井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

12/26

黒豆(くろまめ)・祝い肴・ おせち・御節

黒豆・くろまめ・御節・おせち・

お正月用の黒豆をそろそろ作りだします、つやつやのしわのない黒豆の煮方です。虫食いなどの豆は除き、300gの黒豆を優しく洗ってザルに上げる。鍋に(できれば厚手の)水2リットル弱を入れ沸騰させ、甜菜糖糖2カップ半(きび砂糖やグラニュー糖でも)、醤油大さじ2〜2半、粗塩2つまみを入れる。砂糖がとけたら鉄と洗った黒豆を熱いうちに入れる。一晩浸したら、強火にかけてアクを丁寧にとる。厚手のキッチンペーパーをのせ、ごく弱火で6〜8時間ほど煮る(数回に分けて煮てもよく、私は2、3日の間に時間がある時に火を入れてます)。煮汁が少なくなり柔らくなったら出来上がり、冷めるまでそのままお来ます。冷蔵庫で4、5日、冷凍庫で1か月ほど保存できます。まめ(真面目に働き、まめ(健康に)に暮らせますよう、無病息災の願いが込められています。黒い豆は邪気を払うと言われています。簡単なのにきちんと作れる「おせち料理」(成美堂出版)P15より。

12/25

クリスマスチキン・鶏の丸焼き

急いでチキンの丸鶏を焼く時は(オーブンを220度に温めておく)内臓を水ですすいで、パキパキ折ったセロリを葉ごとギュウギュウにつめる。鶏全体に、にんにくの切り口をところどころこすりつけ、粗塩を満遍なく少し多いかな?くらいにすり込みます。手羽先の部分が下になるように置き、オリーブオイルを表面に適宜たらしたら、10分焼いて200度にして20分焼く。皮付きのまま食べやすく切ったじゃがいもやごぼう、人参、たまねぎなどを鶏の回りにおく。10分ほど室温において、再度220度にオーブンを温め、鶏からしっかり脂がでて(途中2度ほど、スプーンで脂をすくってかける)こんがりするまでパリッと焼く(庫内の大きさによりますが、焦げそうになる部分があったらホイルをかぶせる)。チキンと野菜を器に盛り、焼いた天板を中火にかけ、脂をこそげるようにワインを注いで馴染ませる。生クリームかミルクを加えて煮詰めてソースを作る、ナツメグの削りたてや胡椒、醤油少々を加えるのもお勧めです。鶏肉の部位ごとに栄養価が違います、味わいや食感の違いを素朴に楽しんでいた幼少期、チキンを焼くたびに懐かしく想い出します。

12/23

雲呑(わんたん)・スープ

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寒くなると益々美味しく感じる温かいスープ。ワンタンが好きなのでよく作ります。ビタミンB1が豊富な豚肉にたっぷりのねぎや生姜を合わせると疲労回復、風邪予防に効果的です。豚挽肉150gに塩、こしょう適宜を入れよく混ぜる、酒、醤油、ごま油各小さじ1、皮付きをたっぷりおろした生姜、刻んだねぎやニラ、白菜の漬物を加えてさらによく練って皮で包む。熱湯で茹で、浮いてきたらザルにあげて熱々に用意したスープに入れる。ツルンとした食感が醍醐味のワンタンに、脳も心地よく感じるようです。手作りは美味しいし、指先のバランスが必要なのでお子さんが何度かトライして繰り返すと料理上手の第一歩にもなります。
写真は台湾のワンタン屋さん、魔法のように早く美しく包む。ツルツルの大きめの自家製皮に、塩梅良く練られたむっちり柔らかいひき肉がたっぷり詰まっていまってこの上ないワンタンでした。

12/21

南瓜(かぼちゃ)・冬至・柚子湯・二十四節気

かぼちゃ・冬至・南瓜・二十四節気

グッと寒さが増してきましたね。1年で昼が1番短い冬至、今年は21日の本日です。かぼちゃを食べて柚子湯に入る風習が日本にはあり、かぼちゃを食べると風邪をひかない、病気を遠ざけるなどの言い伝えもありますね。何よりカロテンが豊富で、ビタミンB群やCを含み、体を温めて胃腸にも優しい野菜です。名前の由来は、16世紀の半ばにカンボジアのかぼちゃが献上され、カンボジアがなまってかぼちゃになったと言う由来がありますよ、面白いですね。
かぼちゃの皮は硬いので、半分に切ってレンジに軽くかけて切りやすくします。大きめに切ったかぼちゃに、きび砂糖を適宜馴染ませて厚手の鍋に20分ほどおいておくと水分がでます。ふたをして弱火で炊き、お醤油少々で味付けするとほくほくの煮物になります。生姜のスライスと酒、塩少々で炊くのも、かぼちゃの風味が存分に生きて、生姜で体も温まります。

12/20

真鱈の子(まだらのこ)・真子・たらこ 美肌

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この季節だけに見かけるプクリと太った真鱈の子を煮付けにしました。助惣鱈(すけそうだら)の子の煮付けも美味ですね、こちらは通年市販されている塩漬けの「たらこ」にもなります。どちらの煮付けも作り方は簡単=鍋に水と昆布を入れ出汁をとり、酒、醤油、みりんを煮立ててめんつゆくらいの(少し甘み控えめ)のお味にし、火を弱めてぶつ切りにした鱈の子を落とします(好みで少しの針生姜やほんのり鰹出汁を加えても)。厚手のキッチンぺーパーをかぶせてグラグラ煮立たせないように15〜20分ほど煮ます。そのまま冷まし味を落ちつかさせてからいただいて下さい。しっとり煮えた煮付けを堪能した後は、その旨みたっぷりの煮汁で下茹でしたじゃがいもや里芋、糸こんにゃくを煮付けると絶品です。
含まれるビタミンE,12などは肌をキレイにします。納豆とたらこの組み合わせは相乗効果がありますね、週末パスタに如何ですか?

12/19

鶏飯(けいはん)・鶏出汁

彩り豊かな鶏飯は薩摩藩の役人をもてなす為、奄美大島北部で作られていた豪華なお料理だったとか。作り方も手が込んでおり、まずは奄美赤鶏のぶつ切りとねぎや干し椎茸、昆布とコトコト時間をかけて煮込んだ出汁をとり、醤油や塩、みりんなどで味をととのえた旨味と滋養たっぷりのスープを作る。ごはんの上にさいた鶏肉、薄切り椎茸、錦糸玉子、パパイアの漬物、のりなどをのせ、熱々のスープをかけていただくのですが、寒い時でも暑い時でもサラサラといただけます。柚子やレモンの皮を乾燥させて刻んだ陳皮も是非添えて。
体調不良時や年末にお雑煮用の鶏スープを作ったら、家族にもてなすのも良いですね。滋養があり肌の乾燥にも良さそうです。美味しい鶏出汁の取り方は、今号のマガジンハウスクロワッサンに掲載しています

12/18

酒粕(さけかす)・美肌・発酵食

ビタミンなどの栄養価は周知の通りの酒粕。健康効果も素晴らしく、豊富な食物繊維で排便を促しますが、含まれる成分のレジスタントプロテインが、悪玉菌コレストロールを減少させます。肥満予防やガン、高血圧抑制効果も医学的に効果があると期待されています。
腸を美しくすることは直接美肌にもつながりますね、健康、美容はいつも表面一体です。ダイエットしたい時もお勧めの酒粕は素晴らしい発酵食です。今日は小鍋でお餅を茹でたのですが、その後のとろみのある水分に酒粕とスープの素やスパイス、野菜を入れてお餅と酒粕のシチューにしました、好みで豆乳や牛乳を加えてもいいですね。

12/17

百合根(ゆりね)・白合(びゃっこう)・不安感 ・薬膳

今が旬の百合根、北海道などではグラタンなどになっています、産地なので贅沢な使い方ができますね。あまり馴染みがない方もいらしゃると思いますが、調理もさほど難しくなくありません。お味としては、滑らかでキメのこまかい品のよい甘味があるじゃがいものような感じ。スープ、炊き込みごはん、揚げ物などにしても美味しいものです。
中医学では白合(びゃっこう)と言う生薬です。高ぶった神経を鎮め、イライラや不安感を落ち着かせる効能があるとされています。娘が受験生の頃、心を落ち着かせ、消化良く滋養をつけたかったので百合根の茶碗蒸しをよく作った想い出があります。滑らかな舌触りで、裏ごした和菓子も見かけます。

12/16

大根・あさり大根鍋

大根・大根なべ・咳・痰・食養生・

ずっしり重い大根を厚めに切って皮をむき、隠し包丁を入れ下茹でする。鍋にたっぷりの水と昆布、白菜、茹でた大根、酒を入れゆっくりじっくり昆布出汁で柔らかくなるまで煮る。あさりは皮ごと調理することも大事、大きめのあさりを2、3個ずつ加え、煮えばなのぷっくりした開きたてをすぐさま堪能する、何回も何回も繰り返すが、その美味さにはいつまでも飽きることがないのです。
その後のスープにはあさりの旨みと大根、白菜の甘みが広がっています。この出汁を熱々に温めてつるんとした稲庭うどんに少なめにはる(あればおろし生姜やかんずりなどを用意しておく)。ゆずの香る少し濃いめの葛あんをたっぷりかけていただいてもいいものです。
大根には、痰をきり咳を鎮める効果があります、蜂蜜に漬けた民間療法の相乗効果は有名ですね。

12/15

黒豆(くろまめ)・アンチエイジング・薬膳茶・漢方

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中医学では、腎の働きを良くすると言われる黒豆。血を補う効能もあるナツメと乾煎りした黒豆を水から一緒に煮出したお茶を毎日いただきます。自家製ナツメは空気の綺麗な里山の、日当たりの良い所で育つ大木をセレクトして収穫しています。赤く実ったら直ぐに手摘みし、蒸してからセミドライに乾燥させて冷凍保存しています。黒豆と合わせると、香ばしい香りとナチュラルな甘みにホッとしますし、残った黒豆と棗は美味しくいただけます。
黒豆は甘煮以外に、黒酢漬けにしても良いですねアンチエイジングや疲労回復、内脂肪減少にも効果が期待できます。ブラジルのフィジョアーダのようにお肉とコトコト煮込んだシチューもトロミがでて美味。
新黒豆が出る頃は柔らかく調理も楽。足腰の弱り、老化防止にお勧めの黒豆、日常的にいただいて下さい。