井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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うどん・焼うどん・伊勢うどん

うどん・焼うどん・伊勢うどん。食養生・薬膳・漢方

「一生に一度は伊勢参り」「おかげ参り」と言われますね。伊勢からのお土産でおうどんをいただきました、何だか縁起がよくなる気がします。伊勢うどんは、江戸時代以前から農民がたまり醤油をかけて食していたのが始まりとか。とても柔らかく食べやすいおうどんで、強いこしやツルツルした喉ごしを楽しむものとはまた違った美味しさがあります。うどん屋さんでは、次から次へと来る参拝客に直ぐに提供できるように常にうどんを茹で続けていたそうです。あたたかく柔らかいので消化もよく、長旅で疲れた旅人にも適していたはずですね。

庭の梅がほころび始めていますが、日々の気温は低く寒さが募ります。こんな時は、胃腸にも優しい食で体調をケアしましょう。今日は伊勢うどんで地元風の焼うどんを作りました。作り方に特徴がありますよ。最初に付属のタレをフライパンに入れて煮立てる。そこへ麺を加えタレをしっかり絡めてから、好きな具材をトッピングします。野菜炒めや牛肉の時雨煮、刻み葱を添えたり、卵と絡めるのもお勧めです。太めの市販のうどんを長めに茹でると伊勢うどんに似た感じになります。濃く甘めのタレは、たまり醤油か醤油大さじ2、みりん、出汁各大さじ2、きび砂糖小さじ1を煮立たせてトロリとさせます。

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大根・大根のあさり鍋・養生三宝

大根・大根なべ・咳・痰・食養生・

大根は免疫力を高めると言われている「養生三宝の一つ。ずっしり重い大根を厚めに切って皮をむき、隠し包丁を入れ下茹でする。鍋にたっぷりの水と昆布、白菜、茹でた大根、酒を入れゆっくりじっくり昆布出汁で柔らかくなるまで煮る。あさりは皮ごと調理することが大事、旨味と栄養を丸ごと全部いただきましょう。大きめのあさりを2、3個ずつ加え、煮えばなのぷっくりした開きたてをすぐさま堪能する、何回も何回も繰り返す作業、その美味さにはいつまでも飽きることがないのです。

その後のスープにはあさりの旨みと大根、白菜の甘みが広がっています。この出汁を熱々に温めてつるんとした稲庭うどんに少なめにはる(あればおろし生姜やかんずりなどを用意しておく)。ゆずの香る少し濃いめの葛あんをたっぷりかけていただいてもいいものです。
大根には、痰をきり咳を鎮める効果があります、蜂蜜に漬けた民間療法の相乗効果は有名ですね。旬の金柑を加えればさらなるビタミンCも加わって鬼に金棒です。

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冬の蜂蜜・ハチミツレモン・風邪予防

井澤由美子・喉の痛み・薬膳・美容・便秘・食養生・ハチミツ・はちみつ・蜂蜜・咳止め・養生

深いオレンジ色が美しい濃厚なはちみつを鳥取の農家さんに頂きました。熊に蜂箱が襲われる年もあるそうで、貴重なはちみつを大事に口にしています。
古代から美容と健康によく、その高い殺菌効果から薬としても活用されてきたはちみつ。自然治癒力を高める天然の食材です。保湿効果もあるので唇に塗るなど食べる以外の肌ケアにも◎、腸を潤すので便通も促します。今の時期は喉の痛みや咳止めとしての出番も多いですね。

効果を期待するならば、天然のはちみつがお勧め、非加熱や低温で加熱したものを選びます。天然物は温度が低いと固まる事があります、50〜60度の湯煎にかけて優しく溶かして下さい。専門店に出向くと色や香りの違い、産地や花の種類等を教えてくれます。中でもそばの蜂蜜は効能が高いと伺ったことがありますし、少しだけクセがありますがマヌカハニーも大変優れた抗菌作用を含みます。

ビタミンCたっぷりの国産レモンをはちみつで漬けた(はちみつレモン)の組み合わせは、滋養が高まる相乗効果が抜群。月並みですが、お湯で割ると今の季節にぴったりな甘酸っぱいホットドリンクになります。香りもよく温かい飲み物はストレス緩和にも繋がりますし、レモンの酸味には疲労回復効果があり、皮にはデトックス効果もあります。風邪予防も含めて、夜のくつろぎタイムにぜひどうぞ。(蜂蜜は、1歳未満のお子さんには与えないように注意します)

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金柑・キンカン・金橘・食養生

井澤由美子・保存食・金柑・キンカン・喉の痛み・漢方・健やか・健康・きょうの料理・薬膳・食養生・風邪予防

柑橘類が豊富に出回っています。中でも金柑属の個別分類になる(皮ごと食せる)金柑は正に旬。ヘタが緑で艶がよく、より赤みの強いものを購入し、よく洗ったら皮ごと生で存分に楽しみます。

喉に良い金柑ですが、金柑を2、3分下茹でしてアクを抜き、蜂蜜に漬けるとイガイガ対策に更に効果的です。その他に、干し金柑、塩水漬け、甘露煮、コンポートなどにして保存食も楽しみます。甘く煮たものは、ソースに加えたり煮物や酢豚などに入れると味に奥行きがでます、鴨肉や豚肉などと最もよく合いますが、金柑のビタミンCと合わせるとコラーゲンを生成し肌養生にもなります。ドリンクとしては金柑甘煮にホットミルクを加えれば寝つきをよくし、緑茶と合わせれば疲労回復に加え頭をスッキリさせます。紅茶に加えれば体を温め、甘酒に加えると風邪予防を強化します。中国が原産の金柑、生薬名は金橘(キンキツ)、喉の痛みや風邪対策に昔から用いられています。

金柑の皮に含まれるヘスペリジンやビタミンCは風邪予防やアレルギー対策に有効、香りには気の巡りをよくする効能があり、ストレスを緩和し心を落ち着かせます。
セミドライ金柑は皮ごと薄切りにして3日間干すだけ、冷蔵庫保存です。しっかり乾燥させたものは、空瓶などに乾燥剤と入れておけば常温で長期間保存できます。

きょうの料理「手仕事12ヶ月」金柑特集の放送は本日11時からEテレより

 

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chocolate・チョコレート・金柑

井澤由美子・食養生・美容・金柑・バレンタイン・チョョコレート・chocolate・食物繊維・簡単ごはん・朝食・玄米フレーク・朝ごはん・

今日はバレンタインデー、チョコレートのお話しを少し。

チョコレートやココアを食べると、刺々しい神経が安らいでいく感覚を経験したことはありませんか?チョコレートには神経を鎮静させる効能があり、集中力も高めるそうです。かつて18世紀頃のフランスでは、カカオが医薬品として珍重されていたようでマリーアントワネットにも処方されていたとか。

カカオの種子を発酵、焙煎したカカオマスが主原料のチョコレートは、抗酸化作用が強いポリフェノールやミネラルが豊富に含まれています。血圧低下、動脈硬化予防、身体の酸化を防ぐ美容効果への働きも期待されています。

カカオが70%以上のハイカカオやオーガニック商品、低温加工のローチョコレートなどは特に体に優しい。表示を読んで、原材料が少な目でシンプルなものを選ぶのもポイントです。

チョコレートと相性の良い金柑。甘さと香りを濃縮させたセミドライをチョコレートと玄米フレークに散らします。ミルク、豆乳、ライスミルクやアーモンドミルクを注げば、バランスの良い元気が出る朝食に。セミドライ金柑の作り方は今号の「きょうの料理」でご紹介しています。

2/12

卵・たまごかけごはん・卵酒

卵・卵かけご飯・たまごかけごはん・滋養・玉子・卵・食養生・薬膳・漢方・民間療法

今日の朝ごはんは、卵かけごはん。柚子の香りがする卵を頂いたので、シンプルに楽しみます。卵はほぼ完全な栄養食、ビタミンCや繊維を含む食材を添えれば簡単にバランスのよい献立になります。

卵マイスターに教わった、卵かけごはんの食べ方です。まず、炊きたてのごはんに先に醤油をたらします。黄身と白身をわけて落とし、わさびと鰹ぶしを添える。この時は、甘みを感じる白身からいただきます。もう一つは塩とわさびで食べる卵かけごはん。ゆずたま(ゆず香る卵)などが手に入った時はぜひ試して下さい。わさびを添えるのは私の好みなので、無くても大丈夫です。

山の中を自由に走り回って、きれいな小川の水を気ままにのむ鶏たちはとても健康で、栄養価の高い良質のたんぱく質を含んだ卵を生んでくれます。卵の盛り上がりが高く、白身はゼラチン質を感じることも。良いものをチョイスして下さい。

風邪時や不安感がある時などに、民間療法の卵酒もお勧めです。ボウルに卵1個と大さじ1のきび砂糖を混ぜ、茶こしでこします。少し高めの温度に温めた日本酒160ccを少しずつ混ぜながら加えてふわりとさせます。滋養があり、体を温めるので寝酒にも良いものです。

 

2/10

シナモン・生薬・スパイス・冷え

冷え・食養生・スパイス ・spice・冷え・薬膳・漢方・シナモン・スパイス・肉桂

今日は東京でも雪予報、体を温めてお過ごし下さい。もしもキッチンにシナモンスティックやパウダーが眠っていたら、お茶やお料理に加えてみましょう。
シナモンはスリランカ、インド南部が原産地。日本でも国産のシナモンが温かい地方で栽培され、春に収穫されます。

シナモンに似ている薬膳の肉桂(桂枝)は根っこ部分、樹木のシナモンとは種類が違うのですが、薬効は似ています。冷えをとり五臓を活性化させるとされており、関節痛などの痛みや、血のめぐりの改善に欠かせない生薬(スパイス)です。活血するので目の下にクマができやすい、生理痛が気になる方にもお勧めです。

シナモンは、体を温める作用は生姜以上とされ、指先などの毛細血管まで温めるそう。体温が上ると免疫力も高まります。身体はなるだけ冷やさないように日頃から気をつけ、特に首、手首、足首、腰などに気を配ります。
香りが良いので、リラックスしたい時のお茶にも。シナモンと、胃腸に良い丁子(クローブ)、紅茶などの発酵茶適宜とブレンドティーに。
シナモンはアップルパイなどのお菓子に欠かせませんが、赤味噌とも好相性、味醂と伸ばしてポークソテーなどのソースにしても美味しいですよ。

2/9

苺・いちごシロップ

井澤由美子・薬膳:漢方・喉の渇き・苺・いちご・イチゴ・肌養生・風邪予防

真っ赤なみずみずしい苺を見かけると食べたくなります。この時期は空気が乾燥しているので、喉や肌の渇きを感じやすい。苺は唾液の分泌をうながすので、口内の乾燥を和らげます。体の余分な熱をとって火照を沈め、その甘い香りでイライラした気分を落ち着かせる手伝いもします。

含まれるビタミンCは果物の中でもトップクラス、風邪予防にも最適。程よい酸味と甘みで疲労も回復します。乳製品との食べ合わせもお勧めです。牛乳と合わせればカルシウムの吸収をよくし、ヨーグルトと合わせると便通作用がさらに高まり、整腸作用で美肌効果やアレルギーなどにも効き目がありそうです。
日持ちのする苺シロップは簡単です。苺は必ず、洗ってからヘタを取りましょう。清潔な容器に苺を入れ、苺の量より少し多めの氷砂糖を後から被せるように加えます。変色しないように落としラップをかぶせてフタをします。水分が出てきたら玉にビンごとふる。お好みでりんご酢を足せば、さっぱりとした美しいストロベリービネガーになります。春は肝にダメージを受けやすい、酸味のある食べ物で食養生します。

 

2/8

白菜・養生三宝

井澤由美子・シチュー・白菜・養生三宝・薬膳・畑仕事・冬野菜・ハクサイ

「白菜・大根・豆腐」は、養生三宝と言われるほど滋養がある野菜です。冬ならではの白菜はずっしりと重く、特に軸の甘味が美味しいですね。この軸の部分の旨味をグッと引き出したシチューは冬の醍醐味です。相性のよい白みそでこっくりとした味付けにし、葛でとろみをつけたシチューは体の芯から温まります。作り方は簡単です。白菜は軸と葉の部分に切り分け、それそれ食べやすい大きさに切り分けます。
フライパンにオリーブオイルとにんにく、鶏もも肉を入れ、塩、こしょうして炒め、肉の色が変わったら白菜の軸を透き通るまでじっくり炒めます。かぶるくらいの鳥ガラスープを加えてふたをして蒸し煮にします。しんなりしたら豆乳、白味噌、葛粉各適宜を混ぜたものを加え、まぜながらとろみをつけます。器に盛理、オリーブオイルや挽きこしょうをふっても。肌もキレイになる一皿です。
白菜は食物繊維がたっぷりで低カロリー、ビタミンCはりんごより多く、カリウムやカルシウムなどをバランスよく含みます。白菜の内側は柔らかいので
内側に向かってぜひサラダなどで食してみてください・

2/7

酒粕・粕漬け・発酵食・食薬ごはん

酒粕。養生・酒粕漬け・粕ずけ・冬魚・養生・

脂がのったブリやタラ、サケなどの魚が出回っていますね。いつものように塩をふったり、照り焼きにしても美味ですが、酒粕や味噌に本みりんを混ぜた床に漬けると、魚の脂の旨味が溶け込んで、ご飯やお酒が止まらない美味しさになります。

酒粕やみそには、ビタミン、ミネラル、繊維、アミノ酸、乳酸菌などが多く含まれるので、生活習慣病予防や腸によい働きが期待できます。日本の伝統調味料は本当に良くできており、味を染み込ませるだけでなく、巧みに水分や臭みを抜き、旨味を凝縮させ、保存効果も兼ねるなど多様な効果があります。焼く時は、焦げやすいのでみそや酒床を拭います。コツは、強火でしっかり熱したグリルに入れたら温度を下げ、焦がし過ぎないように焼きます(特に厚さがある場合はほどほど焼いたら弱火に)。旬の柑橘類や大根おろしを添えていただくとすっきりといただけ、魚のコラーゲンを吸収しやすくするので、美肌効果も上がります。