井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

9/29

小豆・あずき茶・小豆・デトックス

小豆・あずき・豆・デトックス

あんまり甘いものが得意じゃない私でも、小豆たっぷりの豆大福などをいただくとホッとして気持ちが穏やかになります。甘みや舌触りもさることながら、身体にたまった余分な湿(水滞・すいたい)を取る小豆を心地よく感じるのかもしれません。特にむくみが気になる方(雨季に体が重い、頭痛がする、膝などの関節が痛い、睡眠が浅いなどの症状が出やすい方も)に、お勧めです。
昔から日本で食されている小豆は、湿をとり解毒作用があると言われています。利尿作用が高いので体の余分な水分を排出し、むくみ解消に有効です。ハトムギをプラスするとさらに効果が高まります。
最近では、食べやすい蒸し小豆なども販売されているので、そのままつまんでおやつにしてもよし、シチューやスープ、サラダに加えても。私はむくみが気になる時は、洗ったあずきをゆっくりから炒りし、煮出したあずき茶を飲用します。

9/28

味噌・豆みそ・八丁味噌

今日は豆みそのお話です。出張などで名古屋に行くと、コクのある重めの赤黒いみそでコシの強い煮込みうどん(山本煮込み)や、甘めの煮込み料理(土手煮込み)をいただくのですが、これが楽しみ。おでんの玉子や大根も見事に真っ黒! でも味は濃すぎることはありません。
豆みそは他のみそと違い、煮込むほど美味しくなります。どっしりとしたこのみそは、蒸した大豆をみそ玉にして発酵熟成させたもの、水分が抜けて色が濃くなっています。主に愛知県、三重県、岐阜県の東海地方の三つの県で作られており、三河地方沿岸の吉良の塩と、矢作大豆が手に入りやすかった事と、風土の影響で独特の作り方が生まれて豆みそが作られるようになりました。名物のみそカツやこんにゃくおでんの甘だれは、三河味醂やザラメ・八丁みそで調理されています。かすかな苦味と酸味が感じられるのも特徴です、これが良い風味を醸し出しています。
皮膚の再生力も高い豆みそ、酢とメープルシロップでなめらかに伸ばしてタレにします。焼きなす、湯豆腐、茹で野菜など美味しくいただけます。

9/27

新米・米・仁多米・奥出雲

新米・炊きたて・ごはん・米

新米の季節になりましたね。毎年日本のお米は世界一だと、お茶碗の中にピカリと光る銀しゃりをみて深く思います。炊き立ての良い香りが鼻に抜けて甘みが口中に広がる幸せ。好きなお米の一つに奥出雲の「仁多米」があるのですが、もちもちとした食感が特徴です。山間が広がる畑の中の田植えは楽しく、稲刈りをお手伝いしている時期もまりました。
お楽しみのご褒美はお結びです。お米が育った新鮮な水で炊かれていて、東京ではマネのできない贅沢さ。新米の季節は、ほぼ毎日炊きたてを楽しみます。
湯気の立つごはんにおろしたての山葵でいただく卵かけごはん、ジュワッとごはんに溶けるバター醤油ごはん、黒胡麻と海苔を佃煮風に炊いたものなど、気分によってシンプルに楽しんでいます。お米を食べると体力気力ともパワーが出ますが、人の脾胃にもっとも優しいのもお米です。

9/22

茄子・ナス・焼きなす

なす・茄子・旬野菜・焼きなす

秋なすの美味しい季節になりましたね。
なすの原産地はインドと考えられています。16世紀のフランスでは有毒だとみなされて観賞用だったとか。なすを眺めていたなんて何だか面白いですね。
日本には平安時代の8世紀頃にお目見えしました。花も紫色で可愛いですが、採りたては鋭いトゲがあって刺さると痛いのでご注意を。なすの種類には、関東によく出回る千両なすを始め、長なす、水ます、米ます、地域特有のブランドなす、最近では美しい明るい紫色の丸Nasuなど多様に出回っています、海外にも青なすや白なすがありますが、卵のようなその形からエッグプラントとも呼ばれています。
秋の気配がすると食べたくなる焼きなす。皮ごと真っ黒に焼きますが、中まで柔らかくなるまでしっかり焼いて下さい。皮を剥くときは水に取らず、竹串やキッチンペーパーで手早く剥き、食べやすく切ります。香ばしく焼けたナスはヘタも美味しいものですよ。シンプルなおかか生姜醤油も美味しいし、お椀に入れて、熱い赤出汁を注ぎ、辛子をちょこんとのせたお椀もお勧めです。
なすはほてりやのぼせによく、利尿作用があるのでむくみ改善にも良い野菜です。

9/18

白きくらげ・木耳・銀耳・美肌スープ・薬膳

白木耳・木耳・きくらげ・美肌食

朝夕は肌寒くなり、道行くとイチョウの木に銀杏がたわわです、秋ですね。
肌の乾燥が気になり始めるのもこの頃。肺も潤す美容食として人気の白きくらげは、料理やデザートに大活躍します。私のお勧めの下処理は、たっぷりの湯でとろみがでるまで約1時間半ほど下茹でします。ふるふると柔らかく、多めに茹でて小分け冷凍すればいつでも楽しめます。
肌に良いスープとして、コラーゲンと旨味の素となる骨つき鶏(塩麹をもみこむ)と一緒にさらに煮込むと、最強のツヤ肌に。その際、体を温め滋養のあるものをプラスします。生姜のスライス、松の実、クコの実、ナツメ、玉ねぎや長ねぎなどを加えてゆっくり煮込み、薄味に仕上げる。胃腸を整え、冷えも改善する丁子(クローブ)をアクセントに加えても良いでしょう。器によそい粗塩を添え、好みで黒こしょうや山椒をふって全体を引き締めると美味。

9/16

つがに・ツガ二・モクズガニ・郷土料理

つがに・ツガニ・モクズガニ・カニ

ツガ二を始めて食したのは、4年前の今頃。日本一綺麗な清流と言われる高津川でとれた元気な川ガニ。川のカニといっても、大きめで力が強い暴れん坊、腕にプレスリーの様な毛がヒラヒラと着いているのが特徴です。とっても美味しかったので、組合から自宅に送ってもらい調理してみました。地元では茹でられることが多いようですが、私は網袋に入れて重石押して蒸しました。オレンジ色のミソがねっとりと濃厚で、海カニのミソに負けません。特にメスの内子が美味で、ヤンチャなカニと格闘したかいがあったというもの。
ローカル感溢れるツガ二料理と出逢うと嬉しくなります。地方によって呼び名も微妙に変わり、食べ方も様々。炊き込みご飯のツガ二飯や、皮ごと潰すツガ二汁、里芋と甘辛く炊くいもたきなど、郷土色豊かで楽しい。益田市にある田吾作さんは、日本一の居酒屋と謳われ魚介の鮮度は最高。地産の美味しい新米と炊かれたツガ二の炊き込みごはん美味しかったなぁ。旬の味覚を程よく楽しめました。薬膳ではカニは寒性で清熱瘀血です。

9/13

山芋・長芋・ねばりっこ・滋養

長芋・山芋・ねばりっこ・山薬

「ねばりっこ」は鳥取県の特産品。ご縁があって香りの良いムカゴと共にいただきました。山芋と長芋の掛け合わせのようなお芋で、長芋より少し皮が厚く、粘りがとても強い。まっすぐボディーなので、調理しやすいのがとても嬉しい。おろしたねばりっこを、フライパンでそのまま焼くだけで美味。粉をほとんど加えなくてもお好み焼きのように焼けます。磯辺揚げも、その粘りで海苔にのせて油へ滑らせるだけで簡単。
山芋系に含まれる成分には、たんぱく質を分解する酵素が含まれ胃の粘膜を保護します。体力を回復する効果も高いので養生します。
薬膳では、乾燥させたものは生薬で山の薬と書いて(山薬)さんやくと読みます。喘息や空咳によく、「益気養陰・補脾肺腎」とされています。
私は、疲れたなと思ったら山芋をおろしてお味噌汁に入れたり、蒸し料理にして滋養を高めています。

9/11

酢橘・すだち・スダチ・薬膳

すだち・酢橘・柑橘類・秋の味覚・果物

夜は過ごしやすくなりましたが、日中はまだまだ暑い日もあるこの頃。お肉や鰻など滋養のあるものや、スパイスたっぷりのカレーなどを食してパワーをつけるのも大事ですが、そろそろ秋に向けて、体のコントロールをしましょう。体を冷やすウリ科のものや、辛すぎるものを段々と控え目にし、酸味のあるものを食卓に足していきます。我が家の庭にも少々実っていますが、酸味のキレがよいすだちは、気分を良くしストレスを緩和する手伝いをします。ビタミンがCたっぷり、お水にしぼるだけでも酸味と香りで元気がでます。
旬の梨や柿にしぼるのもよいものですし、そろそろ出回る相棒のさんまにも必需品。酢のかわり使う(すだち酢飯)もゴマを加えるだけで食が進みます。また、白身やイカのお刺身は酢橘と粗塩が繊細な美味しさを邪魔せず、良いところを引き出しますよ。りんごや青い蜜柑、銀杏も育ってきたし、ツクツクボウシも鳴き始め、すっかり秋めいてきました。

9/7

月餅・ムーンケーキ・中秋節

月餅・ゲッペイ・中秋節・ムーンケーキ

月餅は中華圏の秋の中秋節(ちゅうしゅうせつ)の伝統行事にいただくお菓子。今年の中秋節は9月21日です。
まん丸の月を家庭円満や完璧ととらえて見立ているそうです。昔の月餅は、ずっしりと大きくて甘く、小分けにして食べていました。最近では甘さ控え目で、大きさも大、中、小と色々なサイズが販売されています。
私が好きな月餅の一つに、控えめな甘みの中にアヒルの塩漬け卵が入っているものがあります。甘さの中の塩気が効いて美味しい。そして薬膳でもある蓮の実、木の実、ごまなど滋養のある仁がたっぷりと詰まっています。季節の変わり目の今日には、適切な食養生でもありますね。入れ物も凝っていて、刺繍がほどこしてある美しい箱入りなどは、再使用したくなります。
そうそう月餅は包丁でケーキの様にカットして食べると、スパッと切れた切り口が美味しさを倍にします、ぜひお試し下さい。

9/4

ごぼう・牛蒡・牛蒡子・便秘改善

中医学では牛蒡(ごぼう)は生薬。種は(牛蒡子)ごぼうしと呼ばれ、主にのどの治療薬です。平安時代に中国から薬草として渡来しました。今では見方も変わったかもしれませんが、ごぼうを食用とするのは、日本や韓国などの一部だったそうです。一般的なのは、よく見かける滝野川ごぼうや比較的短めな堀川ごぼうなど。秋になると柔らかい新ごぼうが出回ります。みずみずしく香りの良い旬のごぼうで作るサラダは、えぐみが少なくシャキシャキとして気持ちまでスっとします。皮に香りや栄養分があるので、下処理は包丁の背で軽くそぐかタワシでこする程度にしましょう。
サラダや揚げ物、醤油麹と赤唐辛子のキンピラもお勧めですが、厚手の鍋に梅干し、昆布、丸のままのごぼうを10cmに切って、酒と少量の水でじっくり炊く。柔らかな「ごぼうの梅煮」は、ごぼうの土の香りに梅の風味と塩梅がことの他良く合って、シンプルながら絶妙。季節の変わり目にもお勧めのお惣菜です。
ごぼうは、なんと言っても食物繊維が豊富、常食すると体内の老廃物を輩出し、腸内環境を良くして便通をしっかり促します。カリウムやマグネシウムも含むので、むくみ防止にもお勧めの野菜です。