井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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ニラ・旬野菜・食養生

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春の柔らかそうなニラが出回っています。食欲増進、疲労回復に良いとされるニラは、最も調理しやすい野菜ですね。ニラレバやニラと豚肉炒めなどはシンプルですが、ニラのアリシン、カロテン、肉のビタミンB1などが合わさって相乗効果のある組み合わせです。

ニラの効能を使った昔ながらの民間療法も沢山あります、嘔吐やゲップにお困りの方は、ニラをさっと茹でて絞ったものと、生姜をおろして絞ったものを牛乳で溶いて飲む。腰痛や肩こりには、熱燗を呑みながらニラのお浸しなどをお酒のお供にいただくなど。薬膳では、ニラには止血効果もあり、鼻血、不正出血などに良いとされています。ですが作用が強いので胃腸の弱い方、小さなお子さんは少し控えめになさって下さい。

ニラはお腹のホウキと呼ばれるほど便通効果が高いので便秘気味の方には良いもの。それからお腹が弱い方は蜂蜜と併用すると下すこともあるようなので気をつけます。

3/22

あさり・あさりのお味噌汁・春の食養生

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昨日は春分でした。日が長くなり初めて日中は温かい日が増えてきましたね、早咲きの桜は満開です。
スーパーで大粒のアサリが出回っています。身がぷっくりした旬のアサリは、旨みと栄養価がたっぷり。殻にはカルシウムなどのミネラルが豊富、ぜひ殻付きを調理するようにして下さい。加熱する最初に「少々」の酢を入れると吸収をよくします(少量なら酸味は飛びます)。
砂抜きは、バットにあさりを広げて塩水程度の塩水(水500cc塩大さじ1)をかぶる程度に入れ、新聞紙などを置いて暗くし(海の中と似た状態)半日置きます。時間がない時は50度位の湯に3分ほど浸すと良いそうです。その後、水気を切ってポリ袋に入れ、酒少々を加えて上から揉んで汚れをスッキリ落とします。お味噌汁は、鍋に水とアサリ(好みで昆布一切れ)を入れ中強火にかけます。煮立ってきたらアクをすくい味噌を溶き入れ、口が開いた順にアサリを椀に盛り、熱々のお味噌汁を注ぎます。
アサリのタウリンは肝機能を高めることが知られていますが、春は肝機能をケアすることが大切なので理にかなっています。味噌の沢山の機能性成分、メラノイジンと合わさり疲労回復効果や健康効果が倍増します。しみじみ美味しいあさりの椀物、たっぷり堪能したい春です。

3/20

乳酸キャベツ・発酵食・ザワークラウト・春野菜

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柔らかな春キャベツが出回っています。
乳酸キャベツは、シュークルートやザワークラウトと同じ発酵キャベツの漬物で、井澤家の呼び名です。
基本材料はキャベツ、粗塩、きび砂糖の3つ。ボウルに細切りキャベツ1Kg(巻きのゆるい春きゃべつなら約1個〜1個半)、塩小さじ4、きび砂糖小さじ2を手でよく馴染ませしんなりしたら、密封袋などに入れてしっかり重石をする。常温で2、3日たったら、清潔な保存容器に入れて冷蔵庫へ。お好みで粒胡椒、花椒、クローブ、キャラウエイなどのスパイス類や唐辛子、ローリエ加えても、私はたっぷりの山椒の実の塩漬けや針生姜を加えた和風も好きで、体調によってスパイスの効能と風味を変えています。
発酵食は単体で口にしても腸には効きにくく、食物繊維を足すことで整えやすくなります。乳酸キャベツは発酵食でありながら、食物繊維、ビタミン類などと、乳酸菌が豊富。一つで賄える優れたお漬け物で、一番シンプルな発酵食だと思います。
簡単なのでぜひ手作りしてみて下さい。毎日食べると、自分の体が変わるのが実感できますよ。上質なオイルを少し垂らすとさらに腸へのアプローチが高まります。

3/18

煮干し・にぼ酢・酢・食養生

にぼ酢・煮干し・旨味調味料・カルシウム・養生・手作り調味料・食養生・

煮干しは字のごとく、煮てから干すので煮干しです。当たり前の事ですが、煮干しを作ってみるまではその事実に赴きませんでした笑。

新鮮なカタクチイワシが手に入ったら水で洗う。粗塩(3〜3,5%の海水程度の塩分)を入れてグラグラ沸騰させたら強火の湯で3分ほど茹でます。手早く水気を拭いたらザルや網に広げて3〜4日風通しの良いところで干す(水気を拭いた後、扇風機などで半日ほど乾燥させ、ある程度の水気を飛ばすと実は失敗が少なく、余力があれば夜は冷蔵庫保存で)。

煮干しを使ったお勧めの簡単旨味調味料も春のイライラにとてもよく、疲労も回復するのでご紹介します。1カップの米酢や黒酢に好みの量の煮干しを漬けるだけ。30分ほどで煮干しは柔らかくなります。酢に煮干しを漬けると旨味が出て、酸味が押さえられるので、料理に使いやすいのです。ハラワタなどの苦味も感じません(煮干しの生臭みが気になる方は、ラップをせずにレンジに2分ほどかけてみて下さい)。

酢に漬けた「にぼ酢」は、そのままおやつに最適です。すり胡麻と合わせて胡麻和えに、片栗粉をはたいてサクッと揚げてフリットなどにしてもいいもので、言わなければ誰も元が煮干しだったとは気がつきません。合わせる食材や調理法で更に健康的に美味しくいただけます。

一番の利点は煮干し自身がやわらかくなり、小さなお子様や年配の方まで難なくいただけること。酢の酢酸と煮干しのカルシウムが合わさると「酢酸カルシウム」になり、単体で食べるよりグンと体への吸収率がアップします。育ち盛りの骨や歯を作る手伝いをしたり、骨粗しょう症の予防にもなりますね。カルシウムを含む「にぼ酢」は春の疲労も回復させ、料理を美味しくします。

(この「にぼ酢」は、2017年NHK「きょうの料理」で昆布酢・薬膳酢と共に滋養のある旨味酢としてご紹介させていただいたものです。)

 

 

3/15

蓬・よもぎ・デトックス

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沖縄で、デトック効果が高いと評判のよもぎ(フーチバー)と月桃の蒸し風呂に入ったことがあります。北海道のお気に入りの宿では、温泉に薬草風呂としてよもぎが入っています。

よもぎはアイヌ語でカムイノヤ「神の草」と呼ばれ、さまざまな料理にも使われています。フランスではエルブロワイヤル「王の草」、中国では「医草」と呼ばれ、薬膳では血をきれいにするとされており、韓国ではよもぎ蒸しが有名、日本ではお灸にも使用され、世界中でその効能が認められています。

娘が小学生の頃、ある時担任の先生がクラスの皆んなを連れて近くの土手によもぎ摘みに連れて行ってくれたそう。雑草とよもぎの区別がつくようになった嬉しさや、よもぎ餅を友達と作って食べた想い出は宝物かも知れません。高い薬効の話と手摘みをして食すという根の深いところまで知らしめた授業は、娘にとって心に残る素晴らしい食育だったようです。今でも通りすがりによもぎを見かけると懐かしそうにしています。

よもぎは、利尿作用や体に溜まった老廃物をデトックスする力があります。造血作用があり、代謝を高める効能も期待できるので、特に婦人病などにお勧めの野草です。

3/14

牛肉・食養生

食養生・牛肉・薬膳・漢方・食薬ごはん・井澤由美子

日中は暖かくなって、過ごしやすい気温が続いていますね。ですが、朝夕との寒暖の差も手伝って自律神経が乱れ、何となく疲れやすいこの季節。気温の温暖差や新生活のストレスで、脳や体が慢性疲労を感じやすくなっていることも。病院にいってもこれといって悪いところはないのですが、疲れると気落ちもしてしまう。

中医学ではこれを気虚(ききょ)と言い、漢方薬や食で養生し、身体の機能を回復させます。食材の中で特に「気」を補う食材は牛肉。必須アミノ酸が豊富な牛肉は、良質なタンパク質やミネラルで身体の機能を改善させ、筋骨を丈夫にします。

鍋に下処理した牛すね肉と多めの新玉ねぎ、にんにく、セロリ、トマト、赤ワイン、スパイスなどを加えれば後はコトコト煮込むだけ。鍋まかせなのでほとんど手間はかかりません、時間が美味しくしてくれます。季節や気温、体調によってスパイスや野菜の配合を変えて楽しみます。出来上り近くになったら蜂蜜と美味しいバターで仕上げます。

週末や空いた時間に煮込んでおいて休日はのんびりと過ごし、また週明けから頑張れる気力体力を復活させておきましょう。

3/10

新玉ねぎ・食薬ごはん・春の食養生

春野菜・井澤由美子・食養生・血液サラサラ・春野菜・新玉葱・新玉ねぎ・レシピ

国産のみずみずしく真っ白な新玉ねぎを食べれるのは3月〜4月、今が旬です。辛味が少なく甘みがあって美味しいですね。薄くスライスして、おかかやおろし生姜で頂くなど、ぜひ生食を楽しんで下さい。その際には、上質なオイルをひとたらしする事も忘れずに。

水にさらさず、加熱を避けると、ビタミン、カリウム、硫化アリル、ケルセチンなど新玉ねぎが持つ栄養素を損失無く吸収できます。辛味が気になる方は、薄くスライスしたら広げて1時間ほど常温に置くといいですね。 新玉ねぎをいただくと胃腸がすっきりとし、善玉菌を増やすので腸活にもなります。花粉症の方やアレルギーが気になる方にもお勧めです。

加熱をすると全ての栄養がなくなる訳ではありません。煮汁に溶け出た栄養や美味しさを余すことなくいただけば良いですね。水分が多く柔らかいので、スープやシチュー、ソースが直ぐにできます。その甘さやとろりと煮えた柔らかさをたっぷり堪能出来るのも、新玉ねぎならではの楽しみ方です。

 

 

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人参・キャロットラペ・眼精疲労

食養生・薬膳・漢方・食薬ごはん・まいにち食薬養生帖・人参・にんじん・キャロットラペ・ドライアイ

花粉が舞うこの時期は、特に目のかゆみや乾燥が気になりますね。にんじんは鼻や喉の粘膜を健康に保つビタミンAが豊富な野菜。
春にんじんはみずみずしく甘さもあって良い香りがします、生でいただくと栄養を丸ごといただけますよ。

キャロットラペ(人参サラダ)の作り方です。皮付きの人参をタワシでこすり洗いし、千切りにします。レモンやオレンジのしぼりたての果汁、オリーブオイル、粗塩をふって馴染ませる。にんじんの酵素、ビタミンC、カロテン、繊維がたっぷりなサラダです。今なら金柑を加えても良いですね、甘み、香り、色が冴えた美しい一品になります。
花粉症が気になる方はヨーグルトと合わせて。薬膳では人参は日々取り入れると血と津液を作る手助けをすると言われています。

3/8

乳酸キャベツ・春キャベツ・発酵食・漬け物

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見るからに柔らかそうな春キャベツが出回り初めています。
乳酸キャベツは、シュークルートやザワークラウトと同じ発酵キャベツの漬物で、井澤家の呼び名です。
基本材料はキャベツ、粗塩、きび砂糖の3つ。キャベツ1Kg(春キャベツは巻きがゆるいので1個半弱位)塩小さじ4、きび砂糖小さじ2をよく馴染ませます。重石をして常温で2、3日たったら清潔な保存容器に入れて冷蔵庫保存します。お好みで唐辛子や粒胡椒、スパイスなどを加えても良いですし、私はたっぷりの山椒の実の塩漬けや針生姜を加えた和風を常備しています。
色々ある発酵食ですが単体で口にしても腸には効きにくく、食物繊維を足すことで整えやすくなります。乳酸キャベツは発酵食でありながら、食物繊維、ビタミン類、乳酸菌が豊富。一つで賄える優れたお漬け物で、一番シンプルな発酵食だと思います。
冷蔵庫に体に良いサラダをいつも常備している感覚で、日持ちがします。二日酔いや胃もたれにも良く、いただくと疲労が回復していくのが判ります。薬膳では胃腸の働きを改善する野菜です、実際に胃腸薬としても販売されていますね。

料理にも展開しやすく、サンドイッチやコールスローにすれば乳酸菌が生きています。焼売やメンチカツなどは調理が楽で、揚げ物などに加えると胃もたれしにくいお惣菜になります。

毎日食べると自分の体が変わって来るのを感じます、花粉症の方はヨーグルトを混ぜだサラダなどがお勧めですよ。

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クレソン・ウォータークレス・オランダガラシ

井澤由美子・食薬ごはん・食養生・デトックス・クレソン・春野菜・食養生・井澤由美子・薬膳・漢方

デトックス作用が強いクレソン。別名をウオータークレス、和名を水ガラシ、オランダガラシと言います。
抗酸化作用のあるBーカロテンやビタミンCが豊富です。口にすると奥底に、ピリッとする少しの辛さが感じられます。これは、ワサビや大根の辛味成分と同じシニグリンによるもので、消化を助ける効果があります。薬膳では利尿作用があり、血流を良くする野菜とされています。

清々しいクレソンは、大人になってから好きになった香味野菜。胃腸の調子を良くし食欲増進効果があり、口の中もサッパリさせてくれるので、肉料理の付け合せやサラダに最適です。

私が一番好きな食べ方は、クレソンをたっぷり食べられる “ お鍋 ”です。春のクレソンは茎が細めで柔らかでお鍋に向いていますよ。昆布出汁が入った鍋に、鶏つくねのたねをスプーンで丸くポンポンと落とし、火を通したら、クレソンをそっと横たえるように置いてサッと煮ます。
野菜はクレソンだけで楽しむ方が、味が濁らなくていいと思います。その他に、冷水でシャキッとさせたクレソンを千切ってボウルに入れ、ごま油でカリカリに揚げ焼きして和えたジャコのサラダもシンプルで美味、クレソンの昆布締めもオツです。