井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

1/21

白味噌・酒粕・美肌・ショコラショー

白味噌・酒粕・発酵食・ホットドリンク・食養生

小雪が舞う寒い日。打ち合わせから始まる早朝は、ホットショコラショーで楽しみます。白みそをアクセントにした、酒粕とホワイトチョコレートのホットドリンク。酒粕(練り粕)、牛乳、アーモンドミルクか豆乳を小鍋に合わせて火にかけ、煮立つ直前で火を止める。あとは、白味噌と割ったチョコレートを溶かすだけ。
バニラエッセンス少々とカルダモンを落とすと、奥行きが出て風味豊かになります(カルダモンはレモンに似た香りを持ち、胃腸薬でもあり、口臭予防にも効くスパイス・生薬)。
短時間熟成で甘みがある白みそは塩分濃度が6%前後と低く、乳酸菌が豊富。なめらかでコクがあり、柔らかい塩気がこのドリンクの良いアクセントになります。
酒粕のレジスタントプロテインは食物繊維のような働きをし、腸の老廃物をからめ取って排出します。また米麹は美肌に有効な成分を含むため、米麹の割合が多い白味噌と合わせると、美白・美肌効果も上がります。

1/19

小松菜・鶯菜・冬菜・江戸東京野菜

小松菜・江戸東京伝統野菜

小松菜の原産地は日本。江戸時代から今も続く東京江戸川区特産品です。江戸雑煮には欠かせない野菜で、伝統小松菜の「後関晩生」は、茎も柔らかで美味。よく見かける小松菜は品種改良をした丈夫なもので、食べ応えがありますね。

カルシウム、ビタミン、鉄分、カロテン、食物繊維が豊富で、風邪予防、貧血予防の他、骨を丈夫にする作用があります。中医学では歯周病予防に良いとされていますよ。
小松菜のシンプルな食べ方をご紹介します。鍋に湯を沸かして塩を加え、茎の方から先に入れ茹で、冷水にとって冷まし、水気を絞ります。しょうゆを全体にかけて下味をつけ(しょう油あらい)、再度ギュとしぼって食べやすく切って器に盛り付ける。この一手間でひと味もふた味も違う美味しさが生まれます、お好みでおろし生姜や鰹節を添えたり、白和えにしても。
その他、簡単調理のフライパン蒸しもお勧めです。ザクザク切った小松菜を茎から入れ、オリーブオイルと塩をパラリとふり、フタをして強火で蒸し炒めにします、シンプルな調理が美味しさを引き立て、栄養価を逃しません。ニンニクを入れてナムルにすれ風邪予防にも最適です。

1/18

ブロッコリー・緑黄色野菜・冬野菜

ブロッコリー・緑黄色野菜・冬野菜・食養生・薬膳

ブロッコリーは野生のキャベツを品種改良したもので、さらに改良されたものがカリフラワーです。蕾の部分の緑黄色野菜、購入する時は、かたくしまって緑が濃いものを選びます。通年出回りますが、冬から春にかけてが旬です。
ブロッコリーは、胃腸に優しく、免疫力を高める野菜としてイタリアなどでも古くから栽培され、親しまれてきました。
カロテンやビタミンE、C、繊維が豊富です。甘味がある茎も、皮をむいて食べやすく切って一緒に調理しましょう。ブロッコリーのビタミンCは水に溶けやすいので、損失を補う塩を加えて基本的には短時間の調理にします。簡単にフライパンに入れ、塩、水、オイル各適宜を降って蒸しにすれば、カロテンも効率よく体に吸収できます。

多少色が落ちますが、ブロッコリーを柔らかく蒸すとしっとりして美味しいなぁと思います。まずはそのままいただいて、残ったらスープやピュレなどにしても。疲れている時は豚肉と一緒に調理すると、疲労回復をグンと助けます。

1/14

養生三宝・白菜・白菜のシチュー

井澤由美子・シチュー・白菜・養生三宝・薬膳・畑仕事・冬野菜・ハクサイ

「白菜・大根・豆腐」は、養生三宝と言われるほど滋養がある野菜です。冬ならではの白菜はずっしりと重く、特に軸の甘味が美味しいですね。この軸の部分の旨味をグッと引き出したシチューは冬の醍醐味です。相性のよい白みそでこっくりとした味付けにし、葛でとろみをつけたシチューは体の芯から温まります。作り方は簡単です。白菜は軸と葉の部分に切り分け、それそれ食べやすい大きさに切り分けます。
フライパンにオリーブオイルとにんにく、鶏もも肉を入れ、塩、こしょうして炒め、肉の色が変わったら白菜の軸を透き通るまでじっくり炒めます。かぶるくらいの鳥ガラスープを加えてふたをして蒸し煮にします。しんなりしたら豆乳、白味噌、葛粉各適宜を混ぜたものを加え、まぜながらとろみをつけます。器に盛理、オリーブオイルや挽きこしょうをふっても。肌もキレイになる一皿です。
白菜は食物繊維がたっぷりで低カロリー、ビタミンCはりんごより多く、カリウムやカルシウムなどをバランスよく含みます。白菜の内側は柔らかいので
内側に向かってぜひサラダなどで食してみてください・

1/12

かぼちゃ・南瓜・風邪予防

南瓜・かぼちゃ・食養生・薬膳・漢方・美肌

グッと寒さが増しています。かぼちゃを食べて柚子湯に入る風習が日本にはあり、かぼちゃを食べると風邪をひかない、病気を遠ざけるなどの言い伝え(冬至など)もあるほどです。何よりカロテンが豊富で、ビタミンB群やCを含み、風邪予防にお勧めの野菜、内臓を養います。美肌や目の疲れにも良く、便秘改善にも。

かぼちゃの名前の由来は、16世紀の半ばにカンボジアのかぼちゃが献上され、カンボジアがなまってかぼちゃになったと言う由来がありますよ、面白いですね。

かぼちゃの皮は硬いので、半分に切ってレンジに軽くかけて切りやすくします。大きめに切ったかぼちゃに、きび砂糖を適宜馴染ませて厚手の鍋に15分ほどおいておくと水分がでます。甘味と和えて少し置くのがポイントです。ひと混ぜしてふたをし、弱火で炊いてお醤油少々で味付けするとほくほくの煮物になります。生姜のスライスと酒、塩少々で炊くのも、かぼちゃの風味が存分に生きて、生姜で体も温まります。

1/9

ニラ・韮・血行不良・ニラ玉・ナムル

食養生・薬膳・韮・ニラのナムル・疲労回復

写真は今号のマガジンハウスクロワッサンに掲載されている免疫力を上げるニラのナムル。滋養が高く肝機能を改善し、血流を良くします。

寒くなると肩がこりますね、ほぐしたいので今日は適度なストレッチと改善ごはんにします。腸の掃除機と言われるニラは体を温める作用も高い。合わせて腸内環境をよくしつつ、血液循環を高めます。血行がよくなるので、冷えによる肩こり、腰痛や血行不良による目の下のクマ改善も期待できます。

ささっとできるニラ玉もお勧め、2人分です。ニラは洗って4㎝幅に切り、卵4個、めんつゆ大さじ2と混ぜる。フライパンを中火にかけ熱くなったらごま油大さじ1をなじませ、卵液を一気に流しいれ、30秒おいて大きく混ぜてふんわり焼き、器に盛る。小鍋に出汁1カップ、醤油、みりん各大さじ2、酢、おろし生姜の絞り汁各小さじ1を煮立て、葛か片栗粉大さじ1を水大さじ2で溶いたものを加えてとろみをつける。生姜を加えたあんかけでさらに温まります、熱々をいただいて下さい。

1/8

白菜・オレンジ白菜・鍋

食養生・薬膳・白菜・ハクサイ・鍋・白菜鍋・冬野菜

白菜は水分が多く低カロリー。ビタミンC、マグネシウム、カリウム、食物繊維が豊富な冬の代表野菜ですね。一度に沢山の量が食べられるのでビタミンCを多く取り入れる事が出来ます。薬膳では胃腸の熱を沈めるので、消化によく、二日良いにも良いとされている野菜です。

オレンジ白菜は柔らかく甘みがあるので生のままでいただいても食べやすい、塩をふってオイルとレモン果汁を馴染ませるとさっぱりとしたサラダに。あるいはピリ辛のヤンニョム(薬念)ペーストとあえるのもお勧め。にんにく、生姜、りんご、唐辛子などがたっぷり入っているので、白菜のカロテンやビタミンC、食物繊維と合わさって、免疫力を高める手伝いもします。

鍋物に大活躍する白菜ですが、下茹でして3枚重ね、手前からクルクルと巻いて輪切りにしてからお鍋や煮物に入れる。茹で汁に白菜の甘みが移っているので、出汁を足してお鍋に加えると美味しくなり栄養価も摂取出来ます。

1/7

七草粥・お粥の炊き方

食養生・薬膳・お粥・七草粥・七草粥の作り方。食養生・無尿息災。土鍋

七草粥は無病息災や健康長寿を願っていただくお粥です。元は中国の「人日の節句」で「七種菜羹」とい言う温かい汁物を食べる風習が伝わり、日本の「若菜摘み」と結びついたと言われています。
春の七草(スズナ(蕪)・スズシロ(大根)・セリ、ナズナ(ペンペン草)・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ)で七草入りの粥を「朝」作ります。スズナやスズシロは叩き(切っても)、葉ものも食べやすく切ります。今日はお粥の粒先がひらくような食感のよい作り方をご紹介します=米半合は洗って、できればザルにひろげて30分ほど乾かします。鍋にお米の10倍量の湯を沸騰させて米を入れ、ひと混ぜだけする。再度煮立ったら米油か菜種油を小さじ半ほど加えフタをして弱火でゆっくり25分ほど炊き、切った七草を入れ5分煮て5分蒸らします。最後に粗塩2つまみを加えると塩梅よく、みずみずしい仕上がりになります。
七草粥はお正月のご馳走や祝い酒などで疲れた胃を休めることも目的です。朝粥は普段の朝食にもお勧めです、胃にもたれず元気がでるので1日のスタートにもふさわしい食事と言えますね。

1/6

けんちん汁・大浦ごぼう・根菜

けんちん汁・巻繊汁・豚汁・煮物・芋煮

今朝は東京でも雪が降りました、初雪です。

こんな日は温かい汁物や鍋ものを作りたくなりますね。千葉県の伝統野菜、大浦ごぼうを頂きました。縁起物として珍重され、太くて大きなごぼうです。見た目はごつごつとしていて扱いにくそうですが、煮るとほくほくして甘くとても美味しい。そのごぼうに、下ゆでした里芋とこんにゃく、人参、焼き豆腐、豚肉、油揚げと一緒に鍋に入れて、お酒と濃いめの出汁、醤油で煮込みます。
シメには、合わせみそ・みりん・ザラメかきび砂糖を足して濃いめに味を整え、コシのある太めのうどんとネギ、落とし卵を加えてクツクツ煮込み、煮汁がうどんに染み込む頃が食べごろです。

寒くなると運動不足でお腹が張ったり、血の巡りも悪くなりやすい。積極的に体を動かすように心がけ、繊維や発酵食を積極的に摂取します。特に根菜類の里芋やごぼうは食物繊維が豊富、コレストロールが気になる方もたっぷり召し上がって養生して下さい。ちなみにごぼうの種は生薬で喉の治療薬です。

1/5

本味醂・伝統調味料・疲労回復

本味醂・疲労回復・みりん・味醂・搾りたて・発酵調味料・伝統調味料・疲労回復

今日は疲れたなぁと思った時は、本みりんをいただく事があります。甘酒も良いですが、甘露な本みりんがスッと心地よく喉を通るので、寝酒に少し。甘酒は、飲む点滴とも言われるほど滋養が高いですが、本みりんも負けていません。

もち米を9割、うるち米を1割の割合で作った、熟成した本味醂はそのまま飲んでもとても美味しく、元気になります。砂糖より入手しやすかった昔は、女性にも親しみやすいお酒で、お正月にいただくお屠蘇(おとそ)でもありました。「密醂」「美醂」とも書かれるみりんは、時代の流れでお料理に使われる調味料となりました。上質なみりんはさっと煮詰めるだけで、品のよいシロップにもなります。手間暇かけて丁寧に作られる日本の伝統調味料は技の巧み、身体にも優しいので使わないのはもったいないですね。卵焼きはふんわり仕上がり、肉や魚に煮からめたつやつやの照りは、なんとも食をそそります。

写真は三河味醂、取材先での搾りたてでフレッシュ!寝かせると琥珀色になります。