井澤由美子の食薬ごはん Yumiko Izawa

食薬ごよみ

四季のサイクルに合わせて食すことが、身体を健やかに導く手助けをしてくれます。
季節の食材とその由来や歴史、食にまつわるお話をご紹介します。

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はまぐり・蛤

温泉の露天風呂では、いつも思わぬ情報が得られるから侮れない。千葉県・九十九里の漁師さんの奥さんが言うには、「はまぐりは、冬は小さくて夏は固くなる。3月終わりか4月初めくらいが一番良いだしが出て、柔らかくておいしいよ!」。
いつもは酒蒸しやお椀、煮はまや焼きはまいただきますが、ベトナブ風もお勧めです。はまぐり、酒、パイナップルの薄切り、レモングラスをフライパンに入れてふたをして蒸し焼きにし、貝が開いた順に取り出す。シンプルながらも旬のうまみと、爽やかな香りがクセになります。キリッと冷やした泡や、白ワインが相性ば抜群。はまぐりは旨みが強いだけでなく、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、鉄分、アスパラギン酸などが含まれており、疲労回復にも効果的です。

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ナポリタン・贅沢ナポリタン・スパゲティー

ナポリタン・パスタ・スパゲティー

日本生まれのナポリタン、マニアの方もいらっしゃいますね。やわらかめの麺で作られるケチャップ味のスパゲッティは今でも喫茶店のメニューのエース的存在。洋食屋さんやお弁当にお料理のガロニ(付け合わせ)としてケチャップ味のスパゲッティが添えられていることがよくありますが、これはフランス料理からの名残です。
あり合わせの材料で楽しむお家ナポリタンですが、今日は蒸したカキがあったので、ベーコン、玉ねぎ、ピーマンと一緒に具にします。ナポリタンのポイントは、具材を炒めたらフライパンの端に寄せ、空いた部分にケチャップを入れて温める事です。火を入れることで酸味がマイルドに仕上がります。
カキのベーコン巻きや、カキのケチャップソテーなどのお惣菜がありますから、ナポリタンにカキを入れても違和感がなく、贅沢ナポリタンとなりました。
隠し味は、バターと少しのオイスターソース(カキが主原料の調味料)。栄養バランスも良いスパゲッティーです。

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白きくらげ・木耳・美肌スープ・肌乾燥

この季節は、肌が乾燥しますね。白きくらげは、貴婦人の美容食と言われるほど肌を潤す食材。下処理として、たっぷりの湯で下茹でとろみがでるまで約1時間半ほど茹でます。コラーゲンと旨味の素となる骨つき鶏(塩麹をもみこむ)と一緒にさらに煮込むと、最強のツヤ肌スープになりますよ。その際、体を温め滋養のあるものをプラスします。生姜のスライス、松の実、クコの実、ナツメ、玉ねぎや長ねぎなどを加えてゆっくり煮込み、薄味に仕上げます。胃腸を整え、冷えも改善する丁子(クローブ)をアクセントに加えても良いでしょう。器によそい粗塩を添え、好みで黒こしょうや山椒をふって全体を引き締める。下茹でした白きくらげは甘味にも良いものです。

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雛祭り(ひなまつり)・錦糸たまご

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今日は雛祭りですね。女の子の無病息災を願う桃の節句。幸せな結婚ができるようにという願いも込められています。子供が幼少の頃、お友達も遊びに来るので、毎年ちらしずしを作りました。たっぷりの錦糸たまごは幸福感があるので沢山のせます。失敗しない錦糸たまごの作り方をご紹介します。ボウルに卵2個、卵黄2個分、水で溶いた片栗粉、みりん、塩各少々を合わせてしっかり溶きほぐす。フライパンを熱し、油をなじませたら、一度濡れ布巾において温度を少し下げます。再度火にかけて温めたら、卵液を数回に分けて流して薄く広げる。表面が乾いてきたら火を止めます、余熱で火を入れると、しっとりと卵色が映える仕上がりになります。数枚重ねて半分に切って更に重ね、クルクルと巻いて極細切りにすれば、きれいな錦糸たまごの完成です。

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・風邪予防・食養生・きんかん・金柑・喉の痛み・キンカン・柑橘類・薬膳・

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新玉ねぎ・消化促進

白くて柔らかい新玉ねぎがスーパーに出回っています。辛味がなくみづみずしいので、スライスして生のままいただけます。山地の農家さんは栄養が逃げるからと、水にさらしません。調理をする時も火入れの時間は短くするそうですよ。少し厚切りにし、煮えばなのおみそ汁や卵とじにするのもいいですね。新玉ねぎのシャキシャキした食感は心地よく甘味があって美味しいので、旬には薄切りを山盛りにして、たっぷり堪能したくなります。
新玉ねぎはオリゴ糖を多く含み、腸内環境を良くする他、疲労回復を手伝う成分など沢山の効果があります。薬膳では、消化不良を改善し、お腹の張り、ゲップや吐き気などに有効とされています。購入する時は、隙間がなくずっしりと重たく、球状で先端が細めのものを選びます。新玉ねぎでも匂いや辛味を感じて気になる方は、切った後少しおき、空気に触れさせて少し置いてからいただくと和らぐようです。

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金柑・きんかん・のどの痛み・薬膳

・風邪予防・食養生・きんかん・金柑・喉の痛み・キンカン・柑橘類・薬膳・

この季節は柑橘類が種類豊富に出回っていますが、皮ごと食せる金柑がとても美味しいですね。ヘタが緑で艶がよく、より赤みの強いものを購入します。よく洗って皮ごと存分に楽しみます。喉にもよい金柑は甘露煮にしたり、コンポートにして保存しても。きんかんを2、3分下茹でしてアクを抜きます。はちみつに漬けるだけでも良いですが、鍋に移して金柑n分量の半量くらいのきび砂糖とかぶるくらいの水、酢か白ワインを少々加え、とろみが出るまで煮詰めます。煮物や酢豚などに入れると味に奥行きがでます。鶏肉や鴨肉などともよく合いますよ。お菓子は、タルトやソルベになどにすると爽やかです。
金柑はビタミンCが豊富で、風邪予防やアレルギー対策に有効。また皮に含まれるヘスペリジンはポリフェノールの一種で、ビタミンCの吸収を高めます。
香りには気の巡りをよくする効能があり、ストレスを緩和し心を落ち着かせます。
写真はドライ金柑です。皮ごと薄切りにして1〜3日間干すだけ(干し加減はお好みで、個体差や日差しの強さでも変わる)セミドライならサラダに散らす、ケーキの飾りにすると可愛い仕上がりに(セミドライの金柑は冷蔵庫で保存します)。しっかり乾燥させたものは、お茶や飲み物に加えると甘みがほんのり移ります

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マヌカハニー・マヌカの花・ギョリュウバイ

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日本では春が開花のマヌカの花(和名はギョリュウバイ)可愛らしいピンクの小花で、写真よりもも少し白っぽい花もあります。初めてマヌカハニーを食べたのはニュージーランド産のお土産でしたが、少し癖があって独特の味。高い抗菌活性力を持つそ。胃腸を整える効能もあるので古来より薬として扱われています。殺菌力が高く、腸の悪玉菌を減少させて善玉菌を増やし、腸内環境を良くしてくれます。結果的に免疫力も上がりますね、花粉症にもお勧めのマヌカハニーです。この時期は特に発酵食のヨーグルトと合わせたり、ドレッシングに加えたりと日常使いをして、私はアレルギー症状緩和に役立てています。
風邪も流行っていますね。マヌカハニーは、口内炎や喉の痛みにも有効だそう。試してみる価値はありそうです。

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牡蠣・かき・カキ・牡蠣ごはん

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牡蠣は亜鉛と鉄分も多く含むので貧血予防や免疫力を高める手伝いをします。高野豆腐とカキのお鍋や、チーズたっぷりのグラタン、牡蠣のオムレツなどたんぱく質を組み合わせるとお勧めです。
牡蠣は「酒毒を消す」とも言われており、お酒をたしなむ時にもお勧めの食材。剥きたての冷たい牡蠣にレモンをギュッと絞るだけでも最高ですが、タバスコもふって下さい。全体がしまって美味しいのと、殺菌効果や生臭さを消す作用もあります。その他、燻製やオイル漬けなども美味。酒、みりん、醤油を煮立てカキをさっと煮て取り出し、その煮汁でお米と春豆を炊く。炊き上がりに牡蠣をもどして少し蒸らしたら、柚子を削る。カキの旨味と香りを堪能できる炊き込みごはんです。
取材させていただいた厚岸漁師さんの手の上の牡蠣はプックリプリプリ、安心もついてくるから嬉しい。
余談ですがヨーロッパでは、カキには(秘められた恋)という隠れた意味があり絵画によく登場したそうです。

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クロワッサン・発酵バター

クロワッサン

クロワッサンはフランス語で三日月の意味で、その形が名前の由来です。本場フランスでは三日月と菱形の2種類があり、パン屋さんで売ってうるバターで作られたのと、スーパーなどで販売されるマーガリンで作られたものがあります。
私が好きなクロワッサンは外側はさっくりと焼けているけれど、中はふんわりときめ細かくしっとり感がある生地。手で引っ張るとスルスルとほどけるようで、濃厚なバターの香りがフワっと立つもの。ハラハラと落ちる外側の香ばしい部分をなるべく落とさないようにそっと食べます。バターをふんだんに使って贅沢に作られたクロワッサンとたっぷりのカフェオレやミルクティーと合わせると幸福感もいっぱいです。
クロワッサン作り欠かせないバターは、ヨーロッパと日本では製法が違います。ヨーロッパのバターはクリームを乳酸菌によって発酵させたコクのある発酵バターで、日本のバターは発酵させずに作るのが主流です。日本でも発酵バターは手に入りますが、お値段は少々高めです。美味しいパンがある時や特別なお菓子を作る時は発酵バターに手が伸びます。