井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

9/24

きのこ・椎茸(しいたけ)・免疫力

薬膳・まいにち食薬養生帖・きのこ・椎茸・しいたけ・免疫力

これから益々美味しくなるきのこ類。それぞれに異なる効能がありますが、共通して含まれる成分には食物繊維の一種、βーグルカンが有ります。このβーグルカンは、免疫力をアップさせる作用が知られています。

しいたけは、干すと骨を強化するビタミンDの含有量が増えます(日光にあたるとエルゴステリンがビタミンDに変わる)。お天気の良い時に1時間ほど干すだけなので手軽にできますね。コリコリとして旨味が凝縮、多めに作って冷凍保存しておくと便利です(旨味もuP)。

ちなみに椎茸は水で洗わなくて大丈夫です、石づきだけを落として、汚れがあったら優しく拭き取るだけで充分です。生の椎茸を炭火やグリルでシンプルに焼く時は、軸を上にして焼くと旨味を逃しません。塩を振って焼き、笠の中に水分が出てきたら、焼けてきた合図です。
きのこは数種類合わせるとそれぞれの旨味や食感が重なりあって、美味しさが増します。香りや歯ごたえを損なわない為に、なるべく短時間で調理して香りや歯ごたえも楽しんで下さい。

9/21

バナナ・栄養補給

バナナ・栄養俸給

日常のクイック栄養補給食としても人気のバナナ。ビタミン類やカリウム、エネルギーに利用されやすい糖類を含むので、スポーツする前後や疲れている時にお勧め。部活やジム、ゴルフなどの運動時に携帯する人も多いようです。
バナナは水溶性の食物繊維が豊富なので、便秘改善に効果があります。自律神経を整え、精神の安定に関わるセロトニンを作る材料のトリプトファンも含みます。牛乳や卵にも含まれるのでバナナミルクセーキを朝にいただくのもお勧め。夜質の良い睡眠をとれますよ。

バナナを購入する時は、色が濃い目で皮に傷が少ないものを選びます。食べごろはシュガースポット(黒い斑点)が出てきた時です。熟したバナナを少し温めて食べると、さらに甘みが立って美味しく感じますよ。

 

9/19

杏仁(きょうにん・あんにん)・杏仁豆腐・台湾・薬膳

台湾・杏仁豆腐・薬膳・杏仁

乾燥が気になる季節になってきました、喉の不調も多くなります。
薬膳では、喉の調子を整え、咳をしずめる効能が期待できるのが杏仁。杏子の種の中にある仁が杏仁です。温かいドリンクにすると香りも良くホッとします。
豆乳に氷砂糖と市販の杏仁粉を加えまぜて温めます。戻した薏苡仁(ヨクイニン・はと麦)や柔らかく煮た小豆を合わせてもいいですね。

体の余分な湿をとり毒素を排出する効果も期待できます。私の好きな台湾の杏仁豆腐屋さんは、手作りのやわらかなお豆腐を薄くすくって器に入れ、温かい杏仁風味の豆乳を注いでくれる。細めの揚げパンを浸していただくのですが、甘味はほんのりで朝食にもぴったり。地元の人ばかりで賑わう小さな市場(永楽市場)前の杏仁豆腐屋さん。台湾に行くと、必ず立ち寄るお店です。

 

9/18

落花生・ピーナッツ・ジーマミー豆腐作り方

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落花生・ピーナッツは南米原産の豆科の植物です。千葉の農家さんから立派な掘り立てをいただきました。洗って土を落とし、40分ほど茹でた後、皮を剥くと雪のように真っ白でした。土の香りがほんのり漂います。
口にするとコクがあってミルキー感が出ますが、後味はすっきりしています。沖縄の秘密のレストランで食べたジーマミー(地豆)豆腐を思い出しました。あまりに美味しくて作り方を教わりましたよ。まず水1カップとピーナッツ200gをミキサーに入れ滑らかにし、ザルに布やキッチンペーパーを敷いて濾す(豆乳と絞りかすができる。絞りかすはクッキーや卯の花などに)。小鍋に水1カップ、くず70〜80g、きび砂糖小さじ1〜2、粗塩小さじ半を入れて混ぜる。こした豆乳を加えて中火にかけ、木べらで混ぜながらプルンとなるまでしっかり練ります。出来立てを器に入れ、わさびと生醤油でいただく、もっちりして滋味深いお味です。生姜を加えたポン酢やみたらしあんでも美味。

落花生は生薬では血を止める、肺を補うとされています。たんぱく質、ビタミン、ミネラルが豊富、バランスの良い油分は血管を強くするそうです。カロリーがやや高めなので1日15〜20粒までにすると良いですね。

9/14

たまり醤油・醤油・発酵調味料

たまり醤油・醤油・発酵調味料

凝縮された旨味のたまり醤油は、とても魅力的です。普段のお惣菜では、使いやすく香ばしい香りの濃口醤油を使いますが、ここぞという時にはたまり醤油が登場します。旨味が凝縮されていて、色が濃いのに醤油の中でも比較的塩分が低いのもいいですね
濃口醤油の原型はたまり醤油で、主原料が違います。濃口醤油は小麦と大豆、たまりは旨味の元となる大豆がほとんどです。水に浸した大豆を、蒸してつぶし味噌玉を作ります。表面に麹菌をまぶしてムロに入れると、数日で麹菌が成長して発熱するので、室内の温度調節をし、熱を逃がすように手でほぐすなどの工程があります。ここまでの管理によって良品になるかが決まるそうです。この後、木桶に入れ食塩水を加えて重石をのせる。底のたまった液体(たまり)を下から上に循環させる工程を繰り返した後、3年間熟成させます。もろみを布に入れ、圧搾してやっと完成です。愛知県武豊町には昔ながらの木桶で作る志し高い蔵が密集していて、蔵に入るとそれぞれ違う香りがします(写真は桶に乗せた重石)。
地元ではお刺身や照り焼き、お煎餅になくてはならない調味料。霜降りしたマグロの漬けタレに、麻婆豆腐や焼き飯、デミグラスソースにもひとたらしするとグーンと美味しさが増します。
醤油の油という字ですが、油は使っていませんね。醤から出るとろみの意味合いから使われるようになったそうです。

9/13

米油・こめ油・クレープの作り方

米油・こめ油・クレープの作り方・クレープ

米油は100%お米を原料にした植物性の油で、ビタミンEが豊富です。酸化しにくく揚げ物がカラリと揚がります。加熱時に油特有の匂いが発生しにくく油酔いしないのも嬉しい利点です。米油は鶏肉の唐揚げや春巻きなど普段の揚げ物にお勧めです。

米油はクセがなく、サラリと軽い性質なのでお菓子作りにも大活躍します。今日は、思い立ったらすぐに作れるクレープを焼きました、とても簡単です。ボウルに卵1個を溶き混ぜ、小麦粉と牛乳を各1カップ、塩ひとつまみ、甜菜糖(砂糖)大盛り大さじ1、米油大さじ1を加えてよく混ぜます。後は、米油を馴染ませたフライパンを熱して、一度濡れ布巾の上で冷まします。再び中弱火にかけて、クレープ生地を薄く広げて焼くだけです。上記の分量で大体4枚分作れます(この生地は30分〜1晩冷蔵庫で寝かせると、また美味しくなります。好みで米粉を加えても)。
湯煎にかけたチョコレート、シュガーバター、ジャムやコンポートの甘い系はもちろん、生地がしっかりしているのでハムや卵、チーズを包んでブリトー風にしても美味しくいただけます。

 

9/9

アールグレイ・ベルガモット・紅茶

紅茶・アールグレイ・お茶

圧倒的な紅茶派です。ニルギリ、アッサム、ダージリン、高尾紅茶(台湾)など、気分によっていろいろいただきますが、とりわけ心を落ち着かせてくれるアールグレイが好きしす。
香り成分のベルガモットはイタリアで多く生産されるダイダイのような果実(マンダリンとの交雑種)で、苦味が強いので食用には向かず、主に果皮を使用します。アールグレイはこのベルガモットの精油で香りをつけた紅茶です。主成分の酢酸リナリルやリナロールはラベンダーにも含まれる成分で、気持ちを落ち着かせる効果が高いのです。高貴とも言えるその香りが、気の巡りを良くし、神経を落ち着かせてリラックスさせてくれます。
少し古くなって香りが飛んでしまった紅茶に、乾燥させたベルガモットの皮を一緒に入れて、数日保存すると香りが移ります。私は国産ベルガモットを入手した際に、皮を乾燥させて保存してあったものを使いました。

9/8

葛・くず・薬膳

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つるんとした喉越しのよい葛きりは涼しげ。まだまだ暑いので、甘味も良いですが、みょうがやしそ、ごまなどとお素麺のようにいただいても美味しいものです。

葛きり、葛餅など独特の食感が楽しい葛は、マメ科のつる植物で、根から採取されるデンプンが本葛粉となります。数年前に奈良県の本葛造りを見学してきました。本葛のお値段が少しよいのは、葛だけを材料にしているから(もちろん、効能も高い)。

極寒の頃に掘り起こして下処理し、何度も何度も水にさらし乾燥させるなど、とても手間がかかっています。くずの根といえば葛根湯ですね。風邪による症状で後頭部から首にかけての痛みを軽減する効能があるそうです。その他、葛はお腹の張りや胃腸の症状にも優しく作用します。

 

9/6

もやし・青森県大鰐温泉もやし

もやし・青森特産品・温泉もやし

飯田橋にある青森県のアンテナショップで見つけた特別長い豆もやしは「大鰐温泉もやし」。見るからに美味しそうです。聞けば根の部分も食べられるそうで、豆の部分を平貝の貝柱と一緒に、シンプルに塩味で炒め物にしてみました。旨味のあるシャッキリとした根と、柔らかい豆の風味が香る。芹の根の部分を食べますが、またそれとは違う風味で、他の野菜にはない旨味と食感があります。真ん中の繊細そうな白い部分はさっと茹でて揃えて切り、煎り酒でお浸しに。仕上げに庭の青ゆずの皮を少し削って香らせてみましたが、もやしとは思えない上品さです。

このもやしは、青森県中南地域に位置する大鰐町(おおわにまち)で作られる津軽伝統の冬野菜。約350年前から栽培され、温泉水のみで大事に育てられています。出荷される時は昔ながらの手作業の藁(わら)で束ねられるなど、伝統を受け継いでいます。
大鰐温泉の豆もやしは、門外不出の在来種「小八豆(こはちまめ)」の大豆から作られています。温泉水に含まれるミネラルやビタミン類、発芽させることで大豆の約2倍の栄養価があります。この美しいもやしに最近はまっています、蕎麦で育てられた蕎麦もやしもあるそうでこちらも興味をそそられます。

9/5

落葉きのこ・ハナイグチ・イクチ

落葉きのこ・きのこ

東京ではあまり見かけない落葉きのこは、落葉松(カラマツ)の木の下でよく見かけます。写真は数年前、北海道の美瑛で出会ったものです。表面はぬめりがあって、裏を見ると鮮やかな黄色で水分が多い感じがします。地元の方々に大変人気のある美味しいきのこで、見つけると皆さん楽しそうに採集していました。下処理として、汚れや虫を取る為に濃いめの塩水にしばらく漬けて除きます。

お味噌汁や鍋に入れたり、さっと湯がいて大根おろしでみぞれ和えにしたり、醤油漬けなどにして楽しむそう。肉厚なきのこなので、炒め物や揚げ物にしても美味しいです。採集して日にちが立つとなんと溶けてくる為、早めに調理します。
きのこはカロリーが低く、食物繊維が豊富、秋にたっぷり堪能したい味覚ですね。