井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

7/14

小豆(あずき)・あずき茶・薬膳・デトックス

あずき・小豆・小豆茶・薬膳

あんまり甘いものが得意じゃない私でも、小豆たっぷりの豆大福などをいただくとホッとして気持ちが穏やかになります。甘みや舌触りもさることながら、身体にたまった余分な湿(水滞・すいたい)を取る小豆を心地よく感じるのかもしれません。湿気が多いこの季節は、特に体内に水分が溜まりやすく、体が重い、頭痛がする、膝などの関節が痛い、睡眠が浅いなどの症状が出やすくなります。
昔から日本で食されている小豆は、湿をとり解毒作用があると言われています。利尿作用も高いのでむくみ解消に有効で、理にかなっていますね。ハトムギやとうもろこしなどもお勧めです。
最近では、食べやすい蒸し小豆なども販売されているので、そのままつまんでおやつにしてもよし、シチューやスープ、サラダに加えても。私はむくみが気になる時は、洗ったあずきをゆっくりから炒りし、煮出したあずき茶を飲用します。

7/10

ズッキーニ・夏野菜・冷凍

北海道・まいにち食薬養生帖・ズッキーニ・夏野菜・農家さん

ズッキーニはきゅうりに似ていますが、西洋南瓜の一種。豊富なカロテンやビタミンCは肌に潤いを与え、体の余分な塩分を排出するカリウムも含んでいます。広大な畑ですくすく育つズッキー二畑にお邪魔しました。バナナのような元気な黄色のズッキーニがたわわです。皮が柔らかく滑らかな肉質なのでそのまま薄切りにし、摘みたてのバジルを加えたビネガードレッシングと和える。体にカロテンとオイルの組み合わせで栄養素を摂取しやすいシンプルレシピです。少し厚めに切って薄い衣にくぐらせて揚げたフリットもお勧め。ライトな仕上がりになるコーン油か米油で揚げて下さい。
畑では他にも、かぼちょやとうもろこし、おくらなどが元気に育っている様子。農家さんの野菜の保存方法は多様で、ザブンと水にくぐらせ、できるだけ空気を抜いて冷凍するそうです。作り手から教わる何気ないけれど真似したくなる野菜の扱い方は、まだまだたくさんあります。

7/9

赤紫蘇ふりかけ・赤しそ・赤しそジュース・蘇陽

紫蘇葉・赤紫蘇・赤潮ジュース・赤しそ・赤紫蘇ふりかけ・ゆかり

すっきりとして、色あざやかな赤しそジュースを毎年仕込みます(レシピは6月12日)。
残った赤しそも活用できます。絞った後のしそは、粗塩、酢各大さじ2を馴染ませて水気をしぼってザルに広げて乾かせば、赤しそのふりかけになります。
漢方では赤しそは蘇陽(そよう)と呼ばれる生薬で咳止めや解熱剤、アレルギー症状の緩和などに使用されます。
赤しそは夏の疲れを癒やし、目の疲れ、視力向上に効果があるとされています。また、赤しそのアントシアニンには美肌効果が、香り成分が胃液の分泌をよくして消化を助けるなどの働きが期待できます。ハッとするほど美しいこの時期だけのジュース、濃縮にして保存すれば長く楽しめます

7/7

素麺(そうめん)・索餅・一夜酒・七夕

七夕素麺・素麺・そうめん・甘酒・一夜酒

お素麺はもともと中国の索餅(さくべい・小麦粉などを練って縄状にした揚げ菓子)が由来。「索餅を備えると流行り病にならない」という中国の故事から、無病息災を祈って七夕にいただく風習が広まりました。

暑い日や、蒸し蒸しする日には食欲も落ち込みますが、冷たい素麺はスルスルと喉を通りやすい。甘辛く煮付けたおあげや蒸し鶏は殊の外よく合いますし、さっとゆでた豚肉、野菜のお浸し、薄焼き卵等を細切りにしたものなどを彩りよくトッピングするとバランスも良くなり食をそそります。その他に、梅干しを漬けた方は梅酢を梅雨に加えてみて下さい、さっぱりとして疲労を回復し食欲を促します。

今年の井澤家の七夕そうめんは、野菜たっぷりの緑の麺つゆにしてみました。ベランダ菜園で育ったしそ、きゅうり、オクラ、梅酢、白醤油をミキサーで混ぜて、酸味がある涼やかな大人向けのめんっゆに。最後に梅肉をあしらいます。
一夜酒(ひとよざけ)と合わせて風情も愉しみます。一夜酒とは一晩で仕込めるからなのか、甘酒のことを示します。
薬味は薬の味と書きますね。みょうが、にんにく、しょうが、しそ、三つ葉、ごまなどそれぞれ薬効があるのでたっぷり添えると、免疫力を上げる手助けをしてくれます。

7/6

スパイス・薬味・生薬・夏の不調

免疫力・薬味・スパイス・生薬・香辛料・井澤由美子・美肌・腸活・料理家・ハーブ

スパイスは植物(果実、根っこ、樹皮、種)から採取して作られ、料理やお茶などに複雑な香りや辛味、色味をつけ、臭みなどを取る為に使います。薬味や生薬など、国や地域で呼び名は違えど、世界中で古くから人々のカラダや心の不調を治してきました。何より食欲増進・消化促進効果が高いもの、、食品を傷みから守る抗菌作用や防腐効果にも優れたものなどもあり、料理以外の用途にも役立っています。旬に出回る身近なスパイスや薬味の薬効を感じながら見直してみると楽しいですね。
雨季や夏の不調を防ぐスパイスと薬味。スパイスを効かせたお料理をいただくと体が活性化するのがわかります。ぜひ日々の食卓に大いに活用して下さい。
これからは桃の季節になりますね。スパイスはデザートにも欠かせません。つやつやの桃のコンポートにほんの少しカルダモンを入れて微かに香らせると、実にエレガントでうっとりします。マガジンハウス「クロワッサン」の薬味とスパイスの特集では、沢山のスパイスをご紹介しています。

7/5

葡萄・ぶどう・美容サラダ

葡萄・ぶどう・ブドウ・眼精疲労・貧血・井澤由美子

世界中でみると約80%の葡萄の生産量はワイン原料になりますが、日本で栽培される葡萄の約90%は食用です。大きく分けると黒、赤、緑の3種、形や大きさ、色など様々です。最近では種無しで皮ごと食べられる葡萄の品種改良が盛んです。葡萄の皮には栄養があり、強い甘みは皮と実の間にあるので丸ごと口に出来るのは嬉しい限りですね。葡萄糖の名からも解るように体内でエネルギーに素早く変換されるので疲労回復に効き、脳も活性化し集中力を高めます。よく洗って冷やした葡萄のみずみずしさはパソコン作業の合間のおやつにもピッタリ、リフレッシュします。薬膳では、赤い皮の葡萄に貧血改善の効果があると言われていますよ。ポリフェノールの一種、アントシアニンには活性酵素を除去し、眼精疲労を改善するなど様々な効能が期待できます。ボウルの上で皮ごと食べられる葡萄を手で割き、酢橘やレモンの果汁、粗塩、オリーブオイル、葉野菜やトマトを混ぜたサラダは美しく体を潤してくれます。

7/4

ハーブ・パセリ・ハーブバター

井澤由美子・自然治癒力・整える・ハーブ・パセリ・ミント・香り

庭の菜園でグングン伸びるハーブは、切っても切っても後から伸びて頼もしい生命力。摘みたてのミントは心や脳内の疲れを優しく癒しててくれるような香りがしますね。お湯で煮出していただくと、神経がゆっくり安らいでゆくのがわかります。お風呂に入れて浮かべても良いですね。
柔らかい若緑色の日常的に楽しめるハーブです、口に含むとその若々しい息吹に細胞が活性化されていくように感じます。パセリはカロテンやビタミン類が豊富。消化を促進し、魚や肉の臭みを消す効果もあります。
彩りも美しいパセリバターです。バターを室温に戻し、刻んだパセリを加え混ぜます。オーブンペーパーなどで筒状に形を整え、そのままク冷蔵庫で保存します。(冷凍保存も可能)。パンを始め、肉や魚のソテー使うとコクと香りが楽しめますよ。

7/2

モロッコ料理・スパイス・ナツメグ・薬味・胃腸薬

フランス旅・井澤由美子・市場・モロッコ料理

写真はフランスマルシェ内にあったモロッコ料理店で食した想い出の一皿です。
羊肉のミートボール、皮付きピーナッツ、ドライフルーツ、カリフラワー、にんじん、玉ねぎ、にんにく、じゃが芋、トマト、ナスなどの野菜と複雑なスパイスが織り成す香りは、旅先で疲れた胃袋を刺戟する。スパイスは少量でも食材の臭みをおさえ、料理の味を引き立て、胃腸薬のような役割を担います。トマトベースの絶妙な味付けの柔らかい煮込み料理と、添えられた品のよいクスクスが馴染んでサラサラと胃に治まる。ツブツブ感の残る手作りのアリッサ(唐辛子ペースト)をつけながらいただきます。ナツメグがたっぷり使われていて、いい香り。私はスパイスのなかでも日頃からナツメグをよく使うのでこの香りに癒されます。
削りたてのナツメグは、パンチのあるスパイシーさの中に調和した甘い香りが素晴らしく、ストレスも軽減します。ナツメグは若返りのスパイスとしても有名ですよ。ぜひ料理に取り入れてみてください。

6/30

玉蜀黍・とうもろこし・とうきび・とうもろこしの冷たい昆布スープ

トウモロコシ・とうもろこし・玉蜀黍・モロコシ

とうもろこしは米、麦に並ぶ世界3大穀物。糖分が高いので、エネルギーの補給源にもなります。ひげ根が茶色くなってボリュームがあるもの、全体的に重くしまっているものを選び、鮮度が落ちやすいため購入したら直ぐに調理します。

毎年、生のトウモロコシを炊き込みごはんやかき揚げにするのが楽しみ。甘みを生かした和風スープにするのもいいものです。作り方は昆布を水につけておき、ここに実を削いだ後のとうもろこしの芯と新玉ねぎを入れて弱火にかけてフタをし、20分ほどゆっくり煮ます。芯からは旨味や風味が出るので出汁として他のお料理にもぜひ加えて下さい。とうもろこしの実を入れ、好みの加減に煮たらハンドミキサーで撹拌し、白みそを溶き入れれば出来上がり。温かくても美味、冷たく冷やすとさらに喉越しのよい冷製コーンスープになります。

とうもろこしには血液をサラサラにするリノール酸を含み、便秘改善に役立つ食物繊維が豊富です。ひげをお茶にして(コーン茶)飲む習慣が韓国にはありますが日本でも人気です。香ばしい中にほんのりとした甘みがあってノンカフェイン。美容に良く利尿作用があります。雨季になると体や頭が重くなりがちな(湿邪・水分や老廃物が溜まる)方には、特にお勧めの野菜です。

 

6/28

どくだみ・ドクダミ・漁腥草・十薬・虫刺され

井澤由美子・食薬・食養生・ドクダミ・どくだみ・十薬・魚腥草

ドクダミは、ドクダメからドクダミの名になったそうで乾燥させたものは「十薬」という生薬名がつくほど多くの薬効があります。
便秘、肌荒れ、高血圧の予防、利尿作用、アレルギー症状の緩和などに効能があるとされています、生命力のとても強い湿地を好む薬草です。
独特の苦味と香りがありますが、身体の老廃物を排出させるデトックス効果があります。
虫刺されにも効きますよ。ブヨに刺されて腫れた時にドクダミをホイルに包んでしばらく焼いてから、よく揉んだ葉を患部にこすりつけるとかゆみと腫れが治まります。どくだみの花を焼酎に漬けたドクダミチンキも効くそうで、これらは昔ながらの民間療法です。
薬効を気気軽に取り入れられるドクダミ茶の作り方です。ドクダミは開花時期(6〜8月)に、茎の部分から刈り取ってよく洗います。これを束ねて逆さにし、風通しの良いところでしっかり乾燥させます。3、4cmにカットし、保存容器に乾燥剤(お菓子や海苔などについているものでOK)と共に入れて保存します。湿気が気になるようなら極弱火で数分間乾煎りしてから容器へ。飲む時はホウロウのコナンべや土瓶に入れて水から弱火でゆっくり煎じていただきます。