井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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あさり・あさりと大根の養生鍋

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ぷっくりとした旬のあさりと冬養生の代表野菜の大根。合わせて美味しく頂ける時期は意外に短い。今日はあさりと大根のシンプルな旨味が極上のお鍋のご紹介です。

大根は免疫力を高めると言われている「養生三宝の一つ。ずっしり重い大根を厚めに切って皮をむき、隠し包丁を入れ下茹でする。鍋にたっぷりの水と昆布、茹でた大根、酒を入れゆっくりじっくり昆布出汁で柔らかくなるまで煮る。あさりは皮ごと調理することが大事、旨味と栄養を丸ごと全部いただきましょう。大きめのあさりを2、3個ずつ加え、煮えばなのぷっくりした開きたてをすぐさま堪能する、何回も何回も繰り返す作業、その美味さにはいつまでも飽きることがありません。

その後のスープにはあさりの旨みと大根の甘みが広がっています。この出汁を熱々に温めてつるんとした稲庭うどんに少なめにはる(あればおろし生姜やかんずりなどを用意しておく)。
卵を加えてもいいですね、あさりの亜鉛を効率よく吸収でき、滋養も高まります。

あさりは肝機能を上げるので、お酒のお供や二日酔いにも良いと言われていますね。春はデトックスの季節なので肝機能がフル回転、ケア食材のあさりで養生して下さい。あさりの栄養はビタミンCを多く含む大根と合わせると効率よく摂取できる組み合わせ。煮汁までしっかり召し上がって下さい。

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桃の節句・お雛さま・卵・まいにち食薬養生帖

食養生・卵・錦糸卵・井澤由美子・ひな祭り・お雛様・雛膳・ちらし寿司

今日は雛祭り。女の子の無病息災を願う桃の節句です。娘が小学生くらいの頃までは、毎年雛壇を飾ってお友達と楽しむ散らし寿司やハマグリのお椀、和菓子を手作りしていました。年に1度の貝合わせもお楽しみ。平安時代が起源と言われる貝合わせは、ハマグリの対になっている貝だけが合う性質を用いて成立した非常に雅な遊び。美しい絵柄のものや金銀に塗られたものなど多様にあり、とても日本的で優美です。幼いながらもキチンと正座をし、少し緊張した面持で友と遊んでいる様子は微笑ましく、今でも目に焼き付いています。

すし飯にたっぷりと錦糸卵をのせれば、それだけで幸福感あふれるおひな様の散らし寿司が出来上がります。しっとりしながらも破れにくい鮮やかな錦糸卵の作り方を新刊の「まいにち食薬養生帖」3月3日の卵のテーマに書いています。半熟ゆで卵や固茹で卵の温度やポイント、卵の栄養と効能も載っていますよ。

自律神経が乱れやすい春。卵には脳をリラックスさせるトリプトファンが含まれています。新生活や寒暖の差で不眠気味になりやすいこの頃の食卓にお勧め、手軽に調理できるのも嬉しいですね。

 

 

3/3

FM yokohama ・ラジオ・まいにち食薬養生帖

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本日は、YokohamaFMのkiss &raides さんのラジオに生出演させて頂きました(13時5分〜13時25分)、明日もラジコさんで聴けるようです。新刊の「(まいにち食薬養生帖)365日の食が心と体の薬になる」の中から、春の食養生について、楽しくお話しさせて頂きました。本のページが3月1日から始まっているので、ご説明としても嬉しい出だしでした。季節の行事がエピソードと共に軽快に読めるようになっています。

 

ひな祭りは、女の子の無病息災や健やかな成長を願う行事。正式には「上巳の節句」と言います。3月3日のページでは、卵がテーマ。ひな祭りに欠かせない散らし寿司のしっとりした錦糸卵の作り方や、半熟、固茹で卵のそれぞれの温度、そして栄養や効能について書しています。

日々の旬食材を毎日一つのせ、そのレシピと栄養、効能を1ページずつ綴っています。もしも晩御飯に困ったらその日のページを開いてみて下さい。白い鼻水と黄色い鼻水では食べるものが違います。ご自分やご家族の体調に合わせた食卓を整えられたら、いざという時も安心出来ます。

3/1

生姜・生姜焼き・ジンジャーポークソテー

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本日のNHKあさイチさんでは、薬効の高い生姜のレシピを2点ご紹介させて頂きました。辛味成分のショウガオールやジンゲロンは、体を温め代謝を良くして冷えを改善します。アーユルベーダーでは「万病を治す」、中医学では「百邪を防衛する」とされるほどで、乾燥させた干し生姜(乾姜・かんきょう)は漢方薬になります。皮ごと薄切りにしてザルに2、3日干し、しっかり乾燥したら空き瓶などに乾燥剤と入れておけば、スープやお茶にといつでも活用できます。干し生姜は体の芯からじんわりと温めるので、慢性的な冷え性の方や辛味に弱い方にもお勧めです。日頃から低体温を遠ざけ、食養生すると体が楽になります。

生姜は体を温める他に、吐き気などにも有効。殺菌効果もあるので、生魚や肉の付け合せにも多様されていますね。本日ご紹介した厚切り肉のジンジャーポークソテーではおろし生姜のダブル使いに。まず一つはタンパク質を分解する酵素(ジンギパイン)で肉を柔らかくする為に揉み込んで10分置く。後の一つは香りのよいソースを作る為、おろしたてを混ぜて焼いた肉に馴染ませます。新玉ねぎを少し加えて甘味を足し、栄養の面では疲労回復効果を担っています。ご飯が進む味付けですよ、しっとり柔らかなジンジャーポークぜひお試し下さい。

 

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レモン塩・lemonsalt・レモンの塩水漬け・柑橘類

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日本のレモンの旬は冬から春先。果汁たっぷりの完熟レモンを使って、香りの調味料として「レモン塩」を初めてご紹介したのは2010年のきょうの料理とあさイチさんでした。

作りおくと便利なレモン塩ですが、少量や直ぐにお使いになりたい場合は、大きめレモン1個分のスライスと粗塩大さじ2半〜3をポリ袋にいれ、袋の上から馴染ませた(クイックレモン塩)がお勧めです。

従来の作り方は、清潔な保存瓶や容器に塩とレモンの輪切りや乱切りを交互に入れて1週間ほど寝かせたもので、玉に容器ごと振って全体をなじませる。レモンエッセンス(レモン塩果汁)がたっぷり欲しければ、追いレモン果汁をすればOKです。

レモンの皮にはダイエット効果がありますし、爽やかな香りのリモネンには神経の興奮を抑えるなどのリフレッシュ効果があり、肉や魚はしっとりします。お料理に使うといいことずくめなのです。レモンの皮は、塩蔵するとやわらくなって苦味も軽減。ポンとお鍋やスープにおとしたり、魚と一緒に蒸したりと気軽に使えます。もちろん豚肉や鶏肉とマリネし、ソテーするだけでも美味。お弁当などにも防腐効果が高いのでお勧めです。

その他、桜の塩漬けの発色、林檎やアボカドの色止めと味つけ、塩辛類の生臭消しなど、四季折々のあらゆる食材ともレモン塩は楽しめます。

塩分濃度やレモンの保存状態でも調理は変わります。何よりプカプカと浮く塩水漬けを見ていると心が浮き立つ。料理がシンプルになり、疲労回復など体への効能が高いのも魔法の調味料と呼ばれる所以です。

2/25

海藻・昆布・わかめ・美髪

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大きなめかぶを目にします。腎の働きを良くする海藻類は、女性特有のトラブルにも良いものです。中医学では(髪は血の余りである)とされており、髪がきれいな人は十分に血液がまわっている証拠と考えます。食から髪にツヤを与えるには海藻類、果物、野菜などのヨードやビタミン類が豊富なものを積極的にとり、卵や牛乳、豆類、魚、肉などの良質なタンパク質で毛髪の成長をうながすことが大事。

海苔とひじきの佃煮などを作りおくとごはんのお供にも最適です。わかめやひじき、海苔(湿気ってしまったものでもok)などを出汁、醤油、みりんで煮詰めるだけ、お弁当や和え物にも重宝します。

ケアとしては頭皮をマッサージしたり、ブラッシングして巡りがよくなるようにし、足の内くるぶしのくぼみにある(大けい)をマッサージすると、効能が上がり、疲れもとれます。

写真は小樽で食べた「細め昆布」3月までしか漁ができないそう。うすくなめらかで美しい、お刺身やしゃぶしゃぶなどでいただきます

2/23

白菜・白菜とチキンの和風シチュー

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梅の香りが漂う頃ですが、まだまだ冷えが気になります。こんな日には温かくヘルシーで、食べ応えのあるシチューはいかがでしょう。まず3、4枚分の白菜の軸と緑の葉の部分を切り分けてざく切りにし、にんにくはひとかけ分を潰し、鶏もも肉1枚分は食べやすく切る。フライパンにオリーブオイルかごま油大さじ1を熱し、にんにくと鶏肉を炒める。色が変わったら白菜の白い部分だけを加えてしんなりするまで炒め、塩、胡椒する。豆乳2カップと白みそ(みそ)大さじ1〜2を入れて煮立て、残りの白菜を加え中弱火で3〜5分ほど煮込む。白菜の軸は炒めると、とろりとして甘みが増すのですが、この一手間でグンとコクがでて美味しくなります。最後に大さじ1の葛粉を少々の水で溶いて加え、とろみをつけても。鶏肉の代わりに牡蠣を加えると精神を安定させる効果が高まり、更年期障害のイライラや落ち込みを改善します。豆乳を合わせると、女性の健康維持にかかせないイソフラボン(味噌にも豆乳にも多く含まれている)のダブル効果で、骨量もふやす一皿になります。

白菜は養生三宝の一つ。胃腸を整えたりお酒の解毒効果もあるそうなので、二日酔いやむくみにも有効。朝はデトックスタイム、朝食のお味噌汁に入れて繊維と塩分を効率よく効かせましょう。

 

2/23

牡蠣・牡蠣の炊き込みごはん

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ぷっくりとした膨よかな牡蠣が美味しい季節ですね。まずは、ほのかな塩気をまとった生牡蠣をそのまま口に放り込み堪能する、2個目は搾りたてのレモンで、3個めからはレモン&タバスコでいただきます。解毒作用もありますし、酢や生姜を使うのもお勧めです。

旨味の凝縮した蒸し牡蠣もいいですね、フライパンに牡蠣を入れてお酒をふったら、フタをして加熱します。貝の口がほんのり開いたらすかさず取り出して開けるのがポイント、火を入れすぎないように気をつけます。蒸し立てはふっくらとして艶やか、磯の香りが鼻を抜けます。
お弁当でも人気の牡蠣ごはんの作りかたです。牡蠣を殻ごとサッと酒蒸しにした後、身を取り出す。小鍋に酒、みりん、醤油を同量煮立て牡蠣を入れたらひと混ぜし、直ぐに火を止めます。冷めたらその煮汁でお米を炊き、炊き上がりに牡蠣をもどして少し蒸らす。ぷっくりとした仕上がりに、食卓で歓声が上がります。あれば山椒の葉や三つ葉を散らして下さい。

牡蠣は亜鉛、鉄分、ヨードが豊富、髪や肌も美しくするエイジングケアも期待できます。これから新しい事が沢山始まる季節、何かとストレスも溜まりがちですね。そんな時にも滋養があって安心効果をもたらす牡蠣はお勧めです。

2/21

根菜・巻繊汁・けんちん汁・乾燥

けんちん汁・巻繊汁・豚汁・煮物・芋煮

乾燥するこの季節は喉や体を潤す金柑や柑橘類梨などの果物が多く出回りますね。根菜の大根、蓮根、蕪、ごぼうなども喉に良い野菜達です。大根の蜂蜜漬け、おろしごぼう汁、蓮根の葛湯などは喉や咳のケアに良い民間療法として様々あり、昔から親しまれています。

今日はこれらの滋養がある根菜をたっぷり入れたけんちん汁の簡単な作り方です。鍋にごま油をなじませたら、食べやすく刻んだ根菜類を炒め、油が回ったら豆腐を崩し入れて炒め合わせて塩少々をふる。後は、昆布や干し椎茸の出汁を使い煮込んで醤油風味で仕上げまます。ネギや揚げを入れて風味やコクを加えてもいいですね。寒い日の汁ものは殊の外美味しく感じますし、運動不足に心当たりがある方は、繊維たっぷりの根菜類を沢山いただいて腸活しましょう。皮部分近くに香りや栄養があります、たわしで擦り洗いして出来るだけ丸ごといただくと、大地のパワーと共に血行を良くするビタミンC、E、鉄や食物繊維などを丸っと頂けます。

ちなみにけんちん汁は精進料理のすまし汁のこと。約750年ほど前に鎌倉の(建長寺)で崩れてしまった豆腐と野菜を煮込んだのが始まりと言われ、お坊さんが作った(建長寺汁)がなまったそうです。その他に、刻んだ野菜と豆腐を炒めて油揚げを使う料理から関連付けされている説もあるようです。

2/18

キムチ・発酵食品・漬物・免疫力

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白菜が美味しい季節なので、キムチをたっぷり漬けています。昼間は温かい日も増えてきたので発酵もスムース、2月は漬物や保存食作りにお勧めの季節です。

発酵食は腸内環境を整えるので、花粉症などアレルギー緩和の手助けにも最適。糠漬け、乳酸キャベツ、あさ漬けなど常に食卓に上げるようにすると健康維持に役立ちますね。中でもキムチは生姜、ニンニク、ニラ、りんご、玉ねぎなどの香味野菜をたっぷり混ぜた(薬念・ヤンニョム)と一緒に発酵させるので、それぞれの栄養と体が温まる作用が加わって免疫力を高めます。何かとストレスも多く感じる春先には、アミノ酸の一種のギャバをたっぷり生み出す漬物を食べて心身共に養生して下ださい。お夕飯時にいただくと不眠にも良い効果をもたらすようです。

キムチの詳しい作り方は新書の「食薬養生帖」の314ページや、「体がよろこぶお漬け物」の著書本でもご紹介させていただいておりますが、本場韓国のキムチ作りの達人達は香りの良い梅シロップをほんの少し加えるのが常、果物の甘みと香りでグンと旨味が増します。私はこの時期、梅シロップの代わりに旬の金柑シロップを加えて美味しさを底上げしています。