井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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柏餅・かしわもち・子供の日

柏餅・節句・子供の日・まいにち食薬養生帖・食養生・二十四節気

5月5日は子供の日。端午の節供、菖蒲の日とも呼ばれます。菖蒲やよもぎを湯に入れて、その香気で邪気を払い無病息災を願う。薬湯につかる風習がありますね、私も子供の頃に1度だけ入った記憶があって、独特な香りをよく覚えています。菖蒲は尚武にかけており、勇ましく健やかな男の子の成長を祈願。同じく単語の節供を願う武者人形や気持ちよさそうに風にそよぐ鯉のぼりを観ると、素敵な風習だなと感じます。
柏餅をいただく由来は、柏の葉は新芽が出るまで古い葉が落ちないので「家系が絶えない・子孫繁栄」という縁起をかついで広まりました。
店先には柏餅と中国から伝えられたちまきも肩を並べていますが、地域によって包む葉や呼び名が違う事もあるようです。
みそあんの柏餅を家族へのお土産に買いました。大人ばかりなので、お赤飯や魚のカブト焼きを食卓に並べましょうか。

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新茶・緑茶・お茶・グリーンティー・八十八夜

薬膳・食養生・緑茶・新茶・お茶・カテキン・清熱。グリーンティー

八十八夜のお茶のお話
雑節の一つで、立春から数えて88日目にあたる日が八十八夜で、今年は5月1日でした。明日の5日から立夏になります。昔から季節の変わりめの目安として、八十八夜は夏への準備を知らせる縁起のよい日とされてきました。朝、手摘みされた新茶は上質で不老長寿の縁起物ともされています。実際にこの季節の新茶は清々しく、旨み成分をたっぷり含み、渋みや苦みも少ないのが特徴。緑茶は虫歯予防、口臭予防効果もあるので、食事時にいただくのは理にかなっています。ビタミンCも豊富で、身体の余分な熱をとって頭をスッキリさせる効果も。
毎年、夏も近づく八十八夜〜(茶摘みの歌)。と頭の中で口ずさみながら、まずは新茶を楽しみます。少し汗ばむこの時期には、茶葉の上に大きめの氷をいくつかのせて自然に溶けるのをまって、極上の氷茶を愉しみます。一晩冷蔵庫に入れておくのも手。この方法だと味の違いがよく分かり、カフェインも少なく胃にも優しいのです

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新生姜(しんしょうが)・生姜・ginger ・生薬・ジンジャーエール

ジンジャーエール・新生姜・生姜・スパイス・ジンジャーエール・ginger

新生姜を薄切りにして甘酢に漬けたガリは、薄紅色できれい。身体もシャキッとする味です。刻んでごまとご飯に混ぜるだけで防腐効果が上がるので、お弁当などにも最適。疲れもとれます。スライスして甘酢に漬けることが多いのですが、皮つきの丸ごと生姜を、みそやたまり醤油、梅酢につけたものもお勧め。よく漬かったものはみじん切りにして納豆に入れたり、お吸い物、炒め物の味付けに使うとそれだけで下味がつき、コリコリと食感のよいアクセントになります。
生姜に甜菜糖やはちみつとスパイスを加えた煮詰めた生姜のシロップ(ジンジャーエールの素)は、、疲れた時に炭酸や水、お湯で割って飲むと元気が出ます。シロップを作る時に丁子(クローブ)を加えるとしゃっくりが止まると言われていますよ。免疫力が大事な時、生薬でもある生姜は、胃腸の冷えをとる薬でもあります。

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煮卵・味付け卵・たまご・薬味・スパイス

玉子・卵・煮卵・薬味・スパイス・ゆでたまご

卵は良質なたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどがバランスよく含まれる完全栄養食品です。身体に必要不可欠な必須アミノ酸の9種類を含み、疲労回復や筋肉強化を促してくれます。
緑黄色野菜などを足して、食物繊維やビタミン類を補えばバランスの良い一皿になるので、日常食として手軽ですね。ゆで卵の作り方です。卵の丸みが広い方に画ビョウで穴を一箇所開け、塩と酢各少々を加えた沸騰湯に入れて茹でます。黄味をとろみのある状態にしたいなら5〜6分、半熟状態なら7〜8分、固ゆで状態なら11分ほど茹でます。この目安を覚えておくと便利。直ぐに冷水にとると皮がスルリとキレイにむけますよ。味付け卵もお勧めです。酒、醤油、みりん各同量、きび砂糖少々を一煮立ちさせ、粗熱が取れたら密封袋に移す。そこに殻を剥いたゆで卵を食えて一晩漬ける。タレを作る際に、好みで昆布や生姜、にんにく、長めぎ、赤唐辛子、八角など旨みや風味をつけても良いものです。これらの薬味は、美味しさはもちろんですが、身体を温めて血行を良くし、保存効果を高める手伝いをします。

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セロリ・オランダ三つ葉・アンチョビセロリ

・まいにち食薬養生帖・セロリ・オランダ三つ葉・食薬

もともと薬草だったセロリの香り成分には、春先に起こりやすいストレスを軽減する効果が期待できると言われています。キャベツと同じように、ビタミンUも含まれるので、胃の粘膜を修復する手助けもします。特に栄養価が高い葉は、刻むなどしてぜひ調理して下さい。カリウムも豊富で、血圧が気になる方にお勧めの野菜です。
一番好きな食べ方に、アンチョビセロリがあります。筋を取ったセロリを5cm幅に切り、氷の上に置いたら、軽く刻んだアンチョビを散らし、レモン果汁をたっぷり絞ります。この上に挽きたての胡椒を散らすだけですが、アンチョビの塩気とレモンの酸味、セロリの香りと三位一体になって後を引きます。冷たいことも美味しさのポイントです。日中は少し汗ばむこの頃、キーンと冷えた白ワインのお供にピッタリ、休日の家呑みにいかがですか?

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アーティチョーク・朝鮮あざみ

アーティチョーク

アーティチョークの和名は朝鮮あざみです。原産地は地中海周辺のエリアで、日本には江戸時代にオランダから伝わったと言われています。アーティチョークは扱いにくいように思われがちですが、塩茹でするだけで食べられる野菜です。食べるところは少ないのですが、柔らかい芯の部分はまるで上質な筍のようで、アクの出方も似ています。下ごしらえは、茎部分を切り離して皮を剥き、先端の尖った部分を切り落とします。鍋に入れて、たっぷりのと水と塩、レモン果汁適宜を加えて柔らかくなるまで20〜30分茹でる(または逆さに置いて蒸す)。粗熱がとれたら1枚ずつ外してお皿に並べ、マヨネーズやビネグレッド(フレンチドレッシング)などをつけて柔らかい部分を歯でしごくようにして食べます。他にはない食べ方がユニークなのと、独特の味わいで毎年食べたくなります。

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行者にんにく・アイヌネギ・ヒトビロ・キトピロ

まいにち食薬用養生帖・食薬・免疫力・行者にんにく・山菜・アイヌネギ・キトビロ・ヤマビル・醤油漬け・天麩羅

行者にんにくは山菜で、別名はアイヌネギ・ヒトビロ・キトピロで可愛らしい響きです。花が咲いて食べ頃になるまで、5〜7年ほどの長い期間がかかるそう。にんにく、ニラ、玉ねぎと同じユリ科のネギ属多年草で、北海道の天然ものは3月〜6月頃が旬となり、希少な特産品です。
アイヌの人達は春に採集し、乾燥させて保存をしていました。北海道で食べたアイヌ料理店の「オハウ」(鮭や鹿、野菜を煮たスープ)にも入っていて、滋養をつけながら魚の生臭さを緩和する効果もあるようです。
私の行者にんにくのしょうゆ漬けは、山菜名人仕込み! ゆでずにざくざく切って漬けるだけ。山菜名人宅で、これを炊き立てのごはんに卵黄といっしょにのせてごちそうになり、美味しくてやみつきになりました。私流に昆布の端切れを加えて一緒につけています。にんにくの風味が移ったしょうゆは和え物に使ったり、卵黄をつけたりして楽しんでいます。行者にんにくは抗菌作用が高いアリシンを多く含み、免疫力を上げてくれます。香りからしてとての元気が出ます。

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花山椒・山椒の花・山椒(さんしょう)・スパイス

一年に一度、ほんの一瞬の短い期間だけ楽しめる花山椒(山椒の花)。上品な風味を生かして酢の物、和え物、椀物に入れます。この時期なら掘りたての筍と炊いても美味しい。割り下にこれでもかと花山椒を入れ、薄切りの牛肉をさっとくぐらせて煮えばなをいただくのもオツ。
雌木になる実は6月頃に出回るものは青山椒とも呼ばれ、秋以降に完熟したものを乾燥させて挽くと粉山椒になります。山椒の香りが大好きな私は、毎年そわそわしながら庭の木になる花や実を心待ちにしています。花、葉、実、皮のすべてが楽しめる山椒、昔はお腹の虫くだしに良いとされていました。
薬膳では山椒は身体を温めて胃の調子を整え、気の巡りをよくするとされています。実山椒の塩漬けを沢山仕込んで1年中料理に使用しています。

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クレソン・オランダガラシ・鷄つくね鍋

クレソン・つくね鍋・オランダガラシ・野菜・西洋芹

デトックス作用が強いクレソン。ウオータークレス、和名を水ガラシ、オランダガラシと言います。
抗酸化作用のあるBーカロテンやビタミンCが豊富です。奥底にはピリッとする少しの辛さが感じられます。ワサビや大根の辛味成分と同じです。清々しいクレソンは、大人になってから好きになった香味野菜。消化を助け、口の中もサッパリさせてくれるので、肉料理の付け合せやサラダに最適です。私が一番好きな食べ方は、クレソンをたっぷり食べられる “ お鍋 ”です。春のクレソンは茎が細めで柔らかく、お鍋に向いています。昆布出汁が入った鍋に、鶏つくねのたねをスプーンで丸くポンポンと落とし、火を通したら、クレソンをそっと横たえるように置いてサッと煮ます。
野菜はクレソンだけ、他の野菜は入れない方が、味が濁らなくていいと思います。ジャコをごま油でカリカリに炒め、ちぎったったクレソンにたっぷり散らしたサラダもシンプルで美味しいです。

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春キャベツ・乳酸キャベツ・快腸美肌・発酵食

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乳酸キャベツは、シュークルートやザワークラウトと変わらぬ漬物ですが、体に良くて簡単なのでぜひ手作りしてみて下さい。毎日食べると、自分の体が変わるのが実感できます。乳酸菌と食物繊維の働きにより、腸内環境が整い、便通がよくなります(少しオイルを垂らして食べるとさらに効果が上がります)。キャベツに含まれるビタミンU(別名:キャベジン)が胃腸を丈夫にします。 腸の調子がよくなると、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の分泌が促され、精神的にも安定するそうです。乳酸キャベツの作り方をご紹介します。材料は、キャベツ1個(1kg)、粗塩小さじ4〜5、きび砂糖小さじ2だけ。キャベツは千切りにし、他の材料と共に袋に入れ、しんなりするまで袋の上からもみます(清潔な手で直接もんでもOK)。重石をのせて2、3日常温におくと発酵し、酸味が出ます。発酵後は清潔な容器に移し冷蔵庫へ。約1か月保存できます。
そのまま食べてもよし、さまざまなメニューに取り入れてもよし。 使いやすいのも魅力のひとつ。風味が良い生姜の細切りや山椒の実の塩漬けを加えるのもお勧めです。
写真は乳酸キャベツの著書より掲載。通年仕込みますが、キャベツが旬の春になると特にたっぷり作ります。(春きゃべつは一個の重さが軽めなので、重量に注意してくださいね)。冷蔵庫の扉をあけると乳酸菌たっぷりのさっぱりしたキャベツが待っています。