井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

11/6

枸杞子・クコの実・コジベリー

枸杞・クコの実・コジベリー・薬膳・生薬

明日はNHKオンライン講座があります。クコの効能についても、もう少し詳しくお話し致します。
中国原産ナス科植物の枸杞。生薬ですが、可愛らしくその綺麗な赤い実と食べやすさ、効能の高さから薬膳のプリンセスと呼ばれています。中国では不老長寿の媚薬とされ、貴婦人達のおやつとしても昔から親しまれていました、かの楊貴妃も毎日食していたそうですよ。現代医学でもシミ予防に効果的であり、ダメージを受けた肌を早く改善させると大手化粧品会社からも報告されています。疲労回復や肝機能を改善させるので、視力回復にも効能が期待できます。健康オタクの徳川家康も食べていたクコの実、ドライフルーツになっているので携帯しやすく小袋にナッツと入れて私はおやつにしています。ヨーグルトに漬けたり、コンポートにすると消化もよくなります。
飲む目薬と呼ばれるクコと菊花の組み合わせの枸杞菊茶(茶葉は入っていませんが)、パソコンなどの目の疲れを緩和します。写真は島根県の里山にて撮影、生クコの実です。

11/5

梨・なし・のどの不快・薬膳・漢方

梨・なし・秋の果物・棗・蒸し梨・喉の不快・薬膳

店頭でみずみずしいずっしりとした梨を見かけます。庭にも梨が実っていましたがもう終わり、今は青いレモン、酢橘、柚子、少し色ついた蜜柑などがたわわです。
梨はのどの不快な症状を緩和する果物とされ、乾燥を防ぎ空咳を抑えます。出にくい痰をだし、炎症を抑える効能もあるそう。酒毒を解消するので呑んだ後にも良しとされ、カリウムも含むので、余分な塩分を排出する効果も期待できます。
透き通った優しい甘みと水分がたっぷり、スポーツ後の水分補給や熱が出た時などにもお勧めです。
梨、れんこん、だいこんなどは、のどに効能があり、だいこんは角切りにして蜂蜜に漬ける民間療法は有名ですね(蜂蜜は1歳未満には与えないようにして下さい)、 ナツメヤスパイスを使った薬膳料理の蒸し梨はお勧めで、半分に切って皮ごと蒸すだけです。少し余ったら、氷砂糖、シナモンや八角、赤ワインを加えて美しいコンポートにしてもいいですね。なしを保存する時はヘタを下にし、新聞紙などで包んで冷蔵庫や冷暗所で保存すると傷みにくくなります。

11/4

豚汁(とんじる)・健長汁・巻繊汁(けんちんじる)

けんちん汁・巻繊汁・豚汁・煮物・芋煮

乾燥するこの季節は喉や体を潤す梨などの果物が多く出回りますが根菜の大根、蓮根、蕪なども喉に良い野菜達です。肌寒くなってくると温かい汁ものが美味しく感じますし、繊維たっぷりの根菜類を沢山加えて腸と体調を整えます。
ところで、けんちん汁と豚汁は似ていますが作り方が違うのをご存知ですか?けんちん汁は約750年ほど前、鎌倉の(建長寺)で崩れてしまった豆腐と野菜を煮込んだのが始まりと言われる精進料理。ごま油で野菜などを炒めてから昆布や干し椎茸の出汁を使い醤油風味で仕上げます。対する豚汁は野菜と豚肉を鰹出汁で煮込み、味噌で仕上げたものです。ですが、いいとこどりの味噌と醤油をミックスをしてコクをだすのが美味しい、多めに作って3日間くらい楽しみます。

11/2

林檎・りんご酢・フルーツビネガー・発酵食

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りんご酢には、りんごを発酵させたものと、酢にりんごを漬けた2種があります。今日は酢につける簡単な作り方です。りんご1個(紅玉だとキレイ)はよく洗って水気をふき、皮付きのまま乱切りにし、清潔なビンに入れる。りんごがしっかり浸かる程度の酢を注ぎます(ラップをかぶせてりんごが酢から出ないように内ぶたをします)。2、3週間冷暗所に置いたら楽しめます。香りがほんのりお料理やドリンクに移ってとても爽やかな酢、好みでりんごの半量くらいの氷砂糖(きび砂糖)を加えて寝かせると、甘酸っぱくて使いやすくなります。2、3日は容器ごと振って全体を馴染ませて下さい。早く風味を出したい時は小さめに切って、砂糖と酢をからめてボウルに入れ軽くラップをし、レンジに3、40秒ほどかけます。低温の発酵メーカーに、少しかけてもいいでしょう。
どの方法にしても、1ヶ月くらいしたらりんごを取り出して冷蔵庫で保存すると長期保存できます。
気の巡りを良くし、胃腸を整え、疲労回復に最適です。

11/1

ツガニ・モクズガニ・カニ・蟹・   秋の味覚

高津川・ツガ二・モクズガニ・蟹・川ガニ・秋の味覚

島根県高津川で撮れるツガ二。高津川は日本一の清流だそうで、もちろん鮎も名産です。ご縁あってお仕事をしている島根県の高津川で初めて見たツガ二は、川ガニなのに大きくその力強さに驚きました。鍋に入れる際に脱走し、キッチン中を探し回るなどのハプニングも経験しています。
ツガ二はハサミに特徴的な黒い毛がフサフサ生えています(これは雄が多いそう)。調理法は茹でる、お椀にする、炊き込みご飯にする、煮物に入れるなど食べ方は様々。私は少し大きめのツガ二の採りたてを、布で包んで蒸したものが濃厚なミソや子が堪能出来るので一番美味しいなぁと思います。
大分県では殻ごと砕いて汁にするそうですし、高知県の四万十川に生息するツガ二も有名です。旬になると鮎と共に脳裏をよぎり、取り寄せて楽しんでいます。

10/29

豆乳・大豆・ドウジャン・薬膳・漢方

ドウジャン・豆乳・大豆・薬膳・台湾朝ごはん

近所にあるお豆腐屋さんの豆乳は、とろりと粘度が高くてとても濃厚、風味が高くコクリと美味しい。普通の豆乳も少し煮詰めるとコクやとろみが増します。紅茶のアールグレイやハーブのカモミールを濃いめに煮出してハチミツを入れたソイミルクティーは、気の巡りも良くなりって胃にも優しくリラックスします。
シンプルなスープは朝食に最適、台湾の定番朝ごはんドウジャンをご紹介します。豆乳を沸騰直前まで1カップ温め、薬膳酢、醤油各大さじ1を入れた器に注ぐと酢の効果で凝固し、フルフルとしたスープになります。鰹節とねぎラー油をトッピングした和風。本場では揚げパンが添えてありますが、カリッと焼いたバタートーストもよく合います。今号のマガジンハウスHanakoさんでは薬膳酢と黒ごまを使った美肌に効かせる黒ごまドウジャンを考案してご紹介しています。
豆乳に含まれる大豆イソフラボンやサポニンは女性に嬉しい効果が豊富、植物性タンパク質は免疫力を高める手伝いもします。コレストロールが気になる方にも◎。寝つきが悪い時は豆乳を温めて、潰したバナナや甘酒、少しの焼酎と割って飲むのもお勧めです

10/28

酢・昆布酢・薬膳酢・大豆黒酢薬膳酢

ダイエット・vinegar・健康・昆布酢・薬膳昆布酢・大豆昆布酢・昆布・酢・漬けおき

ひとさじの薬膳酢には内脂肪を減らしたり、免疫力を上げる手伝いをするなどの健康効果があります。体も心も癒し、心身共に心地よい刺激を受けます。大のお酢好きです、黒酢やきび酢など様々な醸造所や畑にお邪魔してきました。自宅キッチンには、色々な種類の酢に昆布やドライフルーツが漬かっています。
この、うま味のある昆布酢を使ったレシピを2017年に一冊の本にさてせ頂きました。お酢に多めの昆布を浸しておくだけですが、酢と昆布のキレート効果で昆布のカルシウムが効率よく体に吸収され、骨を元気にする手伝いをするなど沢山の健康効果を担えます。内脂肪減、アレルギー緩和、疲労回復、殺菌作用など良いことずくめなので日常の食卓に常備しています。
18年に出版させていただいた薬膳酢本は、昆布酢に薬膳のプリンセスと呼ばれるクコや手作りの乾燥ナツメを浸した甘酢レシピです。ナチャラルな甘味と効能を引き出したもの、生薬のクコは眼精疲労にも効果が期待できます。
納豆や酢のもの、麺類や煮物の仕上げにもひと垂らし。甘味と旨味があるので酢飯も混ぜるだけの手間いらず、酢飯は腸のご馳走であり、血糖値も緩やかに上げます。大豆黒酢薬膳酢は芳醇で旨味の強い黒酢に、昆布、クコ、黒大豆を入れた抗酸化作用の高いもの。
どちらも常温保存可能な発酵調味料、元気の源です。

10/27

秋の薬膳・柿・梨・無花果のコンポート

井澤由美子・美容薬膳・食養生・漢方・薬膳・コンポート・無花果・柿・梨・喉を潤す・薬膳

自然のサイクルは偉大です。人間の体調に合わせるべく、四季の食物が先手を打つように実りの時期を迎えます。秋のこの季節は体の内も外も乾燥に対するケアが大切になってきます。肺や呼吸器を潤すと水分がより良く体に巡るので、肌もキレイになります。今が旬の梨、イチジク、柿などの呼吸器系の状態を整える果物のコンポートはお勧めのデザートです。

柿は体を冷やします。肌寒くなってきたので、体を温めて気のめぐりも良くするシナモンや八角などのスパイスと合わせます。作り方は、柿1個、梨1個、イチジク2個は皮をむき、食べやすい大きさに切ります。鍋に水500cc、白ワイン50cc、氷砂糖150〜200g、八角、シナモン、カルダモンなど好みのスパイス適宜を加えて中火で煮る。氷砂糖が溶けたら、梨を加えて10分ほど弱火で煮て、柿とイチジクを加えてさらに10分ほど煮る。粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やす。好みで蜂蜜や柑橘をほんの少ししぼっても美味。日々の食を何となく口にするより、食材の持つさまざまな効能を実感しながら、心と体が潤うメニューを心がけると免疫力もアップし、お料理も楽しくなりますね。

10/26

きのこ・干しきのこ・お日様きのこ・干し野菜

きのこが美味しい季節ですね。きのこはきのこは子実体と呼ばれる菌そのもので、ヘルシーで旨味があり、食物繊維も栄養です。きのこの種類によってそれそれの薬効が高いので、日々の食卓に使わない手はありません。
しいたけ、えのき、エリンギ、まいたけ、しめじなど種類は様々ですが、日光に30分ほど当てるとビタミンDが増えます。ビタミンDはカルシウムの吸収を促す為、骨を丈夫にします。また、免疫機能を高まる効果も期待できます。
きのこは水で洗わず、汚れが気になる時は優しく拭き取ります。石づきを切り落とし、後はなるべく手でさいてザルなどに広げて天日干しします。しっとりした食感がお好みなら30分ほど、コリコリとした食感がお好きなら半日ほど干して下さい。残ったら冷凍しましょう、きのこ類は冷凍すると旨味が増えると言われています。

10/23

ごぼう・牛蒡・ごぼう茶

食物繊維が代名詞のごぼうは、デトックス効果が高い野菜です。大地の香りがし、シャキシャキした歯ざわりが心地よく、独特の風味が楽しめます。キンピラや筑前煮、どぜう鍋にも欠かせませんね。アクが強いので、水にさらしてから調理します(変色を防ぎたい時は酢水を使う)。ごぼうは平安時代に薬草として中国から伝わったようで、根の部分を料理して食べるのは日本だけだそうです。関東で主流の品種は東京都北区滝野川が発祥の滝野川ごぼう。千葉県で栽培される太めの大浦ごぼうや、しっとりした食感の京野菜の堀川ごぼうなど、産地や品種が違うと特色も変わります。

香ばしいごぼう茶は、ポリフェノールの一種のサポニンが豊富。健康に良い効果が期待できます。柔らかめのごぼうを選び、洗ってピーラーで薄く削る。ザルに広げ、天日で乾燥させ、仕上げに低温のオーブンか野菜乾燥機、フライパンで乾煎りするなどしてしっかり水分を飛ばします。空き瓶や缶などの乾燥剤(お菓子や海苔についている)を一緒に入れて保存します。いただく時は少し煮出せばOKです。