井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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からし菜・辛子菜・カラシナ・発酵食

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からし菜はアブラナ科の越年草で、青梗菜や白菜などと同じ仲間です。金沢では伝統野菜として知られ、からし菜漬けが有名ですね。からし菜の辛子は種子の意味で、和辛子を指し、独特のほろ苦さや辛味が特徴です。
中医学ではからし菜には食欲不振を改善したり、冷えからくる胃痛によい効能が期待できます。漬物やお浸しなどにされることが多いのですが、今日は葉が元気なからし菜が手に入ったので硬い茎の部分は炒め物に使い、葉の部分でキムチを作りました。写真はでき立てのもので、和えてすぐのフレッシュ感が現れていますね。ごはんと具沢山のスープがあれば立派なお膳になります。1ヶ月後の酸味が出た熟成キムチもまた楽しみ。

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さやえんどう・絹さや(きぬさや)

春らしい優しい色合いのさやえんどう、最盛期は3月〜6月頃。さやえんどうにはカロテンやビタミンB1やCが豊富なので免疫力を高める働きがあります。加熱調理はできるだけ短時間を心がけ、歯切れの良い食感を残し、栄養の損失を防ぎます。彩としてで添えられることの多いさやえんどうですが、副菜で使ってしっかり量を食べたいですね。
さやえんどうは茹でる前に冷水に5分くらい放すとピンと元気になり、熱伝導がよくなります。筋を取って塩茹でしますが、塩だけで なく砂糖少々を加えると彩りよく茹で上がり、かつ青臭さが抜けます。冷水で冷やして色止めする時は、風味を大事にしたいなら冷水に取らず、ザルにおいて仰ぎましょう。オイル蒸し、お浸し、玉子とじなどシンプルに調理して、たっぷりと春の息吹を堪能してください。
中医学では、さやえんどうは春の食養生として、脾胃を健やかに保つ甘みのある野菜とされています。エネルギーを補い、体内の湿気をとり、イライラやストレスを緩和するとされています。

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苺・いちご・strawberry

井澤由美子・薬膳:漢方・喉の渇き・苺・いちご・イチゴ・肌養生・風邪予防

冬から出回りますが、春先は香り豊かで美味しいですね。いちごはビタミンCが豊富で肌養生や風邪予防にも良く、コラーゲンの生成にも役立ちます。いちごは体にこもった余分な熱を下げたい時にもお勧めの果物です。5粒程度食べると1日分のビタミンが得られるそうです。できるだけヘタが緑でピンと張り、実に傷がないものを購入します。ヘタを落とすと切り口からビタミンCが流出するので、洗う時はヘタつきのままでさっと洗うようにしましょう。
毎年作るいちごのビネガーシロップは姪っ子達にも大人気。ミルクを加えると少し固まって、ヨーグルトのような食感になります。
いちごに含まれるアントシアニンは、牛乳の脂質と結び付くと吸収率が高まります。子供の頃にはお砂糖と牛乳が私の中でも名コンビでした、昔ながらの組み合わせには意味があるんですね。

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はまぐり・蛤

温泉の露天風呂では、いつも思わぬ情報が得られるから侮れない。千葉県・九十九里の漁師さんの奥さんが言うには、「はまぐりは、冬は小さくて夏は固くなる。3月終わりか4月初めくらいが一番良いだしが出て、柔らかくておいしいよ!」。
いつもは酒蒸しやお椀、煮はまや焼きはまいただきますが、ベトナブ風もお勧めです。はまぐり、酒、パイナップルの薄切り、レモングラスをフライパンに入れてふたをして蒸し焼きにし、貝が開いた順に取り出す。シンプルながらも旬のうまみと、爽やかな香りがクセになります。キリッと冷やした泡や、白ワインが相性ば抜群。はまぐりは旨みが強いだけでなく、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、鉄分、アスパラギン酸などが含まれており、疲労回復にも効果的です。

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ナポリタン・贅沢ナポリタン・スパゲティー

ナポリタン・パスタ・スパゲティー

日本生まれのナポリタン、マニアの方もいらっしゃいますね。やわらかめの麺で作られるケチャップ味のスパゲッティは今でも喫茶店のメニューのエース的存在。洋食屋さんやお弁当にお料理のガロニ(付け合わせ)としてケチャップ味のスパゲッティが添えられていることがよくありますが、これはフランス料理からの名残です。
あり合わせの材料で楽しむお家ナポリタンですが、今日は蒸したカキがあったので、ベーコン、玉ねぎ、ピーマンと一緒に具にします。ナポリタンのポイントは、具材を炒めたらフライパンの端に寄せ、空いた部分にケチャップを入れて温める事です。火を入れることで酸味がマイルドに仕上がります。
カキのベーコン巻きや、カキのケチャップソテーなどのお惣菜がありますから、ナポリタンにカキを入れても違和感がなく、贅沢ナポリタンとなりました。
隠し味は、バターと少しのオイスターソース(カキが主原料の調味料)。栄養バランスも良いスパゲッティーです。

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白きくらげ・木耳・美肌スープ・肌乾燥

この季節は、肌が乾燥しますね。白きくらげは、貴婦人の美容食と言われるほど肌を潤す食材。下処理として、たっぷりの湯で下茹でとろみがでるまで約1時間半ほど茹でます。コラーゲンと旨味の素となる骨つき鶏(塩麹をもみこむ)と一緒にさらに煮込むと、最強のツヤ肌スープになりますよ。その際、体を温め滋養のあるものをプラスします。生姜のスライス、松の実、クコの実、ナツメ、玉ねぎや長ねぎなどを加えてゆっくり煮込み、薄味に仕上げます。胃腸を整え、冷えも改善する丁子(クローブ)をアクセントに加えても良いでしょう。器によそい粗塩を添え、好みで黒こしょうや山椒をふって全体を引き締める。下茹でした白きくらげは甘味にも良いものです。

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雛祭り(ひなまつり)・錦糸たまご

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今日は雛祭りですね。女の子の無病息災を願う桃の節句。幸せな結婚ができるようにという願いも込められています。子供が幼少の頃、お友達も遊びに来るので、毎年ちらしずしを作りました。たっぷりの錦糸たまごは幸福感があるので沢山のせます。失敗しない錦糸たまごの作り方をご紹介します。ボウルに卵2個、卵黄2個分、水で溶いた片栗粉、みりん、塩各少々を合わせてしっかり溶きほぐす。フライパンを熱し、油をなじませたら、一度濡れ布巾において温度を少し下げます。再度火にかけて温めたら、卵液を数回に分けて流して薄く広げる。表面が乾いてきたら火を止めます、余熱で火を入れると、しっとりと卵色が映える仕上がりになります。数枚重ねて半分に切って更に重ね、クルクルと巻いて極細切りにすれば、きれいな錦糸たまごの完成です。

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・風邪予防・食養生・きんかん・金柑・喉の痛み・キンカン・柑橘類・薬膳・

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新玉ねぎ・消化促進

白くて柔らかい新玉ねぎがスーパーに出回っています。辛味がなくみづみずしいので、スライスして生のままいただけます。山地の農家さんは栄養が逃げるからと、水にさらしません。調理をする時も火入れの時間は短くするそうですよ。少し厚切りにし、煮えばなのおみそ汁や卵とじにするのもいいですね。新玉ねぎのシャキシャキした食感は心地よく甘味があって美味しいので、旬には薄切りを山盛りにして、たっぷり堪能したくなります。
新玉ねぎはオリゴ糖を多く含み、腸内環境を良くする他、疲労回復を手伝う成分など沢山の効果があります。薬膳では、消化不良を改善し、お腹の張り、ゲップや吐き気などに有効とされています。購入する時は、隙間がなくずっしりと重たく、球状で先端が細めのものを選びます。新玉ねぎでも匂いや辛味を感じて気になる方は、切った後少しおき、空気に触れさせて少し置いてからいただくと和らぐようです。

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金柑・きんかん・のどの痛み・薬膳

・風邪予防・食養生・きんかん・金柑・喉の痛み・キンカン・柑橘類・薬膳・

この季節は柑橘類が種類豊富に出回っていますが、皮ごと食せる金柑がとても美味しいですね。ヘタが緑で艶がよく、より赤みの強いものを購入します。よく洗って皮ごと存分に楽しみます。喉にもよい金柑は甘露煮にしたり、コンポートにして保存しても。きんかんを2、3分下茹でしてアクを抜きます。はちみつに漬けるだけでも良いですが、鍋に移して金柑n分量の半量くらいのきび砂糖とかぶるくらいの水、酢か白ワインを少々加え、とろみが出るまで煮詰めます。煮物や酢豚などに入れると味に奥行きがでます。鶏肉や鴨肉などともよく合いますよ。お菓子は、タルトやソルベになどにすると爽やかです。
金柑はビタミンCが豊富で、風邪予防やアレルギー対策に有効。また皮に含まれるヘスペリジンはポリフェノールの一種で、ビタミンCの吸収を高めます。
香りには気の巡りをよくする効能があり、ストレスを緩和し心を落ち着かせます。
写真はドライ金柑です。皮ごと薄切りにして1〜3日間干すだけ(干し加減はお好みで、個体差や日差しの強さでも変わる)セミドライならサラダに散らす、ケーキの飾りにすると可愛い仕上がりに(セミドライの金柑は冷蔵庫で保存します)。しっかり乾燥させたものは、お茶や飲み物に加えると甘みがほんのり移ります