井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

6/22

ラペソー・発酵食・ミャンマー

ラペソー・発酵食・発酵食品

ラペソーは約半年から1年ほどかけて茶葉を発酵させたミャンマーの郷土食で、漬物のようなイメージです。ミャンマーはイギリスの植民地だったのでお茶を飲む文化も盛んな土地柄で、飲むだけでなく料理にも利用されています。ラペは「茶」、ソーは「湿った」の意味を持ちます。確かにしっとり湿っており、ほのかな酸味があって、後味に少し苦味が残ります。
ミャンマーのお母さんが作るお惣菜は、苦味のある野菜をクタクタに煮たり、辛味とたっぷりのオイルで煮た魚、スパイスでじっくり煮込んだ肉など、保存性も高い料理が多いようです。
買って帰ったラペソーは乳酸キャベツと混ぜてカレーの付け合わせにしたり、唐辛子入りの酢をかけたりして楽しんでいます。現地ではラペットウというサラダにすることも。ラペソーと刻んだ生野菜に、レモン果汁、にんにく、青唐辛子、すりごまなどで味付けし、アジョゾンといわれる素揚げした豆やナッツがたっぷり混ぜてあります。旨味のある干しえびも入って、食感のコントラストも楽しいのです。タイの北部や中国雲南省でも食べられるラペソーは、実に興味深い発酵食です。

6/20

空豆・そら豆・蚕豆・天豆・夏豆・Broad bean

井澤由美子・食養生・食養生・そら豆・空豆・天豆・おたふく豆・蚕豆

千葉に畑を借りていろいろな野菜を栽培しています。5月からはそら豆が最盛期。見ためはお店で販売されているような美しさはないのですが、剥くと青々としてぷっくりとした大きな実が飛び出して、豆の香りがフン鼻をかすめます。採りたてのそら豆を熱湯に入れ、塩梅よく茹でますが、皮が柔らかいのでそのまま食べた方が美味しい。下ごしらえの時に、皮に切り込みを入れなくていい程です。そら豆ってこんなに美味しいものだったのかとつくづく思いながら、仕事終わりの夕暮れに冷えたワインのお供に楽しんでいます。少し厚めにスライスした発酵バター、バケット、粗塩とペンチで割ったこしょうを添えて。
そら豆にはビタミン、たんぱく質、カリウムが豊富で、豆の中でも栄養価が高く、疲労回復効果があります。
フジTVの「四季彩キッチン」でもご紹介したそら豆の素揚げは、皮に切り込みを入れて、中温から揚げるのがポイント。温度が適切だと、油の中で皮から実が勝手に取れるので手間いらず。鮮やかになって浮いてきた実から先に取り出し、皮は茶色く揚がったら引き上げます、、全体に軽く粗塩をふってどうぞ。皮もカリカリして実に良いつまみになります。お酒を提供するお店ではそら豆を(天豆)と書いてある事があります。心意気も粋なようで嬉しくなり、ついつい注文してしまいます。

6/19

シラス・しらす・しらす干し・ちりめん

井澤由美子・春魚・旬魚・食養生・美味しい・お弁当・食養生・まいにち食薬養生帖・シラス・しらす・しらす干し・ちりめん

私は無類のしらす好きです。早朝の海辺に行って、しらす漁に鉢合わせたらとってもラッキー! 鮮度が命の生しらす。透き通った体でピチピチ飛び跳ねて元気。この鮮度を保つ為に、漁師さんたちは漁が終わると全速力で浜に戻ります。とれたての生しらすを釜茹でしたものが、釜茹でしらす。そこから数時間干したものがしらす干しで、長く天日干ししたものがちりめんじゃこです。しらすの産地では、しらすをパスタやピザ、トーストなど、日常の食卓に羨ましいほどたっぷり登場します。
これ以上入れたら握れないかもと思うくらいのしらすを具にしたお結びや、炊きたてご飯に贅沢にのせていただくしらす丼は至福の味。お弁当にも香り高い青海苔と、手作りの赤しそふりかけをアクセントにしてたっぷりと。月並みですが、きゅうりやわかめの酢の物とも好相性。酢と合わせると、しらすのカルシウムがより効率よく摂取できます。

6/18

与論島・壺酢・きび酢・黒糖

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与論島のさとうきび酢を初めて口にした時は、そのコクにハッとしたことを今でも鮮明に覚えています。島では至る所で黒糖が売っており、きび酢は溶かすと奥深いパンチのある甘酢がすぐに作れます。朝市で初めて見た赤瓜(モーウィ)はきゅうりの仲間で、生で食べても良いそうです。農家のお母さんに食べ方を教わりました。生で皮をむいて薄切りにし、島の粗塩で軽くもんで即席の甘酢に漬ける。半日ほど冷蔵庫で冷やすと赤うりの甘酢漬けは、パリパリとした食感が独特で美味しい。疲れがスーと抜けていく甘酢漬けです。
90歳を過ぎたおばぁが「島の人はきび酢でお刺身を食べる」と教えてくれました。酢は防腐効果が高いので南の島では理にかなった食べ方です。暑さでバテそうな体にもクエン酸が良く効きます。
島と共に発展してきた発酵調味料のきび酢は、冬にきび砂糖を収穫して仕込むそうです。のんびりした畑に壺酢が行儀よく並ぶ風景にほっこりしました。

6/17

梅仕事・昔ながらの梅干し・梅

梅・梅干し・梅しごと・南高梅

梅干しは防腐作用が高いので、この季節のお弁当にかかせませんね。お米に入れて炊いても良いもの。疲れをとるクエン酸も頼もしい。
梅干しを作るときにできる白梅酢を手塩の代わりにして握ったお結びは、手つくりの調味料だからか、いつもより心が華やぎます。ふくよかな香り高い梅は料理にも使いやすいので、私は梅干し用に大きめの完熟梅購入します(まだ緑色で硬い時は、真っ黄色になるまで常温で追熟させる)。500g(だいたい10〜13個)は、30分水に漬け水気をしっかりふき、竹串でヘタを取る。ホワイトリカーや焼酎など臭みのないアルコール大さじ1で密封袋の中をさっと消毒し、捨てる(袋の中はふかなくてOK)。梅と粗塩70〜90gを入れ、袋の上から馴染ませる。粗塩と梅を入れ、同量の重しをして1日1回上下を返して2日おき、さらにそのまま20日間おきます(いずれも冷暗所に置く)。梅雨があけたらザルに広げて、好みの状態になるまで2〜5日間天日で干し、白梅酢に戻す(私は2日間干しています)。
お粥に梅干しは定番の組み合わせ。唾液の分泌を促し、消化力を高める働きがあるので、お粥に添えると効果的。味だけではない日本の素晴らしい知恵です。
ちなみに梅干しは下痢や便秘にも効能があります。

6/13

丁子(ちょうじ)・丁香(ちょうこう)・クローブ・スパイス

生薬・クローブ・スパイス・丁子・丁香

お茶が好きで、毎日リラックスしたい時にいただきます。朝から晩まで飲むので、玉には胃を温めながらお休みします。
白湯を作るのと同じように、やかんのフタを開けて15分ほど湯を沸かします。この時クローブも一緒に入れて煮出し、蜂蜜を入れたカップに注ぎます。それをゆっくりいただくとバニラのような香りや刺激的なスパイシーな風味に、張り詰めた気が緩んでくるのがわかります。
クローブは漢方では丁香と呼ばれる生薬で、体を温める効能があり、胃や脾、腎が冷えて痛いときにも有効なスパイスとして知られています。西洋ではクローブと呼ばれ、肉の塊に刺した煮込み料理やシチュー、カレーにも欠かせません。オレンジとの相性がよく、デザートやお菓子にも使われる他、オレンジに刺して乾燥させ、香りのポプリとしても親しまれています。
ちなみにクローブは、ネパールの民間療法では歯痛止めに使われたり、インドネシアではタバコの香付けに使われたりに、虫除けスプレーに配合されたりと世界中でいろいろな用途に利用されています。

6/12

蘇陽・赤しそジュース

紫蘇ジュース・赤紫蘇・紫蘇・美肌ジュース

キレイな色の元気がでる旬のジュースです。色が濃いめの赤しそ(2袋)を選び、葉だけを摘んで水を張ったボウルに入れてよく洗い、ザルに上げます。鍋に約1リットルの湯を沸かし赤しそを加えて5〜8分茹でる。鍋からしそだけをザルにとりギュッとしぼり、エキスを全て鍋の中にしぼります。甜菜糖(またはきび砂糖)は半カップ〜好みの量を入れてとかし、酢50cc(またはレモン果汁)を加える。一瞬で色鮮やかになる嬉しい瞬間です。ますよ、冷めたら清潔な瓶などに入れ、冷蔵庫で保存します。
赤しそは殺菌効果が高く、色素成分であるポリフェノールには高い抗酸化作用があります。香り成分は胃液の分泌をよくし、消化を助けます。美しく健康にも良い赤しそジュースはこの時期だけのお楽しみです

6/11

日本テレビスッキリ・ヨーグルトキムチのふるふるスープ・発酵食・免疫力

体がよろこぶお漬け物・発酵食・乳酸菌・キムチ・ヨーグルト・サワーキムチ・免疫力

日本テレビスッキリさんでご紹介した免疫力を上げる発酵食レシピはキムチとヨーグルトを和えたサワーキムチのご紹介でした。キムチの辛味がマイルドになり食べやいキムチになります、混ぜたら、ひと晩冷蔵庫で寝かせるとより馴染んで美味しくなりますよ。
植物性タンパク質の豆乳に、発酵調味料をふんだんに使用して免疫力アップ効果を高めています。発酵食は日々幅広く色々な種類を食べる事が大切ですが、私は特に季節の野菜で漬けた乳酸菌たっぷりの糠漬けやキムチ、水キムチを作っていただくようにしています。作り方も難しくなく、安心安全な乳酸菌がたっぷり摂取できるからです。発酵食は食物繊維とビタミンなどと一緒に食べて効果が高まりますが、野菜の持っている豊富な繊維やビタミンなどが丸っといただけるのでお漬物は理想的な発酵食なのです。
含まれるギャバの成分には、リラックス効果が高く安眠のお手伝いをします、私は晩御飯に漬物を添えるようにしています。
「スッキリ」でご紹介したレシピは、沢山の方が直ぐに作って下さって、コメントも沢山頂きありがとうごいます。ご紹介したレシピは、下段のニュース内やインスタにも掲載しております(番組内では2人分でしたが、こちらでは1人分のレシピです)。

6/10

パッションフルーツ・果物時計草(くだものとけいそう)

井澤由美子・与論島・美肌・美容・パッションフルーツ・果物時計草・リリコイ

果物時計草はパッションフルーツの別名で、花が時計草に似ているからだそう。ハワイではリリコイと呼ばれ、定番のフルーツ。台湾では百香果(パイシャンコウ)、百の香りの果物という意味の名がついています。爽やかで甘酸っぱく、奥底に魅惑的な香りがひそんでいて、化粧品やアロマテラピーなどにも用いられています。切った時のビジュアルもフォトジェニックですね。
農家さんは両手で挟むように圧をかけてパンッと器用に割ります。飛び散らないか少し不安になりましたが自分で試してみて大丈夫でした!
パッションフルーツには、肝機能を高める効能の他、美白効果や新陳代謝を活発にする働きを高めます。旬のピークは6月〜8月頃で、果肉はすっぱいイメージがありますが、皮にしわが寄ってしっかり完熟したものは酸味が抑えられて甘い。酸味が立ったものは、ソースやドレッシングにするのがお勧め。生クリームとの相性もよく、他のフルーツでは作れない魅惑的な味が生まれます。
写真はパッションフルーツ農園にて。まだ青く、実垂れ下がる感じがカーテンみたいで可愛い。

6/8

二条大麦・ビール麦・大粒大麦・ビール・四季彩キッチン

大粒大麦・ビール・二条大麦・ビール麦・クラフトビール

フジテレビ・四季彩キッチン 
汗ばむ季節、キーンと冷えたビールが美味しくなってきましたね。番組では『二条大麦』の特集で、ビールに合うおつまみも紹介致します。個人的に香りがよく風味のあるビールが好きです、近年では国内でもクラフトビールを含め様々な種類が生産され、缶や瓶も可愛らしくネーミングも個性的で楽しい。ビールの主原料は麦芽とホップ。麦芽は大麦から作られますが、大きく二条大麦と六条大麦の二つに分けられます。二条大麦は穀粒が二列で並び、粒が大きいので大粒大麦、六条大麦は小粒大麦と呼ばれます。
栃木県では二条大麦、六条大麦、小麦の3種類が栽培され、全国でも有数の生産地。小山市では、青々とした田んぼと金色の麦畑が、パッチワークのような模様を描いている風景も見られるそう。風に揺らぐ麦畑の麦秋(ばくしゅう)、コントラストの美しい情景が目に浮かびます。四季彩キッチンはJAグループ提供の、日本の農業の「いま」をプレゼンテーションする番組で、進行役は林修先生です。