井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

9/8

葛・くず・薬膳

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つるんとした喉越しのよい葛きりは涼しげ。まだまだ暑いので、甘味も良いですが、みょうがやしそ、ごまなどとお素麺のようにいただいても美味しいものです。葛きり、葛餅など独特の食感が楽しい葛は、マメ科のツル植物で、根から採取されるデンプンが本葛粉となります。数年前に奈良県の本葛造りを見学してきました。本葛のお値段が少しよいのは、葛の効能が高いからですが、極寒の頃に掘り起こして下処理し、何度も何度も水にさらし、乾燥させるするなど、とても手間がかかるからです。くずの根は葛根湯ですね、風邪による症状で後頭部下の首の痛みや重さが気になることがありますが、軽減する効能があるそうです。
葛はお腹の張りなど、不快な胃腸の症状にも優しく作用します。

9/6

もやし・青森県大鰐温泉もやし

もやし・青森特産品・温泉もやし

飯田橋にある青森県のアンテナショップで見つけた特別長い豆もやし。見るからに美味しそうです、聞けば根の部分も食べられるのだそうで、豆の部分と平貝の貝柱と一緒にシンプルに塩味で炒め物にしてみました。旨味のあるシャッキリとした根と、柔らかい豆の風味が香る。芹も根部分を食べますが、またそれとは違う風味、他野菜には無い旨味と食感があります。真ん中の繊細そうな白部分はさっと茹でて、揃えて切り、煎り酒でお浸しに。仕上げに庭の青ゆずを少し香らせてみましたが、もやしとは思えない上品さです。このもやしは、青森県中南地域に位置する大鰐町(おおわにまち)で作られる津軽伝統の冬野菜。約350年前から栽培され、温泉水のみで大事に育てられています。出荷される時は昔ながらの手作業の藁(わら)で束ねられるなど、伝統を受け継ぐ素晴らしさ。
豆もやしは門外不出の小八豆(こはちまめ)の大豆から作られています。温泉水に含まれるミネラルや、ビタミン類、発芽させることで大豆の2倍の栄養価があります。この美しいもやしに最近はまっています、蕎麦で育てられた蕎麦もやしもあるそうでこちらも興味をそそられます。

9/5

落葉キノコ・ハナイグチ・イクチ

落葉きのこ・きのこ

東京ではあまり見かけない落葉きのこは、落葉松(カラマツ)の木の下にありました。数年前の北海道、美瑛での出会いです。表面はぬめりがあって、裏を見ると鮮やかな黄色で水分が多い感じがします。地元の方々に大変人気のある美味しいキノコで、見つけると皆さん楽しそうに採集しています。下処理として、濃いめの塩水にしばらく漬けて汚れや虫を取るそうです。お味噌汁や鍋にいれたり、さっと湯がいて大根おろしのみぞれ和え、醤油漬けなどにして楽しむそう。肉厚なきのこなので、炒め物や揚げ物にしても美味しそうです。採集して日にちが立つとなんと溶けてくるそう、早めに調理します。
キノコはカロリーが低く、食物繊維が豊富、秋にたっぷり堪能したい味覚ですね。

9/4

モロヘイヤ・スパイス・夏バテ防止・薬膳カレー

モロヘイヤカレー・スパイスカレー・薬膳カレー・モロヘイヤ・王様の野菜・夏バテ防止

エジプト原産のモロヘイヤは、栄養価の高さと語源により「王様の野菜」と呼ばれています。抗酸化作用が高く、豊富なビタミン類は葉野菜の中でもトップクラス。美肌効果もあるのでエイジングケアにもお勧め、かのクレオパトラも愛食していたそうです。
薬膳では、体内の水分を調節する(津液)を補う野菜とされています、陽が盛んで疲労する日には特にお勧めの野菜となります。
今日のような猛暑日の夏バテ防止に役立つ酢の物ですが、モロヘイヤと合わせると疲労回復効果が高まります。モロヘイヤを茹でて水気をよく絞り、叩くように細かく刻んで粘りを出し、酢浸しにしてタッパーにたっぷり冷やしておきます。いただく時におろし生姜を添えますが、心地よい辛味と香り、ひんやりした喉越しと共に生き返ります。もうひとつは名ずけて「王様のモロヘイヤスパイスカレー」。唐辛子、ニンニク、香りスパイスを40度から80度の間でゆっくり油で炒めて香りに華を咲かせます。スパイスは水溶性もありますが、脂溶性が多いので油と合わせると良いのです。後はチキン、水分、モロヘイヤを加え、好みの味に整えて煮込めば出来上がりです。

9/3

蓮根(れんこん)・蓮(はす)・貧血

蓮根は調理の仕方によって、いくらでも表情を変えることが出来る魅力的な野菜。蓮根に含まれるポリフェノールには抗酸化作用や殺菌作用があると言われていますが、この成分はわずかながら皮の方に多いのです。なので、剥いてしまうのはもったいない。私はたわしでこすって調理します、香ばしさも感じて美味しいなぁと思うのですが、皮の硬さが気になる方は包丁の背でこそげたり、薄く剥いて下さい。すって加熱すると自然なとろみがつきます、椀ものなどに入れると喉の痛みや咳が鎮まる。スッと糸引く縦切りもお勧め、切り方や厚さによって食感が変わります。散らし寿司やお稲荷さんには薄切りでさっと茹で甘酢漬けにして胡麻と合わせると美味。蓮根は薬膳では止血類になり、養血効果もあるので貧血気味の方は、レバーやひじきと合わせた煮物や炒めものなど相乗効果がありお勧めです。コロンと丸い小さめの先方部分はシャキシャキした食感、掘り立ては生でも食べれ、梨のような風味で美味。長方形の部分はデンプンが多いのでとろみが多いようです、料理によって使い分けて下さい。

9/2

プルーン・プルーンのバルサミコ煮

プルーン・西洋スモモ・プルーンソース

すももの一種で、ヨーロッパでは(命の果実)と呼ばれるプルーン、朝食に食べる習慣がありました。
日本ではこれからが正に最盛期で、毎年送られてくる長野からのプルーンが楽しみです。甘みも強いのでセミドライフルーツも作ります。今日は、酸味と風味の調和が楽しいプルーンのバルサミコ煮のご紹介です。プルーン1パック(13個)は洗って水気をふき、縦に切り目をいれてひねって2つにわり、種を取り出します。ほうろうなどの厚手の鍋にプルーンと、バルサミコ半カップ〜。1カップ、はちみつかメープルシロップを大さじ2〜3いれてとろみがつくまで煮ます(上質なバルサミコの場合は甘みを加減)そのままでも美味しいし、ヨーグルトやパン、酢豚や煮物、料理の仕上げに最適です。野菜や魚にも会いますが、肉料理のソースに最適、奥深くコクのある香りと酸味は、疲れをとって疲労も回復します。
ペクチンが豊富、便秘解消にもよく血糖値を緩やかに上昇させます。カリムも多いので高血圧が気になる方にお勧めの果物です。

9/1

枝豆・えだまめ・山椒・お浸し・おつまみ

枝豆・お浸し・えだまめ・おつまみ

江戸料理に枝豆の東煮という料理があります。枝豆をさやごと醤油やみりん、唐辛子などと甘辛く煮て、冷たく冷やしたものですがなんとも粋、中身を出して出汁に漬けた出汁漬けは、透明な冷やし鉢に入れるとさらに涼しげで涼を呼ぶ。東北地方の郷土料理のずんだ餅も枝豆ですが、砂糖やもち米と合わさって滋養にもとてもよいものです。枝豆は肝機能の働きを助けアルコールを分解するのでビールの相棒的な存在(夏の風物詩)理にかなっていますね。ビタミンB1、B2、大豆にはないCとカロテンンも豊富。本当に手前味噌なのですが、好みの粒感と塩加減に出来るのが嬉しいし、味噌への愛着もひとしおなので豆の種まきから味噌作りを毎年楽しんでます。
枝豆時期は枝豆おつまみをほとんど毎日作ります。今日は昆布だしと山椒実の枝豆お浸しをキンと冷やして!

8/30

蒟蒻(こんにゃく)・腸整作用

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サトイモ科の蒟蒻芋は中国から伝わりました。ゴツゴツした芋で、収穫されてからしばらく貯蔵されてから初めて調理工程に移ります。精進料理など日本でも古くから調理されており、僧侶の大切な栄養源でもありました。
お腹の掃除機と言われるほど腸整作用が高いこんにゃく。グルコマンナン(食物繊維)が豊富、コレストロールも下げるので生活習慣病予防に有効です。薬膳では利尿作用があるとされており、泌尿器科系の治療に使用されます。数年前に生芋(こんにゃく芋)からこんにゃくを作るお手伝いをさせて頂きました。こんにゃくが大好きで、今までいろいろなこんにゃくを沢山食べてきましたが、私の中のNo.1コンニャク名人は(農家のお母さん)の作るこんにゃくです。ご自分で作られた芋や、美味しい芋がとれる畑からとりよせ、芋によって微妙に配合を変える。いい芋の見分け方を教わりながら手作業します。
出来上がったこんにゃくは、うっすらとした桃色、もっちりとしているけれど歯切れがよい食感がやみつきになります。生姜醤油におろし生姜を添えてさっぱりといただきました、また直ぐ食べたいコンニャクです

8/30

茄子(なす)・なすび・味噌炒め・夏野菜

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茄子の原産地はインド。16世紀のフランスでは有毒だとみなされて観賞用だったとか、茄子をながめていたなんて何だか面白いですね。
日本には平安時代の8世紀頃にお目見えしました。花も紫色で可愛いですが、採りたては鋭いトゲがあって刺さると痛いのでご注意を。茄子の種類には、関東によく出回る千両茄子を始め、長茄子、水茄子、米茄子、地域特有のブランド茄子、最近では美しい明るい紫色の丸茄子など多様に出回っています、海外にも青茄子や白茄子がありますが、卵のようなその形からエッグプラントとも呼ばれています。
いつもの味噌炒めの仕上げに、ほんの少々コーヒーを加える、騙されたと思って試してみて下さい(茄子のお料理にはできるだけカラダを温める生姜、にんにく、ねぎなどを加えるとよいですね)
ちなみに私がこの世で1番好きな茄子のお料理は、今はなき、新橋鮎正さんの鮎のうるか茄子、島根本店の子持ち鮎はこれからが旬です。

8/29

糠漬け(ぬかつけ)・免疫力・植物性乳酸菌・発酵食

ぬか漬け・発酵食・冷やしスープ・夏野菜・ギャバ・漬物

暑い時こそぬか漬け。
汗を掻くのでぬか漬けの塩分が美味しく感じます。酸味も心地よく、ひんやり冷えた漬物は格別ですね。
腸内の免疫力(体の6、7割は腸が作る)をupする食材として日本の伝統食のぬか漬けは素晴らしく、胃酸にも強い植物性乳酸菌がたっぷり。含まれるギャバには脳の興奮を抑える効果が期待できるので、夕食時にいただくと安眠出来ると言われています。ギャバは発芽玄米、納豆、トマト、きのこなどにも多く含まれています、合わせて相乗効果を担ってもよいですね。発酵が進んで塩気や酸味が出た漬物は、旨味も有ります。濃いめの昆布だしと調味料少々で味を整えると涼を呼ぶ美味しいスープになり、元気が回復します。
腸内の健康状態は体の軸。ヒポクラテス(古代ギリシャの医師)も「すべての病気は腸から始まる」と言っています。アトピーや湿疹などのアレルギー、自己免疫力、感染症、胃腸系慢性疾患、うつ、認知症にも関連すると言われる腸、第2の脳とも言われる所以です。