井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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花山椒・山椒の花・山椒(さんしょう)・スパイス

一年に一度、ほんの一瞬の短い期間だけ楽しめる花山椒(山椒の花)。上品な風味を生かして酢の物、和え物、椀物に入れます。この時期なら掘りたての筍と炊いても美味しい。割り下にこれでもかと花山椒を入れ、薄切りの牛肉をさっとくぐらせて煮えばなをいただくのもオツ。
雌木になる実は6月頃に出回るものは青山椒とも呼ばれ、秋以降に完熟したものを乾燥させて挽くと粉山椒になります。山椒の香りが大好きな私は、毎年そわそわしながら庭の木になる花や実を心待ちにしています。花、葉、実、皮のすべてが楽しめる山椒、昔はお腹の虫くだしに良いとされていました。
薬膳では山椒は身体を温めて胃の調子を整え、気の巡りをよくするとされています。実山椒の塩漬けを沢山仕込んで1年中料理に使用しています。

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クレソン・オランダガラシ・鷄つくね鍋

クレソン・つくね鍋・オランダガラシ・野菜・西洋芹

デトックス作用が強いクレソン。ウオータークレス、和名を水ガラシ、オランダガラシと言います。
抗酸化作用のあるBーカロテンやビタミンCが豊富です。奥底にはピリッとする少しの辛さが感じられます。ワサビや大根の辛味成分と同じです。清々しいクレソンは、大人になってから好きになった香味野菜。消化を助け、口の中もサッパリさせてくれるので、肉料理の付け合せやサラダに最適です。私が一番好きな食べ方は、クレソンをたっぷり食べられる “ お鍋 ”です。春のクレソンは茎が細めで柔らかく、お鍋に向いています。昆布出汁が入った鍋に、鶏つくねのたねをスプーンで丸くポンポンと落とし、火を通したら、クレソンをそっと横たえるように置いてサッと煮ます。
野菜はクレソンだけ、他の野菜は入れない方が、味が濁らなくていいと思います。ジャコをごま油でカリカリに炒め、ちぎったったクレソンにたっぷり散らしたサラダもシンプルで美味しいです。

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春キャベツ・乳酸キャベツ・快腸美肌・発酵食

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乳酸キャベツは、シュークルートやザワークラウトと変わらぬ漬物ですが、体に良くて簡単なのでぜひ手作りしてみて下さい。毎日食べると、自分の体が変わるのが実感できます。乳酸菌と食物繊維の働きにより、腸内環境が整い、便通がよくなります(少しオイルを垂らして食べるとさらに効果が上がります)。キャベツに含まれるビタミンU(別名:キャベジン)が胃腸を丈夫にします。 腸の調子がよくなると、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の分泌が促され、精神的にも安定するそうです。乳酸キャベツの作り方をご紹介します。材料は、キャベツ1個(1kg)、粗塩小さじ4〜5、きび砂糖小さじ2だけ。キャベツは千切りにし、他の材料と共に袋に入れ、しんなりするまで袋の上からもみます(清潔な手で直接もんでもOK)。重石をのせて2、3日常温におくと発酵し、酸味が出ます。発酵後は清潔な容器に移し冷蔵庫へ。約1か月保存できます。
そのまま食べてもよし、さまざまなメニューに取り入れてもよし。 使いやすいのも魅力のひとつ。風味が良い生姜の細切りや山椒の実の塩漬けを加えるのもお勧めです。
写真は乳酸キャベツの著書より掲載。通年仕込みますが、キャベツが旬の春になると特にたっぷり作ります。(春きゃべつは一個の重さが軽めなので、重量に注意してくださいね)。冷蔵庫の扉をあけると乳酸菌たっぷりのさっぱりしたキャベツが待っています。

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イングリッシュマフイン・発酵バター・発酵

バター・発酵バター・発酵・butter・

最近、イギリスの朝食によく出てくる丸いイングリッシュマフィンにハマっています。カリカリっと香ばしくトーストした匂いがキッチンに広がると、パンを焼くだけなのに幸福感がいっぱい。目についた果物にきび砂糖とレモンを加えて煮た温かいジャムを添えるのがまたよくて(今の季節はいちごや柑橘類)。甘い香りにも癒されて、セロトニン(幸せホルモン)がたくさん分泌します。
マフィンはナイフで切らずに横にして、厚みの中央にフォークをさして一周させ、手で割りこんがりトーストしてみて下さい。表面がサクサクして美味しく感じますよ。マフィンに合わせたいのが発酵バター。生クリームに乳酸菌を加えて発酵させたもので、普通のバターより少し高価ですが、芳醇な香りやコクが楽しめます。

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ミント・フレッシュミントティー・ハーブティー

花粉症・ミント・スペアミント・ペパーミント・ミントティー・ハーブティー・ティータイム・お茶

庭のミントがスクスク育っています。中医学でミントは生薬として昔から用いられてきましたし、古代ローマでは入浴剤としても珍重されていました。その清涼感と殺菌作用から、アロマオイルや精油、歯磨き粉やガムの香りづけ、化粧品、虫除けなど様々なものに昔から使用されています。代表的なミントは特にメントールの香りの強いペパーミントと穏やかな香りのスペアミントの2種類。胃腸を整えたり、口臭予防、気持ちを落ち着かせるなどの効能があります。朝起きぬけに熱いミントティーを口にすると活力が湧きますよ。ミントを水でよく洗って千切りにし、すり鉢やボウルなどに入れ、きび砂糖を加えてすりこぎなどで潰す。ポットに入れて、熱いお湯を注いで蒸らせばでき上がり。花粉症対策にもよいハーブティーです。

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新じゃがいも・ポテトパンケーキ・ポテトフライ

ホットケーキミックス・じゃが芋・新じゃが・春野菜・パンケーキ・野菜パンケーキ・ポテトフライ・レシピ

じゃが芋は、ビタミンCが豊富。でんぷんに守られているのでビタミンCの損失が少なく、加熱調理に向いています。
ポテトサラダなどで余ったマッシュしたじゃが芋を少し取り置き、休日の簡単おやつを作ります。
ホットケーキミックスにじゃが芋とチーズを混ぜて焼くとポテトパンケーキの完成。柔らかく練ったバターをたっぷり添えていただきます。チーズドッグのような味わいです。好みでシロップをかけても。
じゃが芋の栄養成分は皮に近い部分に多いので、皮ごと食べるのがお勧めです。特に柔らかい新じゃが芋は、皮付きフライドポテトにも向いています。下ゆでもいらず、60度くらいの低温の油でゆっくり揚げると、じゃがいものでんぷんが酵素によって分解され甘みが出ます。粗塩にスパイスを混ぜてしっかり目に振ると美味しいですね。パプリカ、挽き立てのこしょう、ナツメグなども合いますよ。学生の頃、友達とよく食べたシェーキーズの皮付き円形ポテトフライ。ソルト&ペッパーたっぷりのあの味が未だに私の中のポテトフライのモデルです。

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春の息吹・山菜(さんさい)・うど・うるい・デトックス

デトックス・蓬・ヨモギ・山菜・春の息吹・デトックス

つくし、かんぞう、うど菜、うるい、行者にんにくなどの柔らかい山菜を、昆布出汁でしゃぶしゃぶにしていただくのが毎年の楽しみ。山菜は春の息吹。香りが豊かで繊維が豊富(食べ慣れない方はほどほどの量で楽しんで下さい)。春野菜の苦味は、虫から身を守るためのアルカノイドに由来する成分で、デトックス効果が高いです。菜の花やふきのとう、こごみ、たけのこ、うどなどは独特の香りと風味、食感を楽しめる時期がとても短いので、私はこの時期は毎日何かしら毎日口にしています。香りは気の巡りもよくするのでストレス緩和にも良く、リフレッシュできます。
少し暖かい日は緑茶に柔らかな蓬を浮かべると、香りと成分で頭がスッキリします。

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山芋・長芋・山薬・さんやく・元気・滋養

井澤由美子・食養生・薬膳・漢方・山芋・長芋・芋・さんやく・山薬・とろろ・滋養・元気

まだ少し肌寒いこんな日は、温かい椀ものと簡単で滋養のあるものを食したい。ちょうど昨日、みずみずしい春大根と山芋に出会ったので、今日は大根たっぷりの豚汁ととろろごはんにします。
山芋には血糖値を下げる効能があるので、糖尿病や成人病予防に特にお勧め。ぬめりが滋養強壮効果を高めるので、おろしてとろろ汁にするとより身体に吸収されやすくなります。みそや梅肉を混ぜるお味もよくなり、胃腸の働きを促進する効果も上がります。よそ行きにしたい時は卵白を泡だて、とろろに混ぜ込むとフワフワに。器に入れて、残りの卵黄を添えていただきます。春掘りの長芋は今が旬で、栄養価も高いので私は日常的に口にしています。
薬膳では山芋は山の薬とかいて山薬(さんやく)と呼ばれるほど滋養があると言われています。身体がちょっと疲れた時、胃の調子が悪い時、元気になりたい時にもとろろはおすすめです。温かい具沢山の汁物と合わせれば、バランスの良いご馳走に。腸内環境もよくするので免疫力を上げる手助けとなります。

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花祭り(お釈迦様の誕生日)    ・甘茶・灌仏会

甘茶・灌仏会・花祭り・花まつり

お釈迦者様の誕生日は灌仏会(かんぶつえ)、仏生会(ぶっしょうえ)ともいい、明治以降に花祭りと呼ばれるようになりました。4月8日は、お堂を春の花で華やかに飾る風習があり、お釈迦様の頭上から甘茶を注ぎ、参拝します。これは “ お釈迦様がお生まれになった日に、天から甘露の雨(つゆ)が降った ” という由来からだそうです。甘茶は、砂糖より何倍もの甘さがあります。
甘茶(アマチャ)は植物名で、山紫陽花の変種。夏に葉を採取し、茎や葉を蒸したり、発酵させたりした後、乾燥させて煎じたものです。
葉は生薬で、苦味があります。抗アレルギー作用、抗菌作用、利尿作用などがあり、口臭除去や食欲不振に良いそうです。

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花わさび・花山葵・三杯酢・甘酢漬け

井澤由美子・抗菌作用・食養生・ヒーリングフード・薬膳・花わさび・三杯酢・レシピ・春野菜・山菜

2月頃〜4月頃までが旬の花わさびは、白い小花が可憐ですね。清らかな清流が流れる畑には、蝶が舞っていました。わさびは花のつぼみや葉もたべられます。爽やかでピリッと美味しいわさびの酢漬けの作り方を農家さんに教わりました。
花わさび(約350g)は、葉や茎をよく洗い、2、3cmのざく切りにしてボウルに入れます。粗塩適宜を全体にふってしんなりするまで塩もみします。よくもむと細胞が壊れてわさびの辛味や香りが立ちます。この間に密封容器に甘酢(昆布酢か酢150cc、きび砂糖80g、醤油小さじ2)を合わせます。
塩もみした花わさびをざっと水で洗って熱湯をまわしかけ、ギュッと水気を絞る。冷蔵庫に1日置いて食べられますが、3日くらい経っても美味。私はここに、少し甘みのある柑橘を絞り、春の風味を満喫します。
抗菌作用の高い山葵は解毒作用もありますね。花や葉は、歯ざわりもあって爽やかな辛味がクセになります。