井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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マーラーカオ・ココナナッツミルク

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2025年・東京の雛祭りは雪が舞っていましたね。昨日までぽかぽか陽気だったので、満開の梅の木もびっくりしたことでしょう。

寒い日のココナナッツシュガーやミルクを入れた熱々のミルクティーと、蒸し立てのマーラーカオは名コンビ。元気もつくので、撮影の差し入れにも良く作る温かいお菓子です。マーラーカオには、醤油少々を使いますが、私は醤油麹をポンと加えてコクを出します。

大体の作り方ですが、ボウルに卵3個、ココナッツシュガー大さじ3、練乳大さじ2、ココナッツオイル大さじ2半〜3、醤油麹小さじ1〜3、ミルク大さじ3〜5を混ぜます。ザルに小麦粉120g、ココナッツパウダー大さじ1、BP小さじ1弱、重曹小さじ半を入れてふるいながらくわえ、全体を泡立て器でよく混ぜる。硬いようだったら、もう少しミルクを足す。耐熱容器にオーブンペーパーを入れその上に生地を流し、湯気がたった蒸し器に入れて蓋をして20〜25分ほど(途中で開けないようにして)中強火で一気に蒸します。好みでシナモンやクロクローブ、ナツメグなど加えても。蒸し上がったら、少々のココナッツシュガーやパウダーを振ります。

ココナッツミルクにはビタミン類が豊富、季節の変わり目に起こりやすい気だるさや気を補い、疲労回復も担います。

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白味噌・酒粕・美肌・ホットドリンク・発酵食品

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庭の梅は満開です、春の陽気になってきましたね。

それでも早朝はまだまだ寒い。打ち合わせから始まる朝は、ホットショコラショーなどを楽しみます。白みそをアクセントにした、ホワイトチョコレートのホットドリンク。酒粕(熟成練り粕)も加えて。牛乳、アーモンドミルクか豆乳を小鍋に入れて弱火にかけ、煮立つ直前で火を止める。あとは、割ったチョコレートを溶かすだけです。
カルダモンを落とすと、スッキリとした香りで奥行きが出ます、お好みで加えてみて下さい(カルダモンはレモンに似た香りを持つ。胃腸薬でもあり、口臭予防にも効くスパイス・生薬)。

短時間熟成で甘みがある白みそは、塩分濃度が低く、なめらかでコクがあり、柔らかい塩気がこのドリンクの良いアクセントになります。ギャバが豊富でストレスを軽減し、リラックス効果が期待できます(白味噌は冷凍保存がお勧め、硬くならならないので直ぐに使えます)。

酒粕のレジスタントプロテインは食物繊維のような働きをし、腸の老廃物をからめ取って排出。美肌に有効な麹の割合が多い白味噌と合わせると、相乗効果も上がり味のバランスも良くなります。

 

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けんちん汁・根菜

井澤由美子・食養生・喉の痛み・けんちん汁・巻繊汁・豚汁・煮物・芋煮

乾燥するこの季節は喉や体を潤す金柑や柑橘類梨などの果物が多く出回りますね。根菜の大根、蓮根、蕪、ごぼうなども喉に良い野菜達です。大根の蜂蜜漬け、おろしごぼう汁、蓮根の葛湯などは喉や咳のケアに良い民間療法として様々あり、昔から親しまれています。

今日はこれらの滋養がある根菜をたっぷり入れたけんちん汁の簡単な作り方です。鍋にごま油をなじませたら、食べやすく刻んだ根菜類を炒め、油が回ったら豆腐を崩し入れて炒め合わせて塩少々をふる。後は、昆布や干し椎茸の出汁を使い煮込んで醤油風味で仕上げまます。ネギや揚げを入れて風味やコクを加えてもいいですね。寒い日の汁ものは殊の外美味しく感じますし、運動不足に心当たりがある方は、繊維たっぷりの根菜類を沢山いただいて腸活しましょう。皮部分近くに香りや栄養があります、たわしで擦り洗いして出来るだけ丸ごといただくと、大地のパワーと共に血行を良くするビタミンC、E、鉄や食物繊維などを丸っと頂けます。

ちなみにけんちん汁は精進料理のすまし汁のこと。約750年ほど前に鎌倉の(建長寺)で崩れてしまった豆腐と野菜を煮込んだのが始まりと言われ、お坊さんが作った(建長寺汁)がなまったそうです。その他に、刻んだ野菜と豆腐を炒めて油揚げを使う料理から関連付けされている説もあるようです。

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蕪・蕪蒸し・喉枯れ・食養生

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乾燥するこの季節は喉や体を潤す金柑や柑橘類梨などの果物が多く出回りますね。根菜の蕪や大根、蓮根、ごぼうなども喉に良い野菜達です。大根の蜂蜜漬け、おろしごぼう汁、蓮根の葛湯などは喉や咳のケアに良い民間療法として様々あり、昔から親しまれてきました。

今日は大きな蕪を農家さんが送ってくれたので、胃腸にも優しい蕪蒸しに。普段はおろした蕪に卵白を加えますが、滋養をつけて欲しい両親の為に、腎を助ける山芋をすりおろして合わせます。蕪一個分をおろし、山芋適宜を混ぜて具材に乗せて蓋をして10分ほど蒸すだけ。具材は薄口醤油で柔らかく煮たおでんとゆでたほうれん草、刻んだきのこなどを刻んで加え、気張らずに。蕪の甘みと、とろんとした山芋の食感が食べやすく、たっぷりのべっこう餡をかけると体の芯から温める。見た目も真っ白な雪のようで、美しい一皿。少し大きめの器にいれ、たっぷり作って養生します。

蕪は消化を助け、胃腸も温める野菜。喉にも効果的な食べ方のおろし汁は、辛味も無いのでどなたでも口にしやすい。葉にはビタミン類や繊維もたっぷり、刻んで炒めたり塩揉みして納豆に混ぜたり、菜飯にしても美味しいですね。

 

 

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立春大吉・東風解凍・除災招福 

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豆まきをした翌朝は立春です。旧暦のお正月にあたる春の始まりとされる日で、暦の上ではこの日から春になります。雪やみぞれが降ったりと一年でもっとも寒い頃でもありますが、庭の梅の蕾はふっくらとし、早咲きのものは既に満開です。寒さ厳しい中にも日射しものびて春の気配がします。古来は1年の始まりとも考えられていた立春に、除災招福 (じょさいしょうふく)を祈る。新たな目標を持ってスタートする日にも相応しい日で、今年の恵方は西南西です。

立春大吉にいただく食材は、邪気を払うと言われる立春豆腐や小豆、縁起の良い黒豆大福や、春の味覚の菜の花、蕗、白魚、鰆など。井澤家ではお豆腐は生姜塩で頂き、菜の花は辛子浸し、春魚の鰆は西京焼き、蕗は山椒を加えたほろ苦い蕗味噌、お椀は蛤や海藻、お赤飯に南天〔難を逃れる〕も添えます。

夜は立春絞りを少々。節分の夜からもろみを一晩中搾り、すぐに瓶詰めをして2月4日に出荷される原酒です。微妙な調整、完璧な管理が必要だそうで、蔵人さん始め、酒屋さんは夜中から徹夜での作業となります。日本酒の清さが心を清々とさせますし、祝い日にぴったり。アミノ酸が含まれているので肌にもよく、血行の巡りも良くする。胃を労るように、和らぎ水(やわらぎみず)と飲むことも心がけながら立春を楽しみます。

 

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体の中からキレイを作る旬食材・緑黄色野菜・ブロッコリー

井澤由美子・キレイを作る・体が喜ぶ・ブロッコリー・緑黄色野菜・冬野菜・食養生・薬膳

今号のファンケルさんの「旬レシピ」でもご紹介させていただいているブロッコリー。一年中出回る野菜ですが、特に美味しい季節は冬から春にかけて。ブロッコリーは野生のキャベツを品種改良したもので、さらに改良されたものがカリフラワーです。どちらも購入する時は、かたくしまったものを選びます。

ブロッコリーは、胃腸に優しく、免疫力を高める野菜としてイタリアなどでも古くから栽培され、親しまれてきました。
タンパク質やカロテン、ビタミンB、C、カルシウム、繊維が豊富。甘味がある茎も、皮をむいて食べやすく切って一緒に調理しましょう。ブロッコリーのビタミンCは水に溶けやすいので、損失を補う塩を加えて基本的には短時間の調理にします。簡単にフライパンに入れ、塩、水、オイル各適宜を降って蒸しにすれば、カロテンも効率よく体に吸収できます。

多少色が落ちますが、ブロッコリーを柔らかく蒸すとしっとりして美味しいなぁと思います。まずはそのままいただいて、残ったらスープやピュレなどにしても。疲れている時は豚肉と一緒に調理すると、疲労回復をグンと助けます。どんな料理にも使いやすいブロッコリーは風邪予防にも最適、積極的に食べたい緑黄色野菜です。

 

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寒の入り・七草粥の作り方

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2025年の小寒は今日です。一年で一番寒いとされる大寒は20日となります、温かい食事をいただいて日々ご自愛ください。

明後日は七草粥の日。無病息災や健康長寿を願っていただくお粥です。元は中国の「人日の節句」で「七種菜羹」とい言う温かい汁物を食べる風習が伝わり、日本の「若菜摘み」と結びついたと言われています。
春の七草(スズナ(蕪)・スズシロ(大根)・セリ、ナズナ(ペンペン草)・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ)で七草入りの粥を「朝」作ります。スズナやスズシロは叩き(切っても)、葉ものも食べやすく切ります。今日はお粥の粒先がひらくような食感のよい作り方をご紹介します=米半合は洗って、できればザルにひろげて30分ほど乾かします。鍋にお米の10倍量の湯を沸騰させて米を入れ、ひと混ぜだけする。再度煮立ったら米油か菜種油を小さじ半ほど加えフタをして弱火でゆっくり25分ほど炊き、切った七草を入れ5分煮て5分蒸らします。最後に粗塩2つまみを加えると塩梅よく、みずみずしい仕上がりになります。
七草粥はお正月のご馳走や祝い酒などで疲れた胃を休めることも目的です。朝粥は普段の朝食にもお勧めです、胃にもたれず元気がでるので1日のスタートにもふさわしい食事と言えますね。

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2025・巳年・元旦・お雑煮

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新年御目出度う御座います。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

お正月にいただくお雑煮作りは背筋が伸びます。お餅は古くから神仏へ捧げる神聖な食べものであり、備え下げたお餅を料理して旧年の収穫や出来事に感謝し、新しい年の豊作、幸運、健康、家内安全を祈る日本の伝統食。

我が家の元旦は、浅草育ちの祖母に習ったお雑煮を毎年暮れから鶏ガラと和出を合わせてたっぷりと用意。骨つき鶏肉に塩を馴染ませて一晩寝かせたものに、ネギ、生姜、白菜芯とゆっくり煮て、和出汁と合わせて味がまとまったら酒、しょうゆ、塩、みりんで味付けします。2日の朝はアレンジして、生の高麗人参、棗、にんにく、大根や蕪を入れた参鶏湯風の養生雑煮を楽しみます。

お餅は大根おろし、磯部巻き、おぜんざい、しょうゆ砂糖、きなこ和三盆、葱辛子納豆、たらこ、塩うに、からすみなどの珍味まで何にでよく合います。
お餅を上手に焼くには、表面に十文字の切り込みを浅く入れ、予熱したトースターや網に切り目を上にして焼くと真ん中からプクッと膨らんで理想的に焼けます。醤油をたらして焼くと網にくっつきにくくなりますよ。1cm角切りにし、ごま油を馴染ませたフライパンで気軽に焼いて塩をパラリとふれば、かき餅のカリカリおやつに。ごはんを炊くときに1枚加えるとおこわ風になりますし、お味噌汁に野菜と一緒に入れて朝ごはんにも良いもの。お餅は余ったら1個ずつラップをしてくるんで冷凍保存。昔からお餅は、母乳の出をよくすると言われていますね。

12/29

伊達巻・お正月・御節

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今年も残すところあとわずかですね、お正月の準備は整いましたか?

黒豆、田作り、かずの子の三種の肴の仕込みが終わったら、私はしっとりとした旨みのある伊達巻を作ります。華やかさから「伊達」と冠された卵焼き、学問や習い事の成祝、家庭円満を願う縁起物。作り方は思ったより簡単ですよ、上品な甘さの自家製伊達巻の作り方をご紹介します。

ボウルに魚の白身150g、はんぺん1枚、卵5個、きび砂糖大さじ4、薄口醤油小さじ1、みりん大さじ2、塩ふたつまみをハンドミサーで撹拌します。20✖️20cmの型にオーブンペーパーをしき、生地を流し200度のオーブンで18〜20分焼きます。(薄く油をなじませたフライパンで弱火で両面焼いても)。熱い内に鬼巻きすに焼き色が付いた面をおき、卵焼きの内側に3㎝くらいの間隔で横に浅く切り目を手早く入れます。手前からしっかりとまき、ゴムで止め2時間以上冷ましてから横にし1、5㎝幅くらいに切って盛り付ける。

簡単な玉子カステラの作り方は卵2個、はんぺん大1枚、きび砂糖、酒各大さじ1、みりん大さじ2をボールに入れてハンドミサキーで滑らかになるまで混ぜる(袋に入れて上からよくもむだけでも)。耐熱容器のバットなどにオーブンペーパーをしき、生地を流して200度に予熱したオーブンで表面に焼き色がつくまで約15分焼く。粗熱がとれたら端を切り食べやすく切って器に盛る。簡単なのにきちんと作れる「おせち料理」から抜粋。

皆さまどうぞ良い年をお迎え下さい。

12/23

黒胡麻豆乳豆腐・国際中医薬膳師・食養生・薬膳

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めっきり寒くなりましたね。肌乾燥も気になり、身体全体が潤い不足です。こんな時は腸内も乾燥するので、良質な油脂をしっかり取り入れたいもの。カサカサパサパサの行く末は、表面の肌でも体内の腸でも痛みを伴うことがあります。

そんな時は、ホルモンバランスも整える黒胡麻豆乳豆腐がお勧め。簡単なので作り方をご紹介します(5、6個分なら半量でお作り下さい)*ボウルに葛60gと出汁500cc、豆乳100cc、塩3摘み、甜菜糖小さじ1、醤油少々を入てれよく混ぜ、葛出汁を作る。別のボウルに黒胡麻ペースト70〜90gを入れ、葛出汁を少しずつ加え混ぜ、漉し器を通して鍋に入れる。木べらで混ぜながら中火にかけ、煮たって来たら弱火にし、20分ほどしっかりと練り混ぜる。水に濡らした型やグラスに注ぎ、冷蔵庫で1時間以上冷やす。わさびとおろし生姜を添えます、意外に辛子もよく合いますのでお試し下さい。

皮膚の粘膜を潤し、セサミン、アントシアニン、ビタミンE、鉄分が豊富な黒胡麻は、薬膳では老化防止に良いとされている食材。皮膚粘膜を強化し、ホルモンバランスを整えて体を温める葛、そして美肌作りに有効なサポニンや睡眠の質を上げるセロトニンを含む豆乳を合わせた「黒胡麻豆乳豆腐」は、おご年配の方や小さなお子さんにも滋養があって食べやすい。お正月のおもてなしにもお勧めです。

今日は今年最後の東京食薬Laboの料理教室でした。10月に受けた国際中医薬膳師試験に、生徒皆さん全員が合格されました。知らせが届いたのはつい先日のこと、黒胡麻豆乳豆腐を初めとしたお料理と泡で乾杯!

皆さん本当によく頑張りました、今年一番嬉しかった事でした。沢山の幸せな気持ちを頂いて、感謝の気持ちでいっぱいです。