井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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与論島・壺酢・きび酢・黒糖

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与論島のさとうきび酢を初めて口にした時は、そのコクにハッとしたことを今でも鮮明に覚えています。島では至る所で黒糖が売っており、きび酢は溶かすと奥深いパンチのある甘酢がすぐに作れます。朝市で初めて見た赤瓜(モーウィ)はきゅうりの仲間で、生で食べても良いそうです。農家のお母さんに食べ方を教わりました。生で皮をむいて薄切りにし、島の粗塩で軽くもんで即席の甘酢に漬ける。半日ほど冷蔵庫で冷やすと赤うりの甘酢漬けは、パリパリとした食感が独特で美味しい。疲れがスーと抜けていく甘酢漬けです。
90歳を過ぎたおばぁが「島の人はきび酢でお刺身を食べる」と教えてくれました。酢は防腐効果が高いので南の島では理にかなった食べ方です。暑さでバテそうな体にもクエン酸が良く効きます。
島と共に発展してきた発酵調味料のきび酢は、冬にきび砂糖を収穫して仕込むそうです。のんびりした畑に壺酢が行儀よく並ぶ風景にほっこりしました。

6/17

梅仕事・昔ながらの梅干し・梅

梅・梅干し・梅しごと・南高梅

梅干しは防腐作用が高いので、この季節のお弁当にかかせませんね。お米に入れて炊いても良いもの。疲れをとるクエン酸も頼もしい。
梅干しを作るときにできる白梅酢を手塩の代わりにして握ったお結びは、手つくりの調味料だからか、いつもより心が華やぎます。ふくよかな香り高い梅は料理にも使いやすいので、私は梅干し用に大きめの完熟梅購入します(まだ緑色で硬い時は、真っ黄色になるまで常温で追熟させる)。500g(だいたい10〜13個)は、30分水に漬け水気をしっかりふき、竹串でヘタを取る。ホワイトリカーや焼酎など臭みのないアルコール大さじ1で密封袋の中をさっと消毒し、捨てる(袋の中はふかなくてOK)。梅と粗塩70〜90gを入れ、袋の上から馴染ませる。粗塩と梅を入れ、同量の重しをして1日1回上下を返して2日おき、さらにそのまま20日間おきます(いずれも冷暗所に置く)。梅雨があけたらザルに広げて、好みの状態になるまで2〜5日間天日で干し、白梅酢に戻す(私は2日間干しています)。
お粥に梅干しは定番の組み合わせ。唾液の分泌を促し、消化力を高める働きがあるので、お粥に添えると効果的。味だけではない日本の素晴らしい知恵です。
ちなみに梅干しは下痢や便秘にも効能があります。

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丁子(ちょうじ)・丁香(ちょうこう)・クローブ・スパイス

生薬・クローブ・スパイス・丁子・丁香

お茶が好きで、毎日リラックスしたい時にいただきます。朝から晩まで飲むので、玉には胃を温めながらお休みします。
白湯を作るのと同じように、やかんのフタを開けて15分ほど湯を沸かします。この時クローブも一緒に入れて煮出し、蜂蜜を入れたカップに注ぎます。それをゆっくりいただくとバニラのような香りや刺激的なスパイシーな風味に、張り詰めた気が緩んでくるのがわかります。
クローブは漢方では丁香と呼ばれる生薬で、体を温める効能があり、胃や脾、腎が冷えて痛いときにも有効なスパイスとして知られています。西洋ではクローブと呼ばれ、肉の塊に刺した煮込み料理やシチュー、カレーにも欠かせません。オレンジとの相性がよく、デザートやお菓子にも使われる他、オレンジに刺して乾燥させ、香りのポプリとしても親しまれています。
ちなみにクローブは、ネパールの民間療法では歯痛止めに使われたり、インドネシアではタバコの香付けに使われたりに、虫除けスプレーに配合されたりと世界中でいろいろな用途に利用されています。

6/12

蘇陽・赤しそジュース

紫蘇ジュース・赤紫蘇・紫蘇・美肌ジュース

キレイな色の元気がでる旬のジュースです。色が濃いめの赤しそ(2袋)を選び、葉だけを摘んで水を張ったボウルに入れてよく洗い、ザルに上げます。鍋に約1リットルの湯を沸かし赤しそを加えて5〜8分茹でる。鍋からしそだけをザルにとりギュッとしぼり、エキスを全て鍋の中にしぼります。甜菜糖(またはきび砂糖)は半カップ〜好みの量を入れてとかし、酢50cc(またはレモン果汁)を加える。一瞬で色鮮やかになる嬉しい瞬間です。ますよ、冷めたら清潔な瓶などに入れ、冷蔵庫で保存します。
赤しそは殺菌効果が高く、色素成分であるポリフェノールには高い抗酸化作用があります。香り成分は胃液の分泌をよくし、消化を助けます。美しく健康にも良い赤しそジュースはこの時期だけのお楽しみです

6/11

日本テレビスッキリ・ヨーグルトキムチのふるふるスープ・発酵食・免疫力

体がよろこぶお漬け物・発酵食・乳酸菌・キムチ・ヨーグルト・サワーキムチ・免疫力

日本テレビスッキリさんでご紹介した免疫力を上げる発酵食レシピはキムチとヨーグルトを和えたサワーキムチのご紹介でした。キムチの辛味がマイルドになり食べやいキムチになります、混ぜたら、ひと晩冷蔵庫で寝かせるとより馴染んで美味しくなりますよ。
植物性タンパク質の豆乳に、発酵調味料をふんだんに使用して免疫力アップ効果を高めています。発酵食は日々幅広く色々な種類を食べる事が大切ですが、私は特に季節の野菜で漬けた乳酸菌たっぷりの糠漬けやキムチ、水キムチを作っていただくようにしています。作り方も難しくなく、安心安全な乳酸菌がたっぷり摂取できるからです。発酵食は食物繊維とビタミンなどと一緒に食べて効果が高まりますが、野菜の持っている豊富な繊維やビタミンなどが丸っといただけるのでお漬物は理想的な発酵食なのです。
含まれるギャバの成分には、リラックス効果が高く安眠のお手伝いをします、私は晩御飯に漬物を添えるようにしています。
「スッキリ」でご紹介したレシピは、沢山の方が直ぐに作って下さって、コメントも沢山頂きありがとうごいます。ご紹介したレシピは、下段のニュース内やインスタにも掲載しております(番組内では2人分でしたが、こちらでは1人分のレシピです)。

6/10

パッションフルーツ・果物時計草(くだものとけいそう)

井澤由美子・与論島・美肌・美容・パッションフルーツ・果物時計草・リリコイ

果物時計草はパッションフルーツの別名で、花が時計草に似ているからだそう。ハワイではリリコイと呼ばれ、定番のフルーツ。台湾では百香果(パイシャンコウ)、百の香りの果物という意味の名がついています。爽やかで甘酸っぱく、奥底に魅惑的な香りがひそんでいて、化粧品やアロマテラピーなどにも用いられています。切った時のビジュアルもフォトジェニックですね。
農家さんは両手で挟むように圧をかけてパンッと器用に割ります。飛び散らないか少し不安になりましたが自分で試してみて大丈夫でした!
パッションフルーツには、肝機能を高める効能の他、美白効果や新陳代謝を活発にする働きを高めます。旬のピークは6月〜8月頃で、果肉はすっぱいイメージがありますが、皮にしわが寄ってしっかり完熟したものは酸味が抑えられて甘い。酸味が立ったものは、ソースやドレッシングにするのがお勧め。生クリームとの相性もよく、他のフルーツでは作れない魅惑的な味が生まれます。
写真はパッションフルーツ農園にて。まだ青く、実垂れ下がる感じがカーテンみたいで可愛い。

6/8

二条大麦・ビール麦・大粒大麦・ビール・四季彩キッチン

大粒大麦・ビール・二条大麦・ビール麦・クラフトビール

フジテレビ・四季彩キッチン 
汗ばむ季節、キーンと冷えたビールが美味しくなってきましたね。番組では『二条大麦』の特集で、ビールに合うおつまみも紹介致します。個人的に香りがよく風味のあるビールが好きです、近年では国内でもクラフトビールを含め様々な種類が生産され、缶や瓶も可愛らしくネーミングも個性的で楽しい。ビールの主原料は麦芽とホップ。麦芽は大麦から作られますが、大きく二条大麦と六条大麦の二つに分けられます。二条大麦は穀粒が二列で並び、粒が大きいので大粒大麦、六条大麦は小粒大麦と呼ばれます。
栃木県では二条大麦、六条大麦、小麦の3種類が栽培され、全国でも有数の生産地。小山市では、青々とした田んぼと金色の麦畑が、パッチワークのような模様を描いている風景も見られるそう。風に揺らぐ麦畑の麦秋(ばくしゅう)、コントラストの美しい情景が目に浮かびます。四季彩キッチンはJAグループ提供の、日本の農業の「いま」をプレゼンテーションする番組で、進行役は林修先生です。

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ホワイトアスパラガス

ヨーロッパでは4月下旬~6月が旬のホワイトアスパラガス。日本でも同じ時期に元気な国産品を見かけるようになりました。みずみずしく、滑らかな食感はまさに初夏を食べているようです。ホワイトアスパラはグリーンアスパラと同じ品種ですが、太陽の光が当たらないように育てます。
栄養価はグリーンアスパラの方が豊富です。ホワイトアスパラは口当たりや風味が良く、栽培に手間がかかる作為、値段は少し高めです。
ほんの少しの塩気を帯びた、茹でただけのシンプルなホワイトアスパラガスにフォークを入れる時は緊張します。一番好きな食べ方ですが、一切のごまかしが利かない究極の調理です。下ごしらえはグリーンアスパラと同じように根元で無理なくポキっと手で折れるところから、上の部分をいただきます。茹でる時は皮を剥いた後も一緒に茹でます。レモン果汁を少し落とすといいですね。
ドイツでは、白アスパラはシュパーゲルと呼ばれとても人気です。収穫時期は4月中旬から6月24日までと決まっているそう。いつか産地のヴァルベック村のレストランで、アルザスワインを片手に思いきり堪能したい願望があります。

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アスパラガス・グリーンアスパラ

食養生のススメ・薬膳・まいにち食薬養生帳・井澤由美子・アスパラ・昆布締め・グリーンアスパラ

アスパラには疲労回復効果のあるアミノ酸の一種「アスパラギン酸」が豊富。野菜の中でも免疫力を高める効果が高く、特に穂先の方に含まれるルチンはビタミンCと共に血管を丈夫にし、血流をよくします。
アスパラはヨーロッパやロシアなど冷涼地で育ちやすく、日本では以前は北海道産が主流でしたが、近年では他の地域でも美味しいアスパラが育ちます。我が家にはいろいろな農園からアスパラが届きます。産地が一緒でも農家さんによって味わいが違いますよ。ワインのテロワール(土壌、その土地の気候)と一緒ですね。土に近いアスパラの下の方の皮を剥いて、生のまま口にしてみるとそれがよくわかります。
アスパラは根元でポキっと折れるところがあり、そこより上を調理します。保存する時は、湿らせたキッチンパーパーに包み、密封袋に入れて穂先を上にし、立てて野菜室へ。
アスパラはシンプルに塩茹でも美味しいですが、昆布で挟んで数時間寝かせると、なんとも粋な昆布締めになります。

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青梅(うめ)・梅仕事・梅甘露煮

青梅・うめ・梅・食養生・12ヶ月の手仕事・季節の手仕事・井澤由美子・二十四節気・食薬・まいにち食薬養生帖・小梅

庭にポトリポトリと落ちる青梅。梅仕事の手始めは、すぐにいただける甘露煮を作ります。傷がついてない梅を選んでよく洗い、竹串の先でヘタを取って、できるだけ小さく数箇所穴をあける。ホーロー鍋に梅を入れてかぶるくらいの水を加えて5〜10分ほど煮ます。この時火加減は必ず極弱火で(強いと皮が弾けてしまう)。水をかえて氷砂糖を加え、厚手のキッチンペーパーをかぶせ、弱火でさらに10〜15分ほど煮て冷まします。梅を取り出して清潔な保存容器に入れ、煮汁を半量まで煮詰めて注ぐ。甘酸っぱい香りがキッチンに広がって、梅仕事の幸福なひと時が今年もまた始まりました。毎年もたらされる自然の恵みに感謝しながら過ごすひと時です。
薬膳では氷砂糖は肺を潤す効果が期待でき、梅は唾液の分泌を活発にしたり疲労回復を助ける働きがあります。甘露煮のシロップは炭酸や冷水で割っていただくと汗がひき、心身が癒されます。
後少ししたら南高梅が色付きそうです。こちらは黄色くなってから虫あみでそっと手繰り寄せて追熟させてから梅干しにします。
傷がついてないものを選んでよく洗い、ヘタを竹串の先で取って、できるだけ小さく数箇所穴をあける。