井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

11/15

滑子(なめこ)・きのこ・お味噌汁・発酵食

きのこ・なめこ・ナメコ・食養生・天然なめこ・井澤由美子・免疫力

数年前に鳥取県のきのこ名人に天然のなめこ摘みを体験させて頂きました。なめこは菌床栽培とブナ・トチなどの広葉樹の倒れ木などで育てられる原木栽培があります。天然物はゼラチンがまとわりついているようなぬめり感が多く、一つ一つがプックリとして魅力的です。天然なめこは旨味が強いので出汁が充分にでますし、力強いのでしばらく煮てもしぼみません。名人になめことイノシシ肉の炒め物をご馳走になりました。塩、胡椒炒めのとてもシンプルな調理ですが、旨味と滑りが上手に絡まってインパクトが有り、なめこも炒め物に出来るのだと初めて知りました。

なめこは胃壁を保護するので二日酔いの朝などのお味噌汁にも最適です。きのこの中でも水溶性植物繊維が豊富なので、便通を促し、腸内環境を整える効果が高いのも利点。Bグルカンも豊富で、免疫力を強化する作用を高めます。

朝はデトックスタイム、目覚めのお味噌汁の具としても最適ですし、卵でとじた(なめこの卵とじ丼)を一度つk

11/13

親蟹(おやがに)・香箱蟹(こうばこがに)・母蟹(ははがに)・勢子蟹(せこがに)

親がに・香箱蟹・母蟹・カニ

日の出を観ながらの早朝フライトで鳥取空港に到着し、早々市場へ。お目当は旬の親蟹、濃厚な内子やみそ、外子ががたっぷりです。地方によって呼び名が変わり、香箱蟹、セコ蟹、セイコ蟹とも呼ばれます。今年の解禁日は11月6日で、年末までの2ヶ月間だけ水揚げされます。地元のお母さんは、ポンポンとお味噌汁に入れる、贅沢ですね。絶品の蟹炊き込みごはんの作り方を教わりました。鍋に蟹が浸るくらいの水、酒、醤油、みりん、生姜を入れて出汁をとり、蟹から中身を取り出す。粗熱が取れたら、洗ったお米に蟹出汁を注ぎ普通に炊く。炊き上がりに内子、みそ、ほぐし身を加え混ぜる、脳天直撃の美味しさです。
蟹のタウリンはコレステロールを抑制し、殻に含まれるキチン・キトサンは免疫力を高める効能があります。食べ過ぎると体を冷やす傾向が蟹にはあるようです、生姜や酢といただくなどしましょう。

11/12

平柿・柿・かき

柿・かき・干し柿・漢方・薬膳

種無しの平たい柿が近年のお気に入りです。タネがないので、完熟したものはスプーンですくって食べやすいし、スライスして乾燥させる時もカットを気にせず切れるのもいい。皮が薄く、オレンジ色が柿の中でも鮮やかです。
1個の柿には1日に必要なビタミンCが含まれているそうで、風邪予防にいいですね。アルコールを分解する成分もあり、こちらは木で完熟したものがお勧めです。漢方・薬膳では、体の余分な熱をとり、喉の渇きを止め、葉やヘタは生薬です、
好きな食べ方に、完熟柿にスダチやカボス果汁をたっぷり振りかけて一晩冷蔵庫でマリネする一皿があります。柿のカロテンに柑橘果汁のビタミンCを足すと酸味が甘さを引き立てさらに美味しく疲労回復効果も上がります。
酒粕でほんのりマリネした生ハムで巻くとお酒に合わせる前菜にもピッタリ。柿の中身をくりぬいて器とし、中身といくらを和えて柚子を散らし、美しく盛りつけた柿といくらの小鉢は秋の味覚、一瞬の出会いものを楽しみます。
干し柿になるとビタミンAや食物繊維が倍増し、甘みも凝縮します。

11/11

Hanako「免疫力アップBOOK」薬膳酢

漢方・薬膳・マガジンハウス・hanako免疫力アップBook・薬膳酢・発酵食・酢

本日発売のマガジンハウスHanako Wellness 「免疫力アップBook」。
スプーン1杯で体がよみがえる!と表紙にもコメントを頂きましたが、本当に体と心を癒す美味しい薬膳酢です。材料は世界最古の発酵調味の酢、旨味やカルシウムの昆布、薬膳のプリンセスと呼ばれる効能の高いクコの3つ。内脂肪を減らし、疲労回復効果を担い、昆布のカルシウムが加わって骨を強くし、枸杞の美容効果が加わって、ついでに眼精疲労なども緩和します。何より旨味と甘味で料理にもつかいやすく便利、常温で保存出来るので気軽です。
薬膳・漢方がまずくて苦かったイメージは過去のこと。日々続けられる美味しくて体に優しい食卓が本来の薬膳です。毎日口にする食事なのだから、より良い知識をちょっぴり取り入れて美味しくいただけば、健やかな未来にも役立ち、料理も楽しくなります。
この本では色んな角度から免疫力を上げる情報がアプローチされていて、ストレッチや、質の良い睡眠、人気のお茶と台湾茶のお取り寄せ情報なども掲載。台湾茶でリラックスするお茶の時間にハマっています、良い香りで気分も穏やかになります。

11/9

発酵茶・烏龍茶・台湾茶

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台湾茶にはまっています。台湾茶のお茶のいれ方や所作はゆったりしたムード、茶館では男性同士でも昼間からお茶を楽しんでいます。
いれ方一つで美味しさが変わるので、台中にある台湾茶館の師匠に教わった通りに進行させまます。まず、急須や茶器を温め、茶葉によって置き時間が異なる事をしっかり把握しておきます。いただく時は、まず香りを楽しんでから口に含んで甘やかな余韻まで堪能します。同じ烏龍茶でも味わい、喉越し、香りがそれぞれ違って、蜜や花の香りがするものもあります。阿里山烏龍茶、金せん茶烏龍茶など素敵です。上質な茶葉は寒暖の差が激しい高山で収穫されますが、選ばれた茶葉は摘まれる時間も決まっていて早朝の4時〜10時頃までに行われ、ハサミも使わない手作業だそうです。
香りがあんまり良いので、茶葉を包んで黒豆の蜜煮に加えてゆっくりと煮てみたらスッキリとしてほんのり香りが残る、これが大正解。黒豆好きの私には来年の御節の目玉になりそうです。茶葉の香りは気の巡りを良くし、発酵茶は体を温めます、これからの季節にもピッタリのお茶です。

11/7

薬膳・棗・大棗・なつめ・ナツメ

ナツメ・棗・生薬・薬膳・漢方・養血

肌寒くなってきましたね。秋は実りの季節、ナツメもたわわに実っています。ナツメは血と気を補い、貧血や美容にもよい滋養強壮食、中医学では生薬です。写真のナツメは山奥のキレイな空気と水の流れる米どころで手摘み収穫し蒸したものでこの後干します。今日は手軽に作れる体に優しいナツメ茶の作り方のご紹介です。小鍋に刻んだナツメを入れてゆっくりコトコト8〜10分ほど煮だす(効能を高めたい方は当帰や黄耆を加えてもよいでしょう、当帰補血湯は当帰と黄耆を合わせたもの)。そこに、養血安心効果のあるクコや龍眼肉を好みで加えて甘みと薬効をプラスしてしもいいですね。原稿とにらめっこする時、私はここに菊花を加えて眼精疲労をケアしています。
乾燥ナツメは乾燥剤と一緒に空き瓶などに入れて保存すれば長期保存できます、氷砂糖とリカーやブランデーに漬けたり、コンポートもお勧めです。

11/6

枸杞子・クコの実・コジベリー

枸杞・クコの実・コジベリー・薬膳・生薬

明日はNHKオンライン講座があります。クコの効能についても、もう少し詳しくお話し致します。
中国原産ナス科植物の枸杞。生薬ですが、可愛らしくその綺麗な赤い実と食べやすさ、効能の高さから薬膳のプリンセスと呼ばれています。中国では不老長寿の媚薬とされ、貴婦人達のおやつとしても昔から親しまれていました、かの楊貴妃も毎日食していたそうですよ。現代医学でもシミ予防に効果的であり、ダメージを受けた肌を早く改善させると大手化粧品会社からも報告されています。疲労回復や肝機能を改善させるので、視力回復にも効能が期待できます。健康オタクの徳川家康も食べていたクコの実、ドライフルーツになっているので携帯しやすく小袋にナッツと入れて私はおやつにしています。ヨーグルトに漬けたり、コンポートにすると消化もよくなります。
飲む目薬と呼ばれるクコと菊花の組み合わせの枸杞菊茶(茶葉は入っていませんが)、パソコンなどの目の疲れを緩和します。写真は島根県の里山にて撮影、生クコの実です。

11/5

梨・なし・のどの不快・薬膳・漢方

梨・なし・秋の果物・棗・蒸し梨・喉の不快・薬膳

店頭でみずみずしいずっしりとした梨を見かけます。庭にも梨が実っていましたがもう終わり、今は青いレモン、酢橘、柚子、少し色ついた蜜柑などがたわわです。
梨はのどの不快な症状を緩和する果物とされ、乾燥を防ぎ空咳を抑えます。出にくい痰をだし、炎症を抑える効能もあるそう。酒毒を解消するので呑んだ後にも良しとされ、カリウムも含むので、余分な塩分を排出する効果も期待できます。
透き通った優しい甘みと水分がたっぷり、スポーツ後の水分補給や熱が出た時などにもお勧めです。
梨、れんこん、だいこんなどは、のどに効能があり、だいこんは角切りにして蜂蜜に漬ける民間療法は有名ですね(蜂蜜は1歳未満には与えないようにして下さい)、 ナツメヤスパイスを使った薬膳料理の蒸し梨はお勧めで、半分に切って皮ごと蒸すだけです。少し余ったら、氷砂糖、シナモンや八角、赤ワインを加えて美しいコンポートにしてもいいですね。なしを保存する時はヘタを下にし、新聞紙などで包んで冷蔵庫や冷暗所で保存すると傷みにくくなります。

11/4

豚汁(とんじる)・健長汁・巻繊汁(けんちんじる)

けんちん汁・巻繊汁・豚汁・煮物・芋煮

乾燥するこの季節は喉や体を潤す梨などの果物が多く出回りますが根菜の大根、蓮根、蕪なども喉に良い野菜達です。肌寒くなってくると温かい汁ものが美味しく感じますし、繊維たっぷりの根菜類を沢山加えて腸と体調を整えます。
ところで、けんちん汁と豚汁は似ていますが作り方が違うのをご存知ですか?けんちん汁は約750年ほど前、鎌倉の(建長寺)で崩れてしまった豆腐と野菜を煮込んだのが始まりと言われる精進料理。ごま油で野菜などを炒めてから昆布や干し椎茸の出汁を使い醤油風味で仕上げます。対する豚汁は野菜と豚肉を鰹出汁で煮込み、味噌で仕上げたものです。ですが、いいとこどりの味噌と醤油をミックスをしてコクをだすのが美味しい、多めに作って3日間くらい楽しみます。

11/2

林檎・りんご酢・フルーツビネガー・発酵食

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りんご酢には、りんごを発酵させたものと、酢にりんごを漬けた2種があります。今日は酢につける簡単な作り方です。りんご1個(紅玉だとキレイ)はよく洗って水気をふき、皮付きのまま乱切りにし、清潔なビンに入れる。りんごがしっかり浸かる程度の酢を注ぎます(ラップをかぶせてりんごが酢から出ないように内ぶたをします)。2、3週間冷暗所に置いたら楽しめます。香りがほんのりお料理やドリンクに移ってとても爽やかな酢、好みでりんごの半量くらいの氷砂糖(きび砂糖)を加えて寝かせると、甘酸っぱくて使いやすくなります。2、3日は容器ごと振って全体を馴染ませて下さい。早く風味を出したい時は小さめに切って、砂糖と酢をからめてボウルに入れ軽くラップをし、レンジに3、40秒ほどかけます。低温の発酵メーカーに、少しかけてもいいでしょう。
どの方法にしても、1ヶ月くらいしたらりんごを取り出して冷蔵庫で保存すると長期保存できます。
気の巡りを良くし、胃腸を整え、疲労回復に最適です。