井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

12/15

生姜・しょうがピラフ・炊き込みごはん・冷え

グッと寒くなってきましたね。今日は、NHK(きょうの料理)でもご紹介したこともあるレシピで、フタを開けるとふわ〜っと生姜の香りたつ身体温めピラフ。お米2合は研いで水に30分浸してザルに上げておく。鶏もも肉1枚に塩か塩麹を適宜全体に揉み込んでおく。生姜大さじ3を皮付きでおろす。炊飯器に研いだ米を入れチキンスープの素、醤油、酒各大さじ1、生姜と水をメモリまで注ぎ一混ぜする、塩をした鶏とバター大さじ1をのせて普通に炊だけです。シャモジで鶏肉をほぐすようにしてごはんと混ぜ、茶碗に盛る、あれば三つ葉やゆずなど添えてもいいですね。バターを隠し味に加えるのがポイントです、あればうす切り餅を2枚くらい加えるとおこわ風になりますよ。

薬効の高い生姜は、アーユルベーダーでは「万病を治す」、中医学では「百邪を防衛する」とされるほど。生の生姜は血行を良くし胃腸を整えます。乾燥させたり加熱するとジンゲロンやショウガオールにかわり、芯から体を温めるので炊き込みごはんなどは、主食にもなるのでおすすすめです。

12/14

ゆず・花柚・獅子柚子・風邪予防

風邪予防・薬膳・漢方・柚子・ゆず・ユズ・種無しゆず

ゆずは、奈良時代前後に中国から日本に渡来されたとされ、現在は約5割が高知県で栽培されています。香り高い本柚子はみかん科ですが、鳥取県の朝市で購入した大きなゆずは獅子柚子(鬼柚子)といい、文旦の仲間だそう。
井澤家の庭に鈴なりなっているのは小ぶりの花柚子、使い切りサイズが便利でレモンに近い黄色です。お吸い物や蒸し物に少々、フワッと香る清々しさ、フランス人の友人も目がありません。
ギュッと絞った果汁は旬の柿、林檎、洋梨などにさっとふると、さわやかな香りをまとわせながら果物の甘みを引き立てます。

薬膳では香りで気の巡りを良くし、吐き気やため息、酒解毒などに効果があるとされていますよ。酸味で疲労回復、皮にもビタミンCが豊富なので、余す事なくいただきましょう。
柚子味噌の作り方ですが、細切りにして茹で、氷水で色止めします。小鍋に味噌とみりん、きび砂糖を適宜入れ中火で練って甘味噌を作り、茹でた柚子を加え混ぜます。脂ののった旬魚に塗るなど、芳しい香りで冬の味覚がさらに底上げされます。写真の小ぶりの柚子は島根県邑南町道の駅で購入した種無し品種、下ごしらえに時間がかからず果汁がたっぷりでした。

12/11

ほうれん草・貧血予防

葉野菜・小松菜・春菊。ブロッコリー。ほうれん草

旬のほうれん草は葉が肉厚になり、甘味も増しますね。鉄分が多いので、昔から貧血などに良いとされている冬の代表野菜です。ほうれん草が食べたくなったら実際に血が足りないのかも。積極的にいただいて養生して下さい。ビタミンCやカロテンも多く、風邪や動脈硬化予防にも最適で、五臓の働きも助けます。良質の油と一緒にとると、カロテンの体への吸収率が高まりますよ。

茹でるよりレンジ加熱だとビタミンCの損失が少なくすみますが、茎から茹でておかあげ(ザルに上げる)にするのが美味しいですね。おすすめレシピはナムル。加熱したほうれん草の水気を絞り、ピーナッツ油やごま油、塩、こしょう、おろしにんにく各少々で和える。

ほうれん草は早めに使いきりたいですが、保存する時は新聞紙などで包んでポリ袋に入れ、立てて野菜室に入れます。

12/10

レモン・ドライレモン・リフレッシュ

薬膳・食養生・リラックス・デトックス・国産レモン・マイヤーレモン・レモン塩・ドライレモン

我が家のベランダ菜園のレモンは、今年も元気に実りました。レモン塩、レモンシロップの他に、乾燥レモンも作ります。粗塩で表面をこすり洗いし、ごく薄切りの輪切りにして、干して乾燥させるだけ。低温のオーブンでも良いですし、ドライフルーツ用の乾燥機だとより簡単です。乾燥後は、空き瓶などに入れてお菓子や海苔についてくる乾燥剤を一緒に入れて保存。料理やお菓子、飲み物に1枚入れるだけで表情が変わり香りも立ちます。スポーツをする時に数枚持って出かけ、水に入れてフレーバーウオーターしても。粗塩や甘味を少し加えるとスポーツドリンク風になります。私は紅茶にポンと入れて、爽やかな香りで気の巡りを良くします。気分がリフレッシュし、皮ごとたべられるので疲労も回復します。デスクやキッチンに置いておくと、鮮やかなビタミンカラーで元気になります。

12/8

ヨーグルト・乳酸菌・発酵食

ヨーグルトソース・ヨーグルトドレッシング・ヨーグルト・サラダ・腸活

腸内のバランスを整えるヨーグルトは乳酸菌発酵食の代表格ですね。その歴史はとても古くて驚くのですが、約7千年前から食されていたそう。免疫力を高め、腸の蠕動運動を促進させるので便通もよくします。
また、牛乳を発酵させて作るヨーグルトは、牛乳よりもカルシウムやたんぱく質が体に吸収されやすい状態になっています。
近年「生きたまま腸に届く〇〇菌」と言うフレーズで売り出されている健康効果の高いヨーグルト。これは、通常、胃を通る時に、胃酸で死滅する乳酸菌やビフィズス菌が多い中で、胃酸に強い菌を発見し、製品にしたもの。トクホのマークは、しっかりお腹の調子が整う事が認められた証なので、購入するときの目安に。
みかんが美味しい季節ですが、無糖ヨーグルトに果汁を絞り、塩、胡椒、オリーブオイルを空き瓶などに入れてシェイクする。サラダにはもちろんですが、さつぱりとしたソースがハンバーグなどにも好相性。発酵食は日常的に幅広く摂取することが大切ですね。

12/4

山芋・長いも・食養生・滋養強壮

井澤由美子・食養生・薬膳・漢方・山芋・長芋・芋・さんやく・山薬・とろろ・滋養・元気

薬膳では、山薬と書いて、“ さんやく ” と読みます。山芋や長芋は、身体への効能がとても高い自然食であり、文字通りお薬とも言えるパワーフードです。体調が悪い時や季節の変わり目に、積極的に食して体を労わります。
沖縄には、内地とは少し違った山芋があるのをご存知ですか? 知名度は低いのですが、沖縄人(ウチナンチュー)の長寿をしっかり支えてきました。亜熱帯地方で栽培されるもので、ゴツゴツとして大きさも形も一般的な山芋とは違います。とても強い粘りを持ち、おろして天麩羅にするのにも、つなぎがなくてもそのまま揚げる事が出来ます。
どちらの山芋も腎機能を高めるとされ、滋養強壮、疲労回復に効果が期待できます。山芋は、私が疲れた時に一番取り入れたくなる頼もしい助っ人野菜。おろしてお味噌汁に入れていただくとスッと胃に収まります。

おろす、温める調理法もポイント、日本の免疫力でもあるお味噌と合わせて、体調を崩しやすいこの時期にしっかり養生し。冬の寒さに備えます。

12/3

イカ・烏賊

薬膳ではいかの甲は(鳥賊骨・うぞくこつ)と言い、主に月経異常、胃腸症に使用されます。タウリンが多いいかは血中コレストロールの増加を抑え、動脈硬化の予防も期待できます。肝機能を改善するのでお酒のあてにもよいものです。昔よく見かけたいか徳利は、味だけではなくちゃんと体によい理由があったのですね。
日本人は世界でも有数のいか好き、さまざまな料理に使われていますが、低エネルギーでタンパク質が豊富、昔から血を養うと言われ貧血にも良いとされてきました。もしもいかの足が余ったら、細かく刻んでつくねやハンバーグに加えると食感に変化がついて美味しくなります。

12/1

寒しじみ・シジミ・二日酔い・食養生

シジミは肝機能を高めるタウリンやカルシウム、アミノ酸が豊富、アルコールを分解する作用が高いので二日酔いに効くことは有名ですね。解毒作用や血圧を下げる効果も期待できるシジミは滋養が高い。肝機能を高めると言うことは、目の充血や尿の出をよくするなどにも有効です。

シジミをストックする時の保存方法ですが、ざっと洗ったら砂抜きします。バットなどに入るサイズのアミやザルに広げて置き、バットに入れてかぶるくらいの塩水(塩分1%・水500ccなら小さじ1弱)を注ぎます。3時間〜半日ほど置い、再度こすり洗いした後、水気を拭いて冷凍庫で保存。旨味も栄養価も上がるようですよ、どちらにしてもお味噌汁やスープにする時は20分くらいゆっくり煮て旨味を抽出するようにします。お味噌に含まれるコリンとしじみと合わせたお味噌汁はやはり、最強の酒解毒薬になります。

11/29

かぶ・蕪・食養生

かぶは七草で言う「すずな」です。江戸時代には葉を主に食していた野菜で、葉は実際に栄養価も高い。かぶは根菜類に入りますが、普段私たちが食べている白い部分は茎(胚軸)で、その下の方のチョロリと細い部分が根です。
菊花かぶは歯ざわりが良く、疲れがとれます。皮をむいたかぶの両端を挟むように箸を置きます(下まで切れないように)。縦横に切り込みを細かく入れて30分ほど塩水に浸します。小口切りにした唐辛子、昆布一切れを入れたかぶるくらいの甘酢に、水気を絞ったかぶをつけて1時間以上冷蔵庫で寝かせます。今日は、先日掘り起こしたターメリックを薄切りにして加え、ほんのりした黄色に仕上げて、肝機能も上げています。
癖の無いみずみずしい食感のかぶは最も漬物向き。また、火を入れた時の柔らかいとろみも醍醐味です。甘みが立った熱々のお味噌汁は格別、風邪予防にも良いのでこの時期の朝の定番に。

かぶは消化不良にも良いとされ、ビタミンC、カルシウムなどが豊富、便秘改善にもお勧めです。薬膳ではイライラを抑え、のぼせに良いとされています。

11/28

かすべ・エイ・郷土料理

魚料理・料理講習会・料理教室・カスベ・エイ・カスベの煮付け・北海道・旬魚

北海道ではメジャーなかすべ(エイ)。軟膏魚類に属し、煮付けは家庭でもよく作られる郷土料理の一つで、骨(軟骨)ごと食べれます。南樽市場で鮮度抜群のカスベを購入し、煮付けてみました。昆布と酒で下煮してから、醤油とみりんで薄味調理、煮崩れないようにコトコトと。下煮の時に、臭み抜きの為に生姜やねぎでもでもよいと思いますが、カスベの風味を知りたいので、今回はたっぷりのお酒だけで臭みを飛ばす。食してみると、独特のぬめりと軟骨の食感にはまります。冷蔵庫で煮汁ごと一晩置くと、ふるふるの煮こごりに。私はですが、醍醐味が味わえるので甘辛にし過ぎず、薄味に煮るのが良いと思いました。エイは長くおくとアンモニア臭がでる魚ですが、元は繊細な魚です。その他の調理法も楽しそうで色々トライしてみたくなります。

軟骨は関節痛などにも良く、コラーゲンもたっぷりで肌にも良いはず。そういえば三田のフレンチ、コートドールに「エイとキャベツ」という酸っぱい魅力的なお料理があります。