井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

11/24

クワハーダ・cuajada・発酵食・スペイン・発酵食

クワハーダ・発酵食・スペイン

スペインの北東部で特によく食べられている発酵食のクワハーダ、バスク地方ではマミア(mamia)と呼ばれています。チーズの一種で伝統的には羊乳から作られていたようですが、今では牛乳で作られる事も多いそうです。
見た目ヨーグルトのようですが酸味は少なく、フレッシュチーズそのもの、なめらかでとてもさっぱりとしています。現地では砂糖入りと無糖が売っていますが、朝食やおやつに蜂蜜や砕いたクルミと合わせて食べられることが多いそうです。可愛らしい陶器に入った羊乳もあまりクセがなく食べやすい。私はプラムなどのフルーツとメイプルシロップと一緒にいただくのが好きで、市場で新鮮な果物を買って来てはスペイン滞在中の朝食として楽しんでいました。地産オイル、バルサミコ、塩を混ぜたクリーミーなドレッシングを作り、サラダと和えたり、魚のソテーにもよく合いました。低脂肪、低カロリーの体に優しい発酵食です。

11/23

勤労感謝の日・新嘗祭・五穀豊穣

新米・炊きたて・ごはん・米

今日は勤労感謝の日です。国民の祝日ですが「勤労をたつとび、生産を祝い、国民が互いに感謝し合う日」として、昭和23年に設定されました。元々は国の祭日で、天皇が自らも食す新嘗祭(にいなめさい)という五穀豊穣(ごこくほうじょう)のお祝いがルーツをと言われています。作物の収穫を感謝する日です。改めて今年の全ての収穫と、目の前にある秋の実りや新米に感謝していただきたいと思います。
実は、私は勤労感謝の日生まれです。瑞穂の国である日本の最も大切な神事であった歴史を初めて勉強した時、この日に生まれた事を嬉しく思いました。また、自分自身が食の仕事に関われた人生についても幸せに感じています。
私の仕事は食の知(血)になることを身につけ、皆様にお伝えしていくことだと思っております。小人精進致します、身を引き締めてまた1年頑張りたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。いつもご覧くださり有難う御座います。

11/20

蜜柑・ミカン・陳皮(ちんぴ)・風邪予防

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寒くなると乾燥も手伝い、風邪などひきやすくなります。手洗いうがいを見直し、日頃からみかんなどビタミンCをこまめに補給しましょう。体調を悪くすると消化器や呼吸器の機能が低下し、体内バランスが崩れます。胃腸が弱ると疲れやすく、手足も冷たくなって胃が冷えやすくなることも。気になる方は、干し生姜、ナツメ、茶色いお茶の発酵茶、黒豆などを日頃から煮出してお茶にすると良いですね。
私はここに陳皮(みかんの皮をほしたもの、七味に入っています)を足して香りも楽しんでいます。大変良い香りなので、ネットなどに包んでお風呂にも入れてリラックス。手作りはグンと香リます、無農薬みかんの皮を洗って日当たりの良い場所でカラカラに乾かすだけ、洗濯バサミでつまんでも良いですね。

11/19

ししゃも・柳葉魚・骨粗症予防

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「柳の葉っぱ」からくる「ししゃも」の名前は「シュシュ・ハム」からきており、アイヌ伝説に由来しています。
シシャモは北海道の珍味、日本の固有種は本ししゃもですが、輸入物はカラフトししゃもで通年多く出回っているものです。国産は美しい白目の銀色と繊細な形なので見分けがつきやすい。生干しで売られている事が多いので、軽く炙るだけで頭から骨まで食べられ、カルシウムを多く摂取できます。フリットや天婦羅など美味しいですね、酢に漬けるとカルシウムが摂取しやすくなるので南蛮漬けなども勧めです。ししゃもにはマグネシウムや亜鉛も多く、高血圧や骨粗症予防に最適。
お腹がパンとはっているものは卵がしっかり入っています。私はメスが好きですが、漁師のお父さんは味が濃いオスしか食べないそう。購入する時はツヤがあり、身がしまっているものを選びます。国産の旬のししゃもは、良い香りで焼いてもふんわり。北海道白糠付の、目の前の海からそよぐ潮風で丁寧に天火干しされたししゃもはピカピカ、塩加減も素晴らしいのでした。

11/18

烏賊(いか)/イカ

イカ・烏賊・お刺身・薬膳・疲労回復・美人・かわいい・

タウリンが豊富ないかは肝機能を向上させるのでお酒の肴にもぴったり。
血を養うので、貧血や月経過多の改善にも有効とされてます。漢方ではいかの甲は胃腸病などの治療に使用されるそうです。
地中海周辺や日本ではよく食される烏賊ですが、食用としない国も多くあります。ワタもオツですし、お刺身でも干しても、煮ても焼いても揚げても美味しいのに(悪魔の海産物)と国によって呼ばれて敬遠されることも。
青森や北海道の一部の地域では、朝烏賊と言って鮮度の良いとりたてのいかを細切りにしてご飯の上におろし生姜とのせ、醤油をかけて食べられていますし、写真の透き通っている綺麗な烏賊は真烏賊で島根県でいただいたお刺身感動しました。いかのタウリンは生かさっと火を通す程度に調理するとその効能を失いません。

11/17

発酵調味料・醤油麹(しょうゆこうじ)・生姜焼き・鷄そぼろ

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日々のおかずに最適な醤油麹。我が家では1番登場率が高い発酵調味料なので多めに作って熟成させています。煮物や炒め物を作る時は、醤油や酒、砂糖、みりんなどを加えて調理しますが、醤油麹は、奥深い旨味と甘味があるのでお酒と合わせるだけで充分。手作りは簡単でお財布にも優しいですよ、スーパーなどで見かける200gの麹を袋の上からキズをつける様によく揉みほぐし、容器に入れて醤油450ccを加えて混ぜる。1日1回とろみが出るまで1〜2週間ほど容器をふって常温におく(発酵メーカーを使ったり、温度調節の手間をかければ一晩でOk)とろみがでたら冷蔵庫で保存する(涼しい所や時期なら常温でOK)。肉を柔らかくする作用に加え、消化吸収を良くし、腸内環境を整える麹。皮付きおろし生姜をたっぷり加え、生姜焼き用豚肉と馴染ませれば王道お惣菜の生姜焼きも美味しく簡単。お弁当にもよいそぼろは、冷たいうちからひき肉と醤油麹をまぜながら火にかけるだけ、白いごはんが止まらなくなります。

11/16

蜂蜜(はちみつ)・honey・ハニー・咳止め 

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薬膳で蜂蜜は呼器器を潤し、咳を止めて痰をとる効能や、乾燥タイプの便通をよくし、腹痛、滋養強壮に良いものとされています。苦い生薬と一緒に、丸剤(薬を一緒に練ってまとめる役目)にも用いられます。ヨーロッパでは約1万年前から栄養源とされており、殺菌効果、お腹の調子を整えるなどの薬としても用いられてきました。蜂蜜は良質なビタミン、ミネラル、カルシュウム、ポリフェノール、酵素、オリゴ糖、鉄分が含まれているバランスのよい栄養食。できれば、加熱処理のされていない天然の蜂蜜を選んで下さい。咳が止まらない時の自然食ケアとして、小さく切った大根を混ぜた「大根蜂蜜」、蓮根をすりおろして、絞り汁と混ぜた「蓮根はちみつ」、刻んだみかん(無農薬皮つき)と合わせる。これらは喉によく効く民間療法です。免疫力も高めるので、季節の変わり目におすすめの甘味料でもあります。私の密かな楽しみに、ブルーチーズと旬フルーツに蜂蜜をたっぷりとかけ、相性の良い同士を探がす遊びがあります、加熱しても美味。(1歳未満のお子さんには、蜂蜜を与えないように注意します)

11/15

滑子(なめこ)・きのこ・お味噌汁・発酵食

きのこ・なめこ・ナメコ・食養生・天然なめこ・井澤由美子・免疫力

数年前に鳥取県のきのこ名人に天然のなめこ摘みを体験させて頂きました。なめこは菌床栽培とブナ・トチなどの広葉樹の倒れ木などで育てられる原木栽培があります。天然物はゼラチンがまとわりついているようなぬめり感が多く、一つ一つがプックリとして魅力的です。天然なめこは旨味が強いので出汁が充分にでますし、力強いのでしばらく煮てもしぼみません。名人になめことイノシシ肉の炒め物をご馳走になりました。塩、胡椒炒めのとてもシンプルな調理ですが、旨味と滑りが上手に絡まってインパクトが有り、なめこも炒め物に出来るのだと初めて知りました。

なめこは胃壁を保護するので二日酔いの朝などのお味噌汁にも最適です。きのこの中でも水溶性植物繊維が豊富なので、便通を促し、腸内環境を整える効果が高いのも利点。Bグルカンも豊富で、免疫力を強化する作用を高めます。

朝はデトックスタイム、目覚めのお味噌汁の具としても最適ですし、卵でとじた(なめこの卵とじ丼)を一度つk

11/13

親蟹(おやがに)・香箱蟹(こうばこがに)・母蟹(ははがに)・勢子蟹(せこがに)

親がに・香箱蟹・母蟹・カニ

日の出を観ながらの早朝フライトで鳥取空港に到着し、早々市場へ。お目当は旬の親蟹、濃厚な内子やみそ、外子ががたっぷりです。地方によって呼び名が変わり、香箱蟹、セコ蟹、セイコ蟹とも呼ばれます。今年の解禁日は11月6日で、年末までの2ヶ月間だけ水揚げされます。地元のお母さんは、ポンポンとお味噌汁に入れる、贅沢ですね。絶品の蟹炊き込みごはんの作り方を教わりました。鍋に蟹が浸るくらいの水、酒、醤油、みりん、生姜を入れて出汁をとり、蟹から中身を取り出す。粗熱が取れたら、洗ったお米に蟹出汁を注ぎ普通に炊く。炊き上がりに内子、みそ、ほぐし身を加え混ぜる、脳天直撃の美味しさです。
蟹のタウリンはコレステロールを抑制し、殻に含まれるキチン・キトサンは免疫力を高める効能があります。食べ過ぎると体を冷やす傾向が蟹にはあるようです、生姜や酢といただくなどしましょう。

11/12

平柿・柿・かき

柿・かき・干し柿・漢方・薬膳

種無しの平たい柿が近年のお気に入りです。タネがないので、完熟したものはスプーンですくって食べやすいし、スライスして乾燥させる時もカットを気にせず切れるのもいい。皮が薄く、オレンジ色が柿の中でも鮮やかです。
1個の柿には1日に必要なビタミンCが含まれているそうで、風邪予防にいいですね。アルコールを分解する成分もあり、こちらは木で完熟したものがお勧めです。漢方・薬膳では、体の余分な熱をとり、喉の渇きを止め、葉やヘタは生薬です、
好きな食べ方に、完熟柿にスダチやカボス果汁をたっぷり振りかけて一晩冷蔵庫でマリネする一皿があります。柿のカロテンに柑橘果汁のビタミンCを足すと酸味が甘さを引き立てさらに美味しく疲労回復効果も上がります。
酒粕でほんのりマリネした生ハムで巻くとお酒に合わせる前菜にもピッタリ。柿の中身をくりぬいて器とし、中身といくらを和えて柚子を散らし、美しく盛りつけた柿といくらの小鉢は秋の味覚、一瞬の出会いものを楽しみます。
干し柿になるとビタミンAや食物繊維が倍増し、甘みも凝縮します。