかすの酒粕ですが、アミノ酸、食物繊維、レジスタントプロテイン、ビタミン、酵母も豊富なので、非常に栄養価が高い発酵食品と言えます。「酒粕メンテナンス」をすると、肌や腸が潤いますよ。ショートブレイクには、酒粕とコーヒー、砂糖をポッたりとするまで煮詰めた酒粕コーヒーもお勧めです。

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冷え改善・風邪予防・長葱・葱白(そうはく)

長葱・冷え・井澤由美子・食養生・おしゃれレシピ・簡単レシピ・薬膳・素敵な50代・冷え改善・健康レシピ

ねぎが美味しい季節ですね、ねぎの白い部分は葱白(そうはく)という生薬で、体を温める薬効が高く、咳や痰、喉や関節の痛みなどの症状にも有効です。炎症をおさえて痛みや熱を取りのぞく効果があるとされ、焼いて喉に巻くなどの民間療法が昔から日本に伝わっていますね。

ねぎは辛味のある野菜ですが、加熱調理をすると柔らかくなり、甘みが出て食べやすくなります。寒邪(かんじゃ)から身を守理、風邪の特効薬でもあるので、寒い日に沢山いただきたいですね。肩こりや冷えがひどい時は、ねぎに血のめぐりをさらに良くするビタミンB1を含む食材を合わせて相乗効果を狙いましょう。ビタミンb1を含む食材は、豚肉やラムなどです。

朝方、足先が冷たくて目が覚めてしまう事がありませんか?そんな時は斜め薄切りにしたねぎをたっぷりと用意し、豚肉の薄切りとしゃぶしゃぶなどにすると体を芯から温める手伝いをします。にんにくやもみじおろし(大根おろしと赤唐辛子)、山椒、胡椒などの辛味成分を薬味として加えるとさらに効果が高くなりなます。翌朝がいつもと違ったら、食養生ができている証拠です。

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苺・strawberry

井澤由美子・薬膳:漢方・喉の渇き・苺・いちご・イチゴ・肌養生・風邪予防

冬から出回る苺ですが旬は春。苺はビタミンCが非常に豊富、肌養生や風邪予防にも良く、コラーゲンの生成にも役立ちます。喉の渇きを和らげ、体にこもった余分な熱を下げたい時にもお勧めの果物です。5粒程度食べると1日分のビタミンが得られるそうです。

できるだけヘタが緑でピンと張り、実に傷がないものを購入します。ヘタを落とすと切り口からビタミンCが流出するので、洗う時はヘタつきのままでさっと洗うようにしましょう。
毎年作るいちごのビネガーシロップは姪っ子達にも大人気。清潔なビンに、ヘタを取った苺+砂糖(氷砂糖)+リンゴ酢を同量入れ、玉にビンごとふって1週間寝かせるだけ。適量をカップに入れ、ミルクを加えると少し固まって、ヨーグルトのような食感になります。
いちごに含まれるアントシアニンは、乳製品の脂質と結び付くと吸収率が高まります。子供の頃はお砂糖と牛乳が私の中でも名コンビでした、昔ながらの組み合わせにはちゃんと意味があるのですね。

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人参・肌養生・眼精疲労・活血

食養生・薬膳・漢方・食薬ごはん・まいにち食薬養生帖・人参・にんじん・キャロットラペ・ドライアイ

にんじんは鼻や喉の粘膜を健康に保つビタミンAも豊富な野菜。
旬の人参はみずみずしく甘さもあって良い香りがします、生でいただくと栄養を丸ごといただけますよ。キャロットラペの作り方です。皮付きの人参をタワシでこすり洗いし、千切りにします。レモンやオレンジのしぼりたての果汁、オリーブオイル、粗塩をふって人参の栄養を効果的に体に摂取。にんじんの酵素、ビタミンC、カロテン、繊維がたっぷりなサラダです。

カラダの声を聴いて、体調をケアする他の野菜やスパイスを加えても良いですね。スライスオニオンならカラダを温めますし、搾りたての果汁は甘みや香り、色も冴える美しい一品になり、肌養生になります。

花粉症が気になる方はぜひヨーグルトと合わせて。薬膳での人参は、日々取り入れると血と津液を作る手助けをする頼もしい野菜とされています。