井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

9/5

落葉きのこ・ハナイグチ・イクチ

落葉きのこ・きのこ

東京ではあまり見かけない落葉きのこは、落葉松(カラマツ)の木の下でよく見かけます。写真は数年前、北海道の美瑛で出会ったものです。表面はぬめりがあって、裏を見ると鮮やかな黄色で水分が多い感じがします。地元の方々に大変人気のある美味しいきのこで、見つけると皆さん楽しそうに採集していました。下処理として、汚れや虫を取る為に濃いめの塩水にしばらく漬けて除きます。

お味噌汁や鍋に入れたり、さっと湯がいて大根おろしでみぞれ和えにしたり、醤油漬けなどにして楽しむそう。肉厚なきのこなので、炒め物や揚げ物にしても美味しいです。採集して日にちが立つとなんと溶けてくる為、早めに調理します。
きのこはカロリーが低く、食物繊維が豊富、秋にたっぷり堪能したい味覚ですね。

 

9/4

モロヘイヤ・スパイス・夏バテ防止・薬膳カレー

モロヘイヤカレー・スパイスカレー・薬膳カレー・モロヘイヤ・王様の野菜・夏バテ防止

エジプト原産のモロヘイヤは、古代モロへーヤのスープを飲んで王様が病気から回復したとされ、その栄養価の高さから「王様の野菜」と呼ばれています。抗酸化作用が高く、豊富なビタミン類は葉野菜の中でもトップクラス。美肌効果もあるのでエイジングケアにもお勧め。かのクレオパトラも愛食していたそうです。
薬膳では、体内の水分を調節する(津液)を補う野菜とされています。今日のような猛暑日は特に消耗するので、疲労回復を助けるモロヘイヤはお薦めです。酢の物は夏バテ防止にぴったり。酢に含まれるクエン酸はエネルギー代謝を助け、疲れの元となる乳酸を分解します。同じく疲労回復効果のあるモロヘイヤと合わせると、さらに効果的。私はモロヘイヤの酢浸しをたっぷり作って冷蔵庫にストック。作り方は、簡単。モロヘイヤを茹でて水気をよく絞り、叩くように細かく刻んで粘りを出し、酢浸しにしてタッパーにたっぷり冷やしておきます。いただく時におろし生姜を添えます。心地よい辛味と香り、ひんやりした喉越で生き返ります。

もうひとつは名づけて「王様のモロヘイヤスパイスカレー」。唐辛子、にんにく、香りスパイス(カルダモンやコリアンダーシード、クミンなど)を40〜80度の間で油でゆっくり炒めて香りに華を咲かせます。スパイスは脂溶性のもが多いので油と合わせると良いのです。後はチキン、水、モロヘイヤを加え、好みの味に整えて煮込めば出来上がりです。

栄養価の高さと語源により陽が盛んで疲労する日には特にお勧めの野菜となります。

9/1

枝豆・えだまめ・山椒・お浸し・おつまみ

枝豆・お浸し・えだまめ・おつまみ

江戸料理に枝豆の東煮という料理があります。枝豆をさやごと醤油やみりん、唐辛子などと甘辛く煮て冷たく冷やしたもの、がなんとも粋。中身をだして出汁に漬けた出汁漬けは、透明な冷やし鉢に入れるとさらに涼しげで涼を呼ぶ。東北地方の郷土料理のずんだ餅も枝豆で作りますね、砂糖やもち米と合わさって滋養にもとてもよいものです。

枝豆は肝機能の働きを助けアルコールを分解するので、ビールの相棒的な存在。理にかなっていますね。ビタミンB1、B2を含む大豆にはないビタミンCとカロテンンも豊富。

ご存知の方も多いと思いますが、枝豆は大豆が未成熟の内に収穫したもの。私は菜園を借りていて、豆の種まきから味噌作りを毎年楽しんでます。

枝豆時期は枝豆おつまみをほとんど毎日作ります。今日は昆布だしと山椒の実の枝豆お浸しをキンと冷やして!

8/30

茄子(なす)・なすび・味噌炒め・夏野菜

なす・茄子・旬野菜・焼きなす

なすの原産地はインドと考えられています。16世紀のフランスでは有毒だとみなされて観賞用だったとか。なすを眺めていたなんて何だか面白いですね。
日本には平安時代の8世紀頃にお目見えしました。花も紫色で可愛いですが、採りたては鋭いトゲがあって刺さると痛いのでご注意を。なすは種類には、関東によく出回る千両なすを始め、長なす、水ます、米ます、地域特有のブランドなす、最近では美しい明るい紫色の丸Nasuなど多様に出回っています、海外にも青なすや白なすがありますが、卵のようなその形からエッグプラントとも呼ばれています。
いつものみそ炒めの仕上げに、ほんの少々コーヒーを加える、騙されたと思って試してみて下さい(なすのお料理にはできるだけ体を温める生姜、にんにく、ねぎなどを加えるとよいですね)。
ちなみに私がこの世で一番好きななすのお料理は、今はなき、新橋鮎正さんの鮎のうるかなす、島根本店(美加登家さん)の子持ち鮎はこれからが旬です。

8/29

糠漬け・ぬか漬け・免疫力・植物性乳酸菌・発酵食

ぬか漬け・発酵食・冷やしスープ・夏野菜・ギャバ・漬物・糠漬け

暑い時こそぬか漬け。
あせをかくのでぬか漬けの塩分が美味しく感じます。酸味も心地よく、ひんやり冷えた漬物は格別ですね。
腸には免疫細胞の6〜7割が集中しています。免疫力向上には腸内環境を整えることが大事だとされています。日本の伝統食のぬか漬けは胃酸にも強い植物性乳酸菌がたっぷりで腸に良い食材です。また糠漬けに含まれるギャバには、神経の興奮を抑える効果が期待できるので、夕食時にいただくと安眠出来ると言われています。
ギャバは発芽玄米、納豆、トマト、きのこなどに多く含まれています。
写真は、お手軽水キムチです。発酵が進んで酸味が出たうまみのあるぬか漬けを利用して作ります。昆布だし(濃縮タイプ)を水で薄め、切ったぬか漬け(きゅうりやかぶ、パプリカ)を入れ、好みの調味料で味をととのえると、涼を呼ぶおいしいスープに。腸内環境を改善し、体を元気にしてくれますよ。
腸内の健康状態は体の軸。ヒポクラテス(古代ギリシャの医師)も「すべての病気は腸から始まる」と言っています。腸内環境はアトピーや湿疹などのアレルギー、自己免疫力疾患、感染症、慢性消化器疾患、うつ病、認知症にも関連すると考えられており、第2の脳とも言われます。

8/27

豚肉(ぶたにく)・疲労回復・酢豚

豚肉・酢豚・疲労回復・黒酢

疲れた時や暑い季節は豚肉に限ります。豚肉のビタミンB1は体に効率よく摂取でき、にんにくや玉ねぎなどと組み合わせると疲労回復効果がさらに高まります。調味に酢を使った料理も、クエン酸が疲労回復をサポートするので、夏に食べたくなりますね。特に、パイナップル入りの酢豚は優秀メニュー。豚肉、玉ねぎ、酢を使い、疲労回復が期待できるからだけではありません。ポイントはパイナップル! パイナップルに含まれるたんぱく質を分解する酵素の働きで、豚肉からポークペプチドという物質が作られます。このポークペプチドには、血液中のコレステロールを下げ、脂肪を燃焼する効果があります。酢豚にパイナップルは理にかなっているのです。生のパイナップルが手に入らないときは、ジュースでもOK!(パパイアやキウイにも同様の酵素が含まれます)
酢豚のタレのレシピ(2人分)です。水1カップ、鶏がらスープの素大さじ1、きび砂糖大さじ2、黒酢大さじ3、片栗粉大さじ2、醤油大さじ2、オイスターソース大さじ1半を混ぜながら加熱し、とろみをつける。おろし生姜と醤油で下味をつけて揚げ焼きにした豚肉と旬の野菜、パイナップルを合わせるだけです。

8/26

酢橘・すだち・スダチ・疲労回復・気の巡り

酢橘・すだち・疲労回復・気の巡り・柑橘

青いみかん、青りんご、無花果、オリーブの実など、実りものが生ると嬉しくなります。葉付きの野菜や果物は、飾るだけでもとてもいい雰囲気を演出してくれます。今の時期は庭の酢橘がたわわです。脳がよい香りと爽やかな酸味を想像するのか、その形を見るだけでリフレッシュするような気がします。特に小粒の酢橘は、柑橘の中でもビタミンCの富含有量が多く、クエン酸が疲れをとり、香り成分のリモネンがストレスを軽減してくれます。
今朝は炊きたてのごはんに塩をパラリとふりかけ、もぎたての酢橘をギュッと絞った「酢橘飯」にしました。朝から爽快です。しらすやたらこ、すりごま、しそ、海苔をのせたのっけ小丼、添えた椀ものにも酢橘をひとたらし。皮も削って散らします。
ちなみに、酢橘の名の由来は、食酢として使われていたことからだそう。キリリとしまるその酸味と香りを旬の食材にさっと絞るだけで格別な料理となります。私は、これから出回る秋刀魚の塩焼き、白身のお刺身、土瓶蒸し、梨や柿の他、蕎麦やうどんにもたくさん搾ります。

8/24

レモングラス・ハーブ・Herb

lemon grass・レモングラス・Herb

レモングラスを育てています。レモングラスは虫よけにもなるんですよ。アロマテラピーやアーユルヴェーダ(インド伝承医学)にも使用され、アジアのお料理(スープやカレー、炒め物、煮物等)に欠かせません。レモンに似た香り成分のシトラールはリフレッシュ効果がとても高く、元気ややる気、集中力を高める効能があり、胃腸の調子を整える働きも。私はレモングラスの葉の部分はお茶や入浴剤にしますね。夏の大人BBQ会では清涼感のあるレモングラスの根を軸にしたつくねはどうでしょう(根は叩いて潰して香りを出す。お肉が焼けたらレモングラスを引き抜いて、くるりと葉野菜で巻いて、甘酸っぱいタレをつけて豪快にかぶりつくのです。根の部分は専門店やデパート、ネットなどで購入できます。

8/21

発酵食・甘酒・甘酒ドレッシング

井澤由美子・発酵食・薬膳・漢方・秘湯回復・甘酒・あま酒・あまざけ・発酵食・夏バテ

夏の季語の甘酒。麴甘酒の甘みは、でんぷんが麹菌によって消化しやすいブドウ糖に分解して生まれたもの。体内で素早くエネルギーに変換されるので、夏バテ予防にぴったりです。すだちやレモン、ハーブの香りを加えても飲みやすいですよ。
甘酒が余るときは、私はドレッシングにアレンジします。生姜を皮ごとすりおろし、オリーブオイル、昆布酢、粗塩、甘酒を空き瓶に合わせてシェイクすれば完成。私にとって、ナチュラルな甘みととろみの甘酒は、まるでドレッシングの為にあるような存在。
ミニトマトやフルーツを甘酒ドレッシングであえて、冷やしていただくとスッと疲れがとれますよ。

8/20

素麺・冷麦・そうめん・素麵つゆ

そうめん・素麺・酢橘素麺・

原料は同じ小麦粉の素麺と冷麦、麺の太さで呼び名が変わります。1、3mm以下が素麺、1、3〜1、7mmまでが冷麦、それを超えるとうどんとなりますが、手作業の手延べ素麺は1、7mm未満なら素麺あるいは冷麦とどちらで呼んでよいそうです。もともと素麺は練った生地を手で伸ばして作られたのが(手延べそうめん)、冷麦は練った生地を薄く伸ばして包丁で切った(手打麺)でしたので製法が違いました。いつしか機械製麺されるようになり、区別しにくくなったのでJASの規定が定められました。クイックですが本格的なそうめんつゆの作り方です・小鍋に水2カップ、昆布1切れ、かつをぶし一掴みを入れる。沸騰直前で中弱火にし、醤油50cc、本みりん大さじ2半を入れコトコト10分ほど弱火で煮る。ボウルにこし、底を氷に当てて冷ませば出来上がり。素麺を表示通りに茹でたら、素早くザルに入れ流水で洗い、氷水をはったボウルでぬめりをとるようにしっかりもみ洗いをする。キリッと冷たい手延べ素麺、鰹節香るたっぷりの出汁に削った青ゆずの皮や山椒の実を散らす。心身共に清々し、暑さと日々の疲れを癒してくれます。